『ブレーク・パーティー』…〈 登場! ライラックとチャームの巻 〉

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〈 登場! ライラックとチャームの巻 〉
 この大陸には、人と人以外の生き物が、背中合わせに生きている。 ここは、人と人外とが共に生息する、摩訶不思議な世界なのである。
 その証拠に、夜空には刃物のような形をした、二つの三日月が並んで浮かんでいる。
 しかも夜の帳は、山々を暗闇で覆い隠している。
 そして山の中に点在する村の家々をも、同じように包んでいた。
 夜は闇の静寂に支配されていた。
 微かに聞こえるのは、遠くの山で月に向かって吠えている、狼の遠吠えだけだ。
 夜は静寂の中に包まれている。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 いや・・・、何かが聞こえる・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 段々とこちらに近づいてくる。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 なんだろう?・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 目を月に向けてみる。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 何かが月の光を浴びて飛んでいる。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 月に照らし出されたそれは人の形をしている・・・しかしそれは人間ではない。
 左右に大きく開いた両腕からは、蝙蝠の翼が生えている。
 それは蝙蝠人と呼ばれる人型の怪物であった。
 蝙蝠人は1匹だけではない、夜空一面に数多くの蝙蝠人達が、音もなく飛び回っている。
 蝙蝠人の眼下には、小さな村がある。
 1匹の蝙蝠人が襲いかかる目標を見つけたようだ。
「キィィッ!」。
 それは短く甲高い声で鳴くと、ある一軒の家の窓を突き破っていった。
「きゃぁぁぁ!」。「うわぁぁぁ!」。
 程なくして家の中から、悲鳴がこだました。
 同じように他の蝙蝠人達も、「キィィッ」、「キィーッ」と鳴きながら、まわりにある家々の窓を突き破っていく。
「わぁぁぁぁっ!」。「きゃぁぁぁぁっ!」。「助けてぇぇぇ」。
 寝込みを襲われた家々の中から、命からがら逃げ出した人々が夜空を見上げた時、彼らは絶句した。
 夜空一面を覆うかのごとく、数多くの蝙蝠人達が頭上を飛び回っていたのだ。
 それを目にした人々は、口々にその名を叫んだ。
「わあああ・・・、コ、コウモリ人だ!」
「蝙蝠人が襲って来たぁぁ。逃げろっ!」
 人々からそう呼ばれた蝙蝠人は、「キィー」と甲高く鳴くと、逃げようとする村人たちに襲いかかって行った。
 サァーと、音も無くすばやく舞い降りると、逃げる村人たちの頭や、首筋、身体に鋭い牙で噛みついた。
 ガブッ。「ぎゃぁぁぁ!」。バリッ。「うわぁぁぁっ!」。
 逃げる村人たちは身体から鮮血を吹き出しながら、地面に倒れ絶命していく。
 ズバァー。「ぐわぁぁぁ!」。ズバァァァ。「きゃぁぁぁっ!」。
 しかも蝙蝠人の武器は牙ばかりではない。
 以前に、殺した人間から奪った剣や槍を手にしているのだ。
「キッ」。上空を旋回していた蝙蝠人が、逃げる親子3人の姿を見つける。
 母親と2人の娘だ。
 母親は娘たちの手を握って必死に逃げて行く。
 家族や村を守ろうとして蝙蝠人に殺された、彼女の夫の願いを無にしないためにも。
 だが逃げる彼女たちの背後からは、蝙蝠人達が音も無く滑空して近づいてくる。
 手にした剣を振りかざしながら。
 ズバァァァァーッ!。
 音と共に母親の頭が空中に飛んだ。
 母親は、首から鮮血を吹き出しながら数メートル跳ぶと、そのまま地面に倒れ込んだ。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 母親の最後を目にした娘たちは、恐怖の悲鳴を張り上げた。
「おねえちゃん!」。
 8歳の妹は16歳の姉の身体にしがみついた。
「キッ」。「キキーッ」。「キーッ」。
 残された2人の回りに、蝙蝠人達が囲むように降り立った。
 2人の姉妹は、蝙蝠人の姿を見て、より一層恐怖を感じた。
 蝙蝠人と言うだけあって、その顔は普通の蝙蝠と同じ顔であった。
 大きな耳もピンと2つ立っている。
 しかし首から下の身体はまるっきり、人間の大人の身体と同じであった。
 しかも全身が黒い毛に覆われていた。
 両腕には巨大な蝙蝠の翼が畳み込まれている。
「ひっ!」。姉は近づく蝙蝠人たちの股間に目を留めたとき、思わず小さな悲鳴を上げてしまった。
 蝙蝠人達の太く長いオスの男根が、勃起をして上に反り返っていたのだ。
 どの男根もピクピクと小刻みにひくついていた。
「い・・・いや・・・いや・・・」
 姉は蝙蝠人たちが何を欲しているのか、理解する事が出来た。
 それは姉妹たちに、より一層の恐怖を感じさせた。
 姉は脅える妹を守るように身体の後ろに隠す。
「キィッ」。蝙蝠人のけむくじゃらの手が姉の二の腕を掴んだ。
「いやぁぁぁぁぁぁっ!」。
 恐怖が堰を切ったように溢れだし、悲鳴を張り上げた。
 蝙蝠人たちは姉妹の腕を掴み、それぞれを引き離した。
「おねえちゃん!」。妹が助けを求めるように叫ぶ。
「ギーッ」。びりびりびり・・・。
 2人の着ている服が引き裂かれていき、地面に押し倒される。
「きゃぁぁ。いやぁぁぁ。やめてぇぇっ」。
 2人は逃げようと身体をばたつかせたが、蝙蝠人達の怪力で抑えつけられ、身動きひとつ出来なくなっていた。
 服が引き破られ、まだ男性を知らない純白の身体が、蝙蝠人達の前に露わにされた。
 グッと、両脚を無理やり開かされる。
 そして、彼女たちのヴァギナに蝙蝠人の凶暴な男根があてがわれた。
「いやっ、いやっ、いやっ」
 泣き叫ぶ彼女たちの声を無視して、男根が一気にヴァギナの中へと侵入していった。
「うぎゃぁぁぁぁぁっ!」
 生まれて初めて体験する一生に一度のその時を、無惨にも人間以外の者の男根で引き裂かれ、強引に体内に入れられた彼女たちには、絶望的な悲鳴を声の限り張り上げることしか出来なかった。
 恐怖で大きく開いた目からは、涙がこぼれ落ちた。
 ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。
 蝙蝠人は力任せに、自分の腰を前後に振り始める。
 ズニュ。ズニュ。ズニュ。ズニュ。ズニュ。
 ヴァギナの中を出し入れする、血に染まった男根の摩擦の音を聞きながら、姉は自分の股間が裂けてしまったみたいな痛さを、呆然とした感覚で感じていた。
「ギイィ」。別の蝙蝠人が、姉の口を無理やりこじ開け、口の中へそそり立った男根をねじ込んだ。
「うぐぐ・・・」。姉はくぐもった声を漏らす。
 グニュ。グニュ。グニュ。ジュニュ。ジュニュ。
 彼女は、ヴァギナと口の両方から貫かれて犯され続ける。
「うぐ、うぐ、う・・・ぐ・・・ん」
