ハードSM小説『奴隷姉妹』 第9章 – 奴隷200日目

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I:奴隷200日目 – 朝

 

5人が語り明かした日から1ヶ月少し経った7月6日。七海はいつものように午前6時ちょうどに飛び起きた。爆音ブザーは鳴らなかった。爆音を鳴らすと美海が泣き出してしまうため、七海に埋め込まれたマイクロチップが午前6時に電流を流して七海を叩き起こすという方式になったのである。

七海は、チップが埋め込まれている右の手首の辺りをさすりながら、寝室を出た。そしてリビングから世話係用の部屋へと向かう。扉を開けると美海と玲香がいた。玲香は、七海と同じように6時に叩き起こされた後、ベビーベッドの中ですやすやと眠る美海の様子を見に来ていたところだった。2人は美海を起こさないよう小声で挨拶を交わす。

「おはようございます、玲香さん」

「おはよう、七海」

「昨晩もありがとうございました」

「いえいえ、どういたしまして」

七海の専属世話係となった玲香は、この小さな部屋を与えられ、夜はここで美海の世話をしていた。七海は毎日朝から晩まで犯されっぱなしの虐待されっぱなしで、それでも僅かな合間を縫って寝室兼育児室で授乳などを行うのだが、夜は毎日気絶したように眠ってしまう。だが、美海の方はそんな事情はお構いなしに深夜でも泣き出してしまうため、夜は玲香の部屋に美海を預けることになったのだ。玲香自身も七海ほどではないにせよ毎日過酷な目に遭っており、深夜に美海の面倒を見るのは大変だったが、それでもなんとか踏ん張っていた。

踏ん張れるのは、同居人のおかげでもあった。5人で語らったあの日の翌日から、陽葵と今日子もこの部屋で寝起きすることになったのだ。深夜の美海の世話は、その日3人の中で体力に最も余裕がある者が行うことになり、玲香の負担は少しだけ減った。だが、玲香にとっては話し相手ができたことの方が嬉しかったし、それは仁科母娘にとっても同様だった。

しかし今朝、玲香のベッドの隣にある二段ベッドに母娘の姿はない。玲香は七海とともに暗い顔で奴隷用のトイレへと向かった。773号室には奴隷用トイレと会員客用トイレがあり、両者は壁を隔てて隣り合っていた。会員客用のトイレは施錠されていて奴隷たちは通常入れない。

「ぁぇ……」

「かひゅ……」

母娘はトイレの中にいた。壁から上半身が生えていた。壁の向こうは客用トイレである。客用トイレは、会員客が寝起きする宿泊区画の一角にある男性用トイレと扉1枚で繋がっており、773号室の玄関を通らずに行き来できるようになっていた。母娘は、腰の部分が壁に埋め込まれ、下半身を客用トイレに晒したまま、一晩を過ごしたのだ。

母娘の目の前には大きなモニターが設置されており、壁の向こう側の惨状がリアルタイムで映し出されていた。 ……まるで小便器のように壁から生えた下半身は、鞭打ちで真っ赤に腫れ上がった上に大量の精液と尿で汚れきっており、肛門の真下の床の上には、それら汚液と糞便が大量に積もっていた。

これは罰だった。前日の午前中、陽葵は堀田の鞭を受けながら飯森のペニスを口で奉仕していた。しばらくして飯森がイラマチオを始めると同時に堀田の鞭が陽葵の大陰唇を直撃し、陽葵は堪らず飯森のペニスを噛んでしまったのだ。JSPFの奴隷である陽葵は、抜歯に向けてのカウントが1つ進んでしまったわけだが、これを取り消すよう今日子は飯森に懇願した。そして娘と同じ仕打ちに耐えられればカウントを取り消すと言われ、今日子は必死に飯森のイラマチオに耐えたのだが、堀田の鞭がクリトリスを強打した瞬間、今日子もまた歯を当ててしまい、結局母娘はどちらもカウントが進む結果となってしまった(陽葵はあと1回、今日子はあと2回で1本抜歯)。しかも、抜歯はあくまでJSPFの規則であって、ペニスを噛んだことへの罰は別に用意すると飯森はニタニタ笑いながら言い、母娘を壁に埋め込んだまま一晩放置したのである。

なお、壁の部分には目立たないようにクッションが置いてあり、妊娠7ヶ月目の今日子の腹に負担がないよう、一応の配慮がなされていた。

深夜だというのに、宿泊客たちはひっきりなしに「小便器」を使った。下半身の感覚は次第になくなり、母娘はいつの間にか気絶。6時になって強制的に起こされたものの、意識は朦朧としたままだった。

「2人とも大丈夫っ!?」

七海が駆け寄る。その時、母娘の身体が前後に揺れた。

「ぅあ…… ひぅっ……」

「らめぇ…… はひ……」

宿泊客が朝イチの小便を母娘の肛門=小便器の中に注ぎ始めたのだ。母娘の肛門は一瞬たりとも尿を留めおくことができず、ペニスが抜かれると同時に糞便カスと混じって茶色くなった汚液が噴き出して、床に散らばっている汚物の上に降りかかっていく。

モニターに映し出される、あまりに不潔極まりない、異常な光景。外の世界の女性が見たら間違いなく嘔吐してしまうだろう。だが七海も玲香も動じない。七海も玲香も既に何度か体験しているからだ。ただただ、母娘が心配でならなかった。

そのうち、母娘の身体が大きく揺さぶられ始めた。モニターを確認するまでもない。肛門に排尿した男たちが膣を犯し始めたのだ。

「んんっ…… ひゅっ……」

「あひぇ…… うあぅ……」

母娘の反応は微弱だが、それでも先程に比べると色艶が感じられる。こんな状況でも快感を得てしまうほど、母娘の身体は開発が進んでいるのだ。

「もうやめたげてよ……」

七海が小さな声で呟く。だがどうしようもない。母娘は壁に固定されていて、助け出すには飯森が持っている鍵が必要だが、飯森は8時にならないと来ない。男たちを止めようにも、客用トイレは施錠されていて入れない。どうしようもないのだ。それどころか、母娘にはさらなる地獄が待っていた。

……朝食である。

七海と玲香、後に合流した仁科母娘の計4人は、773号室で生活するようになってからは他の奴隷たちとは完全に別行動を取るようになったのだが、食事は相変わらず流動食であった。新たな部屋にはキッチンも設けられているものの、置いてあるのは菓子やつまみ、コーヒー・紅茶・酒類などで、これは会員客の軽食用であり、奴隷の4人が飲食することは固く禁じられていた。

玲香は、トイレの床の上に犬用のエサ入れを2つ置いてそれぞれに1回の流動食を流し入れると、エサ入れの上でしゃがみ込み、今日子の流動食の上で半分だけ糞便を排泄し、次いで陽葵の流動食の上で残りをぶち撒けた。 ……前日にお仕置きを受けた者は、罰として翌日の朝食が糞便入り。その規則は今も変わらないのである。

玲香は続いて、壁際に置かれた棚の中から薬品の入った小瓶を1つ取り出して蓋を開け、スポイトで少しだけ中の液体を吸い取ると、再びしゃがんでエサの上に数滴ずつ垂らした。そして、母娘の顔の前に可動式の台を持って行くと、出来上がった朝食を母娘の口元に置いて静かに言った。

「陽葵、今日子、エサよ。いただきなさい」

「「…………いただきます」」

朦朧とした意識と微かな快感の中、母娘は躊躇うことなく汚物の中に顔をうずめた。手は壁の中に埋まっており、母娘は口だけを使って汚物を咀嚼し飲み込んでいく。食糞のペースは、以前茶碗6杯分の汚物を僅か9分で平らげた七海とは比ぶべくもなかったが、それでも母娘は拒否したり吐き出したりすることなく、ゆっくりゆっくり朝食を食べていった。

その間も男たちは休むことなく母娘の膣を犯し続けた。立ちバックの状態で固定され、下半身を好き勝手犯されながら糞便入りの流動食を食べる。カプセルベッドで生活していた頃の夕食と、状況はほぼ同じだ。違うのは疲労の度合いである。カプセルベッドでの夕食は1時間強で、その前に午前4時間・午後4時間の計8時間の調教があった。対して、母娘は昨日の23時から7時間ぶっ通しで犯され続け(その間断続的に失神)。昨日も1日じゅう奉仕していたのだから、母娘ともに昨日の朝8時からほぼ丸1日犯され続けていたことになる。もう体力の限界だった。

「「んあぃあああっ!!?」」

だが、汚物と格闘しているうちに母娘の疲労と眠気は急速に消え去っていった。玲香が混ぜた液体は、カフェインその他の成分が合わさったJSPFオリジナルのアッパー系の薬物であり、依存性のない安全な代物ではあるものの、そこらの栄養ドリンクとは比較にならぬほど強力なものであったのだ。意識が晴れ渡るにつれて下半身の快感は急激に増していき、一方で嗅覚と味覚も研ぎ澄まされていく。快と不快の狭間で悶絶しながら、母娘は十数分かけて汚物を平らげたのだった。

他方、七海と玲香は、母娘がエサを食べ始めると壁尻部屋から離れ、自分たち用の流動食をエサ入れに流し込みつつダイニングへと向かった。会員客用の立食テーブルの脇にある専用のスペースで四つん這いになり、エサ入れを床に置くと、壁に向かって朝の挨拶をする。壁には床から20cmくらいの高さの所に小型カメラが埋め込まれていた。

「皆様おはようございます。飯森則夫様に飼われている奴隷の七海です」

「皆様おはようございます。七海の専属世話係の玲香です」

「これから奴隷の朝ごはんをお見せします。豚畜生よりも浅ましい下品なメス豚が、手も使わずにエサを食い散らかす様をご笑覧ください」

「「…………いただきます」」

七海は、わざと口を開けて、歯のない口内をカメラに晒してから、流動食の海に口を突っ込み、グチャグチャ音を立てながらエサを歯茎ですり潰していった。 ……なんて下品で不快で屈辱的な音なんだろう。

飯森は所謂クチャラーだった。七海は、幼い頃から伯父が食事の際に発するこの音が堪らなく嫌いだった。それ故七海は常に口を閉じて静かに咀嚼してきたし、それはJSPFに連れて来られてからのカプセルベッドでの食事の時も同じだった。不味い流動食や上にかかった糞便に悪戦苦闘しながら、下半身を激しく犯されながら、それでも七海は音を立てないよう食べてきた。調教時に音を立てて糞便を食べるよう命令されることがたまにあり、せめて朝夕の食事の時くらいはあの不快な音を発したくなかったのだ……。

なのに、新部屋に移って以来、七海はクチャラーになることを強制された。食事の前に屈辱的なことを言わされた挙げ句に、クチャクチャグチャグチャと不快な音を立てながら、豚のようにエサを食い散らかさねばならない。隣の玲香の咀嚼音も不快だ。今日は玲香1人だが、仁科母娘も加わって4人の咀嚼音が奏でる不協和音のおぞましさといったら……!

しかもその様子を常時撮影されるのだ。映像は宿泊客の部屋のテレビにリアルタイムで流れている。この施設には宿泊用の部屋がいくつあって、何人が泊まっていて、そのうち何人がテレビを見ていて、何人が七海と玲香の朝食風景にチャンネルを合わせているんだろう。全くわからない。みんな寝てたらいいのに。でも見てる。絶対見てる。ご主人様も堀田様もみんな見てる! 口に嘲笑を浮かべながら見てる! さすが豚は食べ方も下品だとか勝手なことを言いながら、瞬きもせずに見てる……!!

……無人のダイニングには下品な咀嚼音だけが響き渡っている。その音を、その姿を、大勢に聴かれ、見られている。そう思うと七海の目から悔し涙が溢れた。人前で裸を晒すことも、豚マネ芸や脱糞さえも平気になった筈なのに。なのに、この音を聴かれるのがものすごく恥ずかしい。悔しい。自分がいよいよ卑しい豚に成り果ててしまったような気がして、恥ずかしくて悔しくて、悲しくて堪らない!

これなら男たちの前でやった方がマシだ。男たちの前でやれば、マゾの血が騒いで、羞恥心や屈辱が興奮や快感へと勝手に変換されるに違いない。だが相手が無機質なカメラだからか、いつまで経っても興奮や快楽はやって来ない。カメラの向こうに男の視線があるとわかっているのに。 ……下品な音を立てている自分が悔しい。下品な音を聴かれていることが恥ずかしい!

その思いは玲香も全く同じだった。2人は羞恥と屈辱に耐えながら激マズ流動食(糞便なし)を速攻で片付け、床の上に飛び散ったカスを舌で全て舐め取ると、エサを与えてくれたことに対する謝意をカメラに向かって述べ、最低の朝食を終えたのだった。

壁尻部屋に戻ると、母娘はまだ糞便入り流動食と格闘していたので、七海と玲香は、美海の世話と身体の洗浄を2人交互に行った。その後三度壁尻部屋に行くと、母娘は大声で喘いでいた。

「ああん♥ おちんぽ! もっと! 陽葵のうんちの穴、もっと突いてぇっ! んひゃああっ♥」

「いいっ♥ ケツまんこっ! ああっ♥ もっとくださいっ♥ もっと汚してぇ! ああああっ♥」

空になったエサ入れには未だ糞便のカケラが残っており、母娘の鼻のすぐ下で尚も強烈な悪臭を発していたが、薬物で覚醒した母娘はもはや気にも留めず、狂ったように快楽を貪り続けた。七海はエサ入れを洗いながら、親友とその母親の狂声を、悲しさ半分、羨ましさ半分で聞いていた。彼女の股間は、綺麗に洗った直後にも関わらず、ぐしょぐしょに湿っていた……。

 

II:奴隷200日目 – 午前

 

午前8時。玄関が開いて、飯森、堀田とキャリーケースを持った裏沢が入ってきた。リビングでケースを開ける裏沢。途端に強烈な糞便臭が辺りに充満する。

光希はこの1ヶ月でさらに痩せ細った。肋骨だけでなく骨盤や肩甲骨、背骨までがくっきりと浮き出ており、肌は白を通り越して土気色。抜歯によって痩けていた頬はさらに落ち窪んで、老婆というより瀕死の病人といった様相だ。今や入ってくるより出ていく方が圧倒的に多く、日に2回の点滴でどうにか栄養分を補っている状態であった。

