『宴のビーナス』(第10夜)

 一人残されたような気持ちになった優子は、辺りの檻を見回して、向かいの女性に小さく声をかけた。 「…あの………」  するとその女性は、すぐに「ワン」と鳴いてみせて、優子の言葉をさえぎった。 「ワン…カメラとマイクがあるのよ……ワンワン…。余計なことを喋ってると……ワン…あとでお仕置きされるわよ……ワン」  そう言った彼女は、ごく自然にお座りの姿勢をしていた。  人間の顔をしていながら、彼女は紛れも … 続きを読む 『宴のビーナス』(第10夜)