『くノ一物語』第二章 忍び働きの巻  一、不安な日々

 初夏といっても山間いの里では、朝晩は涼しい。  真由たちの暮らす里では、近くにせせらぎが走っているせいか,冷気が差し込むくらいである。  そんな中ここ数日、真由は落ち着かない気持ちで過ごしてきていた。  秋口を思わせる冷気の寂びゅう感が、真由を感傷的にしていた訳ではない。  それも少しはあるだろう。  それよりも、使命を帯びて城勤めに入るための、出発の日が明日に迫ってきていたからである。  真由 … 続きを読む 『くノ一物語』第二章 忍び働きの巻  一、不安な日々