「おはよう七海、玲香さん」

「おねえちゃん、おはよう」

「おはよう、光希」

それでも光希は七海と玲香を心配させまいと気丈に振る舞い、2人もなんとか涙を堪えて光希に優しく語りかけた。

一方、飯森と堀田は壁尻部屋に向かった。母娘は相変わらず嬌声を上げていた。

「反省したか? 2人とも」

「はいっ♥ 反省しましたっ♥ もう二度とおちんぽ噛みませんっ♥ 許してくらはいっ♥ ああんっ♥」

「私もっ♥ 粗相をしてしまって申し訳ござ……ひうっ♥ 申し訳ございませんでしたっ♥ ひゃうっ♥」

「あまり反省しているように見えんが…… まあいい。今からお前たちの口を使ってやるから、反省を態度で示せ」

「あいっ♥ おちんぽ♥ おちんぽなめましゅ♥ しゃぶりましゅ♥ ひゃあああっ♥」

「今度は絶対噛みませんので…… 私の喉まんこ、お使いくださいませ♥ あああっ♥」

そうして、再びイラマチオが始まった。壁の向こうでは男たちが猛烈な勢いで膣を責めている。肛門にもバイブがねじ込まれている。壁のこちらでは飯森と堀田が、陽葵と今日子の頭を両手で掴んで猛烈な勢いで喉穴を突いている。先程食べた糞便入り流動食が全てリバースしてしまいそうな勢いでの激しい抽送。それでも2人は、凄まじい苦痛と吐き気、そして快感に耐えながら、舌と唇と喉を使って猛然とペニスに奉仕していく。 ……歯を当てないよう神経を研ぎ澄ませながら。

薬物のおかげであろう。先程までの朦朧状態のままだったら、集中力が続かずに再び噛んでしまって、陽葵はカウントが5回に達していたに違いない。苦痛と快楽に翻弄されながら一心不乱にペニスに奉仕する2人の姿はまさにマゾ奴隷そのもの、そこにイジメっ子やキャリアウーマンの面影は、微塵もなかった。

「「ぶもおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」

やがて飯森と堀田はほぼ同時に喉奥で射精し、母娘は罪を許されたのだった。

母娘はようやく壁から解放され、風呂場で身体を洗うことを許可された。その間、七海と玲香は解錠された扉の向こう、客用トイレで這いつくばり、それぞれ陽葵と今日子の下半身があった場所の床の上に積もった汚物を口で処理させられた。冷えた糞便と尿と精液と愛液の混合物は、身の毛もよだつ臭いと味、見た目であったが、2人は無言のまま食べ進めていった。 ……下品な音を立てながら。膣穴を飯森と堀田に犯されながら。

「「ひうぅうううううっ!!!!」」

七海と玲香が床の上の汚物を食べ切った直後、飯森と堀田も限界に達した。2人は射精直前に膣穴からペニスを抜くと、汚物があった場所に大量の白濁液を発射した。

「汚物はほぼ平らげたようだが、まだカスが残ってるぞ。ザーメンと一緒に全部舌で舐めとれ。ちり紙ども」

「……はい、ご主人様」

「かしこまりました」

七海と玲香は、四つん這いのまま再び床に舌を這わせ、飛び散った白と茶色の汚物を処理していく。 ……冷めた糞尿に比べれば温かい精液の方がまだマシだと七海は思った。いや、むしろ美味しい……かも? 七海は一瞬そう思ったが、直後、精液を美味しいと感じるようになってしまったことが無性に悲しくなった。悲しくて泣き叫びたい。こんなことしたくない。私はちり紙じゃない! ……七海はそれらの想いを全て封印して、ただひたすら薄汚い便所の床を舐め清める。トイレットペーパーに、ちり紙になりきる。身体の奥が熱い。感じてる。こんなことで私、感じてる。 ……最低だ、私。

 

しばらくして身だしなみを整えた仁科母娘が客用トイレに入ってきた。母娘は、自分たちが出した汚物を七海と玲香が「掃除」してくれたことを知って驚愕し、そして謝罪した。自分たちが出した汚物は誰かが掃除しなければならない。当たり前のことなのに。完全に失念していた。昨日の朝から24時間汚され続けた身体を洗うことしか頭になかった。シャワーを浴びて、湯をがぶ飲みして、全身を洗って、膣や肛門の中も綺麗にして、髪を乾かして、整えて、歯を磨いて、爪を切って…… そんなことを悠長にやっている場合ではなかったのだ。

七海と玲香は気にしてないと言ってくれたが、飯森は、七海と玲香に片付けを押し付けて自分たちだけ綺麗になるとは何事だ、と母娘を責めた。陽葵はさすがにカチンと来て、「あんたが洗ってこいって言ったんじゃない」と言い返しかけた。が、ここで反論してもさらなるお仕置きが待っているだけだ。陽葵は目を固く瞑り、飯森に対する怒りと七海に対する罪悪感で全身を震わせながら、喉まで出かけた反論の言葉をなんとか飲み込んだ。

陽葵と今日子は、七海と玲香の口にそれぞれ指を突っ込んで強制嘔吐させ、直後に口づけして汚物を口移しで飲むよう命令された。自分たちの汚物なんだから、人に頼らず自分たちで処理しろというわけだ。七海と友達になる前の陽葵だったら全力で拒否していただろう。あれから3ヶ月近くが経ち、陽葵も今日子もこのような異常な行為に慣れつつあった。だがいくら慣れても、そんな気持ち悪いモノを美味しいなどと思えるはずがない。せっかく湯をがぶ飲みしたのに、またすぐこうなるのか。もうイヤ。こんな毎日、ホントもうイヤ……!!

「七海、ごめんね。汚いモノ食べさせちゃって…… アタシが食べるから出して……」

「うん…… あぁぁぁぁぁぁ……」

膝立ちの状態で目を閉じ、口を大きく開ける七海。陽葵は指をそっと3本突っ込んで、喉の方をゆっくり掻き回した。七海がすぐにえずき出したので、陽葵はすぐに指を引き抜いて自分も膝立ちになると、七海にキスをした。友達になって以来何度も七海とレズプレイをしてきた。キスも何度もして、互いに舌をまさぐり合って唾液を飲み合ってきた。でも嘔吐物を口移しで飲むだなんて。最低…… サイッテー! 何考えてんのよ、このキモハゲオヤジ!! ……でも。でもやらなきゃ。命令なんだから。奴隷なんだから。それに、自分で出したモノの後始末を七海にやらせるのは、やっぱり良くないと思う。いやだけどやらなきゃ。いやだけど。いや…… いや…… いやああああっ!!

「「げぶえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」

「「うぶうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」」

七海と玲香はほぼ同時にリバースし、陽葵と今日子はそれを飲んでいく。口から口へ流れていくので臭いをあまり感じないのは幸いだが、味の方は…… 筆舌に尽くしがたいおぞましさだった。それでも飲んだ。飲み続けた。吐き返しそうになるのをひたすら耐えた。ここで吐いたらもっと酷いことされるに決まってる。やだ! そんなんやだっ!!

胃の中身を半分くらい残した辺りで七海は嘔吐を止めた。飯森の命令は、七海が食べた汚物を陽葵に移すこと。朝食の流動食まで陽葵に食べさせたら命令違反になるかもしれない。もちろん汚物と流動食は胃の中で既に混じり合ってしまっているから、汚物だけを吐き出すのはもはや不可能だ。それでもせめて分量だけでもということで、七海は半分吐いたところで嘔吐を止めたのだった。横で吐いていた玲香も、七海に合わせて嘔吐を止めた。そして4人は最悪の後味を忘れたいかのように、舌を絡めてディープキスをし始め、飯森はニヤニヤしながらその一部始終を眺めていた。

キスがさらに激しさを増した時、トイレの中に大勢の男たちが入ってきた。8時を大幅に過ぎてしまったが、飯森と堀田による午前の合同調教が始まったのだ。合同調教は、七海が773号室に移ってすぐの頃は2対5で行われていたが、調教は次第に過激化し、ペニスが2本では足りないことからエキストラとして宿泊中の男性客にも参加してもらうことが多くなっていた。今朝もそうで、飯森は32人の男性客に事前に声を掛けていたのだ。

4人は、壁に並んだ4つの小便器に1人ずつ座るよう命じられた。左から玲香、七海、陽葵、今日子の順である。4人は小便器の奥に尻を押し込み、肩をすぼめて上半身を小便器の中に嵌め込んだ。その状態で手と足が固定され、4人は身動きを封じられて4基の「便器」となる。32人の男たちがさっそく「便器」の前に列を作った。

男たちは何も言わずに「便器」に向かって小便を放っていく。「便器」は口を大きく開けて待機しているのだが、男たちは構わず身体中のあらゆる場所に小便を引っ掛け、最後に思い出したように未だ放尿中のペニスを口の中に押し込んで最後の1滴まで搾り出していく。放尿が終わったら、「便器」はペニスを舌で舐め清めながら言うのだ。「小便器をご利用いただきありがとうございました」と。4人ともこのような扱いには慣れているが、それでも新参の母娘の顔には嫌悪と絶望が色濃い。

8人が放尿を終えると、1人目の男に戻ってフェラ奉仕となる。身体を覆う尿素がアンモニアに分解されて、どんどん臭いがキツくなる。だから嫌なのに。全部飲んでしまった方が楽なのに。排出されたての尿はまだそれほど臭くないが、放置するとどんどん臭くなるということを奴隷たちは経験上知っている。だからこそすぐに飲んでしまいたいのに。男たちの方もそれを心得ているから、わざと口を外したのだ。奴隷たちは、ペニスで口を塞がれて鼻で息をせねばならない状況の中、悪臭を我慢しながら狭い小便器内で首を激しく振って、ひたすらペニスに奉仕していく。

「むぷうううううう!」

最も早く男を射精に導いたのは七海だった。七海の歯茎奉仕は既に熟練の域に達しており、歯茎と舌、唇や喉まで全て連動させながら、高速ピストンでペニスを責め立てる。百戦錬磨の男たちもこれには敵わず、あっという間に限界に達するのだった。

続いて玲香、やや遅れて今日子、かなり遅れて陽葵が精液を搾り取った。陽葵が未だ飲尿・浴尿が苦手であると知っている男たちは、昨晩から水分摂取を控えた上で、濃縮されたオレンジ色の小便を身体中に引っ掛けていった。それが時間とともに強烈なアンモニア臭へと変わり、陽葵の集中力を奪ったのだ。 ……今日は朝からこんなんばっかりだ。もうやだよ、こんなん。普通にセックスしてよ。普通にフェラさせてよ!

小便器の下には、直径10cmを優に超える特大肛門プラグを嵌めた光希が蠢いていた。床の上に飛び散った小便を舐め取るのが役割であり、「7本足」で這い回りながら長い舌で汚れを舐め取っていく。光希は、時間が経ってアンモニア臭のキツくなった小便すら美味しいと感じるまでになっており、心の中で陽葵に頑張ってと呟きながら、陽葵の周りに飛び散るオレンジ色の汚液を美味しそうに啜っていった。

……七海が8本のペニスに奉仕を終えた時、玲香は7本目を終えたところ、今日子は7本目をしゃぶり始めたところ、陽葵は6本目に奉仕中だった。飯森は、奉仕が終わった奴隷は休んでいるように言ったが、手足も動かせない中、強烈なアンモニア臭に耐えながら休むくらいなら、フェラ奉仕を続けて気を紛らせた方がマシだ。もっとゆっくり奉仕すればよかった。そんな想いで七海は主人の方を見たが、飯森は七海の視線の意味を正確に読み取りつつも、敢えて無視してニヤニヤしながら七海の顔を観察し続けたのだった。

やがて陽葵が8本目の性欲処理を終え、4人はようやく拘束を解かれて小便器から抜け出した。陽葵以外の3人は褒美としてセックスが許され、ビリだった陽葵は罰として3人の身体に付着した小便を全て舐め取るよう言われた。

3人は腕を掴まれて立ちバックの体位で膣や肛門を突かれ、陽葵はまず近くにいる母と玲香の身体に舌を這わせていく。小便に汗が加わってにがしょっぱい。まずい。くさい。気持ち悪い! 母と玲香は長髪なので、身体の汚れを舐め取っても、たっぷり小便を吸い取った髪から常に汚液が滲み出てくる。仕方なく、両手で髪を雑巾のように絞り、出てきた汚液を口に含んでいく。たまらなくまずい。ありえないほどくさい。もういや。こんなのいや! でもやらなかったらもっとヒドいことさせられる…! やだ! それもイヤ! もうイヤっ! いやああぁっ!!

「もうやだあぁぁっ! うわああああん!! ぺろっ… ひくっ!」

陽葵はついに大声で泣き出してしまったが、嗚咽しながらも舌は動かし続けた。小便が染み込んだ自分の髪のように、陽葵には奴隷根性が既に心の奥底まで染み付いていた。歯向かったら酷いことをされるという恐怖だけでなく、命令どおりにしなくてはという奴隷的思考が陽葵を無意識のうちに突き動かしていた。

「陽葵…… ひまりぃ…… ああんっ」

娘に身体を舐められながら、今日子はそれを察していた。そして自分もまた、同じように命令に従って腰を振りながら肛門を犯されていた。自分も娘も、もうすっかり奴隷に成り果ててしまったことが悲しくて、自分の身体が臭くて、ケツまんこが気持ち良くて、あまりに気持ち良くて、今日子は大粒の涙を流しながら嬌声を上げた。

光希も小便を舐め続けた。床を這いずり回りながら長い舌で器用に床を舐め磨いていく。3人の身体は陽葵が舐め清めなければならない。それを勝手に手伝ったら陽葵が罰せられる。だから手伝わない。そのかわり、髪から絞り取った時などに床に落ちた小便を舐め取っていく。どうせ後で床を綺麗にするよう誰かに命令が行くのだ。その前に舐め取ってしまおう。 ……どれだけ痩せ衰えようと、光希は光希だった。愛する妹と、もう1人の姉と、妹のたった1人の親友と、そのお母さん。この4人を守るためなら何でもする。調教の邪魔をして、かえって4人に害が及ぶことがないよう気を配りながら。光希は残り少ない体力と思考力の全てをそこに注ぎ込んでいた。

七海は陽葵のことを心配していた。今日子と玲香の次は自分の番。でも、できれば陽葵の負担を減らしたい。だって陽葵は飲尿が苦手なんだから。それ以上に、陽葵は七海にとって、とても大切な存在なんだから。そのためにはどうしたらいいか、七海は下半身から来る猛烈な快楽に耐えながら必死に考えた。そして陽葵が今日子と玲香の身体を舐め清め終わるのを待ってから飯森に話しかけた。既に膣と肛門に1発ずつ中出しされる程度の時間が過ぎていた。

「ご主人様、陽葵の身体は私が綺麗にしてもいいでしょうか。その…… 臭いですし。自分では背中は舐められないですし。次の調教までに誰かがやんなきゃならないなら、私にやらせていただきたいんです。 ……ダメ……ですか?」

飯森は感心した。

七海は、泣きながら汚液を舐め続ける友人を心配し、自分の身体を綺麗にしてくれる礼も兼ねて、自分で陽葵の身体を舐め清めたいのだ。だが直接それを言っても許可は下りない。放っておくと臭いから、自分では背中は舐められないから、次の調教に支障が出るから。男たちや陽葵の身になって物事を考え、もっともな理由を見つけてくる。

しかも、七海は陽葵の隣の小便器に固定されていたのに、小便器から解放されるといつの間にか陽葵から離れた位置に移動して、陽葵が最後に七海を舐めるように仕組んだ。七海は陽葵とレズプレイをしながら互いの汚れを舐め取り合いたいようだ。そうして自分の身体に付いている汚れもちゃっかり自分で舐め取って、陽葵の負担を減らそうという魂胆だろう。実に賢い。

だが七海には裏がない。楽をしようとか、貸しを作ろうとか、そういう汚い思惑が微塵もない。今回の発言の底にあるのは友情、ただそれだけだ。だが、奴隷が主人の命令以外のことをやるというのは、お仕置きのリスクがあり、勇気が要る行為だ。七海は奴隷である自分でも許されることを必死に考え抜いた上で、勇気を振り絞って主人の許可を求めているのだ。期待と憂いが混ざった、あの独特な表情でこちらを見つめながら、控えめに、だが誠実に。ああ、これはもう、許可せざるをえないではないか……!

