『くノ一物語』淫虐修行の巻 六、第二段階の責め

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 真由の拷問修行は、第二段階に入った。
 拷問の種類は同じでも、負荷を掛けられるので、苛酷さは増す。
 笞打ちや重石などの負荷は、真由をさらに辛い思いにさせる。
 算盤責めでは石を三枚抱かされ、海老責めでは背中に重石を積まれた。
 逆海老吊りでは、重石こそ乗せられなかったが、回転させられた体に笞が、雨、あられと飛んだ。逆さ吊りでも笞を当てられた上、水桶に頭から漬けられた。つまり、水責めも兼ねていたのである。
 それにも増して重要なことは、第二段階では「間者であることが発覚していない前提」ということである。
 つまり、無実を訴える演技が要求されるのである。
「わたしは、ただの百姓の娘でございます」
「お屋敷を探ろうなどと、考えたこともございません」
「何かの間違いでございます、お許しを」
「こんな目に合わすなんて、あんまりでございます」
 哀願しながら、身の潔白を訴える言葉を、幻舟斎に授けられた。(わたしにそんな演技ができるかしら?)
 しかし、不安げな真由の戸惑いも、杞憂にすぎなかった。
 第二段階の拷問の厳しさは、真由に演技ではない悲鳴をあげさせたし、自然に許しを乞い求める声も、出ていたのである。
 第二段階も終わりが近づいていた。
 明日は木馬責めである。前回の時が思い起こされ、真由は中々寝付けなかった。
 思い浮かぶのは、苦しさや痛さではなかった。なぜか羞ずかしさだけだった。
 素っ裸のまま、三角木馬に跨がらされる羞ずかしさ。
 三角木馬の鋭い峰を、割れ目に食い込まされる羞ずかしさ。
 口にも出せない部分に、痛い思いを味合わされる羞ずかしさ。
 その痛みを覚られる羞ずかしさ。
 考えれば考えるほど三角木馬は、まるで真由を責めるための拷問道具に、思えてくる。(お師匠さまは、私を責めるために拵えたのかしら?)
 もとより、拷問道具の知識などない真由ではあったが、そう思うと指がひとりでに、股間に伸びていた。(ここを、また明日責められるのだわ)
 なぜか自分の体ではないような、もどかしさを感じながら、指は縦割れを慰めていた。縦割れに添って指が一本もぐり込むと、中は驚く程熱かった。
 それに少し湿っている。
 その指を内溝に添って引き抜くと、真由の背筋にピクッとなる衝撃が走った。
 それは、性の快楽など知らない真由を、驚愕させるには充分な衝撃だった。(わたしの体には、魔物が住んでいるのでは? それもあんな所に・・・)
 真由は自分の体に、自分でも解明できない秘密があることを知った。
 翌日、例によって真由は拷問部屋へ連れてこられ、三角木馬の前に引き据えられた。真由は三角木馬を見つめながら、高手小手に縛られていく。
「真由、今回は自分で乗るのじゃ」
 三角木馬の両脇には、踏み台が置かれてある。幻舟斎は真由を立ち上がらせ踏み台のそばへ連れていく。
「さあ、跨ぎ越えるのじゃ」
「あ、は、はい・・・」
 真由は片脚を引き上げて、責め木を跨ぎ越える。この瞬間、顔が火照るほど羞ずかしい。それでも羞ずかしさをこらえて、反対側の踏み台に足を乗せた。
 真由の股間と木馬の頂点は、コブシ一つ分くらい開いている。全裸で脚を開いて立つ、この姿も羞ずかしい。真由は眼を閉じて、顔をそむけている。
 幻舟斎は吊り縄の鉤を、真由を縛った縄尻に取り付けている。
「今日は足首に重石を下げるからな」
 真由の両足首に、各三貫目の重石が結びつけられた。
「さあ真由、腰を下ろせ。跨がったら踏み台から足を外すのじゃ」
 真由は幻舟斎の指示に従って、尻を下げていく。
 そして割れ目を、三角木馬の峰に食い込ませて、当たり具合を計る。
 この仕種は死ぬほど羞ずかしい。しかしうまく当てないと、余計つらい思いをするのだ。
 真由は、ちょうど良い角度を決めると、思い切って足を踏み台から外した。
 その瞬間、
「あっ、い、痛いっ・・・」
 激烈な痛みが、あっという間に脳天まで突き抜ける。
 前回に比べて、足首に重石を吊るされている分だけ、苦痛が大きい。
 まるで、下から足首を引っ張られているようだ。真由は、重石を引き上げるようにして腿を締めつけていた。
「あっ、あっ、イタイ、お許しをー」
 吊り縄の端を固定して、幻舟斎が近づいてくる。
「真由、この屋敷の何を探ろうとしていたのじゃ。白状せい!」
 幻舟斎は手にしていた木の笞で、真由の尻を打つ。
「あっ、痛っ、お、お屋敷を探ろうなどと、そのような覚えはございません」
「あくまで白を切ると申すか。どうじゃ」
 幻舟斎は、今度は笞の先で真由の体をつつく。
 背中、脇腹、乳房と、ジッと耐えていた真由も、乳首を突かれた瞬間、つい体を捻ってしまった。
「あっ、痛い、本当にお許しくださいませ」
「ふふふ、もがけば、余計つらい思いをすることになるぞ」
 幻舟斎はもう一発、真由の尻に笞をくれた。
 三角木馬の上では、できる限りジッとしているしかない。真由は歯を食いしばり全身に力を入れて、耐え忍んでいる。
 どれくらい経ってからだろうか、幻舟斎が真由の股間を覗きこんだ。
「む? 血が! 肌が裂けたか? そんな筈はないのだが?」
 幻舟斎が怪訝な顔をしている。それ程激しく責めてはいないからである。
 しかし、真由には思いつくフシがあった。
「あ、あの・・・、月の障りが始まったようでございます」
「あっ、そうか。わしとしたことが、迂闊であった」
 若い娘の一ト月といえば、「月の物」があって当たり前である。
 真由は木馬責めから解放され、すぐに牢へ戻された。 
 そして、五日間の休止を告げられ、着物も与えられた。
 幻舟斎は真由の実家に行って、母親に訳を話したのだろう、布にくるんだ手当用品を真由に届けた。
 <当時の生理の手当が判らないので、お茶を濁しておきます>

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