• タグ別アーカイブ: だるま
  • 『抜歯フェラ』第4話:だるま編

    📂投稿グループ📎タグ

    抜歯奴隷美月のお話、第4話です。以前、Pixivに第1~3話を上げた後、「美月のだるま姿を見たいですか」というアンケートを取ったところ、8割以上の圧倒的大差で「見たい」という結果だったため(笑)、「だるま編」を作った次第です。美月は歯に続いて手足まで失い、またしても取り返しのつかない状況ですが、このシリーズは明るい雰囲気で終わらせたかったので、第4話も笑顔での終幕としました。

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第11章(終章) – 崩壊

    📂投稿グループ📎タグ

    I:はじまり

     

    1週間後の8月10日、七海の奴隷1周年記念日前日の夜。少人数調教の22時からの回で、陽葵は単独で佐渡の指名を受けた。激しい折檻が続く中で、陽葵は苦悶の末に絶頂し、調教は終わった。その帰り際、佐渡は陽葵に小声で話し掛けた。

    「なかなか良かったわよ? 仁科さん」

    「ぜぇ…… ぜぇ…… あ、ありがとう、ございます…… 佐渡先生……」

    「ところで、ペロに会いたくない?」

    「…………は?」

    「ペロよ。木下光希。あなたの恋人のお姉さん」

    「な、何言って…… 光希お姉さんは亡くなって……」

    「死体、見たの?」

    「!!!?」

    陽葵は驚愕した。あまりに大きな衝撃に、1日の疲れも眠気も、鞭痕の疼痛も全て吹き飛んだ。何? 何言ってんの、この人!? 光希お姉さんは死んじゃったんだよ! 火葬されちゃったんだよ!? ち、違うの!? まさか…… まさか……!!?

    「光希お姉さん、生きてるんですか……?」

    「ふふっ…… 知りたければシャワーを浴びた後、今夜11時20分に客用トイレまで1人で来なさい。時間になったら鍵を開けるわ。ただし木下さんや他の奴隷たちには決して言わないこと。 ……いいわね?」

    それだけ言うと佐渡は退室していった。

    陽葵は呆然としていた。わけがわからなかった。確かに遺体を見たわけじゃない。火葬されてるトコも見てない。生きてる……の? 光希お姉さん、生きてるのっ!!?

    死の1ヶ月くらい前から、光希は骨と皮だけの状態で、いつ死んでもおかしくない様子だった。だが、それからも点滴だけで1ヶ月生き続けたのだ。今も生きていたとしてもおかしくはない。でも…… じゃあなんで飯森様は死んだって言ったんだろ? なんでウソついたの!? わけわかんない…… 七海に相談したいけど…… 相談しちゃダメって先生言ってたし…… ああ、どうしよう!!

    陽葵はシャワーを浴びている間も考え続け、結局七海に書き置きをしてから指定の時刻に客用トイレの前に立った。すぐに鍵が開く音がし、ドアが開いて全身黒ずくめの佐渡が現れた。先程まで着ていた真っ赤なボンデージスーツではなく、黒の全身タイツに着替えたようだ。しかも何だか見慣れないマスクをしている。

    「行くわよ」

    「待ってください。色々聞きたいことが……」

    「後でね。まずは従いてきなさい」

    「…………」

    陽葵は、わけがわからないまま佐渡の後を従いていった。客用トイレから宿泊区画の廊下に出たが、佐渡は何故か明るい方には向かわず、廊下の端にあるSTAFF ONLYと書かれた金属製のドアを開けた。中は高さ2mくらいのコンクリート製のトンネルになっていて、電気やガス、上下水道に光回線など、様々な配管が縦横無尽に走っていた。佐渡は懐中電灯を点けてその中を進んでいく。途中幾つも分かれ道があり、なんだか毛細血管のようだと陽葵は思った。

    にしても、なんでこんな変なトコ歩いてるんだろ。ここ、どこ? こんなトコにお姉さん、いるの? ホントに…… ホントに生きてるの……!? 陽葵は佐渡の後ろを歩きながら、ひたすら考えた。エアコンのかかっていないトンネルの中は、裸でいるには寒く、陽葵は何度かくしゃみをしそうになったが、大きな音を出したらマズそうな雰囲気だったので、なんとか飲み込んだ。