「ああ、いいぞ」

「ありがとうございます、ご主人様」

七海は深々と頭を下げると、陽葵のところへ向かい、彼女を抱き締めた。そして消え入るような小さな声で言った。

「次は私の身体、キレイにしてくれるんだよね? ごめんね? でも、ありがとう、陽葵。あなたの身体は私がキレイにするね?」

「ななみぃ…… ぐすっ」

「じゅぞぞぞぞぞっ! ずずずーっ! ごくんっ!」

「七海…… ななみ…… れろっ…… じゅずずずっ!」

「ひまりぃ…… じゅるっ! ちゅぱっ! ずぞぞぞっ!」

七海と陽葵はシックスナインの体勢になって小便を吸い取っていく。七海は何も言わずに自分が上になると、腰をひねりながら自分の身体に付いた小便を陽葵の身体の上に振り落とし、元々陽葵の身体に付着していた分と合わせて猛然と舐め取り始めた。ショートカットの自分の髪から小便を絞り取り、次いで長髪の陽葵の髪も絞っていく。陽葵の臍の中に溜まった小便も口を付けて吸い上げ、顔、首、胸、脇、腹、股間、肩、背中、腰、尻、その他ありとあらゆる部位を、下品な水音を立てながら素早く、だが入念に掃除していく。

陽葵は呆気に取られていた。自分が母や玲香に対して行った掃除とは全く違った。下品な音を立てて男たちを喜ばせながら、陽葵の身体に付いたぶんだけでなく、七海自身の身体に付いたぶんまで器用に掃除していく。そのあまりの手際の良さ! 飲尿に対する躊躇の無さ!

そして、2人の足元では光希が床を舐めていた。七海が激しく動くことで、七海の身体に付いていた小便が、陽葵の身体にだけでなく周囲の床に飛び散っていたのだが、光希は床に飛散したもののみを舌で掃除していく。姉妹は事前に相談することなく自然に役割分担しながら、陽葵がこれ以上つらい思いをしなくて済むようにしてくれているのだ。

陽葵は、目頭が熱くなるのを感じていた。友情と感謝と罪悪感と、それ以上の何かと。様々な感情がごちゃごちゃになって、そして溢れた。もう止まらなかった。

「七海っ! 光希お姉さんっ!」

陽葵は堪らず2人に抱きついた。名前以外の言葉が出てこず、ただ強く抱き締めた。3人の身体にはまだ小便が残っており、光希の身体には糞便すら付着していたが、そんなことは全く気にならなかった。陽葵は七海にキスし、次いで光希にキスをした。口内は小便の味と臭いしかしない。だがそれでもいい。無二の親友に、友情以上のよくわからない感情を伝えるために。余命幾許もない病身に鞭打って陰ながら助けてくれた親友の姉に心からの感謝を伝えるために。陽葵は泣きながら2人の口に舌を入れ、夢中で掻き回した。そしてそのまま感極まってしまい、陽葵はキスだけで軽く絶頂を迎えた。姉妹は細かく震える陽葵をそっと抱き締め、震えが止まるまでそのままでいた。

玲香と今日子も、3人の抱擁に胸が熱くなっていたが、飯森と堀田と32人の男たちも別の意味で高ぶりを感じていた。この3人を、いや5人を、15個の穴を、滅茶苦茶に嬲り回したい。犯し抜きたい。小便ではなく精液で身体を白く染め上げたい!

 

34人の男たちは、ホースの水を5人にぶち撒けて小便を流し去ると、それからの2時間、トイレの中でひたすら5人を輪姦し続けた。トイレの床で、小便器の中で、大便器の上で、洗面器の鏡の前で。絶えることなく3つの穴を犯され続け、光希を除く4人は頻繁に絶頂し、特に敏感な七海は途中から絶頂しっ放しになった。

光希の肛門からは栓が抜かれ、役立たずの膣と肛門にシリコン製の大きなオナホールが突っ込まれた。そして男たちはオナホールの中にペニスを挿入していく。あまりに屈辱的で非人間的な行為。だが、これを屈辱と感じるような人間的な心を光希は既に失っていた。ペニスのピストンに合わせてオナホールがモゾモゾと動くのが気持ち良く、絶頂に達するほどではなかったものの、光希は歯茎でペニスをしごきながら、久々の快楽を味わった。

2時間後、ようやく午前の調教が終わった頃には、凄まじい量の精液で5人とも全身真っ白になっていた。仁科母娘は互いに強く抱き合ってキスをしながら精液と唾液を交換中。光希は倒立のような体勢になって洋式大便器に頭を突っ込んだまま気絶している。途中何度か美海の世話のために抜け出した玲香は一番精液量が少なかったが、それでもトイレの床にうつ伏せに倒れてゼェゼェと荒い息を吐いていた。

最も多くの白濁液を受けたのはやはり七海で、トイレの床の上で尻だけを突き出して四つん這いのまま失神しかけていたが、飯森が近づいてきたのを見ると、気合でなんとか立ち上がり、フラフラになりながら頭を下げて言うのだった。

「調教ありがとうございました、ご主人様」

七海は気を失っている光希を起こすと、玲香や仁科母娘とともに奴隷用トイレへと戻り、その横にある風呂でシャワーを浴びて汚れを落とした。そして5人一緒にダイニングで昼食を摂る。もちろん流動食である。朝と違ってダイニングには男たちが何人もいて、人間用の軽食を食べながら談笑している。その脇で、奴隷たちは四つん這いになってクチャクチャ下品な音を立てながら流動食を貪り食うのだ。

男たちは気まぐれで奴隷たちの膣や肛門を犯しては、流動食の上に精液や小便をぶっかけていく。なんて最低の食事だろう。特に仁科母娘は屈辱と羞恥のあまり涙を流している。七海も、こういう扱いは木下家で調教されていた頃から受けていたとは言え、やはり悲しかった。しかし、ペニスのもたらす快楽が、奴隷たちの中にあるマゾのスイッチを強制的に点灯させていく。身体の奥底が熱くなっていく。男たちに犯されながら、四つん這いで手も使わず、精液や小便のかかった激マズの流動食をクチャクチャと食い散らかす。なんて哀れで惨めで下品な生き物なんだろう。そうやって自己を嫌悪することにすら快感を覚えてしまう。やがて七海、陽葵、玲香、今日子の順で絶頂に達し、彼女たちは無様なイき顔をカメラに晒すのだった。

光希は食欲が一切なかった。が、4人に心配させないよう無理やり流動食を食べた。

 

III:奴隷200日目 – 午後(1)

 

午後は集団調教である。以前は中央ホールで行われていたのだが、七海の出産以降は773号室で行われることになった。もっとも、午前の合同調教では今朝のようにエキストラが呼ばれることが多くなったし、光希は午後も9号室には戻らずに引き続き一緒に調教を受けることになったため、午前と午後の差は殆ど無くなりつつあった。

今日の集団調教の場所は、教室だった。

773号室は、元は200畳以上の広大な空き部屋をパーティションで細かく区切ってできており、寝室やリビング、風呂にトイレといった居住空間を除くと、あとは全て調教部屋であった。当初、調教部屋は6つしかなかったのだが、会員客の要望に応える形で順次追加されていき、今やその数は20を超えていた。今も新規増設工事中の部屋が3つ、リフォーム中の部屋が5つある。中身も、JSPFの標準的な調教用個室と同じものから、教室、和室、病室、酒場、拷問部屋など実に多彩だ。

中でも昨日完成したばかりの教室は、堀田理事長による設計・監修のもと、七海が在籍していた1年A組の教室が忠実に再現されていた。窓の部分には全面に大型モニターが嵌め込まれて、実際と同じ風景を映すなど、細部に至るまで凝りに凝っていて、椅子と机は、なんと七海と陽葵が使っていたものをそのまま運んできていた。

七海と陽葵は呆気に取られた。午後1時になったので、一昨日までは存在していなかった引き戸を言われるままに開けてみたら、いきなり教室に出たのだ。懐かしい場所。懐かしい空気。そう、匂いまで一緒だ。もう二度と戻ることはないと思っていたあの教室に、七海は戻ってきたのだ。

もちろん異なる部分もある。七海と陽葵以外の席には学生服を着た男たちが座っている。中年男や老人までもが学生服に身を包んでいる状況は異様で、ある種滑稽にも思えたが、七海も陽葵も笑うどころではなく、あまりに想定外の状況に言葉を失い、呆然と立ち尽くしていた。

すると、スーツ姿の飯森が現れた。

「驚いたか? お前たち、これを着て自分の席に座れ。場所は覚えてるな?」

「「…………」」

覚えているも何も、空いている席は2席しかないのだが、2人は何と言って良いかわからず、無言のまま制服一式を受け取った。それは2人が昨年着ていた本物の制服だった。制服だけではない。一緒に渡されたブラジャーやショーツ、靴下に上履きまで、全部。陽葵の上履きは踵の部分が潰れており、似たデザインのものを新調したのではなく、全て当時のままの本物であるのは、2人の目にも一目瞭然だった。

七海も陽葵も(今日子も玲香も光希も)、全財産は全て処分されて私物は一切残っていないと聞かされていた。奴隷は基本裸で生活し、身に着けることを許されているのは首輪とピアスだけである。これまでにも、特に夜の少人数調教の際に、様々なコスチュームを着て奉仕することはあったし、制服を着たことも何度かあったが、それらの衣装は全てJSPFのものであり、デザインも七海の母校のものとは違っていた。まさか自分たちの制服が残っていたなんて。

だが、2人に喜びの感情は一切なかった。これから何をさせられるのかと思うと七海には不安しかなかった。陽葵は…… 見覚えのあるショーツを見ながらガタガタと震え出した。 ……クロッチにシミが少し残ってる。本物なんだ…… これ、あのショーツ、あの日履いてたショーツだ……!!

昨年の11月下旬のあの雨の日、悪臭を撒き散らす七海にブチギレた日に陽葵が履いていたショーツ。その前の週末に買ったばかりの、可愛らしいデザインのお気に入りのショーツ。あの日の午後、急に生理が始まってショーツを汚してしまい、1時間目の七海早退事件と酷い生理痛が相まって、ものすごく腹が立った。何度洗濯してもシミは完全には消えず、それを見るたびに退学した七海への憎悪が掻き立てられた。逆恨みだとわかっていても止められなかった。そうこうしているうちに陽葵は母ともども堀田理事長の魔の手にかかり、以降ショーツのことはすっかり忘れてしまっていたのだ……。

あの日履いていたショーツ、あの日着ていた制服、あの日と同じ教室。いったい何をさせられるんだろう。いやだ。七海にしてきたことは心から反省しているし、七海はたった1人の大事な友達、もはや無二の親友だ。過去をほじくり返されたくない。七海が怒って絶交だって言ったらどうしよう。そんなのやだ…… 絶対やだっ!!

「どうした2人とも。とっとと着替えろ。ここで…… 皆が見てる前でな」

「「…………」」

……最低。七海は心の中で毒づきながら、横で震えている陽葵のことを気にしつつ、服を着始めた。何故か恥ずかしい。これだけの男たちが見ていたら、普通は服を脱ぐ方が恥ずかしくなるのだろうが、裸でいることに慣れてしまった七海にとっては、服を着ることの方がなんだか恥ずかしかった。衆人環視の中で奴隷から女子高生に戻ることで、羞恥心が蘇ってしまったのだろうか。

だが、それだけではない。肥大化した乳首とクリトリスが邪魔をして、ブラもショーツも上手く着けられない。自室の鏡の前で泣きながら着替えた昨年の10月よりも、クラスメイトに責められて学校を早退した昨年の11月よりも、格段に大きく膨れてしまった乳首とクリトリス。もはや肥大化前の下着では隠しようがない。七海は涙をうっすら溜めながら試行錯誤を重ねたが、結局クリトリスは無理やりショーツで押さえつけることにし、ブラは諦めてノーブラのまま制服の上着を被った。ピアスの穿たれた敏感なクリトリスがショーツの中で圧迫されて鋭い痛みと鈍い快感を放ってくる。上着の布が巨大乳首に引っ張られて、腹と臍が露出してしまっている。飯森や周囲の男たちは、そんな無様な七海を見てニヤニヤと笑い、股間を固くしている。七海は久々に強い羞恥を感じながら再び心の中で毒づいた。 ……最低。

その横では顔を真っ青にしながら、陽葵が制服を着ていた。何を…… 今から何をするんだろう。何をさせられるんだろう。恐怖と不安で手が震えて、ブラのホックがなかなかかけられない。片足を上げて靴下を履くことすら難儀してしまう。男たちの視線を感じる。でもそれ以上に七海の視線が怖い。怖い……!!

2人がどうにか制服を着終わると、飯森は七海にあるものを手渡した。その瞬間、七海は主人の意図を理解した。そして、あまりの悪趣味ぶりに心の底から呆れ果てた。今更こんなことをして何になるというのだろう。自分は、この施設に来てからというもの、こんなのとは比較にならないくらい酷い目に遭い続けてきた。今朝の調教だって、木下家時代には考えも付かなかったほど過激で過酷だ。なのに今更、何故? ……と思ってふと横にいる友達の方を見た。

今にも倒れそうなほど顔面を蒼白にして、涙を流しながら震えていた。飯森様が七海に手渡したもの。肛門栓だ。あれを七海が着けるってことは、あの日の…… あの日の再現をこれからやるってこと? そんなの…… そんなの絶対いやああああああああああああっ!!!!

そうか、と七海は思った。これは自分ではなく、陽葵を貶めるための調教なのだ。あの日と同じ状況を再現して、陽葵の黒歴史を白日の下に晒そうというのだ。なんて…… なんておぞましいことを考えるのよ!! 私はとっくに陽葵を許してるし、私のうんちの臭いで陽葵に迷惑を掛けちゃったことも陽葵はとっくに許してくれてる! そのことはご主人様も堀田様も知ってるはずなのに! なんでいまさら蒸し返すの!? なんで私の大切な友達を傷つけるの!!?