 ズニュ。ズニュ。ズニュ。ジュニュ。ズニュ。
 ジュニャ。ジュニャ。ジュニャ。ジュニャ。ジュニャ。
 蝙蝠人達の腰の動きが速くなっていく。
 ズニュ。ズニュ。ズニュ。ジュニュ。ズニュ。
 ジュニャ。ジュニャ。ジュニャ。ジュニャ。ジュニャ。
「キイイイイーッ!」。「ギィィィィィィッ!」
 蝙蝠人は鳴き声を上げると、男根から勢いよく精液を彼女の口の中とヴァギナの中へと、流し込んだ。
 口の中から、何とも言えない気持ちの悪い味と臭いがしてきた。
 だがそれを吐き出す気力も体力も、彼女にはもう無かった。
 彼女の口とヴァギナに再び、別の蝙蝠人の男根が差し込まれた。
 それは何度も何度も続けられた。
 そして、彼女の薄れゆく瞳には、同じように蝙蝠人たちに犯されてヴァギナを血だらけにさせられ、顔や身体中を精液で汚されている妹の姿が映っていた。
 妹の身体や目には、すでに精気が無く、生きているようには見えなかった。
 ただ、身体を乱暴に前後に動かされるその姿は、まるで糸の切れた人形のようであった。
「・・・・チ・・・・・チャー・・・・・・・ム・・・・・・・・・」
 それが彼女の最後の呟きであった。
 彼女の村は炎に包まれ夜空を明るく染めていた。
 そしてこの時、彼女の命の炎は消えていった。
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「・・・以上が、この領地内で蝙蝠人に襲われた村の被害だ」
 広い謁見室の中の2人の人物の前で、床から一段高い場所で豪華な椅子に座っている人物が、そのように説明をしていた。
 ここは、この辺りの領地を治める領主の館である。
 そして、豪華なイスに座り客の2人に説明をしていたのは、この館の主である『フォレックス公爵』である。
「知っているとは思うが・・・、我々が蝙蝠人と呼んで恐れている、人間の姿をした怪物が突然現れたのは、今から7年ほど前だ。最初はここより遠くの西国に現れていたのだが、最近はとうとうこの辺りにまで、姿を現すようになってきてしまったのだ。・・・もちろん王国も我々貴族も、蝙蝠人の討伐隊を送り込んではいるが、残念な事に尽くに失敗をしているのである。そこで、傭兵ギルドに資金はいくら掛かってもよいから、確実に蝙蝠人を倒せる剣士の部隊を送ってくれるように要請をしたんだが・・・」
 フォレックス公爵はそこまで話をして、「はぁー」と溜め息をついた。
 公爵の前には、傭兵ギルドから派遣されて来たという2人の女性が立っていた。
 公爵は「困ったなぁー」と言いたげな表情で、2人の女性をまじまじと見つめていた。
 1人の女性は、身体に銀色の鎧と両方の足に銀色のすね当てを付け、腰に長い剣を下げているところから彼女は剣士であろう。革製の手袋と靴を履いている。
 ショートヘアの黒髪に黒色の瞳。耳には小さなピアスをしている。
 年は19歳で名前を「ライラック」と名乗った。
 彼女の瞳からは強い決意が伝わってくるのだが・・・。
 そしてもう1人の方は、「チャーム」という名前で15歳の女の子だ。
 腰まであるキラキラと輝く金髪のロングヘアを根元で束ね、ヘアバンドで止めている。
 人形のような整った顔立ちの中にある瞳は青いブルーだ。
 耳には細い金のクサリの付いたイヤリングをしている。
 両手首には、金のブレスレッドをしている。
 ミニのワンピースのような服から伸びた両脚はカモシカのように細い。
 彼女は魔法を使う魔道士だという。
 しかし彼女の表情からも瞳からも、これから戦うという決意が全然伝わってこない。
 ただニコニコと微笑んでいるばかりなのである。
 フォレックス公爵は、ずれかかった眼鏡を指で戻すと、鼻の下に蓄えているカイザー髭に指を移動させた。
 髭の先端を触りながら、「さて、どうしたものか?」と考え込む。
 だが本心は、銀色の髪の毛の頭を抱えたい心境なのであった。
「19歳の女性剣士に、15歳の少女魔道士か・・・。傭兵ギルドめ、高い料金を前金で支払ってやったのに、こんなのを送ってきおって・・・」
 公爵はブツブツと文句を呟く。
 何か気まずい沈黙が、公爵とライラック達の間に流れる。
「ね。チャーム。公爵が今何を考えているか分からない?」
 ライラックがチャームにそっと尋ねる。
 チャームは静かに目を閉じると、呪文を口の中で唱えた。
 だがすぐに目を開いたチャームは、驚いた表情でライラックに耳打ちをした。
「だめです。公爵の掛けているあの眼鏡・・・マジックシールドグラスによって、公爵の心を見ることが出来ません。・・・でも不思議です。あの眼鏡は普通の人間が掛けただけでは効果が無いのです。極めて強力な魔力を使う者でないと、眼鏡の力を発揮させることは出来ないはずです」
「フォレックス公爵って、魔法使いなのか?」。
 ライラックは改めて自分たちの前にいる公爵の顔をまじまじと見た。
 しかし眼鏡の分厚いレンズが邪魔をして、その奥の公爵の瞳を読み取ることは出来なかった。
「いかがでしょう。何でしたら、このお2人にはお引き取り願いますか?、公爵様」
 今まで公爵の後ろで、人形のように立っていた女性が突然話し出した。
 女性は他のメイド達と同じ服を着てエプロンもしているが、この館では公爵の秘書の役目もしているようである。
「待って下さい。私たちだって傭兵ギルドから派遣されて来たプライドがあります。私たちの実力を見てから判断してください!」
 話を聞いていたライラックが思わず口をはさんだ。
 公爵は「それほど言うならば・・・」と小さな声で言うと、ライラック達に話を始めた。
「君たちにはもちろん蝙蝠人達を討伐してもらうが、特に重要なのはその蝙蝠人の親玉を倒してもらうことだ。雑魚ばかりを倒してもどうにもならないからな。」
 公爵の言葉はつづく。
「ただ親玉を倒すだけではダメだ。親玉の額には、赤い色をしたブラッド・オパールと言う秘宝が埋め込まれている。それを剥ぎ取って、無傷で私に渡してもらいたいのだ。いいかね、無傷でだぞ。」
 念を押すように話をする公爵。
「蝙蝠人の親玉ね・・・額に埋め込まれている秘宝のブラッド・オパールね・・・」
 話を聞いている内に、何だか「これは難しい仕事みたいね」と不安を抱いたライラックであったが、
「蝙蝠人って言ったって、人間と同じ大きさなんでしょ、だったら親玉だって同じ同じ・・・ぱぱっと片づけて秘宝付きの親玉の頭を公爵に渡せば、お仕事は終わりですね。簡単簡単。」と言うチャームの言葉を聞いて、楽観的な気分になっていくライラックであった
 一通り話を終えると、公爵はメイドの少女にライラック達を館の客用の部屋に案内するように命じた。
 ライラックとチャームがメイドの少女の後に従い、謁見室を出て行くのを見つめていた公爵は『まかせて大丈夫かなぁ・・・』と言った思いで「はぁぁぁー」と溜め息をついた。
 やがて館の上空にあった太陽が山の陰に沈み、代わって2つの月が山から上り、館の上空に浮かんでいた。
 ライラックとチャームはベッドの中で、安らかな眠りについていた。
 館の客用のベッドだけあるようで、清潔でシーツは雪のようにシミひとつ無く真っ白だ。しかもフワフワとした作りになっている。
