『ブレーク・パーティー』…第2話〈 森に住むお犬様は良く吠えるの巻 〉

〈 森に住むお犬様は良く吠えるの巻 〉
「冗談ではないわっ!」
 ライラックは叫ぶと、腰の剣を抜き、フォレックス公爵に剣先を向けた。
「なぜあたしが、あなたから奴隷調教を受けなくてはならないのよ!」
 公爵を見るライラックの目が、怒りに震えている。
「あたしは剣士よ!。奴隷ではないわ!」
 館の広い謁見の間に、ライラックとフォレックス公爵がいる。
 豪華なイスに座っている公爵は、ライラックの怒りの叫びを黙って聞いていた。
「そうかな・・・。蝙蝠人が襲ってきた夜に、館のベランダで『ご主人様!』と叫んで、オナッていたのはどこの誰だったのかな?」
 公爵は、ライラックに向かって、ニヤ付きながら問いただした。
『うっ・・・(見られていたんだ!)』
 ライラックの表情に一瞬動揺が走るが、それを隠すように大声で叫んだ。
「あたしには剣士としてのプライドがあるのよ!」
 怒りのため剣を持つ手がブルブルと震えている。
 ライラックと公爵の間に緊張の時が流れた。
 しばらくして、氷のような視線をライラックに投げ掛けていた公爵の口が開いた。
「お前が何と言おうと、お前は私の牝奴隷になるのだよ。その為にお前はここに居るのだから」
「ちがうっ!。あたしは魔物と戦う為にここに来ているんだ!。ブラッド・オパールを探す為に公爵の所に居るんだ!」
 ライラックは懸命に反論する。
「いや。お前は私の牝奴隷になる為に、ここに居るんだよ。・・・お前は四つん這いになって、私の靴にキスをして、そして靴を舐めながら濡れている自分のアソコを私にさらすんだよ」
 公爵の冷静な言葉が続く。
「ちがう!、ちがうっ!」。
 ライラックは、叫びながら顔を激しく左右に振ると、再度剣を公爵に向けてかまえた。
 ガシャッ。
「それ以上剣士であるあたしを侮辱すると、・・・たとえ公爵である、あなたであっても容赦はしないっ!」
 ライラックの怒りの言葉を聞いても、公爵はまるっきり意に介さず、意味ありげな含み笑いをしている。
「ふふふ・・・。牙を剥くほどの牝犬を従順にするのは、さぞや調教のやりがいがあるだろうな。・・・私はお前の剣士としてのプライドをズダズダにして、私の前では只の牝犬の奴隷にしてやるからな」
 ライラックの顔が怒りのためワナワナと震え、歯がガチガチとなっている。
「ゆるさない!。・・・死ねっ!!!」
 ライラックは叫び声と共に、公爵に向かって飛び掛かっていった。
 その瞬間、ライラックの首に填められている「隷属の首輪」が一瞬鈍く光った。
「うがっ!」。
 ライラックは短い悲鳴とも叫びとも付かない声を上げると、彼女の身体は動きを突然止めてしまった。
 身体全体が、電気にでも打たれたような、強烈な痺れが、背骨を駆け上ってきて、脳細胞の中を激しく打ち据えた。
 カラララーン。手に持っていた剣が足元に落ちた。
 ライラックは身動き一つ出来ず、立ったままの状態になっていた。
「あ・・・あう・・・あ、あう・・・」。
 声さえ出す事が出来ない。・・・いや、口さえ動かす事が出来ず、開いたままの口の端からは、涎が溢れてきて身体の方に滴り落ちていく。
 イスに座っている公爵は、人形のように身動きの出来ないライラックに向かって、話を始めた。
「以前にも話したとおり、『隷属の首輪』を首に填めた者は、私によって力を制御される魔法が掛けられているのだよ。そして今は、お前の戦う力が封印されたんだよ」
 ライラックの身体は、人形のように動かなくなっているが、彼女の精神は普通のままである。だから公爵の話す言葉は耳に入ってきていた。それも耳を塞いでいたいような言葉が川の流れのように、滔々とライラックの耳の中へと流れ込んでいた。
「お前の剣士としてのプライドを、1枚づつ剥ぎ取っていってやるよ。そうすれば、最後には自分から何の迷いもなく、牝犬の姿になる事が出来るだろうよ」
 公爵は人差し指を軽く動かすと、ライラックの身に着けている鎧や衣服や靴がまるでガラスが砕け散るように、一瞬の内にバラバラになって床に散らばってしまった。
 ライラックは生まれたままの姿で立っていた。
『やっ!』。ライラックは心の中で叫び声を上げて、両手で胸や股間を隠したかったが、動かない身体は、公爵の目に全てをさらし続けていた。
 公爵の視線が、ライラックの乳房や陰毛が濃く生えている股間に集中しているのが、痛いほど分かる。
 顔をそむけたい・・・だがライラックの顔は公爵を睨んでいる姿で動かなくなっているので、イヤでも公爵と視線が合ってしまう。
『いや・・・。お願いもう許してよぅ・・・』
 顔の表面が恥ずかしさでうっすらと赤くなってくる。
「その首輪はお前の能力を制御するだけではない。お前が私を襲って害を加えようとしたり、自ら自分の命を縮めるような自殺をしようとした時には・・・」
 公爵はそこまで言うと、喋るのを止めてニヤリと不敵な笑いをするのであった。
 ライラックにはそれがまた不安をかき立てた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・!?。・・・・・ひっ!」
 突然ライラックの身体中が疼きだし、身体中がブルブルと震え出した。
『な・・・なんだ?』
 身体の奥からは、押さえる事の出来ない感情の高ぶりが沸き起こってくる。
「・・・・くっ、・・・うっ、・・・あ、うっ・・・」
 ライラックは懸命に身体の疼きに抵抗をしようとした。
 しかし疼きの高ぶりは、段々とライラックの心と精神を浸食していく。
「は、あ・・・あ・・・は、ぁ・・・あう、あう・・・」
 身体中が小刻みに振るえ、汗が噴き出してくる。・・・いやそれどころか、ヴァギナの奥からは女としての汁が溢れ出してきていた。
「は、あ、ぁぁぁ、あん、あん・・・」
 溢れ出した淫液がラビアを濡らしてキラキラと光っている。
 淫液の雫がポタ、ポタと床に滴り落ちていく。
 ライラックは直ぐにでも、指を使ってヴァギナの中を掻きむしりたいような衝動に駆られていた。
 ライラックの身体が、明らかに変化を現している事を認めた公爵は、先程の言葉の続きを話し始めた。
「・・・その首輪に掛けられている魔力によって、お前の快感神経が激しく刺激をされて、危険な行為を止めさせる事になるんだよ。ふふふふ・・・しかもそれは、私の中止命令があるまで、お前の身体を疼かせ続ける事になるんだよ。しかもその刺激の快感は、決してお前を完全にイカせる事が出来ないようになっているんだよ。お前はイク事の出来ない快感の地獄を、何時間も何日も味わい続ける事になるんだよ」
『そ、そんなのは・・・いやぁぁ』
 ライラックの叫びが心の中にこだまする。
 公爵の言葉を聞いた事で、ライラックのヴァギナから溢れ出してきている淫液は、より一層の勢いを持って床に滴り落ちていった。床には淫液のたまりが小さく出来ていた。
 ライラックの目から涙が溢れてくる。
 快感を全身に感じるんだけどもイク事は出来ない、指を使って自分自身でイク事も出来ない。
 ライラックの頭の中では、もう何も考えられなくなっていた。
『ねぇ!。お願い!。イカせて!、イカせてぇぇ!』
 ライラックは快感の泥沼の中でのたうち回っている。
 人形のように立っている全裸のライラックの身体は小さく振るえ、ヴァギナからは止めどもなく淫液が床に滴り落ちている。
 公爵はそんな姿のライラックをしばらくは見て楽しんでいたが、左の手を軽く挙げて部屋の外から2人の衛兵を呼び入れた。
 衛兵達はライラックの両脇に来ると、ライラックの両手を背中に回して手枷で固定をした。
 ライラックの身体は、別に石のように硬く動かなくなった訳ではなく、あくまでもライラック自身の意志が身体に通じなくなっただけなのである。
「さて、この続きは地下の調教室で続ける事にしよう。そこでお前は『剣士のプライド』を全て剥ぎ取られて、従順なただの『牝犬の奴隷』に生まれ変わるんだからな。どうだ楽しみだろう?」
 そう言うと公爵は大きな声で笑い、衛兵達にライラックを連れて行くように手で合図をした。
 剣士のプライドという言葉を聞いて、快感の中でのたうち回っていたライラックは、ハッとして我に帰ったが、両脇を抱えられ連れて行かれる今のライラックにとっては、どうすることもできない状況であった。
 ただ、声として出す事の出来ない叫びを、心の中で叫び続ける事しか出来なかった。
『あたしは剣士だぁ!。牝犬の奴隷なんかにはなりたくないよぉ!』
 ライラックの身体は引きずられて、暗闇の中へと消えていった。
 悲痛な悲鳴を残して・・・。
『牝犬なんか、いやあぁぁぁぁぁぁぁ!。』
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「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
 ライラックは大声で叫びながら飛び起きた。
「えっ?」。チャームの顔がドーンと目の前にあった。
「わっ!」。ライラックは慌てて1、2歩後ずさりすると、きょろきょろと辺りを見渡した。