七海は、腹が立って仕方がなかった。できることなら伯父を張り倒してやりたかった。でもダメ。ご主人様に絶対服従を誓ったんだから。どれだけ憎くても憤ろしくても、逆らっちゃ絶対にダメ。それに陽葵だってとばっちりを受けるかもしれない。あの日を、叛逆が失敗に終わったあの日を思い出せ。激昂するな。冷静になれ。陽葵がこれ以上傷つかないようにするにはどうすればいいか、考えるんだ……!

2人が自分の席に着いたところで教室の扉が開いた。前から服を着た玲香、後ろから堀田をはじめ十数人の男たちと数名のサディスティン、服を着た今日子、檻に入れられた光希を持った裏沢が入ってきた。同時に、飯森も教室の後ろに移動した。

 

「では、授業参観を始めます」

玲香が無機質な声で言う。玲香と今日子は、午後の集団調教が始まる直前、堀田に呼び出された。玲香には女教師、今日子には授業参観に訪れた母親役が与えられ、それぞれ服を着終わったところで調教の内容が告げられた。あまりに悪辣な内容に2人は愕然とし、特に今日子は、娘が受けるであろう精神的ショックを考えるといても立ってもいられず、堀田に調教の中止を懇願したが、受け入れられるはずもなかった。そして、堀田の合図とともに2人は前後の扉から教室内に入ってきたのである。

七海は小刻みに震えていた。あまりに外道極まる展開に怒り心頭、飯森の所に駆け出しそうになるのを必死に抑えていた。 ……何が授業参観よ! あの日は参観日じゃなかったじゃない! 佐渡先生って確か30歳くらいだし! おねえちゃんの入った檻なんてなかったし! こんなん再現でも何でもない! 寄ってたかって陽葵をイジメたいだけじゃない!! 最っ低!!!

……七海の肛門には、あの日と全く同じ円筒状の肛門栓が刺さっていた。5人のうち七海と玲香は今朝から脱糞しておらず、直腸の中には糞便が溜まっている。午前中から昼休みにかけて肛門内に出された大量の精液は、糞便と混じって液状化し、七海はずっと便意を感じていたが、もはや精液浣腸にも慣れっこになっているため、なんとか我慢してきたのだ。拡張の進んだ七海の肛門と栓の間には昨秋以上に隙間が開いており、程なくして下痢便は栓を伝って漏れ出てきた。

……臭い。もうとっくに嗅ぎ慣れているのに。今朝もイヤというほど嗅いで、食べて、酷い目に遭ったのに。あの日と同じ教室で、同じ制服で、同じ状況。あの日の悪臭が蘇る。記憶が蘇る。周囲に自分の糞便の臭いを嗅がれる羞恥と、不快な思いをさせることへの罪悪感。隣の仁科さんにまたイジメられるという不安。様々な想いが交錯して、消え入りたくなるほど辛かった、あの日の記憶。

あれから半年以上、地獄のような毎日を過ごしてきた七海にとって、あの程度の羞恥プレイはもはやたいしたことではない。だがそれは今だから言えることであって、当時はトラウマになるほど辛かった。あの時の絶望が、羞恥が、悪臭が、再び七海を襲う。七海は机の上に突っ伏し、目を固く瞑ってフラッシュバックに耐えた。と同時に、あの日とは違った意味で隣の様子が気になって仕方がなかった。

臭いは陽葵にも達した。この臭いだ。何も知らなかった当時の自分。臭くて臭くて、息もマトモにできないくらい臭くて。もう我慢の限界だった。1回や2回じゃない。数日おきに何度も何度も。なのに、隣のこのコミュ障ウンコ女はなんで学校休まないわけ? なに恥ずかしそうに顔真っ赤にしてんのよ! ウンチしたいんならトイレ行けば!? 具合が悪いんなら保健室か病院行けよ! なんで教室でするわけ!? それも何度も!! アタシたちがいるのに!! わけわかんない!! ああ、もう限界っ!!!

あの時の自分の怒りは正当なものだったと、陽葵は今でも思っている。七海がどんな酷い目に遭わされていたとしても、陽葵が悪臭に悩まされていた事実は変わりないのだから。七海はそのことについては謝ってくれたし、自分ももう怒っていない。

一方で、その正当な怒りを発散させるために陽葵がやった行動には、正当さの欠片もなかった。机の中に悪口雑言を連ねたメモを毎日のように入れ、七海の教科書に油性ペンで「ウンコ女」と落書きした。グループL○NEでは思い付く限りの罵声を書き殴り、起きたことは誇張して、起きていないことも捏造して、ひたすら七海を陥れた。陽葵の属していた不良グループの主要メンバーは、隣のクラスの女子に対してかなり陰湿なイジメを行っていて、陽葵は正直ドン引きしていたのだが、そのやり方をできる限り真似た。災害事故で家族を失った可哀想な生徒ということで、表立ったイジメはこれまでしてこなかったが、このまま悪臭騒ぎが続けば、いつか不良グループにチクって七海を集団リンチにしてやろうと半ば本気で考えていた。そして11月のあの日、あまりの悪臭に陽葵は我慢ができなくなり、リンチのことも忘れてブチギレてしまったのであった。

悪いことをしてしまった。教室の中で繰り返しウンチを漏らすなんて、普通に考えたらあり得ないことだ。何か理由があるはず。本人に、どうしたの?って聞けばよかった。ママや担任の佐渡先生に相談すればよかった。なのにそんなことは一切しなかった。まさか七海が実の伯父に奴隷調教されて肛門拡張中だったなんて、そんなこと思いもしなかったし、七海は聞いても本当のことは絶対言わなかっただろうけど、それにしても、なんでアタシ周りに相談しなかったんだろう……。

その後は陽葵も七海と同じ境遇になり、同じように肛門拡張されてウンチの臭いをイヤというほど嗅がされてきた。そしてJSPFで七海と再会し、真実を知った時の衝撃を、陽葵は今でも忘れることができない。

でも七海は許してくれた。のみならず、こんなアタシと友達になってくれた。この狂った施設の中で数少ない味方。心置きなく話せる同学年の友人。命令されればレズプレイもやってしまう奴隷仲間。お姉さんに代わっていつまでもずっと一緒にいると誓い合った無二の親友。それ以上の……何か。陽葵の中で七海の存在はどんどん大きなものになっていた。

今朝もそうだ。命令されてのこととは言え、七海は陽葵が床の上にぶち撒けた汚物を口で片付けてくれた。 ……命令されなくても、オシッコまみれの身体を舐め清めるのをそっと手伝ってくれた。自分も辛くて仕方ないはずなのに、そんな顔など微塵も見せず、七海は淡々と助けてくれる。いつぞや檻に入れられた陽葵を糞便電流地獄から救い出してくれた時もそうだった。学校で酷いことをし続けた陽葵を助けて、助け続けて、それで恩着せがましくするわけでもなく、微かな、月のように淡い笑顔を向けてくれる七海。学校でのことを謝ると、気にしてないよといつも言ってくれる七海。ペニスバンドを着けて膣を突くと、甲高い喘ぎ声を弱々しく発しながら、切なすぎる表情でこっちを見上げてくる七海。地獄のような日々の中で、いつも一緒にいてくれる七海……!

……そっか、アタシ、七海のこと……

 

その時、外の風景を映していた窓が一斉に他の映像に切り替わった。場所は教室。冬服を着た生徒。1時間目の授業中。顔を真っ赤にして身を縮めている七海と、その隣でイラついている陽葵。あの日の1年A組だった。しかも前後左右や真上など、様々なアングルから撮られている。飯森が依頼し、堀田が隠し撮りしていた映像である。

それだけではない。モニタの一部には陽葵がグループL○NEに書いた文章が全て映し出されていた。見るに堪えない罵声の嵐。誤字や誤用も目立ち、書いた者の知性が窺い知れる。七海は当時グループLINEを敢えて見ないようにしていたので、見るのは初めてだった。

「やめてええええええええええっ!! 映しちゃだめえええええええええええっ!!!!」

陽葵が突如金切り声を上げた。そして窓に向かって突進し、ガラス面を拳で何度も叩く。だが、強化ガラスはびくともしない。直後、映像の中の陽葵が立ち上がって叫んだ。

『ああっ! もう耐えらんないっ! クサいのよウンコ女! いい加減にしてよっ!!』

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

陽葵はその場に崩折れ、両耳を手で塞ぎ、両目を固く閉ざして号泣した。映像の音声が聞こえなくなるよう、ひたすら大声で絶叫した。

玲香は動けなかった。なんて残酷なことをするんだろう。学校にいた頃の陽葵は確かに不良だったかもしれない。七海のことをイジメていたのかもしれない。でもとっくに改心したじゃないか。奴隷として頑張ってるじゃないか。無二の親友の前で、過去をほじくり返すようなことをして、何が楽しいんだろう。何が面白いんだろう。女教師役の玲香は教壇の上におり、男たちの顔が見えている。皆一様にニヤニヤとし、中にはペニスを扱いている者までいる始末。最低だ。玲香は男たちを心底軽蔑した。そして同時に陽葵のことを思い、彼女の所に駆け出そうとして、できなかった。勝手な行動を取ってしまったら、後が怖い。お仕置きが怖い。何をされるかわからない。だから動けない。 ……自分はなんて薄情な人間なんだろう。玲香は男たち以上に自分自身を軽蔑し、涙を流しながらその場に留まった。

今日子も動けなかった。今日子はシングルマザーだった。5年前に交通事故で夫を亡くし、以来女手一つで陽葵を育ててきた。だが、昇進して管理職になってからは、仕事が忙しくて家庭を顧みる余裕が無くなってしまった。高校に入った娘が不良グループに入ったことも、同級生をイジメていたことも全く知らなかった。罵詈雑言だらけのL○NEの文章。これを全て娘が書いたというのか。最愛の一人娘は、知らぬ間に人を平気で傷つける人間になっていたのだ。そのこと以上に、母親の自分がその事実を当時全く知らなかったことが何よりショックだった。なんて最悪な母親なんだろう。あまりにショックすぎて、今日子はその場にへたり込んでしまった。今すぐ娘と七海の所に駆け付けたい。七海に謝って、それ以上に娘に謝りたかった。なのに足が動かない。立てない。こんな時まで動けなくなるなんて、なんて不甲斐ない母親なんだろう、私は。今日子は自分自身に絶望し、涙を流しながらその場に留まった。

光希も動けなかった。檻に入れられている上に、ただでさえ少ない体力を午前中の輪姦で使い果たしてしまっていたからだ。だが光希は怒りに震えていた。陽葵は大切な妹の、たった1人の大切な大切な友達だ。自分のもう1人の妹とさえ思っている。そんな彼女に何故こんな惨いことをするのか。陽葵は過去を反省しているんだし、今更こんなことをしていったい何になるというのか。人には誰だって知られたくない過去がある。自分にもある。人犬ペロの浅ましい交尾映像を七海に見られた時は死ぬほど恥ずかしかった。過去を後悔し、自分を嫌悪した。でも、それで七海との関係が壊れることはなかった。七海はそんなことで姉を嫌いになるような人間ではないし、陽葵に対しても同じだろう。そのことを伝えたい。絶望の中でもがく陽葵の所に駆け付けて助言したい。大丈夫だよと。それができない自分自身に光希は怒り、涙を流しながらその場に留まった。

七海は動いた。ただ1人、動いた。迷いは一切なかった。その場を動くなとの命令は受けていない。そのことを冷静に、瞬時に判断した上で七海は、窓の下で座り込んで号泣する陽葵の元に駆け寄ると、自らもしゃがみ込んで正面から力いっぱい陽葵を抱き締めた。

「陽葵っ!」

「うああああああああんっ!! 七海ぃっ!! ごめんっ!! アタシのこと、嫌いにならないで!! うわああああああんっ!!!!」

「大丈夫だよ。私、全然気にしてないから」

「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさいっ!!」

「私こそごめんね? こんなに怒って、こんなに苦しんでたんだね。知らなかった。私の臭いのせいで苦しめちゃってごめんなさい」

「そっ そんなん七海のせいじゃないじゃん!!」

「うん。でも私が退学したのも陽葵のせいじゃないよ」

「アタシのせいじゃん!! アタシが不良グループとツルんでるの、クラスのみんな、知ってたし! そのアタシがL○NEで七海のことボロッカスに書いてたのも、みんな知ってたし! だからみんな巻き込まれたくなくて黙ってたんだよ! アタシがバカなマネしなかったら、クラスの誰かが佐渡先生に相談して、そしたら七海が伯父さんにヒドいことされてるってこともバレて、七海は解放されて、そしたらきっと私もママも奴隷になることはなくって…… 全部、全部、アタシのせいじゃんか!!!」

「なるほどー。そんなこと考えたことなかったよ、私。陽葵、頭いいね」

「ふざけないで!!」

「ふざけてないよ。でも、こんなに沢山のカメラで隠し撮りされてたんだよ? 堀田理事長1人じゃ多分無理だよ…… きっとあの学園には他にもこの施設の関係者がいたんだと思う。 ……佐渡先生とか」

「なっ!!?」

「ありえない話じゃないよ。私は高1の夏休みにご主人様の奴隷になったの。多分準備はそれよりうんと前からしてたんだろうし、理事長とも相談してたんだと思う。だとしたら理事長はきっと「そういう人」を1-Aのクラス担任にするんじゃないないかな。私のことを見張るために……」

「…………」

「推測だけどね。でも、だとしたら、クラスメイトの誰かが佐渡先生に相談しても、ウヤムヤにされちゃってたと思う。それどころか、そのクラスメイトだってどうなってたか……」

「…………」

「だからね? 全然陽葵のせいじゃないよ。ね?」

「七海ぃ……」

「大丈夫。陽葵はたった1人のお友達だもん。こんなことで嫌いになんかなったりしないよ。だから泣かないで?」

「七海ぃっ!!」

「ええっ!!? ちょっ!! うぷっ!!」

「ちゅっ!! ちゅぷ!! 七海!! 七海!!」

「く、苦しいよぉ! 陽葵ぃ!」

「七海、好き! 大好き! 愛してるっ!!」

「えええっ!!?」

 

IV:奴隷200日目 – 午後(2)

 

……飯森はほくそ笑んでいた。またしても計画通りに行った。光希に代わる七海の人質役は娘の美海としていたのだが、人質役は多いに越したことはない。美海は片言も喋れぬ乳飲み子だし、姉を失って傷心の七海を言葉で慰める存在がいた方が良い。玲香でも良いが、同年代の方が尚良いだろう。そこで七海と陽葵の仲をより強固なものにするために、堀田と相談の上で一計を案じたのだが、どうやら上手くいったようだ。