 いつもは野宿や安宿の薄汚れた硬いベッドばかりにお世話になっているので、このような高級なベッドの中で寝られるなんて、夢にも思っていなかったのである。
「見て見て。このベッドこんなにフワフワですよ!。あたしこんなベッドで寝るのは初めてです」
 ベッドの上でチャームが「きゃー、きゃー」言いながら楽しそうに飛び跳ねる。
 メイドの少女はそれを見ていて「明日のベッドメイキングには、時間がかかりそうだな」と思った。
 ライラックは何とかチャームを寝かしつけると、自らもベッドの中に潜り込んだ。
 ほんとにフワフワだ。その柔らかさは彼女をすぐに夢の世界へと誘い込んでいった。
 それからどの位の時がたったのか、誰かがライラックの名前を呼び身体を揺すって、起こそうとしているのが分かった。
 ライラックは瞬時に目を開けると、剣を握りガバッと飛び起きた。
 目の前にはチャームがいた。外はまだ夜だ。・・・しかし敵が攻めて来たようには見えない・・・静かだ。
「どうしたの?。チャーム」。
 ライラックは夜中に起こされた意味が理解できなかった。
「この館の奥の方から、女性の苦しむ声が聞こえてくるんですが・・・」
 チャームは不安な顔で告げた。
 チャームの話を聞いたライラックは剣を手に持ち部屋のドアを開けて廊下に出た。
 暗闇が廊下の先を覆っている。耳を澄ましてみると確かに女性の苦しむ声が微かに聞こえてくる。
 ランプを手にライラックとチャームは、聞こえてくる声の方へと足を進めて行った。
 ランプの限られた光に照らし出される世界はどこか不気味である。
 大きな館全体が、暗闇に支配されているせいかもしれない。
 ある扉の前にたどり着いた。呻き声はこの部屋の中から聞こえていた。
「メイドの少女が、あの公爵の手によって、拷問でも受けているんでしょうか?」
 チャームが不安そうに、ライラックに耳打ちをする。
「さあ、どうかしらね・・・」。ライラックは扉のノブに手を掛けた。
 カチャ。
 扉には鍵が掛かっていないらしく簡単に開いた。扉を少し開け、隙間から中を覗き込む。部屋の中ほどで、1人の裸の女性が後ろ手に枷を填められ、天井からの鎖で身体を水平に吊り下げられていた。
 細い首には、首輪が填められている。
 女性の顔を見ると、公爵の側にいたあの秘書の女性だ。
 その彼女の側には、公爵がイスに座って見ている。
 公爵は、テーブルの上で燃えている蝋燭の燭台に目を移すと、何やら呪文を唱える。
 すると、燭台がフワッと空中に浮かび上がり、吊り下げられている女性の身体の上へと、滑るように移動して行く。
 ライラックとチャームが息を殺して見つめていると、公爵の人差し指がわずかに動き、それに操られる燭台はゆっくりとその姿を傾け、赤い蝋燭が女性の背中とお尻とに、溶けた蝋燭を垂らし始めた。
 ぽたっ。ぽたっ。ぽたっ。ぽたっ。ぽたっ・・・。
「あうっ!。・・・あ、う・・・う、あぁぁぁ・・・」
 女性の口に噛まされているボール型の口枷のギャグからは、涎と共にくぐもった呻き声が途切れなく漏れてくる。
 ぽた。ぽた。ぽた。ぽた。
「う、うう・・・は、は、ぁ・・・あああ、ん」
 女性の背中とお尻が段々と赤い色に染まっていく。
 ぽた。ぽた。ぽた。ぽたっ。
「ひゃっ、あ・・・う、ん・・・ひぃ、ぃぃぃ・・・」
 公爵は、再び何かの呪文を唱えると、今度は乗馬用の長い鞭が空中に浮かび上がった。
「秘書であるお前が、傭兵ギルドにもっと詳しく説明をしなかったから、私は高い金をドブに捨てることになりそうなんだぞ。・・・当然その責任は、お前の身体で支払ってもらうからな」
 公爵は怒ったような声で言うと、蝋燭で赤く染まった女性のお尻を、パシーン!、パシーン!、パシーン!、と浮かんでいる鞭が激しく叩いた。
「うぐっ。・・・あうっ。・・・ああうっ」。
 女性は口枷で塞がれている口の奥から低い悲鳴を漏らすと、身体を痙攣したように反らせた。
 涎で口の回りを汚らしく濡らし、涙で顔をクシャクシャにした女性の頭がガクッと下に落ちた。
 公爵はイスから立ち上がり女性に近づくと、ヴァギナに指を這わせた。
 ヌルッとした淫液が指を濡らす。
 女性のヴァギナからは溢れ出た淫液が、ぽた、ぽた、と床に落ちている。
 公爵の手が女性の髪の毛を鷲掴みにすると、グイッと上を向かせた。
「ん?。牝奴隷としての調教をしている最中に、私の許しも無くなに勝手にイッているんだ。お前にはもっと厳しい調教が必要だな!」
 公爵はそう言うと、浮かんでいる燭台を掴み、淫液を滴らせているヴァギナの下に持っていく。
 蝋燭の炎が剃毛されているヴァギナを、ジリジリとあぶっていく。
 ヴァギナから垂れる淫液が蝋燭の炎と混ざり合い、ジュッと音を立てた。
「う、きゃはぁぁぁぁ!・・・。ほぉ、ひゅりゅひぃ・・・ひゅひゃしゃ・・・ひぃぃ・・・。ひゃちゅ、ひぃぃぃぃ!。・・・ひゅ、う、りゅうひぃ、ちぇぇぇ・・・きゅう、ひゃ・・・ぢゃぁぁ、ひぃいいい。ひょじゅうひぃん、しゃぁぁ、みゃぁぁぁぁ!」
 女性は口枷で塞がれている口から懸命に声を出して、ご主人様であるフォレックス公爵に、心の奥から許しを求める哀願を繰り返した。
 扉の隙間から見ていたライラックは、そっとドアを閉めて壁に背をもたれると、大きく息をはいた。謎の声の正体を探りに来て、見てはいけないものを目にしてしまった、何とも言えない恥ずかしさが心に涌いてきていた。
「どうも、あの女性の人は、拷問に掛けられているんじゃないみたいですね」
 チャームはきょとんとした表情でライラックに囁いた。
「そ、そうねぇ」。ライラックは気の抜けた返事をして、自分たちの部屋へと戻った。
 さっそくベッドに潜り込んで、夢の続きを見ようと目を閉じてみたが、頭に浮かぶのは、目にしたあの調教の光景ばかりだ。
 そっと指を股間に持っていく。
「クチュ」。指先にヴァギナから溢れてきている淫液が絡み付いた。
 ライラックは顔がポッと熱くなるのがわかった。そしてそっとベッドから抜け出した。
 横のベッドでは、チャームが小さな寝息を立てて寝ている。
 部屋を出てベランダに出たライラックは、下着を脱いで裸になり指をヴァギナにあてがうと、刺激を与えだした。もう片方の手で乳房も揉みほぐしだした。
 指がヴァギナの秘裂にそって上下に何度も動き中のヒダを刺激する。続いて、包皮から出ているクリトリスの頭を、何度も何度も指の腹で撫でるように刺激を繰り返す。
 ヴァギナの奥からは刺激に答えて淫液がドクドクと溢れ出し、グチュ、グチュ、グチュ、グチャ、グチャ、と音を立てて動かしている指先に絡み付いてくる。
 乳房を揉んでいる指が乳首にさわると、興奮のため乳首が立っていて痛く感じる。
「あ、あ、あ、・・・ううん・・・は、ぁ・・・う、ん・・・」
 グチュ。グチュ。グチュ。グチュ。グチュ。
「ひゃ、ぁ、ああん・・・は、ぁぁぁ・・・ん、うん」
 グチュ。グチュ。グチュ。グチュ。グチュ。
「あああああ、んん・・・ひゃ、ぁぁぁ・・・う、ん」
 ヴァギナとクリトリスを刺激する、指の動きが段々と速くなっていく。
 ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。
「いや、ん、だ、だめっ・・・あああ、ん、あんあん・・・んんんん・・・」
 ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。
 ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。ジュニュ。
「・・・あん、あん、あん・・・ご、ご主人さまぁ、ど、どうかぁ、イカせて・・・く、くださぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」
 ライラックは知らないうちに、御主人様にオナニーでイク許しを求める言葉を口にすると、激しく上り詰めていった。
 もちろん、ライラックにはそんな御主人様などいないのだが、先程の調教の光景を見ていた為に、無意識のうちに口から出てきた言葉なのかもしれない。
 ガクガクガクと身体が振るえ、シャァァァァァァァと、オシッコが跳び出した。
「あうあうあうあうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 床に両手両膝をついたライラックは肩で大きく息をしていた。
 半開きの口からは涎が垂れ、舌は犬のように口からだらしなく出している。
 こんな快感を感じたのはライラックにとって初めてのことだった。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、・・・」
 ライラックは快感の興奮と息を整える為に、壁に背中をつけ膝を抱えて座った。
 壁のひんやりとした冷たさが、火照った身体を冷やしていく。
 しばらくの間、2つの月をぼんやりと見上げる。だが頭の中は真っ白になっている。
 身体の火照りが冷めていくのと同じに、頭の中の頭脳も動きを始める。
 ライラックはタオルで股間の淫液とオシッコの液を拭き取ると、よろよろと立ち上がり、下着を身に着けた。
 改めて回りを見渡す・・・誰もいないようだ・・・ホッとした気持ちになる。
 ベランダから部屋に入ろうとした時、夜空に何かが飛んでいるのに気がついた。
 それも沢山の数だ。
「・・・?」。目を凝らして見上げる。月の光を浴びてそれは姿を現した。
 人間の姿をしている・・・両腕からは大きな蝙蝠の翼をはやしている。
「蝙蝠人だっ!」。ライラックは叫んだ。
 蝙蝠人達が町へと降りていくのが見えた。
 ライラックは急いで部屋の中に飛び込んだ。
「ライラックさん、どうしたんですか?。こんな夜中に・・・、ふぁぁぁぁぁ」
 ライラックが鎧を身に着けているところを目にして、チャームがあくびをしながら尋ねた。
「蝙蝠人達が襲ってきたのよ!。チャームもすぐに準備をしてっ!」
 鎧を身に着け、剣を装備したライラックは、早口で答える。
「ふぁぁぁぁぁ~・・・、でもね・・・寝不足は、あたしのお肌に良くないのよね・・・。おやすみなさーい」
 チャームはまた布団をかぶってしまう。
「寝るなぁぁぁ!。町では大変な事になっているのよ!。起きてっ!」
 ライラックはチャームの布団を勢いよく剥ぎ取る。
 そこへメイドの少女が飛び込んでくる。
「ライラック様。チャーム様。蝙蝠人達が町を襲っています!。馬を用意いたしましたので、直ちに出動してください!。公爵様の衛兵隊も出動しました」
「わかったわっ!」。ライラックはふくれっ面のチャームの手を引っぱって入り口に待機している馬の背中に飛び乗った。
 手綱を引くと、町へと馬を走らせる。
 ライラックはふと後ろに一緒に乗っているチャームの顔を見る。
 ほっぺたがプウーと膨らんでいる。
「いい加減にそのふくれっ面を直しなさいよ。これから仕事なんだから」
 ブツブツと文句を言っているチャームに、ライラックが注意をする。
 すると、背後のチャームが猫なで声で聞いてくる。
「ねね、ライラックさん。このお仕事の報酬が入ったら、あたし銀の指輪と足輪が欲しいの、買ってもいいでしょう?」
 ライラックは、ほーらきなすったな、といった気分で答える。
「仕事を完全にやりとげたらね」。
「うん。チャームがんばる!」。
 チャームの言葉を聞いて、ライラックは『どうしてこんなのと、パーティーを組んじゃったのかな・・・』と言う自己嫌悪感に陥ってしまいそうな気分になる。
「きゃっ。ライラックさん、前っ!」。突然チャームが叫び声を上げた。
「なにっ?」。顔を前方に向けると、蝙蝠人が槍をかざして突っ込んでくる。
 ドバァッッ!。槍が馬の首を前から後ろへと貫き、槍の先が鞍の所まで到達した。
 馬は悲鳴のようないななきをあげると、首から鮮血を噴きながら、もんどりうって倒れる。
 だが、槍が突き刺さる一瞬、ライラックはチャームを抱えて馬から飛び降り、事なきを得ていた。
 すかさず、腰の剣を素早く抜き蝙蝠人を一刀のもとに切り裂いた。
 ズバァァァーッ!。「グギャァァァーッ」。真っ二つになった蝙蝠人が地面に落ちてくる。
 すぐ目の前は町の入り口だ。
 町の中では数カ所から火の手が上がっている。町の人達が逃げまどっている。
「チャーム。魔法の支援を頼むわよ!」。
 ライラックは振り向きもせずそう叫ぶと、町の中へと駆け込んでいった。
「はーい、わかりましたー・・・」。
 チャームは目をつぶり口の中で呪文を唱えると、左の掌にポワーッと光が現れ、その中から分厚い魔法書が出現した。
 黒い表紙には、金色で描かれた丸のマークの中に、同じく金色の正三角形と逆三角形の重なった図柄が描かれている。
 チャームは魔法書を胸に抱きかかえて、ライラックの後を追って町の中へと駆けていった。
 町の男達が、公爵の衛兵達が、剣を手に蝙蝠人達と懸命に戦っているが、どうも旗色が悪い。
 ズバァァッ。ライラックは目の前に躍り出てきた蝙蝠人を、目にも止まらぬ剣さばきで切り倒す。
「キィィィィッ」。別の蝙蝠人が、剣を片手に上空から襲ってくる。
 びゅっ。さっ。ライラックはとっさに身体を屈め蝙蝠人の剣を避けた。空中にライラックの切られた髪の毛が数本舞い散る。
 スパーーンッ!。ライラックの剣が蝙蝠人の頭を切り落とす。
 ライラックは次の敵を求めて走り出した。
 建物の陰から悲鳴がおこる。3匹の蝙蝠人が、赤ん坊を抱いた女性を取り囲んでいた。
 蝙蝠人の手が、女性のか細い身体に迫る。
「いやっ」女性が力ない声を上げた時、「まてっ!」と、ライラックが叫び、ズバァァァッと蝙蝠人の身体を切り裂いた。
「ギィィィィッ!」。蝙蝠人の胴体が腹部を境に上下2つになった。
 続いて、ライラックの剣が振り下ろされ、蝙蝠人の身体を左右に切り裂いた。
 ドバァァァァッ!。蝙蝠人は一鳴きも出来ずに、切り裂かれた身体を地面に倒した。
「ギャッ」。残りの1匹が恐れをなして空へ逃げようとした時、ライラックの剣が蝙蝠人の片腕を切り落とした。
 ズバッ!。「ウギャァァー」。翼を失った蝙蝠人が地面に落ちて転げ回る。
 ライラックは蝙蝠人に近づくと、剣を蝙蝠人の額に突き立てとどめを刺す。
 ズドッ!。剣先が額から後頭部へと貫通する。蝙蝠人は手足をピクピクと数度痙攣させ息絶えた。
 ライラックは、恐ろしさで立ちつくしている女性に「速く逃げろっ!」と大声で言った。
 女性は震えながら頷くと、その場から懸命に駆けて行った。
 それを目で追っていたライラックはホッと一息を入れる。