    階段を幾つか降りて角を幾つか曲がった所に、先程と同じ金属製のドアがあった。STAFF ONLYとも書かれておらず、あまり使っていない感じのドアだった。

    ……いったいこの向こうに何があるんだろう。ここまで虹彩認証のセンサーを1箇所も通ってきていない。それが逆に怖い。佐渡と一緒だから脱走ということにはならないだろうが、深夜にこんなところにいて大丈夫なんだろうか……?

    寒気が止まらない。JSPFの施設内は、常時裸で過ごせるように室温が年中一定に保たれている。陽葵もこの施設に来てから寒いと感じたことは一度もない(氷水を浴びせられるなどの調教プレイは除く)。なのにこの寒さ。鳥肌が止まらない。 ……違う。寒いから鳥肌が立つんじゃない。エアコンの効いていない異常な場所にいることが、陽葵をたまらなく不安にさせるのだ。この恐ろしい施設で、こんな異常なことをして、罰せられないのだろうか。でも、気になる。光希お姉さん、ホントに生きてるのっ!!?

    「いくわよ」

    低い、抑揚のない声で言うと、佐渡は鍵を開けてノブに手を掛ける。そしてノブをゆっくりと回してそっとドアを開けた。

     

    ……凄まじい糞便臭が2人を直撃した。

    「ぅううげろぁええええええええええええええええっ!!!!」

    陽葵は反射的に嘔吐した。ドアを開けただけで、臭いを嗅いだだけで、反射的にリバースしてしまった。ありえない。ありえない! 何この臭い! なにこれ!! 臭いなんてもんじゃないっ!! うげええええええええっ!!!

    「あーあ、床汚しちゃって…… 後で掃除しなさいよ?」

    どうやら佐渡の着けているマスクは、防臭効果の高い特殊なもののようだ。佐渡は、嘔吐はおろか咳ひとつせずに部屋の中へと入っていく。陽葵は口で息をしながら、躊躇いつつ後に続いた。

    8畳ほどの広さの薄暗いその部屋は、凄まじく濃厚な糞便臭で満たされていた。陽葵は、5日前の午前中の調教の際に、10人分の糞便を身体に塗りたくられたて、あまりの悪臭に発狂しかけたのだが、そんなのまるで比較にならない。床は一面糞尿まみれで足の踏み場もない有様、部屋のあちこちに糞便を集めてできた高さ50cmくらいの山のようなものが築かれていて、ありえないほど激烈な悪臭を放っていた。

    避けようという気すら起きないほどに汚物で埋め尽くされた床の上を、全身タイツに身を包んだ佐渡は平然と歩いていく。素足の陽葵は、足の裏から伝わる汚物の柔らかい感触に悪寒を覚え、半ばパニックになりながらも、どうにか佐渡の後に従いていった。

    佐渡は、とある糞山の前で止まった。信じられないことに、そこには全裸の中年男がいて、糞山の中にペニスを突っ込んでいた。何こいつ…… 何やってんの……? あまりに薄気味悪い光景に、罵声の言葉すら浮かんでこない。辺りを見回せば、他にも糞山にペニスを突っ込んでいる男が数人いるようだ。気分が悪い。猛烈に悪い。異常なんて生易しいもんじゃない。狂ってる。完全に狂ってる。この部屋はエアコンが効いているのに、寒くて堪らない。悪寒が止まらない。今すぐ帰りたい。なんなの、ここ? なんなのよぉっ!!

    「よく見て?」

    佐渡はそう言うと、糞山の一角を指差した。そこだけ少し色が違う。ウンチじゃない。ウンチ色なんだけど、ウンチそのものじゃない。所々に築かれた糞山は、全て糞便の塊というわけではないらしい。厚く積もった糞の下に「何か」ある。 ……いる。長さ80cmくらい、幅30cmくらい、高さ20cmくらいの「何か」。男のピストンに合わせて「何か」がゆっくり動いている。

    「ぅ…… ぁ……」

    その時、「何か」が声を発した。陽葵は心臓が止まりかけるほどの衝撃を受けた。この声っ!!!!