それにしても、七海はどこまで賢いのだろう。佐渡は確かにJSPFの関係者だ。彼女は清隷女学園の教師を務めながら、堀田の下で様々な雑務を行っていた。七海の推測通り、飯森の相談を受けた堀田は、佐渡を1-Aの担任に任じて、特に2学期以降、七海を常に監視させていたのである。

七海はどこまで見抜いているのだろう。実は佐渡は、アイマスクとウィッグで変装した上で、保護者役に扮して自分と堀田の間に立っている。それは七海もよく知っている顔のはずだ。なにせ、奴隷9日目に初めて七海を指名して以降、度々指名してはボロボロになるまで七海を痛めつけ、公開出産ショーの際には助産婦として七海の妊婦腹に鞭を打ち込んだ、あのサディスティンなのだから。

あのサディスティンが担任の佐渡先生であると、七海は気づいているのだろうか。見た目と口調は別人、同じなのは声と体格だけであるが……。それはわからないが、憶測だけでここまでの真実に迫る七海には飯森も脱帽だ。 ……飯森が佐渡の方を見やると、佐渡も飯森の方を見、堀田もそれに気づいて皆でニヤリと笑った。

 

「ちょ…… 陽葵! 待ってっ!」

「七海…… ちゅ…… 七海ぃ…… 大好きぃ♥」

陽葵は感極まってしまって周りが見えていないのか、七海とのキスを続けながら臍出し状態の制服の中に手を入れ、七海の乳房を揉み始めた。

「待ってってばっ! 大勢に見られてるんだよ? それに許可を…… ご主人様の許可を取らないと」

「いいぞ、好きにしろ。ただし衆人環視の中で、だ。撮影もするからな?」

飯森がそういうと、窓の映像が再び一斉に切り替わった。七海と陽葵のドアップだ。複数のモニターを繋ぎ合わせて実物の10倍の拡大映像をリアルタイムで映し出しているらしい。

「うわっ! 何これっ!?」

「最新の16K超高精細カメラと大型モニターだ。 ……これだけで数千万だぞ」

「いや、そういうことじゃなくって!」

「ふふっ…… 愛のあるセックスは初めてだろう? たっぷり楽しめ、七海」

「ううっ…… ご主人様ぁ……」

「場所は、そうだなぁ。教壇の辺りがいいだろう。玲香、頼む」

「……はい」

玲香は教壇を教室の隅に引きずっていくと、教室中央前寄りに座っていた男たちに立ってもらって、空いた机を3×3の長方形に隙間なく並べ、簡易ステージを作っていった。飯森の指示に従って作業を進めながら、玲香の心境は複雑だった。

玲香がお仕置きを恐れて動けない中、七海は躊躇なく陽葵の元に駆け寄った。今にも壊れてしまいそうだった陽葵を抱き締め、説き伏せ、立ち直らせて、最後には愛の告白までさせてしまった。近頃の2人の関係は友達以上なような気がしていたから、告白については正直驚かなかったが、主人の命令に逆らわない範囲で自由に動き、あっという間に友人を窮地から救ってしまった七海の勇気と機転と行動力にはただただ驚嘆するばかりだ。なんて…… なんてすごい娘なんだろう。そして思った。全力で守らなくちゃ、この若いカップルを。

光希は自分を恥じていた。先程は動けない自分に腹を立てたが、それは心の底では妹を信じていなかったということの表れではないか。妹はひ弱で人見知りで頼りないから自分が陽葵を説得したいのに、それができない自分が情けなくて腹が立った…… そんな想いが心の片隅にあったのではないか。妹は、もう以前の妹じゃない。ただ優しいだけの弱々しい少女じゃない。それでいて姉みたいに無鉄砲でもない。まるで亡き父のような強さと亡き母のような賢さを持っている。でもその根底には以前のままの優しい七海がいる。いつの間にこんな素敵な女性になっていたんだろう。光希は涙を流した。嬉しさ半分、そんな七海ともうすぐ永遠に別れなければならない悲しさ半分……。

今日子はひたすら七海に感謝していた。今日子が動けない中、猛然と駆け出して娘を絶望の渦から救い上げてくれた。本当に、感謝してもしきれない。七海の説得を今日子も聞いていた。もし自分の足が動いて娘の元に駆け付け、抱き締めることができていたとしても、あんなことはとても言えなかっただろう。最愛の娘の強く賢く優しい友達、否、恋人。今日子は元々LGBTQには全く興味がなく、それどころか嫌悪さえしていたのだが、娘にこんなにも素敵な恋人ができたことが嬉しくて仕方なかった。そして思った。2人が過去を克服したのだから、自分もいつまでも過去を引きずっていては駄目だ。それではいつまで経っても母親失格のままだ。今からでも理想の母親を目指さなくては。奴隷の娘に相応しい母親を。

ステージの用意が整うと、2人はほぼ同時にステージに上り、そして制服を着たまま再びキスを始めた。

「七海…… 好きだよ…… んちゅ♥」

「陽葵…… ちゅぷ」

陽葵と再会した日の夜に友達になった時は、単なる「友達」だった。だが、過酷な調教を一緒に受けたり、レズプレイを命じられたりするうちに、肉体だけでなく心の親密度はどんどん増していった。そしてあの日。姉の寿命を聞かされてパニックになった七海を慰め、ずっと一緒にいるよと言ってくれた時、その感情は初めて明確に七海の中に宿った。恋愛経験のない七海にはそれがどういうものかよくわからなかったが、その感情は日に日に大きくなっていった。今日の午前中も、今さっきも、陽葵を助けたのは正義感からじゃない。そんなんじゃない。そんなんじゃなくって…… 好きだから。大好きだから! 愛してるから!!

「うん…… 私も好きだよ…… 陽葵……」

目を潤ませながら顔を真っ赤に赤らめ、微かな笑みを浮かべて小さな声で愛を囁いた。その瞬間、感情が膨らみ、弾け、溢れた。愛する人を力いっぱい抱き締め、今度は大きな声で言った。

「陽葵っ! 大好きっ!!」

「七海ぃっ!!」

陽葵は天にも昇る思いだった。感激のあまり涙が溢れて視界がぼやけ、七海の顔が歪んでしまう。でも止まらない。今朝から苦しみと絶望の涙を流し続けてきたというのに、歓喜の涙は涸れることなく溢れ続ける。嬉しすぎて、奴隷とか、衆人環視とか、そんなことどうでもよくなる。七海! 七海!! 七海っ!!!

熱烈なキスが始まった。唇を合わせて舌を重ね、唾液を交換する。奴隷になってから何百回も何千回もやらされてきた行為。なのに相手が愛する人だとこんなにも幸せな気持ちになれるのか。2人は夢中になってキスを貪り、幸福のあまり軽く絶頂してしまった。

そのまま両手で互いの身体を弄り合っていく。最初は制服の上から。次に手を制服の中に入れて。でも服は脱がない。脱ぎたくない。裸は奴隷の正装だ。だから、せめて服を着せてもらっている今だけでも自分から裸になりたくない。裸になってしまえば奴隷同士の単なるレズセックス、服を着ていれば人間的な愛の営み。そんな気がする。

2人は制服の上着をたくし上げて互いの胸を愛撫し、次いで口で舐め始めた。陽葵は、肥大化した七海の乳首を口に含んで思いっきり母乳を吸いたかったが、七海の母乳を飲んでいいのは美海と男たちだけと決まっているのでさすがに自重し、乳房、肋骨、腹、臍と徐々に下半身へと舐め進めた。

そしてスカートをたくし上げた瞬間、陽葵はあの臭いを嗅いだ。否、これまでも常に臭っていたのだが、感激と興奮のあまり気づかなかったのだ。そしてスカートの中の濃厚な臭気を嗅いで、ようやく気づいたというわけである。スカートの中、ショーツは既に大量の下痢便で茶色く染まっていた。

「いやぁ…… 恥ずかしいからめくらないで…… 陽葵ぃ……」

「…………だぁめ♥」

「うぅぅ……」

「大丈夫。アタシが綺麗にしてあげるね?」

そう言うと、陽葵は一気にショーツをずり下ろした。肛門周辺から下半身全体に広がる汚らしい光景。圧倒的な悪臭。あの日も、七海のスカートの中はこんなことになってたんだと思うと、堪らなかった。そりゃ臭かったわけだ。でも不思議と嫌悪を感じない。微塵も感じない。 ……綺麗にしてあげたい。あの日の贖罪というわけじゃない。ただ綺麗にしてあげたいだけ。愛しい人の汚れた股間を舐めて綺麗にしてあげたいだけ。それが愛ゆえの欲求なのか、奴隷的奉仕精神の表れなのかは陽葵にもわからない。 ……陽葵は大きく深呼吸すると、七海の下半身に顔を埋めた。

「ちゅっ…… じゅるる…… れろっ…… ごくんっ」

陽葵はいきなり汚れの中心、肛門に唇を重ねてキスをすると、舌を動かして周辺の糞便を舐め取り、飲み込んでいく。

「げほっ! げほっ! げほっ!」

激しく咳き込む陽葵。

「陽葵っ! 大丈夫っ!?」

「けほっ! ずちゅううっ! うげっ! ぢゅるるっ! うぷ!」

陽葵はまだまだ食糞が苦手だ。味も臭いも食感も喉越しも何もかも苦手。愛する人の汚物なら美味しく感じるんじゃないかと淡い期待を抱いていたのだが、そんなわけもない。堀田や飯森と全く同じ、不快極まる最低最悪の味。1口ごとに激しく噎せ返り、吐き戻しそうになるが、それでも陽葵は汚物を食べ続けた。意識せずとも口を開け、クチャクチャと汚らしい咀嚼音をわざと発しながら、夢中で貪り続けた。

やがて七海の身体に付着した汚物を全て舐め尽くすと、陽葵は七海の肛門に刺さっている円筒形の栓を抜いた。元の色も形状もわからないほど大量の糞便がこびりついていたが、陽葵は意を決して肛門栓を口に含むと、歯で汚物をこそげ落として飲み込んでいった。肛門周辺にこびりついていたモノよりも新鮮な分、味も臭いもさらに強烈だったが、陽葵は泣きながら栓を掃除していった。

「もういいよ、陽葵。あとは私がやるから……」

「ううん。アタシにやらせて? ね? お願い…… 七海のウンチ、全部アタシにちょーだい……」

「えっ…… 全部って……」

「うん。お腹ん中に溜め込んでるのも全部」

「いいよ、そんなの。だってすごい量だよ?」

「うん、わかってる。アタシの口に全部出して? 口便器に、して?」

「うぅぅ…… そんなぁ……」

「七海のウンチ、食べたいの。不味くてもいいから」

「だって…… ザーメン混じりの下痢便だよ? めちゃくちゃマズいよ?」

「いいの、なんでも。お願い、七海!」

「ああ、もう…… わかったから……」

「ありがと。あぁぁぁぁぁっ…………」

陽葵は仰向けのまま目を閉じ、口を大きく開けて待機している。ここに出して欲しいということだろう。

一本糞のような硬い便であれば口の中に狙いを定めることもできるが、下痢便の場合は広範囲に撒き散らしてしまう。七海は陽葵の口の真上でしゃがみ込むと、制服をなるべく汚さないよう、陽葵の唇に自身の肛門を密着させて括約筋を緩めた。

「いくよっ!」

「うんっ!」

ブビビビビビビビビビビビ!!!!

下痢便が勢いよく陽葵の口の中に入っていく。その量は、陽葵の口内の容積よりも遥かに多く、溢れた下痢便が陽葵の口元から顔全体へと広がり、鼻の穴を覆っていく。

「うぶうううううううううっ!!!!!!!!」

ちょ…… くっさ! まっず! なにこの量! こんな多いの!? 口ん中パンパン…… こんなんどうやって飲み込んだらいいの? ダメ! 口ふさがってるから鼻でしか息できない! 鼻ん中にもウンチ入ってきてる! くさい! くさすぎ! こんなん無理! 無理ぃっ!!

「陽葵っ! ごめんっ!」

こんなに沢山出るとは思っていなかった。七海は急いで体勢を変えると、下痢便で覆われた陽葵の鼻に迷うことなく口を付けた。鼻の穴周辺の下痢便を舌で全て掬い取ると、鼻の穴に舌を入れて、鼻クソごと汚物を掻き出して全部飲み込む。次に首の方に流れた分を全て舌で掃除していく。なんとか制服は汚れずに済んだようだ。さらに顔に広がった分を全て処理する。

続いて、唇を尖らせて陽葵の口の中に入れ、並々と溜まった下痢便を、下品な音を立ててバキュームしていく。しばらくして、ようやく口を閉じることができる程度に下痢便が減ってくると、陽葵は口を閉じた。全部七海にやらせるわけにはいかない。アタシが食べるって言ったんだから。めっちゃニガくてマズいけど。やらなきゃ! ……陽葵は目を固く瞑り、強烈な吐き気と戦いながら、なんとか少しずつ下痢便を飲み下していった。

数分かけて全ての下痢便を胃袋に送り終えると、陽葵はゆっくりと目を開け、咳込みながら七海に向かって言った。

「げほっ! うげぇ…… こほっ! ……きっつ」

「ごめん。思ったよりたくさん溜まってたみたい……」

「うん。ビックリした」

「あぅぅぅ…… ごめん……」

「謝んなくていいよ。それより、手伝ってくれてありがと」

「うん」

「でも、アタシ頑張るよ。そのうち全部飲み込んであげる」

「陽葵……」

「そのかわりさ…… 今度アタシのも、飲んでね?」

「いいよ」

「即答!? さっすが!」

「……バカ」

「ははっ♬ それよりさ。身体もキレイになったし、今度は気持ちよくならない?」

「うん」

2人はシックスナインで互いの膣を愛撫し合うと、続いて双頭ディルドーを互いの膣に挿入し合って貝合わせの体勢で優しく腰を振り合った。

「ああん♥ 七海っ♥ んあっ♥ 気持ちい? 七海ぃ♥」

「ああっ♥ 気持ちいぃよ♥ 陽葵っ♥ あひぃっ♥」

なんて優しい快感なんだろう。暴力的なレイプも確かに気持ちいいけど、なんだろう、この満たされた感じ。愛のあるセックスってこんなにも素敵なものだったんだ。おねえちゃんや玲香さんと交わった時にも、陽葵とこれまでに交わった時も、こんな気持ちになったことはなかった。ディルドーの先端が膣壁とこすれあって気持ちがいいとか、そんな次元ではなく、2人の身体が溶け合ってしまったような、ふわふわとした優しい幸福感。なんて…… なんて気持ちいいんだろう。なんてしあわせなんだろう。