 ライラックの目に、森の木々が映った。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・あ・・・こ、ここ、公爵の館じゃ・・・ないのね・・・」
 真っ青な顔で激しく息をするライラックとしては、やっとそれだけ言うのが精一杯であった。
 そしてホッとしたライラックは、大きく深呼吸をした。
「ライラックさん・・・大丈夫ですかぁ?。・・・随分とうなされていたようですけども」
 チャームが心配そうな顔で尋ねてきた。
「あたし達はブラッド・オパールを探しに、10日前に公爵様の館から旅に出て来たんじゃないですか?」
 チャームは今度は不思議そうな顔で聞いてきた。
「・・・・・・・・・夢だったのね・・・・・」
 ライラックはチャームの質問には答えずに、ただ肩で息をしつつ、顔の汗を手の甲で拭うのであった。
「・・・ほんとに心配をしたんですよ。・・・うわごとのように『牝犬、牝犬・・・』って言うもんですから、てっきりライラックさんは、犬のように何か毒のような悪い物でも拾い食いをしてしまって、それでこのまま死んじゃうんじゃないかって思ったんですよ」
 チャームは、良かった良かったと言うように、ニコニコして話をした。
「え?、・・・そんなうわごとを・・・。で、何であたしが犬のように拾い食いをしなくちゃならないのよ。・・・チャーム、あなた本当にあたしの事を心配していたの?」
 ライラックは疑いの眼でチャームを見つめた。
「当たり前じゃないですか!。・・・もしここでライラックさんに、もしもの事があったら・・・」
「うんうん、もしもの事があったら・・・」
 チャームのきっぱりとした言葉に吊られて、ライラックはワクワクした気持ちで、同じ言葉を繰り返した。
『きっと、「あたし困ります」とでも言うつもりなのね。やっぱりチャームは私を頼りにしているのね』
 そう思ったライラックは、チャームの口から出てくる続きの言葉を、ワクワクした気持ちで待ち構えた。
 チャームの口が開かれた。
「こんな森の中で、いったい誰が死んだライラックさんを埋めるお墓の穴を掘るんですか?。あたしはそんな力仕事はいやですからね」
ズゴーーン!!。
 チャームの思いもしない言葉を聞いて、ライラックは思いっ切り地面に顔をぶつけてしまった。
 ライラックはずっこけてしまったのだ。
「あ、あんたねぇぇぇぇー」。ライラックは泣きそうな声を出しながら、地面の土が付いている顔を上げた。「勝手に、殺さないでよぉぉぉぉー」
 ライラックは期待した自分がバカだった・・・と言う気持ちになってしまった。
「だってぇー・・・、まさか公爵様の館まで、ライラックさんの死体を担いで行く訳にはいかないでしょう・・・帰り着いた頃には、ライラックさんの遺体は腐って臭いがプンプンですよ・・・、それどころか目の玉は落ちるし髪の毛は抜けるし、ウジ虫がぞろぞろ・・・」とチャームの言葉に、「もうやめぇぇぇぇっ!。何が臭いがプンプンじゃぁぁぁー!。何がウジ虫がぞろぞろじゃぁぁぁぁー!」
 ライラックは怒りだしてしまった。
「ライラックさん、最近随分と怒りっぽくなりましたね?」
 そんなライラックを見て、チャームは少し小首を傾けて考えた後、「あ。もしかすると『あの日』ですか?。毎月の『赤い定期便』がこんにちはって・・・」
 チャームは納得したように、にこやかな顔で言った言葉への、ライラックの答えは、森中に響いたんじゃないかと思われるほどのゲンコツの音であった。
 ゴォイィィィィ~~~ン。
「いったぁぁぁぁ~い・・・。本気で叩かなくても・・・頭が割れたらどうするんですか?。・・・グスン」
 両手で頭を抱えたチャームが、膨れた顔をして、ライラックに向かって文句を言った。
「そうね。一回チャームの頭を割ってみて、そんな事を考える脳味噌が、どうなっているのか見てみたいものね」
 ライラックはニヤリと口元をゆがめると、鞘から剣を抜いて見せた。
 剣の刃が、焚き火の炎の明かりを反射してキラリと光る。
「え?。あ、あの・・・ライラックさん・・・・、そんな剣で頭を割られると、とっても痛いなと思うんですけども・・・」
 チャームの顔から血の気が引いていく。
「なに、バカなことを言っているのよ!」
 ライラックは一言そう言うと、クルリと背を向けて、暗闇の森の方に剣を向けた。
 それに合わせるかのごとく、暗闇の中に無数の目が現れ、ライラックとチャームに殺気のある視線を投げ掛けてきた。
「な、何ですか?」。チャームはライラックの背中に隠れた。
「グルルルル・・・」。「ウゥゥゥゥゥ・・・」。
 謎の動物達は、唸り声を上げながら、森の中から現れて来た。
「ライラックさん、オオカミですか?」。チャームが震えながら質問をした。
「・・・いや・・・。イヌ・・・山犬の群だわ」
 ライラックは、謎の動物を山犬の群と看破した。
「ガウゥゥゥゥゥゥゥ」。山犬の群は、ライラック達を取り囲むように迫ってきた。
「いやぁ~ん。こわ~い!」。チャームがライラックの背中に、がっしりとしがみつく。
「ちょっと!。離れなさいよっ。邪魔で動け無いじゃないの」
 チャームに背中にしがみついていられては戦えない。
 ジリジリと山犬達とライラックの距離が縮まっていく。
「・・・・・・・」
「ガウッッッ!」。チャームの背後から近づいて来た山犬が突然吠え立てた。
「きゃぁぁぁぁっ!」。
 チャームは思いっ切り悲鳴を上げると、より一層ライラックの身体に強くしがみつき、悲鳴を上げ続けた。
「きゃぁぁぁ!。犬さんが吠えたぁぁぁぁっ。こわい!、こわい!、こわいよぉ。あ~ん」
「ちょっと!。離れなさいって言ってるでしょう!」
 思わずライラックは、背中にしがみついているチャームの方に顔を向けると、怒鳴りつけた。
 その瞬間、目線を外したライラックに向かって、山犬達が一斉に飛び掛かって来た。
 「しまった!」。スキを見せてしまったライラックは悲鳴のような叫びを上げた。
 ライラックの瞳に、牙を剥いて飛び掛かってくる山犬が映った。
 大きく開けた口に、ズラリと並んだ牙が見えた。
『だめだ!。持っている剣が間に合わない!』
 山犬の牙が、真っ直ぐにライラックの首に向かって来ている。
 手に持っている剣を、構えるのに間に合わない。
『噛み殺されるっ!』。ライラックの脳裏に、この言葉が鮮明に浮かび上がった。
「うわっ!」。
 ズグァァッ!!。
「ギャァィィィィィーン!」
 思わずグッと目をつぶったライラックは、山犬の噛みついてくる痛みの代わりに、山犬の叫びと共に自分の顔にピチャッとした液がふりかかったのを感じた。
「なに?」。ライラックはとっさに目を開き状況を確認する。
 飛び掛かって来た山犬は、どこからか飛んで来た矢を首筋に受け、口から血を吐きながら地面に落ちていくところであった。
 ドサッ。地面に倒れ落ちた山犬は四足をピクピクと数度痙攣すると、そのまま死んでしまった。
「今だっ!」。ガシャ。ライラックは体制を立て直し、剣を山犬達に向け直した。
 ビュッ。ビュッ。ビュッ。
 グサッ。グサッ。グサッ。
「ギャーン」「キャッン」「ギャイーン」
 矢は暗い森の中から飛んで来ていた。そして、面白いように山犬達の身体に刺さっていく。
 キャン、キャン、キャン、キャン・・・。
 ライラックとチャームを取り囲んでいた山犬の群は、鳴き声を残して暗い森の中へと消えて行った。
 山犬達の声に支配されていた場所が、再び静寂に帰った。
 ライラックはホッとする間もなく、剣を構える姿勢を解かなかった。
 山犬の群に矢を射掛けた謎の人物が、ライラック達の味方とは確認がまだ出来ていなかったからだ。
 ライラックとチャームは息を殺して、矢が飛んで来ていた方向を凝視し続けた。
 ガサ。ガサ。ガサ。暗闇の中からその人物が近づいて来る。
「ラ、ライラックさん・・・山犬達を追っ払ったんですから・・・味方の人ですよね・・・」
 チャームが恐る恐る声を出した。
「・・・ならば・・・いいんだけどもね」
 ライラックは冷静に答えると、近づいて来る足音の方に注意を注いだ。
 ガサ。ガサ。ガサ。ガサ・・・。
 暗闇の森の中から姿を現したのは、弓を持った1人の男であった。
「あんたら怪我はなかったかい?」
 男は矢が刺さって死んでいる山犬を確認しながら、ライラックに声を掛けた。
「ええ・・・、あなたの弓のおかげで助かりました。礼を言います」
 ライラックが答える。
「でもよく私達が、山犬達に襲われていたのが分かりましたね?」
 今度はライラックが逆に質問をした。
「山犬達の鳴き声がおかしかったんでね。・・・この森に長いこと住んでいると、山犬や狼の鳴き声で色々と変化が分かるんだよ」
 男が答える言葉を聞きながら、ライラックはその男の姿、身なりを観察をした。
 歳の頃は50歳くらいか?。
 ごつい顔立ちに頑丈な体つきだ。黒い髪の毛。黒い口髭に顎髭が顔の下半分を埋めていた。
 服の上には皮のベストを着ている。弓の矢を入れたケースを肩から下げている。腰のベルトにはナイフが下げられていた。目を下に移すと、膝から少し長いだけのズボンを穿いている。そして足には木靴を履いている。
「本当に助かりました。一時はどうなるかと思ったんですから」
 チャームがニコニコしながら、男に話し掛けた。
「あたし達はライラックとチャームと言います。あなたは・・・?」