 だがその時、その一瞬のスキをつかれ、背後から近づいた蝙蝠人によって、ライラックの首が絞められた。
「あぐ・・・」。蝙蝠人の両手の力が段々と強くなり、ライラックの首を締め上げていく。
「ううう・・・う、ぐ、ぐ・・・」。
 ライラックの額からは、苦しさの為に、玉のような汗が噴き出してくる。
 ぐい、ぐい、ぐい。息苦しさをライラックは歯を食いしばって堪える。
 ぼやけだした視界の前を、シュッという音と共に、何かキラリと輝く物が飛び抜けた。
 その瞬間、蝙蝠人の悲鳴が上がり、首を締めつけていた手が力なくはずれた。
 ライラックは咳き込みながらも、背後に倒れている蝙蝠人を見た。
 蝙蝠人の身体には、何か鋭い物が通り抜けた穴が無数に開いており、そこからは大量の血が流れていた。蝙蝠人はすでに死に絶えていた。
 そこから少し離れた所に、チャームが魔法書を抱えてニコニコした顔で立っていた。
「ライラックさん、あたしの銀の指輪と足輪が掛かっているんですから、まだ死んじゃだめですよ。」
 チャームは、本音ともジョークともつかない言葉を笑いながら言った。
「ギィィィ」。頭上から蝙蝠人の叫び声が響く。
 チャームめがけて、蝙蝠人が急降下してくる。
 蝙蝠人の口の牙がガチガチと鳴っている。
 チャームは手にしている魔法書を開くと、ページを1枚ビリッと破り取り、迫って来る蝙蝠人に向かってサッと投げ上げた。
「氷刃(ひょうは)!」。チャームが叫ぶ。
 ぺらぺらの紙は瞬時に十数個の氷の刃物に姿を変えて、蝙蝠人の身体を情け容赦なく突き通した。
 ドサッ。氷刃によって開けられた傷口から、血を吹き出しながら、蝙蝠人は地面に落ちてきた。
 チャームはライラックに向かって細い腕を突き出すと、自慢げに「Vサイン」を作って見せた。
 一方、夜空を飛んでいた一匹の蝙蝠人が、館の自室から町の方を見ていた公爵の姿を見つけると、「キキィー」と鳴き、公爵めがけて窓を突き破って飛び込んできた。
 グワッシャァーン!。
 蝙蝠人が、フォレックス公爵の首筋に鋭い牙で噛みつこうとした時、ガシッ!、とその頭が鷲掴みにされた。
 その右手は普通の時の数倍の大きさとなっていて、公爵の身体全体から見たとき、まるっきしアンバランスの光景を見せていた。
 公爵は左の手で眼鏡を外す。公爵の真っ赤な色の目が現れる。
 すると、公爵の身体は少しずつ人間の形から、別の物へと変身を始めた。
 段々と変化をする身体は、着ている服を引き裂いていく。全身に濃い毛が覆っていく。
 しかし部屋の中にいるメイド達は、別段驚く様子は見せていなかった。
 いつものように静かに部屋の隅にたたずんでいるだけだ。
「わしの領地を襲ってくるとは・・・許さん!。」
 犬のような形の口が動き、そう言葉を吐き捨てるように言うと、蝙蝠人の頭を鷲掴みにしていた巨大な右手に力を入れた。
 グシャッ!。嫌な音を立てて蝙蝠人の頭は握りつぶされ、肉片が四方に飛び散った。
「雑魚がっ!」。ニヤッと笑った公爵の口からは鋭い牙が何本も覗いていた。
「御主人様、お身体をお拭きいたします。」
 秘書のあの女性と数人のメイドの少女達は、いつの間にか全裸の姿になると、全身獣のような毛に覆われ仁王立ちになっている公爵の身体に近づき、自分たちの舌で飛び散って公爵の身体についている肉片の汚れをペロペロと舐め取り出した。
 月の光に照らされ壁に写し出された公爵の影は、耳をぴんと立て大きな尻尾を3本も持つ、巨大な狐の姿であった。
 公爵は赤い目をより一層光らせて、襲われている町を見つめていた。
「・・・・・・・・・!?」。
 公爵はある物が近づいて来るのに気がついた。
「ヤツが・・・来たか・・・」。
 公爵の鋭い瞳が夜空の一角に釘付けになった。
 同じ頃、町の中で戦うライラックとチャームにも、それが近づいて来るのがわかった。
「何が来るの?」。ライラックがチャームに聞く。
 チャームはわからないと言うように、顔を小さく左右に振った。
 ライラックとチャームは夜空の一角を息を殺して注視する。
 ザザザァァァァーーーーッと、何か巨大な物が見上げている上空を横切った。
「なにっ?」。ライラックは思わず声を上げる。
 それはライラック達の頭上を2、3回旋回すると、地上に降り立った。
「ええ?、・・・な、なに・・・こいつが蝙蝠人の親玉なの?。」
 ライラックは思わず後ずさりをする。
 姿は他の蝙蝠人と同じ姿なのだが、大きさがでかすぎる。
 ざっと見たところ・・・7、8メートルはある。
 そいつの額には、公爵から聞いていた血のように赤い輝きを見せている、ブラッド・オパールが見えている。
 だが、想像もしなかった状況になって、ライラックとチャームはどうしたら良いか、わからなくなってしまった。
「誰よっ!。蝙蝠人の親玉も、普通の大きさだなんて言ったのは?。」
 ライラックはチャームに向かって大声で叫んだ。
「そんなこと言われても・・・」。チャームが反論する。
「ギィィィィッ!」。
 口論する2人に向かって、巨大な蝙蝠人は拳を振り下ろしてきた。
 グワッシャーーン。
「きゃぁぁぁ!」。すんでの所で2人は飛び退いた。
 地面に大きな穴が出来る。
 再び巨大蝙蝠人の拳が、2人を狙って振り下ろされる。
 ズシャーーーン!。地面の土を跳ね飛ばして、クレーターが出来る。
「きゃーーん」。2人はジャンプをして、攻撃をすり抜ける。
「こんな所に居てもだめだわ。取り敢えず退却よ」
 ライラックとチャームは、急いでその場から町の中へと逃げる事にした。
「グワァァァッ!」。
 巨大蝙蝠人は、ドスドスと地響きを立てて、2人の後を追って来る。
 逃げる2人。追いかける巨大蝙蝠人。
「はあ、はあ、はあ、・・・ライラックさーん、どうして戦わないんですかぁー?」
 走りながら、チャームは不満げに聞く。
「あのねぇ、あんなでかいヤツ相手に、剣が効くと思っているのぉー」
 同じく走りながら、ライラックが答える。
「それよりも、さっさと魔法を使ってよっ」
 今度はライラックが不満げにチャームに叫んだ。
「だめでぇーす。・・・こんな状態じゃ・・・呪文が唱えられませーん。」
 チャームが、はあ、はあ、いいながら答える。
 走っているライラックの目が、狭い路地裏の通りを見つける。
「しめたっ。チャームこっちよ!」。2人は家と家との隙間へと入って行く。
「はあ、はあ、はあ、・・・狭い場所には、あの化け物も入って来ることは出来ないわ。・・・はあ、はあ、はあ・・・」
 ライラックはホッとしたように喋った。
「取り敢えずは、一息つけますね」。チャームもホッとした気持ちを言った。
 そんな2人の耳に、バリバリバリ・・・と建物を壊す音がしてくる。
 ふたりは音のする方を見る。巨大蝙蝠人が家を破壊して、こちらへ来ようとしていた。
「きゃぁぁぁ」。2人は悲鳴を上げると、また逃げ出した。
「グオオオオオ!」。家を粉々に破壊した巨大蝙蝠人が、また2人を追いかける。
 ドスドスドス・・・と地響きを立てて。
「あーん。ライラックさんが蝙蝠人をたくさん斬り殺したから、きっと怒って追いかけて来ているんですよぉ」
 チャームはライラックが悪いと言いたげな言葉を叫ぶ。
「何で私だけの責任よっ。チャームだって魔法で結構やっつけたじゃないの?」