    「うそ…… そんな…… 光希……さん……?」

    「かひゅ…… ぃあ……」

    色の違う部分は、どうやら人間の顔のようだった。糞で埋まっていないとは言え、顔にも汚物が付着して、肌の色は全く見えていない。声を発しなかったら陽葵は人間の顔だと気づかなかっただろう。でもよく見れば見覚えがある。目の窪み、歯が無くなって痩けた頬、口からだらしなく伸びた長い舌、それにこれは…… 糞色に染まった…… 眼帯!!

    「光希お姉さん!!」

    陽葵は大声を上げると、汚物まみれの床に膝を付いて、光希の身体の上に積もった汚物を手でどけていく。手が、腕が、茶色に染まっていく。あまりにおぞましい感触だったが、そんなことどうでもいい! 光希お姉さんが生きてた! 生きてた!! ……でも、なんでこんなことになってんのっ!!?

    その時、陽葵の手が止まった。思考も止まった。瞬きすら止まった。限界まで目を見開いて、手をガクガクと震わせて、全身から脂汗を噴き出して。陽葵の視線の先、光希の肩。そこに腕はなかった。股関節の先に、脚もなかった。光希は既に逃亡罪によって手足を失っていたが、完全に失ったわけではなく、二の腕と腿の中程で切断されていた。だから15〜20cmくらいの短い手足が残っていたのだ。それがない。ないっ!!

    「ひ……まり……」

    自分を呼ぶ光希のか細い声を聞いて、陽葵は我に返った。そして光希の顔を見、顔や頭を覆う汚物を手でどけていく。四肢切断からまだ1週間しか経っていないからか、切断箇所には包帯が巻かれていたが、それも茶色一色に染まっていた。

    「あぁぁ……」

    汚物を払いながら涙が溢れてくる。髪が…… 髪がない。1本も。うそ…… うそでしょっ!?

    メス犬ペロ(光希)の髪は、ここ最近は抜け毛や白髪が目立ち、髪質も急速に劣化していたが、雑用係がきちんと毎朝洗って手入れをしていた。調教中に汚物を被ってドロドロのバキバキになっても、翌朝にはキレイなポニーテールに戻っていた。なのに。抜け毛が進んで、全部抜け落ちてしまったのだろうか。それとも、手足を奪った連中が髪の毛まで奪っていったのだろうか。どうせ…… どうせそっちに決まってる。 ……なんてことすんのよ。こんなウンチまみれのトコで、手足切って髪も切って。ありえない…… ありえないっ!!!!

    陽葵は座り込んだまま、首だけ佐渡の方を向いて睨みつけた。佐渡の方も、(マスクをしているので口元は見えないが)残忍な笑みを浮かべながら陽葵を見下ろし、そして語り出す。

    「ここ、8畳くらいあるんだけど、等間隔に糞山が並んでいるでしょ? この配置、この間隔、なんだか見覚えない?」

    「…………」

    「実はここ、あなたが773号室に移る前に毎朝使っていた奴隷用のボットン便所の真下なの」

    「なっ!?」

    「あなたは毎朝、仕切りも何もない床に穴が開いているだけの場所で、恥ずかしい思いをしながら糞尿を垂れ流していたわけだけど、穴の下はこんなことになってたってわけ。」

    「じょ…… 冗談でしょ? そんなの……」

    「ここは便槽。奴隷たちの終着点よ」

    「はぁっ!!?」

    「役立たずになったJSPFの奴隷やメス犬はね? 手足を完全に絶たれてここで余生を過ごすの。奴隷たちの糞尿を毎朝浴びながら、たまにやってくるスカトロマニアの客に犯されながら、毎日点滴を受けて無理やり寿命を引き伸ばされて、完全に息の根が止まるまでここで過ごすのよ。そしてその有様を全て撮影されて、世界中のキチガイどものオナネタになるの」