 ライラックが男に聞いた。
「わしは・・・この森の中で猟師をしている者だ。・・・見たところ、あんた達は野宿をしていたようだな。また山犬や狼に襲われたら大変だ。この近くにわしの家があるが、泊まっていくといいぞ」
「きゃっ。お家の中で寝られるのね!。嬉しい、嬉しい!」
 猟師の申し出を聞いて、チャームは跳び上がらんばかりに大喜びをした。
「ちょっとチャーム・・・まるで子供みたいになに喜んでいるのよ」
 ライラックは困ったような表情をする。
「だって、野宿しなくてすむんですよ。ベッドで寝られるんですよ。もしかすると、食事だって出してもらえるかもしれませんよ」
 チャームがワクワクしながらそこまで言ったとき、ライラックは慌ててチャームの口を両手で押さえ、猟師に向かって苦笑いをした。
「チャーム、あなたには遠慮ってものがないの?。食事までって・・・」
「だって、旅行携帯用の食べ物には、飽きちゃったんだもの・・・。やっぱり、あたしのように若くて可愛くて綺麗で気品のある女の子には、ちゃんとしたお食事とおやすみ出来るベッドが必要よね?。そう思うでしょ、ライラック姉や」
「だ、誰がねえやじゃ!。あたしはチャームのお守り役かい?」
 声を荒えながら心の中では『いつか必ずチャームとはパーティーを解消してやる、・・・替わりのメンバーが見つかるまで我慢するのよ、ライラック!』と自分自身に言い聞かせるのであった。
「あははは。おもしろいお嬢さん方だ。・・・さあ。ついて来るがいい」
 猟師はそう言うと、身体をクルリと回し、出て来た森の中へと歩き出した。
「ん!・・・?」。
 その時、猟師が穿いているズボンの足首の隙間から、人間のモノとはどう見ても違う毛むくじゃらの足が、ライラックの視界に飛び込んできた。
 『まさか?』。ライラックの脳裏に一瞬不安が沸き上がってきて、歩く足が止まった。
 そして無意識に腰の剣に手を持って行った。
 猟師を見る目が鋭くなる。
「ライラックさんどうしたんですか?。さあ、行きましょうよ。」
 ライラックの緊張した顔の前に、脳天気なチャームの顔が現れた。
 チャームの顔を見たライラックの表情から、急に緊張感が消えていってしまった。
「あ、あの・・・チャーム・・・」
 ライラックは、自分が感じた不安な気持ちをチャームに言おうとした。
 だが、チャームはライラックの腕を掴むと引きずるように引っぱって行き、猟師の後を何の不審も感じずについて行くのであった。
 ライラックはチャームに半ば無理矢理引きずられながら、『ま・・・もう少し様子を見てみるか』と心の中で変に納得をさせて、猟師の後に従った。
 夜の帳に包まれた森の中を歩く事しばらくして、猟師の住む家に着いた。
 猟師は家のドアをノックすると、家の中から女性が姿を現した。
 30歳前後のこの女性は猟師の妻だと言った。
 ライラックとチャームは、さっそくテーブルのある部屋に通された。
 しばらくして、猟師の妻はテーブルの上に、肉やスープの料理を出してきた。
「私の作った物が、若いお二人の口に合いますかどうか?」と言いながら。
 皿に載せられた焼いた肉の塊からは、プーンとした食欲を誘うかのような臭いを出していた。スープの中にも、たくさんの肉の切れ端が浮いていた。
「うわぁ。おいしそう」。チャームははしたなくも、舌舐めづりをして悦びの声を出した。
『なーにが、気品のある女の子よ』。ライラックは心の中で笑った。
 しかしライラックの目には、この肉が普通の動物の肉にはどうしても見えなかった。
 『これは何の肉かしら?』。
 ライラックはちょっと不思議に思ったが、焼いた肉から立ち上がる臭いの誘惑にはどうしても勝てなかった。
「チャーム。気品のある女性は食事を取る前には、ワインを飲むのが礼儀なのよ」
 大きな口を開けて、フォークに刺した肉をまさに口に入れようとしていたチャームに、ライラックは声を掛けた。
 チャームはそう言われて、手にしていた肉付きのフォークを渋々皿の上に置くと、ワインの注がれているグラスを手に取って口に持っていった。
 誘惑には勝てなかったライラックではあったが、やはり長年やってきた剣士の経験から、
『この肉には手を付けてはいけない』と直感的にピンときた。
 再び不安と不審という言葉が、ライラックの心の中で、ムクムクと頭を持ち上げてきた。
 とにかく、このようにして時間を稼いでいる間に、この猟師の正体を調べなくてはとライラックは思った。
 手に持ったワインのグラスを口に運ぶ。
 パチパチと暖炉の火が、沈黙が流れる部屋の中にこだまする。
 ライラックの正面の椅子に腰かけている猟師と、その後ろで立っている猟師の妻との四つの目が、ライラックとチャームを睨むような目つきで見ているのがヒシヒシと感じた。
 それでもライラックは、グラスの中のワインを優雅に飲み続ける。
 しかしその目は猟師の方をしっかりと見据えていた。
『この2人が人間ではない証拠を探さなくては・・・』
 カラララーン。不意にグラスが床に落ちる音がした。
 チャームがテーブルに突っ伏して倒れていた。
「チャーム!」。思わずライラックが声を上げた。
 猟師夫妻の方に目をやると、2人は顔を見合わせて笑っている。
 その時、猟師の額にキラリと光るあのブラッド・オパールが、浮き出ているのがチラリと見えた。
 思わず息を飲み込んだライラックは、腰の剣を握って立ち上がった。
「お前達はっ?・・・」
 グラッ!。突然ライラックの目の前が大きく揺れて、グルグルと回り始めた。
「くっ。ワインの中に・・・何か入れたな・・・?」
 ライラックは、テーブルに置いた手で身体を支えて何とか立っていたが、手足の震えは段々と大きくなっていく。
 猟師の姿が、部屋の中の物が、グルグルと大きく回転をしているのが目に映っている。
 ライラックの目に、猟師だけではなく、猟師の妻の額にもあのブラッド・オパールが浮き出ているのが見えた。
「し、しまった・・・」
 ライラックの口から、無意識に後悔の言葉がもれると、急に目の前が真っ暗になっていった。
 ドサッ。ライラックはそのまま、床に倒れ込んでしまった。
「・・・これでまた、しばらくは新鮮な人間の肉が食べられるな。・・・フフフ・・・」
「ええ。この間捕まえた人間は、この料理した肉が最後でしたからね。」
 猟師夫妻はそう言いながら、皿の上の焼いた人肉を手掴みにすると、うまそうにガツガツと食べ始めた。
 そんな2人の額に浮き出ているブラッド・オパールが、血のような赤い光を輝かせると、猟師と妻は全身から獣のような体毛が生えだし、身体は人間とは違う姿に変わっていった。
「そう言えば、食材になったこいつと一緒に捕まえた、人間の女がまだ檻の中にいたな?」
「ええ。新しい人間が2人手に入った事だし、檻に入れている女をさっそく料理用に解体をしてしまいましょう。・・・それにしてもあたし達が山犬達を操り、この森に迷い込んだ旅人や村人達を襲わせて、そこにあなたが現れて助けてやると、人間って簡単に信じてしまってこの家に簡単に誘い込まれて来てしまうのよね。・・・あたし達の食事の材料になるとも知らずに。クスクスクス・・・」
「よく見ると、この2人の人間は実にうまそうな肉付きをしているな。フフフ・・・」
 2匹の凶暴な山犬のつがいは、倒れているライラックとチャームを見下ろしながら、皿の中の人肉をむさぼるように食べ楽しそうに会話を続けた。
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『う、う、う~ん』
 目の前が真っ暗だ・・・。耳が・・・何も聞こえない。声が・・・声が出せない。く、くるしい・・・。
 目隠しをされている。耳を塞がれている。そして口枷を噛まされている。
 頭も、身体も、手足も自由に動かせない。・・・だけども立たされた状態でいることが分かる。
 両手は後ろに回されて、後ろ手に手枷で固定されているようだ。
 身体全体には何かゴム状のスーツを着せられているようで、しかも胸の所が穴が開いていて、乳房が絞り出されているみたいだ。・・・なぜなら、両の乳房の根元が締め付けられるように、痛く感じるからだ。
 頭全体もゴム状のフードで覆われていて、どうも頭上がフックで繋がれていて、頭を自由に動かす事が出来ないようだ。
 足首にも枷が填められているようで、足を動かす事が出来ない。
 そして何よりも、ヴァギナとアナルの中に何かを入れられているのが、感覚的に分かった。
『・・・・・・。あうっ!』
 突然小刻みな振動が、両方の乳首に感じられ始めた。
『うがっ!・・・いやっ!』
 振動は乳首の先から乳房に伝わり、神経を刺激した信号は頭脳へと直接伝わってくる。
『は、は、は、・・・ひ、やぁ・・・!!』
 乳首の先の振動に続いて、今度はアソコが・・・ヴァギナの中に入れられている何かが、振動を与えだした。
『ふゃっ!』
 この小刻みな振動の責めから逃れたくても、身体はピクリとも動かす事が出来ない。
『は、は、は・・・あ、あ、あああ・・・』
 乳首とヴァギナに加えられる振動の動きを受けて、身体中から玉のような汗が噴き出てきて、段々と感情が高ぶってくる。
『ふぎゃぁ。ふぎゃぁ。ふぎゃぁ。ふぎゃぁぁぁ。』