 ライラックが冗談じゃないと言いたげに、大声で反論する。
 2人はこんな事を言い合いながら、町の中をひたすら逃げ回る。
 その後を巨大蝙蝠人が追いかけて来る。家々を破壊しながら。
「ライラックさーん。いったい何時まで逃げればいいんですかー?」
 チャームが泣きそうな声を出す。
「知らないわよー。追いかけて来る蝙蝠人の親玉に聞いてよー」
 ライラックは、もういい加減にしてくれっ、と言う心境で答えた。
 その間にも、町の中の家々がどんどん壊されていく。
「なにをやっているんだ?。あの2人は・・・」
 この光景を、公爵は呆れた気持ちで目にしていた。
 ある建物を目にした時、ライラックの頭脳にあることが閃く。
「チャーム!。一か八か、ヤツの額のブラッド・オパールを剥ぎ取ってみるわよ!」
「どうやってですか?」。チャームが聞き返す。
「いいから。ヤツの足を止めてっ。頼んだわよっ!」
 そう言うと、ライラックは町で一番高い建物の中に駆け込んで行った。
 チャームは魔法書を開くと「氷刃」の攻撃を続けざまにおこなった。
 足に氷刃が当たる。・・・全然効き目がない。
 腹部に氷刃が当たる。・・・全然効き目がない。
 胸部に氷刃が当たる。・・・全然効き目がない。
「えーん。どうしてー。全然効かないよぉー。」
 あせったチャームは苦し紛れに、巨大蝙蝠人の顔めがけて氷刃を投げつける。
 グサッ。グサッ。グサッ。・・・。
 巨大蝙蝠人の両目に氷刃が突き刺さった。
「ウッギャアアアアァァァァァァ」
 巨大蝙蝠人は両目を押さえた。
「きゃ。やったあ、やったあ」とチャームは大喜びをして、その場で飛び跳ねた。
 そのころ、やっと建物の屋根に上ったライラックは、屋根の上から巨大蝙蝠人を見下ろした。
 ちょうど真下に、巨大蝙蝠人の頭がある。
 赤い色のブラッド・オパールも見える。
 ライラックは剣を抜き、両手に持って狙いを付けると、「やぁぁっ」と巨大蝙蝠人の頭めがけて飛び降りた。
 ズバアアアァァァァーッ。ライラックの剣が巨大蝙蝠人の額に埋め込まれている、ブラッド・オパールの側に突き刺さる。
 赤い色のブラッド・オパールは近くから見ると、結構大きく、5、60㎝ぐらいはある大きさだ。
「すごく大きな宝石・・・」。ライラックが一瞬そう思ったとき、ビシュウウウ、と突き刺した額から蝙蝠人の血が勢いよく噴き出した。
「グギャァァァァァァァァァ」
 巨大蝙蝠人は、苦しさのため身体を激しく振って、頭上にいるライラックを振り落とそうとした。
 ライラックは突き刺した剣を懸命に握って振り落とされないようにしていた。
 ライラックは何とかして額のブラッド・オパールを剥ぎ取ろうとしたが、蝙蝠人が激しく動くのでとても難しかった。
 剣を握っている手が段々と痺れてくる。力が入らなくなってくる。
『このままでは振り落とされる』
 ライラックの頭の中にその言葉が浮かんでくる。
「グワオオオオオ」。巨大蝙蝠人は叫び、激しく身体を震わせる。
「ああーん。このままじゃ、ライラックさんが死んじゃうー。どうしょう・・・」
 この光景を見ているチャームは、ただオロオロするばかりだ。
 だけど・・・何かをしなければ・・・、そう思ったチャームは、とにかく自分のありったけのパワーを集中し始めた。
「地の中にいる者よ。風邪の中にいる者よ。光の中にいる者よ。そして水の中にいる者よ。我に力を与えよ。我は魔道士チャームなり。」
 チャームは呪文の言葉を呟く。
 一陣の風が吹き、チャームの身体を包んだ。
 続いて、チャームの身体が光に包まれていく。
 チャームの身体に、パワーが集中している事を示しているように、金髪の髪の毛がフワッと逆立ってくる。
 頭上に上げた両手の間に巨大な光の塊が出来上がる。
 その光の塊に、パワーが注ぎ込まれていく。
 閉じていたチャームの目が開かれ、ライラックを振り落とそうとしている巨大蝙蝠人を睨み付ける。
「お前なんか、消えていなくなれぇぇぇぇ!」
 チャームの叫びと共に、巨大な光のパワーの塊が、蝙蝠人の親玉に向かって投げつけられた。
 その瞬間、目もくらやむ程の輝きがおこった。
「なにっ!」。ライラックが、フォレックス公爵が、信じられないものを見たというような声をあげた。
 ドワァァァァァァーーーンンンン!。
 大音響と共に激しい爆風と衝撃波が、町を含めあたり一面を尽く吹き飛ばした。
「いけないっ!」。
 公爵は手をかざし瞬時になにかの呪文を唱えた。すると館のまわりにバリアーの結界が作られ、それが衝撃波を尽く跳ね返した。しかしそれでも館全体が地震の時のようにガタガタと揺れた。
 巨大なキノコ雲の中から、四方の夜空に向かって、たくさんの小さな光る物が飛んでいくのを、公爵の目は見逃さなかった。
 蝙蝠人の親玉と蝙蝠人達は全て吹き飛ばされていた。そしてありとあらゆる物も吹き飛んでいた。
 巨大なクレーターの中で、力を使い果たしたチャームと巻き込まれたライラックが、並んで倒れていた。
「あの小娘が・・・まさか・・・しかしこの力を使えると言う事は・・・間違いない・・・チャームはエルフの力を持っている・・・だが人間と同じ耳をしているところを見ると・・・人間とエルフとの間に生まれたハーフエルフだな・・・」
 公爵は独り言のように呟いた。
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「なんでぇーっ!。報酬が無いんですかぁぁ?。それに私達の首に付けられた、この首輪は何ですか?」。
 ライラックが声を荒げて公爵に詰め寄る。
 初めて会ったとき同様謁見室で、ライラックとチャームは、豪華なイスに座っているフォレックス公爵と相対していた。
「町や周辺の村を跡形もなく吹き飛ばしておいて、なにが報酬かな?。」
 公爵の言葉を聞いて、ライラックは「うっ」と返す言葉を失い、チラッとチャームの顔をにらんだ。『チャームの責任よ・・・ううう・・・』。
「それどころか被害甚大で、逆にこちらの方から損害金を請求したんだよ。君らの所属している傭兵ギルドにね・・・」。
 公爵は1枚の手紙を出して話を続ける。
「そしたら、ギルドの方からこんな回答の手紙が届いたんだ。」
 手紙がライラックの足元に投げられる。ライラックはそれを拾い上げて見てみる。
 それにはこう書かれていた。
『当傭兵ギルドから派遣した、ライラックとチャームの2人とはすでに契約が切れていますので、公爵が被った被害金はこの2人に請求して下さい。この2人を焼くなり煮るなりご自由にどうぞ』
「な、なんだ、これはっ?」。あまりのことに、持っていた手紙を左右に引きちぎる。
「何だと言われても困るが、そう言う訳だから、しっかりと支払ってもらうからね。」
 公爵の言葉を耳にして、「うー・・・、傭兵ギルドめが・・・見捨てられたぁー・・・」とライラックが唸る。
 秘書の女性が明細書をライラックに手渡した。
「ええっ!。こんなに高額・・・」。
 天文学的な金額の明細書を見たライラックとチャームは、同時に絶望的な声を上げた。
 1つの町と周辺の村々を吹き飛ばしたのだから、何となく頷ける金額ではあるのだが・・・。
 暗い気持ちになっている2人に、公爵が尚も言葉を続ける。