陽葵は涙が出るほど嬉しかった。先程から七海が、これまでに見たこともないほど幸せそうな表情を浮かべていた。あの儚げで切なげで蠱惑的な表情ではなく、恋人と溶け合って幸せの絶頂にいるといった感じの、なんとも満ち足りた表情。七海がこんな素敵な表情を見せてくれたことが、陽葵のことを奴隷仲間でなく恋人だと思ってくれていることの証のような気がして、陽葵もまた幸せの表情になり、2人はそのまま優しく穏やかな絶頂に包まれた。

モニターに10倍ズームで映された七海と陽葵の幸せに満ちた表情を見て、光希も玲香も今日子も涙を流していた。この地獄の中で、2人がこんなにも素敵な顔を見せてくれたことが、心の底から嬉しかった。

一方、飯森は虫酸が走っていた。七海が飯森に対してこんな顔を見せたら、飯森は七海を即刻JSPFに売り飛ばすだろう。主人と奴隷の関係とは、あくまで主従であって恋愛ではない。七海が光希の死を乗り越えるために、陽葵との絆をより強固なものにする。そのためには当人同士が恋人になるのがてっとり早いので、例によって堀田と協議の上で、陽葵イジメを兼ねたこのようなショーを企画したわけだが、それにしても反吐が出る。2人の仲が深まりすぎて奴隷であることを忘れてしまっては本末転倒であるし、ここはしっかりと釘を刺しておくべきだろう。飯森は全裸になると、堀田とともにステージに上がって幸せの絶頂にいる奴隷どもに話しかけた。

 

「七海」

「…………」

夢のように幸せな時間を過ごしていた七海は、薄汚い声で現実に引き戻された。そうだよね。今は調教中なんだし、こんな幸せなこと、いつまでも続くわけないよね。わかってはいるけど…… 何も今、このタイミングで出てくることないじゃない。 ……最低。

「はい」

「随分とご満悦のようだが、今がどういう時間か忘れてはいないだろうな?」

「はい」

「他の奴隷とどういう関係になろうと構わんが、お前はどういう存在なんだ? 改めて言ってみろ」

「…………」(はぁぁぁぁ…………)

そんなのわかってる。心の中で深い溜息をつくと、七海は速やかに奴隷に戻った。奴隷の正装は裸に首輪のみ。七海は衆人環視の下、命令されずとも制服を脱いでいく。全く恥ずかしくない。服を着るのが恥ずかしくて、脱ぐのが恥ずかしくないなんて、自分が最低の存在に、心の底から奴隷になってしまった気がして悲しかった。制服を脱いでしまえば、ブラは着けていないし、糞便まみれのショーツは床に転がっているから、いつもどおりの全裸だ。ただただ残念だった。もう少しだけ人間でいたかった。恋する少女でいたかった。はぁぁ…… 最低。

七海は心の中で短く毒づくと、飯森の足元に土下座した。陽葵も、後ろ髪を引かれる思いで制服を脱ぎ、堀田の前にひれ伏す。そう、私たちは恋人である前に奴隷。ご主人様に、お客様に奉仕するのが最優先。ご主人様を怒らせちゃダメ。陽葵と別れさせられちゃうかもしれない。そんなのイヤ。絶対にイヤ!

「私はご主人様の、飯森則夫様の奴隷です。所有物です。ご主人様にご奉仕し、皆様にご奉仕するためだけの存在です」

「うむ。忘れるなよ? 忘れずにいる限り、陽葵との関係は許してやろう」

「あ…… ありがとうございます、ご主人様っ!」

「七海。陽葵も。ちょっと来い。向かい合って鼻と鼻を密着させろ」

「……はい」

「??」

七海と陽葵は、これから何をさせられるのかと不安になりつつ、言われるままに向かい合った。顔と顔を近づけ、鼻同士を触れ合わせる。 ……もう一度キスしたいな。七海はぼんやりと思った。

飯森は2人の鼻に穿たれた鼻輪同士を小さな金属のリングで繋いだ。鼻と鼻の距離は3cm程度。ちょっとでも動くと鼻輪が引っ張られて痛い。

「さあ準備できたぞ? 今日はお前たち2人で我々に奉仕しろ。その状態でな」

「……わかりました」

「マ、マジ……?」

七海と陽葵は、互いの鼻が繋がったまま、身をかがめて尻を突き出すと、互いの手をしっかりと握り締めた。互いの顔が間近にある。2人とも頬が紅潮し、目が潤んでいる。これから行われる調教に対する不安と期待で、マゾの血が騒いでいるのだ。七海は例の妖艶な顔、陽葵も興奮しきって歪んだ顔を、それぞれ愛する者に晒しながら、飯森と堀田に向かって口上を行った。

「どうぞ犯してください、ご主人様。私たちで事前に濡らしておきましたので…… もう準備万端です。グチョグチョのおまんこにご主人様のおちんぽを突っ込んで、メチャクチャに掻き回して、ザーメン、たっぷり出してください。2人目の赤ちゃん、孕ませてください……」

「アタシにも堀田様のおちんぽください。おまんこで精いっぱいご奉仕しますので。お願いします……」

そこにいるのはもはや恋する乙女でなく、2匹の卑しいメス奴隷だった。

「ああっ! いつっ! ああんっ! 痛いっ!」

「うぐっ! あんっ! いたっ! んああっ!」

奉仕が始まった。鼻を繋がれながら猛烈なピストンで膣を犯される2人。窓にはあらゆる角度からのライブ映像が映され、教室内のボルテージは急速に上がっていく。ピストンのたびに鼻が引っ張られて痛い。すごく痛い。飯森と堀田は、鼻同士が不規則に引っ張られるように、わざとピストンのタイミングをずらして責めていく。

強い刺激故か、2人の鼻粘膜からは大量の鼻水が分泌され、鼻周辺はドロドロ。口にまで大量の鼻水が流れ込んでいく。鼻の痛みと、鼻中隔(=2つの鼻の穴の間にある仕切り壁)が千切れてしまうのではないかという不安にゾクゾクし、鼻水と涙を撒き散らして快楽を貪るマゾの2人。

興奮した男の1人がステージに上がって、鼻の下のドロドロにペニスをこすり付けると、2人に舐め取るよう命じた。2人は不規則な動きに翻弄されながらも、ペニスに付いた鼻水を下品な音を立てながら舐め啜っていく。しょっぱい。涙と同じ液体だとわかっていても、鼻水には汚いというイメージがどうしてもある。だが、愛する者の汚物を舐めるという行為が、先程の食糞を思い起こさせ、レズプレイの興奮が蘇ってくる。

「陽葵…… じゅぞぞ! べちゃべちゃっ! 陽葵っ!」

「ぶちゃっ! 七海っ! ずずずずずずっ! 七海っ!」

熱の籠もった声で互いの名を呼び、鼻水を啜りながら膣穴の快楽に酔いしれる七海と陽葵。気持ちいい。メチャクチャ気持ちいい! 2人はあっという間に快楽の階段を登り詰めていく。

「イくっ! もうダメ! イっちゃううううっ!!」

「ひぐううううううううううううううっ!!!!」

2人はほぼ同時に達したが、その間も飯森と堀田はピストンを止めないし、2人も口奉仕を止めない。奉仕を休んで絶頂の快楽に浸るなんてことがあれば奴隷失格、厳しいお仕置きが待っている。その辺りは七海も陽葵も心得ていて、絶頂の激しい快楽に包まれながらも膣を強く締め、ペニスをさらに激しく舐め回すのだった。

やがて飯森たちも限界に達し、5人は同時に絶頂した。足がガクガクと震える。飯森たちが離れた後、2人は膝を折ってその場に倒れ込みそうになったが、倒れた際に鼻が強く引っ張られて千切れてしまうのが怖くて、なんとか堪えた。そして、逆に鼻と鼻を0cmまで近づけ、鼻水と涎と精液でグチャグチャになっている互いの口を合わせると、下品な音を立てて熱いディープキスを開始。すぐに次の男たちがステージに上って、2人の肛門に剛棒をねじ込んだ。

 

40分後、鼻輪同士を結ぶリングがようやく外された。既に膣にも肛門にも無数の精子が放たれ、2人も10回以上絶頂を迎えていたが、奉仕はまだ始まったばかりである。

自由度が増した2人を男たちが取り囲んでいく。膣、肛門、口、胸、手、腋、足、その他身体のありとあらゆる部位を弄ばれる2人。もうわけのわからない状況で、レズプレイの時の優しく穏やかな幸福感とは真逆の、嵐のように暴力的な快楽が2人を襲っていたが、2人は快楽に身を任せることなく舌を動かし、手を動かし、膣と肛門を締め、疲れた身体に鞭打って男たちに奉仕していった。そう。何でもやらなきゃ。私たちは奴隷なんだから。愛する人とずっと一緒にいるために、何だってやらなきゃ!

あまりにも大人数がステージという名の机の上に殺到したため、玲香は安全のためにステージを解体し、今日子とともに教室内の机を全て後ろに移動させた。床の上で引き続きもみくちゃにされる七海と陽葵。だが2人で相手にできる人数には限りがあるため、順番待ちしている男たちは、手近な9個のオナホールで性欲処理をし始めた。特に光希は既に体力の限界だったが、七海と陽葵の負担を少しでも軽くするために、最後の力を振り絞って己に開いた3つの穴でペニスに奉仕するのだった。

男たち全員が七海と陽葵の穴を使い終えると、2人はレズプレイを強制された。男たちは、2人をシックスナインの体勢にして、互いのドロドロの膣穴やクリトリス(クリペニス)を舌で舐めさせながら、2人の肛門にペニスをぶち込んで激しく犯しまくった。ある者はそのまま肛門内で射精し、奴隷たちに互いの肛門に舌を突っ込ませて茶色く濁った精液を掻き出すよう命令し、ある者は射精直前にペニスをもう片方の口に中にぶち込んで喉奥で射精し、糞カスにまみれたちんぽを舌で清めるよう命令した。掃除の終わった膣穴には再びペニスが挿入されて、すぐに白濁液で満たされた。やがて性器の締まりがなくなってくると、男たちは2人の首を絞めたり、身体じゅうに鞭を打ったりして締めさせた。それでも締まらなくなってくると、拳を膣と肛門にぶち込んでWフィストが始まり、2人は狂ったように泣き叫びながら、それでも絶頂して潮を撒き散らした。

調教終了の午後5時を迎えた時には、2人は午前中以上に真っ白に染まり、折り重なるように倒れて失神していた。光希もまた失神し、今日子も失神寸前。美海をあやしたり、ダイニングや奴隷用トイレなどを清掃したりするため、度々教室を抜け出していた玲香だけが正常な意識を保っていたが、やはり身体じゅう精液まみれだった。

飯森は、今日はこのままここで夕食を摂るよう玲香に言い、食べ方を伝えると、玲香に流動食のパックを4つ渡した。玲香はもはや呆れ返る気力もなく、光希を除く失神中、または失神寸前の3人の所に行き、精液まみれの身体の上に流動食をぶち撒けて身体じゅうに塗りたくっていった。そして最後に自分の身体にも流動食を塗ると、3人を起こした。七海と陽葵。玲香と今日子。互いの身体に付着した流動食と精液を舌で舐め取って飲み込んでいく。もう味なんてしない。途中で舐める相手を変えながら、4人は黙々と舌を動かし続けたのだった。

一方、光希は裏沢によって失神したままキャリーケースに放り込まれ、メス犬区画の9号室へ戻る前に医務室へと運ばれた。本来なら、夕食はこの後、9号室で雑用係が用意した流動食を食べることになるのだが、恐らくもう飲み込む体力も残っていないだろう。失神したまま栄養剤の点滴を受けた後、失神したまま9号室へと運ばれると、光希は明日の朝まで白濁まみれのまま死んだように眠り続けた。体重は朝より0.5kg減っていた。 ……光希の最期の時は、刻一刻と近づいていた。

 

V:奴隷200日目 – 夜

 

4人の奴隷はどうにか夕食を終えると、重い身体を引きずって教室を出、シャワーを浴びて汚れを落とした。19時からは1回50分の少人数調教である。

 

1人目は白髪交じりの男で、七海単独でのご指名だった。場所は和室。七海は紅白の巫女服を着せられた上で、胸だけをはだけた状態で雁字搦めに縛られ、エビ反りの体勢で天井から吊るされた。さらに紅白の蝋が胸に垂らされ、鞭で全身メッタ打ちにされる。元々身体の硬い七海にとっては地獄の苦しみで、今朝から輪姦されっ放しだった七海は、一転して苦痛に泣き叫んだ。マゾの身体が苦痛の一部を快楽に変換していくが、朝からイき続けて疲労の極みにある七海にとって快楽はもはや苦行でしかなく、七海は2種類の苦しみにひたすら耐え続けた。

その頃、玲香は教室の後始末に追われ、ペアで指名された仁科母娘は20代の巨漢の男の相手をしていた。男は母娘でのレズプレイを要求し、陽葵は七海との絡みで味わった興奮とは別種の興奮を感じながら、実の母と唇を重ね、互いの性器を舐め合った。男はさらにフィストレズをするよう命令する。娘は自分が産まれてきた穴に自らの拳を突っ込んで激しく掻き回し、母は娘の前で絶叫しながら痴態を晒し続けた末に盛大に潮を吹き、娘の腕をビショビショに濡らした。続いて、緩んだ膣を男の巨根に貫かれながら、母が娘の肛門に拳をねじ込み、娘は狂ったように喘ぎまくった末、母と同じように潮を吹いて果てた。さらに男は緩んだ娘の肛門にも巨根を突っ込み、最後は母娘の顔に精液をぶっかけると、娘の糞カスの付いた巨根を母に舐め清めさせて帰っていった。

 

2人目は中年の男で、七海と玲香を指名した。場所は拷問室。男は2人それぞれに鞭を持たせ、立ったまま互いを打ち合えと命じた。2人とも、S役を命じられたことはこれまでに何度もあったが、互いに打ち合うなどというのは初めての経験だった。七海が鞭を振るうと玲香が硬直し、玲香が鞭を振るうと七海が硬直する。最初はそんなふうに交互に鞭を打っていたのだが、そうではない、同時にやれと男に言われ、七海は玲香をメッタ打ちにしながら玲香にメッタ打ちにされた。痛い。痛くて立っていられない。でも鞭を振るうためには足に力を入れて踏ん張らねばならない。するとその足に鞭が飛んでくる。見れば男も鞭を持っており、主に2人の足に鞭を浴びせていたのだ。2人は1箇所に留まることすらできず、無様なダンスを踊りながら互いの鞭を浴び、互いに鞭を浴びせた。ただでさえ疲労の極みにあるというのに、2人は数十分間も被虐のダンスを踊り続け、後半は足腰が立たなくなって倒れ込んだところにさらに男の鞭を受けた。男は真っ赤に腫れ上がった2人の身体の上に精液をぶっかけ、ついでに小便をひっかけて帰っていった。