 いやだぁ。・・・今度はお尻のアナルの中に入れられている物が、同じような振動を身体の中に与え出していく。
 乳首と、ヴァギナと、アナルから与えられる刺激に抗うことが出来ない。
『ひぃ、ひゃぁぁ・・・あう、あう・・・あ、うん・・・』
 口に填められている、ボールギャグの口枷の隙間から、叫び声の変わりに涎がボタボタと床に垂れていく。
『あ、う、あ、う・・・あぐ、あぐ、あ、ぐ・・・。』
 身体がブルブルと小刻みに震えてくる。
 ヴァギナの奥から溢れてきた淫液が、ヴァギナに埋め込まれている棒形の性具を伝って、太股へと垂れていく。
 アナルの中の同じ様な性具も、容赦なく身体の中を責めてくる。
 両の乳首に貼り付けられた小さな形の性具からも、刺激が続けられ勃起した乳首の先がとても痛い。
 耳には聞こえてこないが、性具の刺激をうけて、きっとヴァギナのアソコからは、いやらしく濡れた音が、回りにこだましている事だろう。
 目には見えないが、気配で分かる。あたしをこのようにした、あの人が近くにいるのが分かる。あたしのこの姿を見ている。
『はぐ、はぐ、は、ぐぅ・・・。い、い、い、いいいい、き、そうぉ・・・』
 頭の中で何も考えられなくなっていく。
 身体全体を「オーガズム」のウエーブがまさに包み込もうとした時、刺激という責めを与え続けていた性具の動きが、ピタリと止まった。
『!。・・・。ひやっ!。・・・お願い止めないでぇ。・・・このまま、イカせてぇぇっ!』
 思わず叫んでしまう。口枷に邪魔をされて声にならないわめき声が、あの人の耳にきっと届いている事だろう。
 火照ったあの部分・・・淫液を湛えたヴァギナを、知らず知らずの内に突き出す格好を繰り返していた。
『おかしくなっちゃうっ!。イカせて、イカせて、イカせてぇ・・・』
 頭の中に、この言葉だけが渦を巻いている。
「イキたいか?。イカせて欲しいか?。・・・ライラック」
 あの人の声が、頭の中に飛び込んでくる。それも鮮明に・・・。
 どうして・・・?。耳を塞がれているのに・・・?。・・・そう・・・テレパシーなのね?。・・・あの人は・・・テレパシーも使えるのね。
「イキたいのか?。ライラック」。再び聞いてくる。
『お願い!。イカせてっ!。このままじゃ、おかしくなっちゃうよぉ!』
 ライラックはそう叫んだが、それがどのように口から発せられたかは、分からなかった。
「それじゃライラック。お前は私の牝奴隷で、牝犬になる事を誓うんだな?。誓えばイカせてやるぞ」
『そう・・・簡単な事じゃないの。・・・誓えばいいのね。フォレックス公爵様。・・・あたしは公爵様の・・・。・・・・・・。・・・・・・。』
「どうした、ライラック?。誓えばいいだぞ」。公爵様の声が響く。
『・・・・・・。だ、だめ・・・。だめぇぇぇっ!。』
「・・・・・・・・・・・・・・」
『あたしは剣士だぁ!。・・・公爵の奴隷じゃないっ!。・・・あたしは・・・剣士だぁぁぁぁ!』
 ライラックは目を開いて、ガバッと跳ねるように上半身を起こした。
 身体中に汗が出ている。肩で大きく息を切っている。
「・・・・・・ゆめ?。・・・夢だったのか。・・・またあんな夢を見てしまった・・・」
 ホッとした心境が心を包んでいく。
 しかしその気持ちも、ブラッド・オパールを額に浮き出していた猟師の夫婦の事を思い出して、吹き飛んでしまった。
 急いで回りを見渡す。
 ライラックは、自分自身が動物を入れておくような檻に入れられているのに気が付いた。
 しかも全裸にされた上に、ロープで両手を後ろ手にされて身体を縛られている。
「くそっ」。
 ライラックは何とかしてロープを解こうと身体を動かしてみたが、緩む気配はなかった。ガッチリと、ロープが身体に巻き付いて締め付けられているのだ。
「ライラックさん・・・」。隣の檻から、半泣きのチャームの声がしてきた。
 見ると、ライラックと同じ様に裸にされて縛られているチャームがいた。
「よかった。チャーム生きていたのね?」
 檻の鉄格子に身体を付けて、チャームに話し掛ける。
「それが、あんまり良くないみたいなんですよ・・・」
 チャームは目線で別の場所を示しながら呟いた。
 ライラックはチャームが示した目線の先へと、自分の目線を移動させた。
 ここはどこかの、蔵の中のようだ。
「ん!?。・・・・・・なにっ!」
 蔵の中ほどに、裸の少女が両手首をロープで縛られて、天井から吊されている。
 首にもロープが巻き付けられていて、同じように天井へとのびていた。
 両足首もロープで縛られ、大きく左右に開かされている。
 その為、無毛の恥丘と綺麗なヴァギナの割れ目が見えている。
 彼女はまだ処女なのかもしれない。
 少女の顔には、これから我が身に何が起きるかが分かっているようで、恐怖でひきつった表情を見せていた。
 少女の側には、あの猟師の夫婦が立っていた。猟師の手には手斧が握られている。
 猟師の妻の側には、焼きゴテが入れられた坩堝が置いてある。中はゴウゴウと炎が燃えている。
 猟師の妻は手に持っている壺の中の液体を、無理矢理少女の口の中に流し込んだ。
 少女は咳き込みながらも、液体を飲み干した。
「な、何をするつもりなの?・・・」
 ライラックは口ではそう呟いたが、心の中では恐ろしい事が少女の身に確実に降り掛かるであろう
と、直感はしていた。
 猟師の妻は包丁のような刃物を手にすると、少女の股間に手を伸ばした。
 ブシュッ!。「うぎゃぁぁぁ!」。
 鋭利な刃物の刃が、少女の小さなクリトリスを切り取っていった。
 彼女はクリトリスを切り取るとトレイに入れた。
「はあ、はあ、はあ・・・。いやぁ、・・・助けてぇー」
 少女は泣きそうな声で助けを求めた。
 しかし彼女は少女の叫びを無視すると、今度は少女のまだ汚れていないヴァギナに、刃物の刃を突き付けた。
 ズシュウウウ。「きゃぁぁぁぁぁっ!」。
 少女のヴァギナが刃物によってえぐり取られていく。
「うぎゃぁぁぁぁ!。やめてぇぇぇぇ!」
 少女は何とか逃れようとして身体を動かしたが、手足をロープで固定されているので、まったく動か
す事が出来なかった。
 床に股間から流れ出した、血の溜まりが出来上がっていく。
「おほほほ・・・、処女のアソコとクリは、どんな味がするかしらね?。焼いてみるかしら、それとも煮て
みるかしら?」
 彼女はそれもトレイに入れると、真っ赤に焼けた焼きゴテを取り出し、出血をしている少女のえぐり取られたあの部分に近づけた。
 ジュウウウウウウウ。「うぎゃあああああああ」
 肉が焼ける臭いが部屋中に立ちこめ、少女は獣のような悲鳴を上げた。
「ほほほ・・・。ここの出血口は焼いて塞いでやったわ。」
「それでは、次はわしが切る番だな」
 そう言うと、猟師は持っている手斧を『ブンッ』と振り上げ、吊り下げている少女の左足の付け根に振り下ろした。
 少女の上げた悲鳴と肉を切り裂く『ズバァァッ』という音が蔵中に同時にこだました。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ・・・」
 ズシャッ。根元から切り落とされた左脚が床に落ちる。
 ブシュウゥゥゥゥ。傷口から溢れ出した鮮血が、落ちた白い脚を真っ赤に染め上げていく。
 猟師の妻が真っ赤に焼けた焼きゴテを取り出すと、切り口に焼きゴテを当てていった。
 ジュウウウウウウウ。「うぎゃあああああああ」
 脚を切り落とされた痛みと、その後の焼きゴテで身を焼かれる熱さで、少女は再び獣のような悲鳴を上げた。
 焼きゴテが切れた血管の口を焼いて塞いだようで、勢いよく出ていた出血は止まった。
 肩で大きく息をしている少女は、まだ意識があるようだ。
「あぁぁぁぁぁ、た、たすけて・・・」
 ライラックとチャームは、あまりの事で声も出せずにいた。
 焼きゴテを坩堝に戻した妻は、鮮血まみれの少女の脚を拾い上げた。
「う~ん。美味しそうな脚だこと・・・」
 そう言うとペロリと脚を舐め、トレイの中に置いた。
 ズバァァァッ!。「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
 今度は少女の右脚が切り落とされた。
 ボタタタタタァァァァ・・・。
 床に落ちた脚の上に鮮血が降り掛かった。
 妻が焼きゴテで切り口を焼いていく。
 ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ。「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 少女の悲鳴と、肉の焼ける嫌な臭いが、蔵の中じゅうに広がっていく。
 ブシュウウウゥゥゥゥゥ。思わず少女は小便を床に洩らしてしまう。
 猟師の夫婦の間で、両脚の無くなった少女がブラーンとぶら下がっている。
 呆然と眺めていたライラックは我に帰ると、猟師夫婦に向かって叫んだ。
「何という残酷な事をするんだ!。やめろぉ!」
 すると、猟師の妻が長い棒を手に近づいて来ると、ドスッ。とライラックの身体を激しく突いた。
「ぐあっ!」。ライラックが檻の中でうずくまる。
「静かにおしっ!。その内にお前達もあの娘のように解体されて、あたし達の料理の食材になるんだ