「ところで頼んでおいた、蝙蝠人の親玉の額から取った、ブラッド・オパールを渡してもらおうか。」
「え?・・・」。ライラックとチャームが思わず顔を見合わせる。
「あれですね・・・、蝙蝠人を吹き飛ばした時に、一緒にバラバラにして吹き飛ばっしゃったんですぅ・・・」
 チャームの言葉に、一瞬言葉を失った公爵の目が次第に鋭くなる。
「ブラッド・オパールは、災いを呼ぶ秘宝なのだ。それを身に付けた者の回りには、必ず流血の惨劇が起こる。・・・それを防ぐ為に無傷で手に入れる事を求めたのに、それを四散させただとおぉ・・・。おまえらぁぁぁ。」
 公爵が怒りの声を上げる。
 ライラックの背後に隠れていたチャームが、突然ライラックの背中をドンと押した。
 公爵の方に投げ出されたライラックに、回りの注意が集まった時、チャームは素早く呪文を唱え魔法書を出現させると、魔法の呪文を唱えだした。
「チャーム!。また1人で逃げて行くつもりなの?」。ライラックが大声で叫ぶ。
「ライラックさん、今までお付き合いありがとうございました。あたしギルドに戻って新しいパートナーを見つけますので後はよろしくね」。
 チャームはペロリと可愛い舌を出した。
 呪文を唱え終えたチャームの身体の回りに、サァーッと一陣の風が吹き込んだ。
 しかし、チャームの魔法の効力はそこまでであった。
「え?・・・・?」。チャームはもう1度同じ呪文を唱えた。
 結果は同じだった。チャームの身体はこの場所にあり続けている。
「ど、どうして?」。チャームが泣きそうな声を上げる。
 それに答えたのは、公爵の低い声であった。
「お前達の首に填めている、『隷属の首輪』の為だ。それを填めた者は、身も心も主人のものになり、従順になっていくんだよ。しかも剣の力や魔法の力も、主人が自由にコントロールが出来るんだよ。今のチャームの魔法が効かないのはその為さ。」
 秘書のあの女性や、メイドの少女達が填めている首輪も、これであった。
「あーん・・・。あの・・・ライラックさん・・・」
 チャームはライラックに保護を求めるかのごとく、甘えた声で近づいた。
 チャームはライラックの顔を見る。ライラックの目が怒りに燃えている。
 チャームの首に填められた「隷属の首輪」が、チャームの魔道士としての力を封印してしまったことを知ったライラックは、今までの物わかりのよかったお姉さん的性格が、ガラリと変わり、まるっきり別人のような逆の性格を現し出した。
「チャーム、もういい加減にしなさいよ。お前のわがままにはもうウンザリよ」
 ライラックが低く呟く。
 チャームは不思議そうにライラックの顔を覗き込んだ。
「どうして、そんなこと言うの?。いつもライラックさんを助けてあげているじゃないの」
 チャームがそう言った時、パシーンと、ライラックの平手がチャームの頬にヒットした。
「いい加減にしなさいっ!。何をいつも助けているよ!。もうお前のお守りはウンザリよっ!」
 そしてもう一発の平手打ちがチャームの頬に打ち入れられる。
 パァァァーン!。
「ライラックさん、ごめんなさい!」。頬を手で押さえ、涙目のチャームが許しを請う。
 パシーン!。もう片方の頬に、ライラックの平手打ちが入る。
「きゃっ!」。チャームがまた悲鳴を上げる。
「ライラックさん・・・・・?、『さん』なんて言葉は対等の者が言う言葉なのよ。分かっているの?、魔法が使えない今のお前は、只の15の小娘なのよ。・・・ま、いいわ。これから、あたしへの言葉使いと、お前が今どういう立場になっているのか、時間を掛けて、お前の身体に教え込んであげるからね。・・・覚悟しなさい」
 ライラックの冷たい視線が、チャームの脅えた顔を貫く。
 ビリビリビリビリーッ!。
 チャームの着ている服の胸元に手を掛けると、ライラックはひと思いに引き裂いた。
「きゃぁぁっ!」。
 裂けた服の中から、チャームの白い肌が姿を現した。
 まだそれほど膨らんでいない両方の乳房も顔を現す。
 バリ、ビリ、ビリリッ。
「も、もうゆるして・・・」
 チャームは乳房を腕で隠して身体を丸めている。
 服を剥ぎ取られたチャームが身に着けているのは、今や股間を包む小さなパンティだけであった。
 ライラックは身に着けている、小形のナイフを取り出すと、鋭利な先端をパンティに近づける。
「動くと怪我をするわよ」。ライラックが呟く。
 ビッ!。ナイフがチャームの身体に着けていた最後の布を切り取った。
 破かれ切り裂かれた服の中に、生まれたままの姿にされたチャームがいた。
 チャームは小声で泣いている。身体は脅えのため震えている。
 ライラックは、そんなチャームに命令調の言葉を伝える。
「隠している乳房とオマンコをお見せなさい。お前の身体を見てあげるわ」
「・・・・・・」。
 パシーーン。またライラックの平手がチャームの頬を打つ。
「ごめんなさい・・・もうぶたないで・・・ううう・・・」
 チャームは、乳房を隠していた腕をどける。閉じていた両脚をそっと拡げる。
 ライラックは、目の前のチャームの裸体を、改めてまじまじと見下ろした。
 雪のように白い肌の色。乳房の上についている可愛らしいピンクの乳首。15歳の娘とは思えない引き締まったウエストと細い脚。人形のように整った顔立ち。そして金髪のロングヘアに、同じく金髪でまだ薄い陰毛。
 チャームは自分の全てをさらした恥ずかしさで、顔を赤くしてフルフルと震えていた。
『チャームは本当に人間なの?。いくら魔道士が魔法を自分に掛けたとしても、ここまで整った身体になるものなの?』。
 チャームがハーフエルフだとはまだ知らないライラックは、チャームの身体を見て脳裏に一瞬そんな疑問が涌いたが、チャームの白い素肌に引き寄せられるように、手でチャームの乳房を軽く揉んだ。
 しかし、ライラックの口から出た言葉は、頭に浮かんだ疑問とは遙かに違うものだった。「白く綺麗な肌ね。傷ひとつ無い・・・、そうよね、お前はいつも危険の無い離れた場所から、効果が有るのか無いのかわからない魔法を使っていたんですものね。」
 揉んでいた乳房にギュッと力をこめる。
「あうっ」。チャームの口から苦痛の声が漏れる。
「あら?、痛かったの?。でもね、あたしは剣を使って直に怪物や化け物たちと戦っているんだからさ、痛いだけじゃすまないのよね。・・・とくに戦いの途中で職場放棄なんかされたんじゃ、あたしとしては困るのよね。命がけで戦っているんだからさ」
 チャームを見るライラックの目は、今までに溜まりに溜まった恨みを吐き出すかのような怒りの瞳を投げ掛けていた。
「な、なんのことでしょうか・・・ライラックさまぁ・・・」
 涙顔のチャームが、おそるおそる聞く。
「あらぁ、忘れちゃったの?。・・・巨大食肉植物と戦った時には、お前は途中で疲れたとか言って、戦いを止めてさっさと町に帰っちゃったでしょ?、あたし危なく食われるところだったのよ。」
「そ、そんなこと・・・ありましたか?・・・きゃっ!」
 ブチッ!。チャームがそう言った時、ライラックの指がチャームの恥丘に生えている金髪の陰毛を引き抜いた。
「あら、痛かった?。でもね、火を吐く虎と戦った時は、お前は精神が集中出来ないとか言って、魔法を使う事を止めちゃったわよね。あの時はあちこち身体を傷だらけにされたのよね」