陽葵と今日子はまたもペアで指名された。今度は男たちも2名である。773号室では七海がダントツの人気を誇るが、親子丼もかなりの人気らしい。陽葵はノーブラノーパンの上に例の制服、今日子まで何故か同じ清隷女学園の制服を着るよう命じられた。そして、後ろ手に縛られた状態で1つの三角木馬に互いに向かい合うような格好で跨がされ、足にはそれぞれ重さ10kgの鉄球の付いた足枷が嵌められた。さらに、制服をたくし上げて胸を露出させ、互いの乳首ピアス同士を小さなリングで結ぶと、男たちはその状態で蝋燭と鞭を母娘の身体に浴びせた。母娘は泣き叫びながら身体を激しく動かし、そのたびに股間と胸を激痛が襲った。マゾの母娘はこんな状態でも苦痛を快楽に変換し、互いに身を乗り出して母娘でキスしながら絶頂した。面白がった男たちは、母娘をM字開脚の状態で抱き合わせて、互いにキスした状態で上半身を縛り上げて天井から吊るし、再び乳首をリングで連結した。そして膣穴同士を双頭ティルドーで繋ぐと、母娘の肛門を猛然と犯し始めた。痛くて気持ち良くてもうわけがわからなかった。母娘は涎と涙と鼻水で顔じゅうドロドロになりながら、互いの口内を夢中になって貪り、互いに「ママ」「陽葵」と呼び合いながら何度も何度も果てた。最後は、母の糞カスの付いたペニスを娘が、娘の糞カスの付いたペニスを母が、それぞれフェラ掃除して終わった。

 

3人目も中年の男で、七海を単独指名した。場所は客用トイレの中にある和式個室だった。七海は鍵の開いた状態のドアを通って客用トイレに入り、指定された個室のドアを開けた。飯森よりもさらに薄汚い中年太りの冴えない小男がしゃがみ込んでいて、七海に背を向けたまま和式便器に向かって脱糞しているところだった。七海は咄嗟に場所を間違えたと思い、男に謝りながら慌ててドアを閉めようとしたが、男に「入れ、七海」と言われて、悪臭漂う狭い個室内に入った。男は半立ちの体勢になると、肛門を綺麗にするよう七海に言って尻を突き出し、七海は跪いて、黒ずんだ毛むくじゃらの肛門を舐め、舌で肛門をほじくって糞便の残りカスを掻き出した。次いで大便器の中も綺麗にするよう男が命じる。七海は「はい」と感情のない声で短く答えると、床に這いつくばって和式便器の中に顔を埋め、30cm近い巨大な一本糞を食べていった。もういいや。輪姦や鞭打ちに比べればラクだし。次はどうせ便器の底に溜まってるオレンジ色のオシッコを全部飲めって言うんでしょ? ……最低。七海は男に言われるままに小便を飲み干し、和式便器をピカピカになるまで舌で磨いた。男は汚れた七海の顔をベロベロに舐め、鼻の穴にまで舌を突っ込んで悪臭漂う唾液まみれにすると、これまた悪臭漂う包茎ペニスを七海の口に突っ込んでイラマチオを始めた。巨根ではないので息苦しさはないが、皮の中に溜まっていた大量のチンカスが、皮がめくれるとともに口の中いっぱいに溢れ、得も言われぬ不快な味と臭いを撒き散らしていく。七海は全身鳥肌になりながらもチンカスを飲み込み、激しいピストンに合わせて唇から喉までを全て使ってペニスに奉仕していく。やがて射精に至ると、男は再び七海を四つん這いにさせて頭を便器の中にぶち込み、便器の水を流しながら肛門を犯しまくった。中出しした後、男は七海にペニスを掃除させようとしたが、便器の中でもがく七海の口に入れても掃除どころか逆効果であると気付き、ペニスに付いた汚れをトイレットペーパーで拭き取ると、七海の口に押し込んで帰っていった。

玲香は、ぐずりだした美海をあやしつつ、和室と拷問室の清掃を行ったが、清掃中に男2人にレイプされた。男たちは射精直前にペニスを引き抜くと、玲香が持っていた掃除用の雑巾…… 拷問室の床の上に飛び散っていた精液や尿をたっぷりと吸ったそれの上に精液を撒き散らし、雑巾を綺麗にするよう命令した。玲香は雑巾を床の上で絞ると、床の上にこぼれた汚液を這いつくばって舐め取っていった。

陽葵と今日子はそれぞれ複数人に単独指名され、内容は陽葵が針責め+3P、今日子が水責め+4Pであった。母娘ともに朝に摂取した薬物の効果が切れかけており、前日からほぼ不眠不休であるため、疲労と眠気でもうフラフラの状態だったのだが、それでもなんとかお仕置きされることなく50分を耐え切った。

 

そして、4人目。相手は七海と陽葵をご指名だった。2人は22時少し前に指定された扉を開いた。中はJSPFの一般的な調教室と同じ間取りで、赤いボンデージに身を包んでアイマスクを着けた例のサディスティンが足を組んでベッドの端に座っていた。

「ひっ……!」

陽葵は小さく悲鳴を上げた。陽葵はこのサディスティンに指名されたことは未だなかったが、他のサディスティンの指名は何度か受けていたため、サディスティンの多くが男たち以上に苛烈な虐待を加えてくることを知っている。もう身体は限界なのに、これからさらに酷い目に遭うのかと思うと、陽葵は軽い目眩に襲われ、その場に倒れそうになった。

「…………」

七海は全く別のことを考えていた。やっぱり……そうだったんだ。

「佐渡先生…… ですよね?」

「…………へぇ。よくわかったわね」

サディスティン、否、佐渡はアイマスクとウィッグを外した。見慣れた顔がそこにあった。

「…………え? えええっ!? マジぃっ!!?」

陽葵は一瞬ポカンとし、それから驚愕の声を上げた。眠気が一気に消し飛んだ。

「いつ気づいたの?」

「さっき、教室で、です。教室の後ろにいましたよね」

「そうね」

「私、さっき陽葵と、佐渡先生はグルなんじゃないかって話をしてた時に、あなたがご主人様と堀田様の間にいることに気づいたんです。そして、よく考えたら佐渡先生に声も体格もそっくりだった……!」

「…………」

「そしたら、あなたがご主人様と堀田様と目を交わして、ニヤッと笑って…… それで私、確信したんです」

「ふふっ…… あなた本当に賢いのね。テストの成績は可もなく不可もなくって感じだったのに」

「グルだったんですね」

「ええ、そうよ? 因みにペロの調教映像を飯森様に渡していたのも私。1-Aの教室にカメラを仕掛けて盗撮した映像を理事長に渡したのも、あなたが変な行動を取らないか見張っていたのも、理事長の指示に従ってあなたの退学手続きを処理したのも、拉致に向けて陽葵と今日子の身辺を調査したのも、みんな私」

「…………」

……最低。ほんと最っ低! 優しくて美人で……素敵な先生だと思ってた。先生の教える国語の授業はとても面白くて大好きだった。助けて欲しいと、実の伯父に酷い目に遭わされていると、何度先生に相談しようと思ったことだろう。 ……まさかこんな最低の人間だったなんて!

七海は沈黙したまま目に涙を浮かべて佐渡を睨みつけた。本当なら口汚く罵って、頬を思いっきり引っ叩いてやりたかった。でも、できない。奴隷がお客様にそんなことしちゃ、ダメ。でも…… でもっ!

陽葵も驚愕していた。授業なんてテキトーに聞き流していたし、1学期末の国語のテストも確か14点だったけれど、担任の佐渡先生のことは嫌いじゃなかった。まさかアタシとママのことを調べてただなんて! 教室を盗撮したり七海を監視したり、そんな酷いことをする人だったなんて!!

「なんで……こんなことするんですか?」

「そりゃ、仕事だからでしょ」

「学園の生徒を監禁して堀田理事長の調教を手伝ったり、ここに連れてきて奴隷にしたり…… 私たち以外にもそういう酷いこと、してきたんですか」

「その通りよ」

「なんで……」

「それを聞いてどうするわけ?」

「…………あ」

「……ん?」

「そうか。あなたも堀田理事長の奴隷……なんじゃないですか?」

「…………」

「だから理事長の命令通りに動いてるんだ……。違いますか?」

「いや〜、まいったなぁ。ほんとに賢いね、七海……」

「そうなんですね。だったらなんで…… なんで私たちに酷いことするんですか! おんなじ奴隷じゃないですか! 私たちの気持ち、わかりますよね!? なんで………… ひっ!」

七海は言葉を詰まらせた。獲物を見つけた肉食獣のような恐ろしい形相でこちらを睨んでいる……!

「ふふっ…… いいわ。特別に教えてあげる。私もね、高1の時にご主人様の…… 堀田理事長の調教を受けたの。陽葵と同じってわけ。ご主人様に目を付けられて学園内に監禁されて調教されて、ここに売り飛ばされた。もう15年も前の話よ。それからの1年間は地獄だったわ…… 私の前歯、半分くらい入れ歯だしね」

「…………」

「でもね、ある日気づいちゃったのよ。とあるお客様に鞭を渡されて、他の奴隷を打つよう命令された。あの時の快感は今でも覚えてるわ。柔肌を鞭で打ちのめす感覚、赤く腫れ上がった肌、乾いた鞭音と奴隷の甲高い悲鳴……! その時に私、サドに目覚めたの」

「…………」

「それから色々あってご主人様に、堀田様に身請けされて個人奴隷となり、学園の教師となって理事長の影の補佐役になった。以来学園の生徒を何人もここに送り込んできたわ…… 初等部、中等部、高等部、大学…… 何人も何人も。陽葵、沙弥香さやか、梢、真弓まゆみ一夏いちか妙子たえこ、 ……ポチ」

「ポチ!!?」

「そ。確か中等部の入学式の日にご主人様が見初めたのよ。で、私が色々調べて、ご主人様があの子を監禁して調教してここに売り飛ばしたの。しばらくは大人しく奴隷やってたんだけど、ある時逃げ出しちゃってね……。まあ、ペロみたいにずっと反抗的な態度を取り続けて、ちんぽ噛みまくってたわけじゃないから、危険な薬物は打たれなかったけど。でもあの娘、イラマが苦手だったから歯はもう1本も残ってないし、乳首もクリも舌も伸ばされまくって、ケツの穴もぶっ壊れてて…… ふふっ、見た目はペロとあんまり変わらないわね」

「…………」(何が可笑しいのよ……! なんで笑えるの!? 同じ奴隷なのに!!)

「…………」(ポチ…… あの子もアタシとおんなじだったんだ…… アタシも逃げたらあの子みたいになるんだ……)

「さて…… 昔話はおしまい。そろそろ調教に入ろうかしら」

「「…………」」

「ふふっ、最初の命令よ。調教が終わるまで私のことは「先生」と呼びなさい」

(……最低)

「ほら、とっとと土下座なさい。そして靴を舐めて挨拶するのよ、木下さん、仁科さん」

「くっ!」

七海は腹立たしかった。この女に最初に指名された時も、同性に調教される屈辱に涙したが、あの時とは比較にならないほどの激しい怒りが七海を支配していた。顔が真っ赤に紅潮し、身体が細かく震え出す。好きだった先生に裏切られたことへの憤怒。ポチを含め何人もの生徒を長年陥れてきたことに対する義憤。サディスティンならともかく、同じ奴隷の女に跪かねばならい屈辱。様々な怒りの感情が七海の中で燃え盛り、今にも爆発してしまいそうだった。

でもダメ。怒っちゃダメ! それじゃああの日と同じだ。主人である飯森に直接叛逆するのに比べれば、罪は軽いかもしれないけど、お客様に逆らったらご主人様の顔に泥を塗ることになっちゃう。そしたらこの女だけでなくご主人様にもお仕置きされる。この最低な女のせいでご主人様にお仕置きされるなんて、そんなの絶対…… 絶っ対イヤっ!! でも! でもっ!! なんでこんな最低なヤツに土下座しなきゃなんないの!? 靴を舐めて、調教してくれって、酷いことしてくださいって…… ふ…… ふ……

「ざけんなぁっ!!!!」

キレたのは七海ではなく、隣にいた陽葵だった。七海以上に顔を真っ赤にし、全身をワナワナと震わせながら、疲労も眠気も全て忘れて絶叫した。

「あんた、奴隷なんでしょ!? アタシやママとおんなじ! 学校でもここでも、アタシが毎日どんな気持ちで過ごしてるか、わかるでしょっ!? なのになんでっ!? なんでっ!!? なんでアタシを…… ママを…… こんな……っ!!」

涙が溢れ、それと同時にあらゆる負の感情が溢れ出る。過呼吸になって言葉がうまく出てこない。 ……奴隷にとってご主人様の命令は絶対。それはわかる。堀田理事長の命令に従って自分と母を陥れた。教師の立場を利用して。百歩譲って、ご主人様に逆らえないから嫌々やったっていうのなら、まだ許せる。でもなに!? コイツの顔! 笑ってる! 楽しんでやってる! 奴隷のくせに!! アタシとおんなじ奴隷のくせに……!!!

「…………」

七海もまた言葉が出てこなかった。佐渡に逆らったら陽葵は酷いお仕置きを受ける。堀田からも罰を受けるだろう。恋人がそんな目に遭うのを黙って見てるなんてできない。止めなきゃ! 今すぐ止めなきゃ!! ……でも。陽葵の怒りは七海の怒りだ。七海が言えなかったことを陽葵は代弁してくれている。なら、陽葵と一緒に佐渡に立ち向かうのが、人間として正しい在り方なんじゃないだろうか。陽葵を止めるっていうことは、私も佐渡の側に立つっていうことなんじゃあ……。愛する人を裏切って最低な女の味方をするの? そんな最低な人間なの!? 私っ!!!

(…………そうか)

七海はあの日を思い出していた。眠っている間に全ての歯を抜き取られて、飯森への怒りが爆発したあの日。陽葵はあの日の自分なんだ。そして、私はあの日のおねえちゃん……。きっとおねえちゃんも今の私と同じことを考えてたに違いない。ご主人様に逆らっちゃダメって。でも言えなくて。私に同調してくれて。一緒に闘ってくれて。結果、おねえちゃんは左目を失い、私はおねえちゃんに焼き鏝を捺してご主人様に絶対服従を誓った。

このままじゃダメ。同じことになる。陽葵のためなら正直片目を失ったって構わないけれど、そんなことになったら陽葵が悲しむ。陽葵が傷つく。それだけは絶対ダメ。人間としての正しい在り方なんてここでは意味ない。だって私はもう人間じゃないんだから。奴隷なんだから。でも奴隷にだってできることはある。守る。陽葵を、愛する人を守るんだ! 今度こそ間違えるな、私っ!!