からね。ようく見ておくんだよ」
 猟師の妻は笑いながらライラックに告げた。
「い、生きたまま身体を解体するなんて・・・」。とライラックは呻くように言う。
「あの娘だって、少しの時間でも長く生きていたいだろう。だから最初にあの娘に飲ませた液体は、薬
草から作った“強心剤”さ。ショックで直ぐに死なないようにね。それに、出血口を焼きゴテで焼いて塞いでいるから、出血死をも防ぐ事が出来るんだよ。
 どうだい、あたし達だって、色々とあの娘の事を考えてやっているんだよ。心が優しいだろ?。・・・
もっともそのおかげで、自分の身体が解体されて行く状態を嫌でも見続けなくてはいけないけどもね。激痛を全身に受けながら・・・、おほほほほ・・・」
 猟師の妻は高笑いをしながら、少女の解体作業の持ち場に戻った。
 両手を後ろ手に縛られて檻に入れられているライラックには、ただ歯ぎしりをしながら見ている事しかできなかった。
「く、くっそぉ!」
 再び少女の悲鳴が聞こえてきた。先程からしたら弱々しくなった悲鳴だ。
「ぎえぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・」
 顔を上げて見ると、少女の腹が切り割かれて、内蔵の腸が引きずり出されていた。
 それも糸巻き器のような道具で、グルグルと巻き取られていっている。
少女の悲鳴が聞こえなくなった分、猟師夫婦の会話がライラックの耳に聞こえてきた。
「これだけの腸があれば、たくさんのソーセージが作れるわね」
「取り立ての肉もたくさんあるしな」
 口から血の混ざった泡を吹いて、身体を痙攣させている少女の足元で、楽しそうに会話をしている。
 腸を巻き取っていた道具の動きが一瞬鈍くなったのを見た猟師の妻は、両手で少女の腹から引きずり出されている腸を握ると、グイッと引っぱった。
 ブチッ!。鈍い音がして体内に残っていた残りの腸の部分が体外に引きずり出された。
 どうも、腸と胃袋の接続部分で引き千切れたようだ。
「あが、あが、あが・・・」。少女はただ口をパクパクと動かすだけになっていた。
「見てごらん。これがお前の腸の全部だよ。結構長いものなのね」
 猟師の妻は、腸の最後の先端を少女の目の前に示した。
 しかし、少女はすでにその物には反応を示す事はなくなっていた。開いている目は焦点のない瞳となっていた。わずかに動いている口は、ただ機械的に筋肉が動いているだけであった。
 腸を全て抜き取った猟師は、刃物を手に少女の背後に回ると、お尻を撫で回しだした。
「ぐふふふ・・・、可愛くて肉付きのいい尻だな」。猟師はポツリと呟いた。
「い、やぁぁ・・・、もう、やめ、てぇぇ・・・」
 ブスッッッ!。「ぎゃはぁぁぁぁぁぁっ!」
 ズシュ、ズシュ、ズシュ。・・・。「ぎゃは、ぎゃは、ぎゃっはぁぁぁぁ」
 刃物が少女のお尻の肉を円を描くように、切り取っていった。
 少女のお尻に、2つの大きな肉を切り取った窪みが出来上がった。
 そこに焼けた焼きゴテが押し当てられ、悲鳴が轟く。
「あう、あう、あう・・・も、もうやめて・・・たすけ・・・てぇ」
 少女は青白い表情で、哀願を繰り返していた。
 猟師は手に大きな鋸を持つと、少女の腰に歯を当て横に切り始めた。
 ズシュ、ズシュ、ズシュ、ズシュ、ズシュ、・・・。
 肉を切っていく音がしてくる。
「う、うぎゃぁぁぁ・・・。あ、あぁぁぁぁぁ。う、うぎぇぇぇぇぇ・・・」
 少女の苦しさで血の吐くような悲鳴がこだまする。
 ズシャ。ベチャ!。血まみれの腰の部分がトレイの上に切り落とされた。
 もう少女の口からは、悲鳴は聞こえてこなかった。
 だがまだ少女は死んではいない。・・・残酷な事に少女はまだ生きている、しかもまだ意識があるのだ。
 その証拠に、出血をしている胴体の血管部分を猟師の妻が焼きゴテで焼き塞ぐと、微かに表情がひきつった顔をしたからだ。
「次は、酒のつまみにこれも取るか」
 ブシュッ!。グググググ・・・。
 猟師はナイフを少女の乳房に刺すと、円を描くように根元から切り取った。
 そしてもうひとつ・・・。少女の胸に血まみれの大きな穴が2つ出来た。
 切り取った乳房を揉みながら、少女の耳元で猟師が囁いている。
「切り取っても、まだ弾力があるな。きっとこれはうまいだろうな。へへへ・・・」
 今や頭と胸部と両手だけの姿になった少女が、天井からのロープで吊り下げられている。
「さてと、そろそろ最後の解体にいくとするか」
 猟師は手にした鋸を少女の肩口に当てると、腕の根元を切り始めた。
 鋸の歯が皮膚と肉を切り裂いていき、骨をもギリギリと切っていく。
 ズシュッ。右腕が肩口から切り取られた。
 ビシュゥゥゥゥゥ。血管の切り口から鮮血が勢い良く飛び出てくる。
「まだ、お前の血は元気良く出てくるのね」。
 ジュゥゥゥゥゥゥゥ。猟師の妻が押し当てる焼きゴテが傷口を焼いていく。
 少女の身体は残された左手と首に巻かれたロープで辛うじてぶら下がっていた。
「へへへ・・・、これで最後だ」
 ギシュ、ギシュ、ギシュ、ギシュ、ギシュ。・・・ズシュゥゥゥー。
「ぐあ゛ぁぁぁぁっ!」。最後の左の腕も切り取られた少女は、最後の命の炎を声にしたかのごとく、部屋中に響き渡る獣のような叫び声を上げた。
 少女の残った身体の全体重が、細い首に巻き付けられたロープに加わっていった。
「うげぇぇぇぇぇぇ・・・」。
 少女の口から、血まみれの泡が溢れ出した。
 大きく見開いた両目からは、涙が溢れてきて頬を濡らしていた。
 首に掛けられたロープによって、手足と腹部を切り取られてダルマのような姿になってしまった少女の身体が寂しくぶら下がっている。
 ライラックは耳を塞ぎたい心境だった。(少女の苦しむ声を聞きたくない)。
 助けられなかった自分の姿が悲しかった。(あたしは剣士なのに・・・くそっ!)。
 涙を溢れさせた目で、猟師夫婦を睨み付ける。(彼女の仇は絶対取ってやる)。
 ライラックは檻の中から、少女の解体作業を進める猟師夫婦を、ギリギリと歯ぎしりをしながら見つめていた。
「・・・・・・・・・・・・」
 やがて、ライラックの目の前で少女は全て解体されたようで、肉や臓物を入れたケースを持って猟師夫妻が蔵から出て行った。
「く、そっ!・・・」。ライラックが吐き捨てるように呟いた。
「・・・・・・・・・・・・」
 いつしかライラックは檻の隅で鉄の格子を背にして蹲っていた。
 自分の目の前で、少女が生きたまま解体された光景を見せられたライラックは、かなり精神的に
ショックを受けていたのだった。
『・・・あたしって・・・結局、何も出来ないのね・・・』
 ライラックは焦点の合わない瞳で、少女が吊り下げられていたロープを見つめていた。
『あたしって・・・あたしって・・・あたしって・・・』
 ライラックは力なく呟き続けた。
 裸にされて後ろ手に縛られ檻に入れられている、何も出来ない惨めな自分の姿を思うと、
 ライラックの目からは情けない気持ちで涙がこぼれてきた。
「・・・・・・・・・・・・・」
 突然ライラックの頭の中に、あのフォレックス公爵の声が飛び込んで来た。
『ライラックにチャーム、何か情けない姿になってしまっているな』
 ライラックは驚いて顔を上げると、辺りを見渡した。見ると隣のチャームも同じように驚いている。フォレックス公爵の声がチャームにも聞こえたんだ。・・・でもどこから聞こえて来ているのだろう?。
 この近くに公爵が来ているのか?。まさか・・・。
「フォレックス公爵、どこに居るんですか?。近くにいるのなら助け出して下さい。お願いします」
 ライラックは蔵の外にいるかも知れない公爵に、泣きそうな声で助けを求めた。
『随分と弱気になっているな。いつもの強気のライラックはどこへ行った?』
「あたしは、公爵やチャームのような魔法使いではないわ!。ただの・・・人間なのよ。・・・それも・・・
おんな・・・なのよ」
『ふ~ん。お前がそんなに弱い女ならば、牝奴隷へと堕として行く調教のしがいがなくなるな・・・』
「いや・・・。そんなこと・・・言わないで。この近くに居るんでしょ?。・・・意地悪しないで助けてよぉー」
 チャームが2人の会話の中に入ってくる。
「ライラックさん・・・フォレックス公爵様の声は、この近くからではなくて、これはテレパシーですよ」
「え、テレパシー?。そしたら公爵はどこから・・・?」
『私は自分の館から、お前達に話し掛けているんだぞ』
「え!」。あんなに遠くから・・・テレパシーというものが届くのかと思ってチャームの顔を見た。
「さあ~・・・」と、チャームは首を傾げた。
『どんなに遠く離れていても、隷属の首輪を填めているお前達に、私の思っている事をテレパシーで伝える事も、そしてお前達の考えている事も、私は知る事が出来るんだよ』
 ライラックは半ばやけくそ気味に呟いた。
「そこまで分かっているならば、これ以上あたしに何をしろって言うのよ?。何も出来なかったのよ。そ
れにここから出られないのよ。それに・・・それに・・・」
 ライラックは公爵と話をしている内に、知らず知らずに涙がこぼれて頬を伝う。
『何を泣いている。・・・ここでお前がやらなくてはならない事が何かは?、分かり切っている事じゃな