 ライラックはそう言うと、チャームの陰毛を数本引き抜いた。
 ビチッ!。「ぎゃんっ」。チャームが小さな悲鳴を上げる。
「そうそう。化け物ムカデと戦った時には、お前はあたしの背後にムカデがいるのに気が付いていたくせに、注意の声ひとつ掛けてくれなかったわね。あの時は危なく食い殺されるところだったのよ」
「ご、ごめんなさい。・・・でもあれは、ライラック様が気が付いていると思ったんです・・・」。チャームが震えながら弁解する。
「おだまり!」。ライラックの怒りの声と同時に、また陰毛が引き抜かれる。
 ブチッ!。「あぐっ!」。チャームは痛さで背中が反り返る。
「こんな事もあったわね。・・・山賊たちと戦った時に、あたしがやつらに捕まった時、お前はさっさと逃げちゃったでしょう?。・・・そのおかげでね、あたしはやつらに好きなように輪姦されまくったのよ。それどころか、精液やオシッコを飲まされ、ウンチを食べさせられた人間便器にさせられていたのよ」
 ライラックの恨みの言葉を聞いていたチャームが、震えながら答えた。
「でも・・・あの後、ちゃんとお助けしましたよぉ」
「そうねぇ。一週間後にね・・・。でもチャーム、お前はその時、あたしに向かって何と言ったか覚えているかい?」
 チャームはひきつった顔を、激しく左右に振った。
「あらあら。お前の頭は、都合の悪いことは何でも忘れてしまうのね。・・・、ならば聞かせてあげる、『ウンチやオシッコを、食べたり飲んだりして美味しかったですか?。でもなんか、ライラックさんには人間便器が似合っているかも知れませんね。』・・・そう言ってお前はあたしの前でケラケラと笑っていたのよ」
 怒りの為、殺気さえも現れているライラックの表情に対して、もう涙で顔をくしゃくしゃにして、どうしたらいいのぉ・・・、と言った弱り切った表情のチャームの顔であった。
「その内に、お前にもあたしのウンチとオシッコをたっぷりと食べさせて、人間便器になってもらうからね。覚悟をしておくんだよ」
 ライラックはチャームに向かって、冷酷な言葉を伝えた。
 この2人のやりとりを眺めていたフォレックス公爵は、唇の端をゆがめてクスッと笑った。
「ライラック殿は、あんなにも恨みが積もっているのに、よく今までチャームさんとパーティーを組んでこられましたね?。不思議です」
 フォレックス公爵の斜め横に立っている、秘書兼メイドの女性が呆れたように呟いた。
「怪物や魔物と剣だけで戦う剣士には、どうしても魔法を使う魔道士の協力が必要なのさ。強い魔法の力で、戦いの支援をしてもらわなくちゃならないからね。ライラックとしては、チャームのご機嫌を取りながら、何とか今までパーティーを組んできたというわけさ。・・・それにしても、あんなわがままな魔道士とパーティーを組んでいて、よく今まで生き残ってこられたものだ」
 フォレックス公爵は、半分は感心し半分は呆れてクスクスと笑いながら呟いた。
「きゃっっん」。フォレックスとメイドの会話は突然上がったチャームの悲鳴で中断された。ライラックの人差し指と中指の2本の指が、チャームのヴァギナの中へと深々と埋め込まれていた。
「あら?、お前はまだ15歳だというのに、もうお前のアソコは指2本をくわえ込むことが出来るんだ。お前は魔道士としてどんな修行をしていたのかしら?」
 ライラックの2本の指がヴァギナの中で、グニュグニュッと、動かされる。
「あ、あああーん。・・・だ、だめぇー。」
 チャームの悲鳴にも似た叫びが上がるが、ライラックは容赦なくヴァギナの中の指を動かし続ける。
 ニチャ。ニチャ。ニチャ。ニチャ。ニチャ。
「あ・・・は、あ・・・ん。ああ、ん・・・」
 ニチュ。ニチュ。ニチュ。ニチュ。ニチュ。
 ニチュ。ニチュ。ニチュ。ニチュ。ニチュ。
「ううう、ん・・・ひゃ、っん・・・あ、ん・・・や、ぁ、ん」
 ヌチャ。ヌチャ。ヌチャ。ヌチャ。ヌチャ。
 指で掻き回している、チャームのヴァギナの中から、いつしか液体を掻き混ぜているような音がしてきた。
 ライラックの指に、生暖かい液体が絡み付いてくる。
 ライラックはニヤリとすると指をヴァギナの中から引き抜いた。
 ズニュ。と音を立てて引き抜かれた指には、淫液が糸を引きキラキラと輝いていた。
「あら。嫌がっているわりには、どうしてこんなイヤラシイ汁を漏らしているのかしらね?。淫乱魔道士さん?」
 ライラックは指を無理やりチャームの口の中へと押し込んだ。
「どう?。美味しいでしょう。お前のオマンコから出た汁なんだから。・・・くすくすくす」
 ドサ。そこへ1人のメイドの少女が近づくと、ライラックとチャームの側に抱えてきたカゴを置いた。
「フォレックス公爵様からです」
 そう言うとメイドの少女は一礼をして部屋の隅に下がっていく。
 カゴの中には、ロープ、手足に填める枷、鞭、蝋燭、洗濯ばさみ、男根をかたどった張り型・・・その他諸々の責め具が入っていた。
 ライラックはチラリと公爵の方に目を向ける。
 公爵は何も言わずに、ただ一度頷いただけであった。それを使えとの意味だ。
 ライラックは唇の端を歪めニヤリと笑うと、カゴの中から洗濯ばさみをひとつ取り出し、チャームの目の前に持っていく。
「フォレックス様が、お前にこれらを使うことをお許しになったわ。さぁ、まだまだお前が忘れている事を思い出させて、しっかりと反省させてあげるからね。そして2度とわがままの言えない身体にしてあげるわ」
 ライラックはチャームのひきつった顔を楽しみながら見つめた後、チャームの乳首のところに手にした洗濯ばさみを持っていった。
 いっぱいに口を開いている洗濯ばさみがチャームの乳首に軽く触れたとき、ライラックは押さえていた指を放した。
 勢いよく洗濯ばさみが乳首に噛みつく。
 パチィィィーン!。「きゃぁぁぁぁぁっ!」。
 チャームの愛くるしい悲鳴が、館の中から二つの月が浮かんでいる夜空へと響き渡った。
 フォレックス公爵の牝奴隷となったライラックとチャームの淫乱の狂演は、この時から数日間続き、フォレックス公爵を楽しませることとなるのであった。
 しかし、公爵の心の中には気がかりな事が1つあった。それは・・・
「さて・・・四散したブラッド・オパールをどうやって集めるかだなぁ・・・」であった。


《 あとがき 》
 あとがきです。
 こんにちは。九尾きつねです。
 今回は、ファンタジー(官能)小説を書いてみました。
 いかがでしたでしょうか?。
 共和国の小説作品の中にあっては、もしかするとちょっと異色かも知れませんね。
「一応官能シーンも入っていますから、大丈夫ですよね?。1枚のG編集長さん」(笑)
 内容は読んでもらったとおり、ライラックとチャームに思いっ切り暴れて(?)もらいました。
 でも暴れすぎて余計に騒ぎと被害を大きくしてしまったような・・・(笑)。
 さて、ラストに「おわり」としましたが、公爵の言葉からすると、まだまだ続きがあるのかも。・・・ってシリーズ化?、どうなりますか(まだ何も考えていませんので、笑)。
 この作品の感想などいただけたら、ありがたく思います。
 それではまた、次の作品でお会いいたしましょう。

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