「陽葵っ!!」

「えっ!? なな……うぷっ!!?」

七海はいきなり陽葵を抱き締めた。そして唇に唇を重ねて有無を言わさず言葉を奪う。

「ううん! ぶぷっ! むぅん!!」

陽葵はしばらくもがいていたが、七海の突然の行動に、怒りの感情が驚きで上書きされたのか、次第に大人しくなっていった。七海はさらに数十秒間口付けを続けた後、そっと陽葵から離れた。そして彼女の両手を握りしめ、目を見ながら話し始めた。

「ダメ。怒っちゃダメ、陽葵」

「七海……」

不服そうな顔の陽葵。

「ごめんね。こんなの裏切りだよね。先生と変わらないよね。私も一緒に怒りたい。できるなら今すぐこの女の首を絞めて、殺してやりたいよ……」

「ふふっ……」(どうなるか、見ものね……)

「でもね? そんなことしたら大変なことになる。陽葵も私も……」

七海は叛逆事件の顛末をかいつまんで話した。 ……陽葵は絶句した。陽葵も光希の左目のことは気になっていたが、本人や七海には聞きづらかった。光希が逃亡した時に目にも重傷を負ったのだと思っていた。まさか七海と再会する少し前に、そんな恐ろしいことが起きていたなんて……!!

「そんなことが……」

「うん。だからね? 絶対逆らっちゃダメ」

「…………」

「土下座してお客様の足を舐めながら挨拶するなんて、いつもやってることでしょ?」

「だって……」

「相手が先生だろうと変わらないよ」

「…………」

「陽葵、昨日から寝てないんでしょ? このままだと今夜も壁の中に埋められちゃうよ…… そんなんヤでしょ?」

「……うん」

「大丈夫。私も一緒だから。一緒に佐渡先生にイジメられよ? ね?」

「……………………わかった」

「ありがと、陽葵 ……ちゅっ」

七海は陽葵の頬に軽く口を付けた。そして小さく笑った。 ……その笑顔に、陽葵は思わず見とれてしまった。あの蠱惑的な表情でも、幸せの絶頂にある表情でもない。誠実で真摯で優しげで…… なんて素敵な笑顔なんだろう。

陽葵は、学校での木下七海を根暗なコミュ障だと思っていた。実際には友人も数人いて、七海は根暗でもコミュ障でもなかったのだが、人見知りする性格だったのは事実であるし、不良グループに属していた隣席の陽葵とどう接していいのかわからず、言葉少なになっていたのを陽葵が勝手にコミュ障だと決め付けていたのである。

それがどうだ。先程の教室でも、今も。七海は飯森や佐渡の不興を買うのを承知で、恐怖や憎悪の袋小路に迷い込んでいた陽葵を正しい方向に導いてくれた。相手の目を見て、誠実な言葉で、最高の笑顔で。これじゃ、先生の前で何も言えなくなっちゃったアタシの方がよっぽどコミュ障じゃん。

そう。佐渡先生が何者だろうと、そんなこと関係ないんだ。アタシは奴隷で、お客様に奉仕するのが全て。大好きな恋人の七海と一緒にお客様に奉仕する。先生に奉仕する。それだけ。怒るようなことじゃなかったんだ。 ……ありがと、七海。なんか吹っ切れたよ。いつも助けてもらってばかりだね。いつかお返ししなきゃね。愛してるよ。

「ありがと、七海。ちゅっ」

陽葵もまた七海の頬に軽く口付けすると、七海に笑顔を見せた。そして、七海よりも先に自ら床に土下座し、佐渡の足元の床に額をこすり付けた。

「先生、ごめんなさい。アタシ、気が動転しちゃって…… 奴隷のくせに先生に酷いこと言っちゃいました。すみませんでした。何でも言うこと聞くから許してください、先生」

七海が先に謝るんじゃダメ。七海の真似してちゃダメ。七海は悪くないんだから。悪いのはアタシなんだから。謝らなきゃ。そして……

「ぺろっ れろっ 先生…… アタシのこと…… しつけてください…… ちゅぷ 学校で悪いことばっかしてたアタシのこと、お仕置きしてください…… ぺろっ」

「…………」(陽葵……)

七海は複雑な心境だった。取り敢えず陽葵が怒りを鎮めて先生に謝ってくれた。あの日の自分たちのようなことにならずに済んで心底ホッとしていた。でも……。あの時、勝手に抜歯されて怒り狂っていた時、姉が今日の七海のようなことを言い出していたら、果たして自分は素直に受け入れていただろうか。

わかっている。あの時と今回とでは状況が違う。陽葵が説得に応じたのは、あの叛逆事件の結末を知ったからだ。あの時は叛逆したらどうなるか、自分も姉もわかっていなかった。そんな状況で姉が説得してきたら……。多分受け入れていなかった。姉の説得を裏切り行為だと罵り、姉のことを軽蔑し憎悪したかもしれない。そうしたらどうなっていたのだろう。七海1人怒り狂ったまま、主人に片目を潰されていただろうか。それとも、最後にはやはり姉が味方になってくれて、姉の方が片目を失っていただろうか。わからない。今更考えたところで姉の左目はもう二度と元には戻らない。私がすべきことは過去の選択をくよくよ思い悩むことじゃない。陽葵や自分が片目を潰されることのないよう、過去の教訓を今に活かす。それだけ……

姉が今後も健在ならば、それで全て良しなのかもしれない。だが、姉の命の灯(トモシビ)は消えかけている。片目どころか命そのものが失われようとしているのだ。そう思うと、切なくて堪らなかった。七海は、最愛の姉が自らの左目を犠牲にして最愛の恋人を守ってくれたような気がした。命そのものを犠牲にして妹の自分を守ってくれているような気がした。泣きたくて仕方がなかった。今すぐメス犬区画9号室へ行って、瀕死の姉を抱き締めて大泣きしたかった。でも今はそんなことをしてる場合じゃない。おねえちゃんの想いを無駄にしちゃダメ。奴隷としての務めを果たさなきゃ。

七海は陽葵の隣に額ずくと、陽葵と一緒に佐渡の足を舐めながら言うのだった。

「先生。佐渡先生。れろっ 私…… 私たち、先生のおかげで奴隷になれました。でもまだまだ未熟です。国語よりもっと大切なこと…… たくさん教えてください。私たちの身体に刻み込んでください。先生……!」

 

……佐渡は感服していた。まただ。先程の教室に続いて、七海はいともたやすく陽葵を憎悪の沼から引っ張り上げてしまった。なんて子だろう。昨年の1学期は全然こんな感じじゃなかったのに。

そして思った。15年前。サドに目覚める前。奴隷として地獄の調教を受けていたあの頃。あの頃の自分にも七海のような強く優しい親友が…… 恋人が一緒にいてくれていたら、その後の人生は変わっていたんだろうか……?

高1の1学期のある日、佐渡はクラスのとある女子に恋愛感情を持っている自分に気づいた。ショックだった。自分がレズビアンだったなんて。同性の女の子を好きになるなんて! 中学では全然そんなことなかったのに! その気持ちは日に日に高まり、佐渡はいつしかその女子に告白したいと思うようになった。恋仲になりたかった。 ……でもできなかった。勇気が持てなかった。拒絶されたら、気持ち悪がられたらどうしよう。噂好きな子だし、クラス中に私がレズだって触れ回ったらどうしよう。悶々としたまま1学期が終わり、2学期も半ばに差し掛かったある日、目が覚めたら佐渡は堀田の調教室にいた。

それから地獄の1年を過ごし、男と肌を合わせ、男に奉仕することにもすっかり慣れたが、他の奴隷を痛め付けるよう命令された時に全てが変わった。サドに目覚めた。というより、サドになれば奴隷の女の子たちとレズプレイできることに気づいたのだ。JSPFでもトップレベルに残忍なサディスティンの誕生であった。

だが、自分と似た境遇の陽葵が、同じく奴隷の七海に愛の告白をし、相思相愛の強い絆で結ばれたのを先刻目の当たりにして、佐渡は複雑な思いだった。自分もあの子に告白していたら、どうなっていただろう。キスからセックスに発展して、ディルドーで処女膜を破ってしまうような関係にまでなっていたら、処女でなくなった自分に堀田は目を付けていただろうか。或いはJSPFに連れて来られて以降に、七海のような素敵な恋人ができていたら、レズセックスし放題の毎日を送っていたら、果たして自分はサディスティンになっていただろうか。

今となってはわからない。佐渡は今の生活に満足している。奴隷の女の子をいたぶるためなら喜んで男にも奉仕するし、堀田の指示にも従う。問題は、ないはずだ。なのに、どこかモヤモヤしてしまうのは何故だろう。喉の奥に魚の小骨が刺さったような違和感が、午後からずっと続いているのは何故?

……そんなのわかりきってる。これは嫉妬だ。自分と同じ境遇にありながら、七海という最高のパートナーを得ることができた陽葵に嫉妬しているのだ。

自分も何度絶望の渦に飲まれただろう。だが自分には相談できる奴隷仲間がおらず、暗闇から笑顔で救い出してくれる親友も恋人もいなかった。ただひたすらに孤独と暴虐に耐え続けた。毎日毎日心が壊れる寸前まで追い込まれ、それでもなんとか耐えて耐えて、歯も10本近く失って、1年後にはようやく一人前の奴隷になることができた。それまでのあの地獄の日々……!!

なのに陽葵は、この小娘は、ここに来てまだ3ヶ月にも満たないというのに、1本も歯を失っていないのに、最愛の恋人ができて、母親もいて、姉みたいに慕うペロや玲香がいて…… 同じ境遇なのに、なんでこんなに違うわけ? なんでこんな幸せそうな顔ができるわけ? 自分はあんなに大変だったのに。1人で悩み抜いて耐え抜いて苦しみ抜いてきたのに。なんで? なんでっ!? 羨ましい! 妬ましい! むかつくっ!! ……教師にあるまじき黒い感情が体内にどんどん蓄積されていく。

 

七海は佐渡の靴を舐めながら、室内の空気が変わったのを肌で感じていた。さっきまで饒舌に語っていたのに、急に黙ってしまった佐渡。足が細かく震えている。 ……どうしたんだろう? そう思って七海は佐渡の顔を見上げ、そして思わず身震いした。恐ろしい形相で陽葵を凝視していた。先程のような肉食獣のそれではない。黒い感情に支配された悪鬼のようだ。な、なんでこんな顔してるの? 陽葵、何か怒らすようなこと言った……?

佐渡は、七海が怯えた表情でこちらを窺っているのに気づき、我に返った。取り敢えず黒い感情を胸の中にしまい込む。が、一度その存在に気づいてしまった以上、もはや忘れることはできない。佐渡は2人から顔を逸らすように顔を上げ、そして時計を見た。もう30分が経過していた。あと20分。たった20分でこの黒い感情を陽葵にぶつけ切るなど到底不可能だ。それにここには七海がいる。できれば七海はいない方がいい。どれだけ陽葵を追い詰めても、七海ならやすやすと彼女を救ってしまうだろうから。今日は適当に切り上げて、後日改めて陽葵を単独指名しよう。そして…………

佐渡はペニスバンドを装着し、机の上に七海を寝かせて彼女の膣を正常位で犯した。と同時に、陽葵に足の下で仰向けになって待機するよう命じ、この時間のために3日間溜め込んできた糞便を思いっきりぶち撒けた。奴隷調教時代に拡張された彼女の肛門からは極太の一本糞がひり出され、陽葵の顔の上にトグロを巻いていく。陽葵は嫌々ながらも糞便を少しずつ噛み砕き、嘔吐することなく胃袋へと送っていった。が、あまりにも量が多いため20分で食べきることはできなかった。

「うぶぇっ!!?」

佐渡は七海をイかせ、自分も絶頂した上で机に座り、ハイヒールで糞まみれの陽葵の顔をグイグイと踏んでいく。さらに、糞便がたっぷり付いたヒール(踵)を陽葵の鼻の穴に突っ込んでグリグリと掻き回していった。

「いっ! いたっ! くしゃいっ! 痛っ!!」

「これっぽっちのウンコ食べるのに20分以上もかかるなんてありえないでしょ。お仕置きよお仕置き」

「ご、ごべんなざい…… 先生…… ぐぷっ ごくんっ」

「50分経っちゃったけど、全部食べ切るまで延長よ。そうね…… あと3分で食べ切れなかったら壁尻部屋でもう一晩過ごしてもらおうかしら」

「しょ……しょんな…… あむっ んぐっ」

「陽葵っ……!」

「木下さんは手伝っちゃダメよ? これくらいの量でもたつくなんて奴隷失格。あなただって奴隷生活長いんだから、それくらいわかるでしょう?」

「……はい」

「靴が汚れちゃったわ。木下さん、頼める?」

「はい、先生」

「良い返事よ、木下さん」

「ぴちゅ れろっ にゅぷ ずちゅ」

佐渡は、陽葵の顔の上10cmくらいのところで、七海にハイヒールの汚れを掃除させた。七海は陽葵のすぐ横に這いつくばって、手を使わずに舌だけでハイヒールに付いた糞便を舐め取っていく。七海は1分もかからないうちに掃除を終え、陽葵は残り16秒のところで佐渡の糞便を食べ切った。

「先生、ごちそうさまでした。げぅっ! 口便器、使ってくれてありがとうございました…… うっぷ!」

「ふん。じゃあ、またね。仁科さん」

そう言うと佐渡は帰っていった。

「陽葵っ! 大丈夫っ!?」

「うん、大丈夫。ちょっと食べるのに時間かかっちゃっただけ…… げぷっ!」

「そっか……」

「これくらいで済んでよかったよね……」

「……だね」

「んあ〜! もうダメ! 鼻ん中ウンチまみれ〜! くっさ〜!! シャワーシャワーっ!!!」

七海は、先生の態度がどこか腑に落ちなかった。あの鬼の形相はいったい何だったんだろう。その後の責めも、いつもに比べれば大したことなかったし、先生は七海を犯している間も心ここに在らずといった感じだった。そして去り際、「またね、仁科さん」と言った。なんで私の名前は呼ばれなかったんだろ? 陽葵だけ、また指名するってことだよね? ……大丈夫かな。あんな怖い顔してたけど…………

七海はもっと考えようとしたが、限界だった。ヨロヨロとシャワー室に向かい、陽葵と一緒に汚れをザッと落とす。陽葵は、鼻の穴を洗い湯をがぶ飲みし、糞便臭が消えたところで力尽きた。2人とも髪も乾かさずにベッドに直行する。陽葵のベッドは世話係用の部屋にあるのだが、陽葵はなんとなく七海に従いていき、七海のベッドに2人同時に倒れ込んだ。恋人同士のピロートークなどする間もなく、倒れ込んだ瞬間に意識を手放した。

 

…………崩壊が始まろうとしていた。

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