いのか。・・・』
「それは・・・」。ライラックが力なく呟く。
『それは、お前達がヤツらを倒して、ブラッド・オパールを手にすることだ。さもなければ第2第3の少
女の犠牲者が、また出て来ると思わないか?。』
 ライラックは「うっ」と言葉を飲み込む。
『もう1度言う。お前達は少女のように生きたまま解体されて、ヤツらの食材になる為にそこに行った
んじゃないんだ。ヤツらを倒して、ブラッド・オパールを取り戻す為なんだ。さぁ、いつものライラックに戻るんだ!』
 公爵の叱咤激励の言葉を聞いたライラックは、「そう・・・こんな所でメソメソと泣いている訳にはいかないのよね。あたしは剣士なんだからっ!」と心の奥で決意をかためた。
 そして隣の檻のチャームに言い放った。
「チャーム。あなたの魔力でこの檻を破壊して!。以前に町を吹き飛ばした魔力があるでしょう!。そ
してあいつらと戦うのよ!」
「・・・で、でも・・・、あの魔力は、あたしまだ制御出来ないんですよ。・・・こんな近くで使ったら、ライラックさんが死んじゃいますよ」
 チャームはオロオロしながら答えた。
「さあ、早くっ!。それじゃないと、ここから出られないでしょっ!。あいつらを倒さないと、また罪も無
い人が生きたまま解体されて、殺されてしまうのよ」
 ライラックはチャームを睨み付けながら言った。
「でもでも・・・、こんな狭い檻の中で、しかも後ろ手に縛られた状態で、あの魔力を使うパワーを集中なんかしたら・・・あたし絶対に制御する自身がありませんよ」
 チャームは顔を激しく左右に振って自信の無い事を告げた。
「何を言っているのよ!。さっさと使ってっ!。あたしが死ぬかどうかは、やってみないと分からないでしょっ!」
 ライラックに詰め寄られたチャームは、それでも使う事に躊躇をした表情であった。
 そこに公爵の声が、再びライラックとチャームの頭の中に響いてくる。
『心配するなチャーム。お前達2人の身体は、私の魔力で絶対に守るから、心配せずに魔力のパワーの集中を始めるんだ。よいな!』
「はい。わかりました」
 公爵の声にチャームは軽く頷いたが、今度はライラックが狼狽した声を上げた。
「ちょ、ちょっと待って、・・・そんなに遠くからの魔力で、あたし達の身体を守れるの?。どうやって?。
大丈夫なの?。・・・公爵ぅぅぅ!」
『私の魔力の力を信じろ、ライラック。・・・チャーム始めろ!』
 公爵からの命令を聞いてチャームは呪文を唱え始めた。
「地の中にいる者よ。風の中にいる者よ。光の中にいる者よ。そして水の中にいる者よ。・・・」。チャームはパワーを集中し始める。
「魔力の力を信じろって、・・・」
 ライラックの泡を食った質問の声の向こう側で、チャームの呪文が続けられる。
「我に力を与えよ。・・・」。チャームの身体を光の輝きが包んでいく。
「まってぇぇー!。公爵のその魔力は、ちゃんと効くんでしょうねぇぇぇー!」
 ライラックの慌てふためく叫び声が蔵の中に響き渡る。
「我は魔道士・・・チャームなり」
 パワーを注ぎ込まれていく光の塊が、より一層輝きを強くした。
 さすがに、こんな近くでチャームの光のパワーが強くなっていくのを目にしたライラックは、うろたえた叫び声を上げた。
 最初の頃の「魔力を使え」と、チャームに求めていた時の威勢のいいライラックは、そこにはいなかった。
「あ~ん!。まだぁ死にたくないよぉぉぉぉ」
『ライラック、チャーム。私と心をひとつにしろ!。私の魔力をお前達2人の所に送るぞ!』
「きゃぁぁぁ!。公爵早くぅぅぅ!」。ライラックが切羽詰まった叫び声を上げた。
 ズグワアァァァァァァァァァァァーーーーン!!。
 大音響と共に巨大な光が、ライラックとチャームが閉じこめられていた蔵を木っ端微塵に吹き飛ば
し、蔵と隣り合わせに立っている猟師の家をも粉々に破壊して吹き飛ばした。
 パラパラ・・・と吹き上がった塵が地上に落ちてきた。
 辺りに立ちこめていた埃が少しずつ晴れてきて、2つの建物のあった場所には瓦礫と化した姿が現れてきた。
 しばらくして、蔵の建っていた所の瓦礫がモコモコと小さく上下に動くと、ガボッと瓦礫を跳ね飛ばしてライラックとチャームの埃まみれの顔が現れた。
 光のパワーはライラックとチャームを閉じこめていた檻を破壊し、2人を縛っていたロープをも塵のように吹き飛ばしていた。
「けほ、けほ、けほ・・・。何とか生きているみたいね・・・」
「ひえぇぇぇ。あたし達よく死ななかったですねぇぇ・・・」
 チャームは回りを見渡して、驚きの声を出した。
 チャームが光のパワーを放出させる瞬間に、公爵の魔力でライラックとチャームの身体がバリアーの結界に包まれ、巨大な破壊力から2人が守られたのであった。
『どうだ。ちゃんと守っただろう』。2人の頭の中に公爵の笑う声がしてくる。
「それに関しては、お礼を言うけれども・・・、これからどうするのよ。剣もないし、裸だし・・・」
 ライラックが昼間の空に向かって訴えた。
『心配するな。ライラックの剣は猟師夫婦が住んでいた家の瓦礫の下を探すんだ。直ぐにでも使う事
になるぞ!。服を探すのは後だ!。いいなっ!』
 公爵からのテレパシーが強く命令をしてきたのを聞いたライラックは、瞬時に隣の家のあった場所へと走り出した。
「あ。待ってライラックさん」。チャームも後を追って走り出す。
 剣士を長年やってきたライラックは、公爵からの言葉でピンと何かを感じたようで、自分の剣をとにかくも真っ先に探さないといけないと思った。
 ガサゴソ。ガサゴソ。と全裸姿の2人の女性が、瓦礫の中を這い蹲って何かを探す光景は、もし誰かが側から見ていたら、さぞや奇異な光景に映っている事であったろう。
 だけども、ライラックの剣を探す2人には、そんな事はどうでも良い事であった。
「あった?。チャーム・・・」
「いいえ。こっちには無いみたいですよ」
 剣を探す2人の身体からは、うっすらと玉のような汗が噴き出していた。
「そうだわ。チャーム、風を起こして!。強風でここの瓦礫を吹き飛ばすのよ。やって!」
 チャームは「はい」というと、呪文を唱えだした。
 左の掌に光が現れ、その中からチャームの魔法書が現れた。
 チャームは魔法書を開いてページを1枚破り取ると、空に投げ上げ「風波(ふうは)!」と叫んだ。
 途端に、家の上だけに暗黒の雲が出来上がって、ゴォォォォォー。と強風を瓦礫の上に吹き付けだした。
 少し離れて見ているライラックの所は、風ひとつ吹いていないのに目の前では嵐のような強風が、瓦礫に向かって吹き荒れているのだ。ライラックは見ていて何とも言えない不思議さを感じていた。
 バリバリバリバリー・・・。
 瓦礫の山が数メートル先に次々と吹き飛ばされていく。
「・・・!。あった!」。
 ライラックが瓦礫の下から現れた自分の剣を目にして、大声で叫んだ。
 チャームは風波の魔法を打ち切ると、強風はピタリと止んだ。
 ライラックは直ぐに飛び込んで、自分の剣を手に握りしめた。
 ホッとした気持ちになったら、自分の姿が裸でいる事が気になってくるのであった。
 回りに他の人がいないのが救いだけども、真っ昼間に全裸の姿でたたずんでいるのは、やっぱり恥ずかしくなってしまう。
「あたしの服と鎧は、無いかしら?」
 ライラックは慌てて辺りを見渡したが、風波の魔力で吹き飛ばされた瓦礫の中から探すのは、気の
遠くなるような感じがした。
「着る物が見つかるまでは、裸でいなくちゃならないの?」
 もし知らない人が、全裸の姿で隷属の首輪をしたあたし達を見たら、きっと『どこかの奴隷商人の所からか、あるいは奴隷市場からか逃げてきた女奴隷』だと思われてしまうだろうなと考えた。
 ライラックの口から「はぁぁぁぁ」と溜め息が出た。
 ガタ、ガタ・・・ガタン。
「何の音?」。
 ライラックは音のした方に顔を向けた。
「!?」。
 ライラックの顔の表情が一瞬凍りついた。
 ライラックの視線の先には、猟師の妻が瓦礫の中から這い出してきた光景が映っていた。
 どうも風波の魔力は、瓦礫を吹き飛ばして、ライラックの剣を見つけ出すのには役だったが、同時に瓦礫の中に押し潰されていた猟師夫婦さえも、自由の身にさせてしまうと言う結果になってしまった。
 顔中を血だらけにした、恐ろしい形相の猟師の妻と目があった。
「お、ま、え、た、ち・・・、噛み殺してやる・・・」
 額に浮き出ているブラッド・オパールが、血のように赤い色を光らせた。
 すると、猟師の妻の顔と身体が人間の形から、段々と山犬の姿へと変化をしていく。
 口は顔から迫り出し牙が生え始める。耳も大きくとがった形になっていく。身体や手や脚からは濃い毛が生えだしてきた。
「グオゥッッッ!」。変身した山犬が吠え声を上げたその瞬間、
 ズバァァァァァァァァッ!!!。ライラックはその一瞬を見逃さずに、手にしている剣を鞘から抜き去ると、目にも止まらない速さで光り輝く剣先を、変身した山犬の眉間に突き刺した。
「があぁぁぁぁ、ぅぅぅぅぅぅ・・・」
 ライラックの剣は、眉間から後頭部へと突き抜けていた。
 ゲホォッ!。山犬の口から汚らしく血反吐が吹き出し、剣を握っているライラックの胸の乳房に、ビ
チャ、ビチャとかかった。
 山犬の額のブラッド・オパールは輝きを止め、口からは血の混ざった涎がダラダラと垂れていた。目は開いていたが、瞳は生きている輝きを失っていた。
 ズシュゥッ!。
 剣が額から引き抜かれると、山犬はドサッと音を立てて瓦礫の上に倒れた。
「あたしこそ、お前達を許さない。・・・何の罪もない彼女を、あの様な残忍なやり方で苦しませて殺し
たお前達を、許さない!」
 ライラックは足元に倒れている山犬に向かって呟いた。
 しばらくは、怒りに燃えた瞳で見つめていたが、山犬の額に浮き出ているブラッド・オパールを目にした時、公爵の命令を思い出した。
「そうだわ。ブラッド・オパールを額から取り出して、集めるんだったわ」
 ライラックはしゃがみ込んで、額から取り出そうとした時、背後からとてつもない殺気を感じた。
「なにっ?」。
 そう思ったのと同時に、ライラックの身体は瞬間的に、その場所から飛び跳ねるように離れた。
 まさにそれと入れ替わるように、何か得体の知れない物がライラックの居た場所に飛び掛かって来
た。チャームが悲鳴のような叫びを上げたのはその時だった。
 体をかわして逃げたライラックが見たのは、殺したメスの山犬よりも大きな姿のオスの山犬だった。
 この山犬も額のブラッド・オパールを赤く輝かせている。
 これが、あの猟師の本当の正体なのか?。
 手に持つ剣を改めて強く握りしめる。
「ライラックさん。大丈夫ですか?」。チャームが急いで近づいて来る。
「チャーム、ちゃんと知らせてくれないとダメじゃないの!」
 ライラックはまた、あなたまた手を抜いたでしょう?、と言いたげに不満を漏らした。
「突然、瓦礫の中からあの姿で飛び出して来たんですよ。知らせるもなにも・・・あたしもビックリしたんですから・・・」
 チャームは、そんな事はありません、と言うような仕種で反論した。
 突然オスの山犬は、死んでいるメスの頭をバリバリと音を立てて食べ始めた。
 ライラックとチャームは呆気に取られてただ見ていた。
 骨をもかみ砕いて食べている。脳味噌をも・・・。そして・・・。
 そして額のブラッド・オパールも、オスの口の中へと消えていった。
「なにっ!。・・・まさか?」
 ライラックは思わず身体を乗り出してしまった。
 そのまさかだった。・・・メスの分のブラッド・オパールをも身体に入れたオスの山犬は、見る見るうちに倍の大きさになっていった。
「グワァァァァァー」。大きくなった山犬が立ち上がった。
「ラ、ライラックさん・・・あの山犬さん、2メートルはありますよう・・・どうしますぅ?」
 チャームがライラックの背後から声を掛けてくる。
「とにかく、こんな瓦礫の中で戦うのは不利だわ。あたし達は裸の上に裸足なのよ。これでは瓦礫の
中を動くだけでも、怪我をしてしまって戦うどころではないわ」
 チャームはライラックの言葉を受けて、どこか良い場所は無いかなと、辺りをきょろきょろと見渡した。
 あった!。数10メートル先に草だけが生えた広い場所がある。
「よーし。そこまでダッシュで走るわよ!」。とライラックはチャームに告げる。
「え。でもあの山犬さんが、追い掛けて来なかったらどうします?」
 チャームは不思議そうに頭を傾げて聞いた。
「何を言っているのよ。追いかけて来るように仕向けるのよ。あなたの魔法を使って!」
 予期しないライラックの言葉を聞いて、チャームは「え?」とビックリした顔を見せた。
「とにかく魔法を使いなさいっ!」
 ライラックに怒られるように言われて、チャームは胸に抱えている魔法書を開くと、ページを山犬の方に投げた。
「風波!」。チャームがそう叫ぶと、山犬の回りがにわかに暗くなり、強風と雨とが山犬の体を襲い始
めた。
 ゴオォォォォォー。と言う音と共に強風を体に受けている山犬はビクともしないで立っている。
 ライラックは、チャームが前回使った「氷刃」の魔法を使うものだと期待していたのだが、まるっきり当てが外れてガックリときた。
 これではまるっきし、山犬にダメージを与える事が出来ないではないか。
「チャーム。あなたいったい何を考えているのよ?。山犬に水浴びをさせてどう言うつもりなのよ」
 ライラックはチャームに詰め寄った。
「これ・・・、まるっきりダメですか?」
 チャームが不思議そうに聞き返した。
「当たり前じゃ・・・」
 ライラックがそこまで言い掛けた時、強風に巻き上げられた瓦礫の石材や築材が、音を立てて山犬
の体にぶつかりだした。
 ガシャーン。バシャーン。ズシャーン。グシャーン。ビシャーン。
 そんな中で、巻き上げられた折れて先の尖った柱が、偶然的にも巨大になった山犬の右目に突き刺さった。
 グサァァァァァァッ!。「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁーっ!」
 右目をつぶされた山犬は痛さの余り転がり回った。
 チャームの「風波」の魔法は、山犬にしっかりとダメージを与えたようだ。
 あまりの展開に、ライラックは呆れたような顔で見つめていた。
 その横ではチャームが「きゃぁー、きゃぁー」言いながら、嬉しさで飛び跳ねていた。
「チャームすごい魔道士。チャーム天才魔道士。チャームの魔法はとっても役に立つ!。・・・ライラックさんもそう思うでしょう?」
 そう聞かれて、ライラックは溜め息をつきながら「はいはい・・・」と力なく答えた。
 脱力感に支配されたライラックは、どうしたらいいの?・・・と自分に問い掛けていた。
「はぁぁぁぁ」。ライラックがまた力なく溜め息をついた時、「きゃぁー、きゃぁー」と騒いでいたチャーム
の声が、突然ピタリと止んだ。
「?」。ライラックは不思議そうにチャームの顔を覗き込んだ。
チャームはひきつった笑いのままの表情で、氷のように固まっていた。
「う・・・う・・・う・・・」。チャームが呻くように呟く。
「う・・・?」。ライラックは首を傾げる。
「う・・・し・・・ろ・・・」
 人差し指でライラックの背後を指さしている。
「うしろ?」。ライラックは何かあるの?・・・と思い背後に目を向けた。
 ライラックの目に、いつの間にか右目に刺さった柱を抜き取り、怒りで牙と爪を出して仁王立ちになって、ライラックの方向に迫って来る巨大な山犬の姿が映った。
「ひっ!!・・・・・・。きゃぁぁぁぁぁー!」
 悲鳴を上げると、ライラックは走り出した。
「あ~ん。ライラックさ~ん、まってぇぇぇぇ」
 チャームもその後を追って走り出す。
「ガウゥゥゥ!。ガウゥゥゥ!」
 逃げる全裸姿の2人の女性のあとを、巨大な山犬が追いかけて来る。
「ライラックさ~ん、あの山犬さんが追いかけて来るようにし向けたから、これでいいんですよね?。はあ、はあ、はあ・・・」
 チャームが走りながら聞いた。
「はあ、はあ、はあ・・・。で、出来る事ならもう少し距離が離れている状態で、やってもらいたかったわよ!」
 全速力で走るライラックが答える。
 チャームが走りながら、チラッと後ろを見た。追いかけて来る山犬との距離が段々と縮まってくる。
「あ~ん。ライラックさ~ん、向こうは4本足で追いかけて来るんだから、絶対追いつかれちゃいます
よぉー」
「追いつかれないように、もっと速く走るのよぉー!」
 ライラックはそう言いながら、最初の考えと違う展開になっている事に、泣きたい心境になってしまうのであった。
 いくら山犬に追い掛けられているからって言っても、全裸姿で走っている姿は男性はもちろんのこと、他の女性にも見せられない姿だなと思った。
「ライラックさ~ん!。何のために剣を持っているんですかぁ?」
 チャームが声を張り上げる。・・・『さっさと山犬と戦え』と言う言葉は、喉の奥に飲み込んだが・・・。
「チャームこそ、胸に大事そうに抱えている魔法書は何なの?」
 ライラックも同じように声を張り上げる。・・・『魔法を使って戦え』と言う言葉は、喉の奥に飲み込んではいるが・・・。
 2人とも走るのを止めたら、間違いなく追い掛けて来た山犬の牙に噛みつかれる事は、分かっていた。
 走る2人から放たれた目線は、お互いに火花を散らしていた。
『どうして彼女の為に、我が身を危険にしなくちゃならないのよ!』
 この言葉が、お互いの心の奥の奥のそのまた奥の奥の底に蠢いていた。
「・・・この2人って・・・」
 館の自室から、ライラック達の居る方向を見ていたフォレックス公爵は、溜め息を付きそして苦笑いをした。
 公爵の側に静かに立っている秘書役のメイドは、公爵の呟いた言葉と表情の意味が分からず、不思議そうに小首を傾げた。
 ライラックとチャームは草の生えた広場に飛び込んだ。
「グワァオッ!」。山犬が背後から飛び掛かってくる。
「うっ」。ライラックは地面に飛び込むように伏せた。
 山犬の爪が頭の上を飛び越して行き、数メートル先の地面の土を蹴散らして着地する。
「今だ!」。ライラックは着地したばかりで、まだ後ろを向いたままの山犬に向かって、斬りかかった。
 ガキーン!。ライラックの振り下ろした剣と山犬の前足の爪とがぶつかり合って、火花が散った。
「くっ!。一歩遅かったか!」。
 ライラックは再び剣を山犬に向かって振り下ろす。
「ガウッ!」。山犬がヒラリと身をかわす。
 ブンッ!。今度は山犬の鋭い爪が、ライラックに向けて振られる。
 ガンッ!。「あうっ!」。山犬の爪を間一髪剣で防いだライラックであったが、その身体は数メートル先に弾き飛ばされた。
「くっそー!」。ライラックは剣を支えにして立ち上がる。
 この草の生えた広場を戦いの場所にして良かったとライラックは思っていた。
 もしあの瓦礫の中で今のような山犬の一撃を受けて弾き飛ばされたら、身体中を瓦礫の角で傷を付けて、戦う事もおぼつかない状態になっていただろうと思った。
 それでも、ライラックの方がどう見ても不利な状態になっている事には、かわりはなかった。
 なぜなら、ライラックは身を守る物を身体に付けていないからだ。全裸の姿で戦っているのだ。手にしている剣・・・これが全てだ。
 巨大山犬の爪や牙の攻撃から防ぐのに、少しでも目測を見誤ったり剣さばきをミスったりしたら、裸
体の肌に直ちに致命傷の傷を受ける事になるのである。
 同じ事は裸のチャームにも言えた。
 ライラックは剣士と言えども女の子だ。
 全裸でいるのは、やっぱし恥ずかしく感じるのだが、命がかかった戦いをしているので、それに気を
回しているところではなかった。
 唯一の救いは、目の前にいるのが男性ではなく、山犬の怪物である事だった。
 巨大な山犬は体を低く屈めいつでも飛び掛かれるように、ライラックのスキを窺っていた。
 ライラックも剣を構えながら、スキを与えないように睨み返していた。
 ライラックと巨大な山犬との間の緊張感を破ったのは、隣にいるチャームであった。
「山犬さんに裸の姿をジーと見られていると、何か奴隷の品定めをされているみたいな感じになりま
せんか?」
 ライラックは、何を言い出すかと思えば・・・と言う心境で答える。
「感じないわよ!」。目は山犬を睨んでいる。
「・・・でも、こうジーと見られていると、何かヘンな感じになって来ちゃいませんか?」
 これには、さすがのライラックも顔をチャームの方に向けて怒鳴ってしまった。
「チャーム、何を馬鹿なことを言っているのよ!。今の状況が分かっているの?」
『しまった!』
 スキを見せてしまったライラックは、急いで視線を山犬の方に向けた。
「グウォォォォォ!」
 ライラックの目に、山犬が飛び掛かって来るのが見えた。
「逃げてっ!」。ライラックは反射的に、横にいるチャームを遠くへ突き飛ばした。
 ライラックの目には、近づいて来る山犬の開けた赤い口の中と鋭い牙が映っていた。
『だめっ!。逃げられないっ!』
 ライラックは自分の体が引き裂かれて、真っ赤な鮮血の中に横たわる事を覚悟した。
「わぁぁっ!」。
 ザクゥゥゥゥゥゥ!!。
 ズバァァァァァァ!!。
 頭を抱えて蹲っていたライラックは、一向に痛みが感じないのに気が付いた。
 目を開いてみる。ライラックの身体をバリアーが包んでいた。
「この魔法は・・・公爵がかけたの?」
 巨大な山犬はバリアーに邪魔をされて、ライラックの身体に傷を付ける事が出来ないでいた。
 チャームが急いで「氷刃」の魔法を使う。
 山犬の体に氷の刃物が突き刺さる。
「ギャァァン!」。巨大な山犬が悲鳴を上げて、チャームの方に視線を向けた。
「今だっ!」
 斬り掛かるスキを手に入れたライラックは、握っている剣を真横に素早く動かした。
 ドバァァァーッ!。
 強い手応えを感じた。
「ウガァァァァァーッ!」
 ズシャァァァッ。
 巨大山犬は右脚を切り取られ、バランスを失って頭から地面に崩れ落ちた。
 目の前に巨大山犬の首筋が見えた。
 ライラックは躊躇なく剣を振り上げると、一気に巨大山犬の首筋に振り下ろした。
「やあああああーっ」
 ズバァァァァァァァーッ!。
 巨大山犬の首から赤い鮮血が、ドバァァァァァーっと噴水の水のように、数メートル上空に吹き上がった。
「ウギャーッッッッ!」
 バシャ、バシャ、バシャー・・・。
 巨大山犬の断末魔の叫び声を耳にしたライラックの身体に、吹き上がった鮮血が雨のように降り掛かった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 戦い終わり、裸体の身体を付いた血で赤く染めたライラックが、立ちつくしていた。
 しばらくすると、死んで倒れている巨大山犬の体が砂のように変わっていくと、サササササー・・・と形が崩れていき、砂の中から2つのブラッド・オパールが転げ落ちた。
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「・・・あう・・・。ご主人様は、あの様に遠くにいるライラック殿へ、テレパシーやバリアーの魔法を送ることが出来る魔力の力を、お持ちになっていたんですね。・・・あん・・・」
 秘書役のメイドは苦しそうな声で公爵に質問をした。
 公爵は声のした足元に目線を落とす。
 逆さに吊された秘書役のメイドの顔がそこにあった。
 秘書役のメイドは、天井に向けて両脚を開いたY字形の姿で、逆さに吊されていた。
 もちろん全裸の姿でだ。
「ああ。・・・そうみたいだ。実際使った私自身が、魔法があそこまで届くとは思わなかったからな。そ
れに今まで使う事もなかったから。・・・あのライラック達が使用第1号って訳だ。」
 公爵は苦笑いをしながら話した。
「そ、そんなぁー。・・・それではライラック殿は、テスト用のモルモットだったんですかぁ?」
 驚きの声を出す秘書役のメイドに公爵は、
「ふふふ・・・。人の事を考えるより、今は自分の事を考えるんだな」
 そう言うと、手にしている蝋燭を上に上げると僅かに傾けた。
 炎で溶けた蝋が、ポタポタポタと目の前の秘書役のメイドの無毛の恥丘とヴァギナ周辺に落ちてい
き、白い肌に赤い色を付けていった。
「あ、あああ・・・あ、あ、ああああ・・・ん。あん、・・・あうあう・・・ああああ、あ、う、あ、う・・・ひゃあああ
ん・・・・あああー・・・あああー・・・ああ・・・」
 秘書役のメイドは熱さとそれとは別の快感とに身体をひきつかせながら、公爵の目の前で悶えた姿
をさらしていた。
 その頃ライラックとチャームの2人は、公爵の館への帰路についていた。
「ハックショーン!」。ライラックが大きなくしゃみをした。
「ライラックさん、風邪を引いたんですか?。」
「風邪だって引くわよ。長いこと丸裸でいたかと思えば、やっと見つけた服はこんなありさまなんだも
の。・・・本当に泣きたくなるわよ・・・」
 ライラックとチャームの着ている服は、瓦礫の中で傷ついてあちらこちらに大きな破れが出来て、もののみごとにぼろ切れのようにボロボロの状態になってしまっていた。
 しかも下着さえも無く素肌に直接服を着ている今は、胸や股間を隠す肝心な部分の生地が破けてしまっているので、見られないように手で隠しながらいる状態であった。
「こんな格好で公爵の館まで帰るの?・・・。途中で男の人にでも見られたら恥ずかしいわ。」
 ライラックは、恥ずかしさと情けなさの気持ちで、心が一杯になっていた。
「仕方ありませんよ。公爵様から頂いた旅費のコイン袋もどこかに吹き飛んじゃったんですから」
 同じようにボロボロの服を着たチャームがそれに答える。
「お金も無いから、途中の町で服も買えないのか・・・。それにあたしの鎧もとうとう見つからなかったし・・・ううう・・・泣きたくなってくるわ」
 ライラックの心はドーンと谷底に落ちて行く心境であった。
「ライラックさん、落ち込んでいても仕方ありませんよ。帰ったら公爵様に新しい服と鎧を買ってもらえ
ばいいんですよ」
 チャームはライラックとは正反対に明るく言うと「では、公爵様の館にブラッド・オパールを持って凱旋でーす」と宣言した。
「凱旋って・・・、これからまだ10日間の道のりが・・・あるのよ・・・」
 ライラックはそう呟くと「はぁー」と溜め息をつき、トボトボとチャームの後をついて行くのであった。


《 あとがき 》
 どうも、九尾きつねです。
 ブレーク・パーティ第2話をお届けいたしました。
 ライラックとチャームのハチャメチャな活躍を、楽しんでもらえたでしょうか?。
 2人によるブラッド・オパール探しが始まりましたが、最初からこんな鬼畜な展開の物語になってしまって、これからどうなるんだ?・・・と書いている作者自身が、この2人の身を心配になってきちゃいました(笑)。
 しかも「終わり」じゃなくて今回から「続く」になっちゃったし・・・。
 どうなるんだろうなぁー、この2人・・・。(作者のくせに何と無責任な事を・・・笑)
 ここまで書いていて、やっぱり新しい味方キャラも加えていかなくちゃダメかな?・・・と考えちゃいましたけど、はてさてどうなりますか・・・。
 でもそうやって増えたメンバーでパーティーを組んでいくとなると、何だか「RPGゲーム」みたいになっていくような・・・、その内ブラッド・オパールを探しにどこかの「ダンジョン」や「ラビリンス」に入り込む物語になっていくのだろうか?。(他人事みたいな言い方だな。笑)
 となると、敵キャラの総ボスも作らなくちゃならないのかな・・・ひえ~・・・、なんか長い作品になりそうだな?(笑)。大丈夫か?、作者よ(笑)。
 ・・・と言う事でどうか次回作もお付き合い下さいね。
 それではまた、次の作品でお会いいたしましょう。