    「!!!!」

    「仁科さん…… いや、陽葵。お前もね!!」

    「!!!!!!!!」

    「JSPFの奴隷のうち、オークションに出品されてここから出られるのは半分もいない。私みたいに身請けされる奴隷はさらに少ない。残りは全員ここ。ここが終点。陽葵…… お前も今は10代でお肌ピチピチだけど、10年も20年もここにいてごらん? 出産を繰り返してまんこはボロボロ、ケツの穴もぶっ壊れて、胸は醜く垂れて、若白髪で糞まみれのシワクチャババァだから。そんなの価値ないでしょ? そうなったらオシマイ。お前の未来はここ。ここで糞にまみれて、糞マニアの糞野郎に犯され続けて、死んでいくの。ペロみたいに!」

    「!!!!」

    「ここ、昔炭鉱だったっていうの聞いてる? この部屋のすぐ横にものすごく深い縦坑があってね? 墓穴にピッタリでしょ? 死んだらそこにポイ。死肉は糞まみれだからあっという間に分解されて骨だけになるらしいわよ? ……それがJSPFの奴隷の末路。あなたと、あなたのお母さんと、玲香と…… この施設にいる大半の奴隷の最期よ!」

    「!!!!!!!!」

    「ああ、それから…… さっきオークションとか身請けとか言ったけどね? 私が全力で潰すから。お仕置きの頻度が高い奴隷は優秀とは見做されない。そんなヤツ、お荷物だからオークションには出されないし、身請けもされない。私がね? 毎週お前を指名してボコボコにするの。そしたら集中力が切れて次の回でミスして毎回お仕置き。それが毎週続けばJSPFの評価はガタ落ち。歯もどんどん抜かれて、お腹の子は流産して…… それを何年も何年も続けるから。お前がここに落ちるまで続けるから」

    「な…… なんで…………」

    「……この前、ペロがお前たちの前から消えた日、お前、1日じゅう奴隷たちと乳繰り合ってただろ」

    はらわたが煮えくり返った。なんでコイツだけこんないい想いをしてるんだ! なんでコイツだけ!! なんで!!! 私は!!!! 私は!!!!!

    「七海と幸せそうに抱き合うお前を見てね…… 殺してやりたいくらい腹が立った。でも、殺したらそれっきりでしょ? だから、お前に絶望の未来を教えた上で、10年でも20年でも、役立たずのカスになるまで徹底的にいたぶってやることにしたってわけ。 ……楽しそうでしょ? 覚悟しておけよ!!? 仁科陽葵っ!!!!」

    「!!!!!!!!!!!!」

    怖い! 怖い!! 怖いっ!!! 陽葵は途中から完全にパニックになっていた。心臓がありえない速度で高鳴り、血圧が150を超え200を突破する。失禁し、全身が震え、悪寒が走り、脂汗が滝のように流れる。

    怖い! 怖い!! 怖いっ!!! 地獄よりも恐ろしい部屋で、地獄の鬼ですら逃げていきそうなほど恐ろしい顔で睨まれ、あまりにおぞましい未来を宣告されて、マトモな思考力は全て消え去った。

    怖い! 怖い!! 怖いっ!!! 足元にいる光希のことも、最愛の恋人のことも、母のことも玲香のことも堀田のことも、全部頭から吹き飛んだ。

    怖い! 怖い!! 怖いっ!!! 七海とママと玲香さんが一緒なら、ここでもやっていけると思ってた。でもやっぱりここは地獄だったんだ。アタシもいつかこうなる。いつか必ず! こうなる!!

    怖い! 怖い!! 怖いっ!!! もうイヤ! この人から、鬼から逃げたい。この地獄から逃げたい! 逃げなきゃ!! 逃げなきゃっ!!! 殺されるっ!!!!

    陽葵は猛然と立ち上がると、脱兎のごとく逃げ出した。床一面の糞便に足を滑らせながらも、往きに入ってきたドアまで全速力で走った。ドアには鍵が掛かっておらず、陽葵はドアを勢いよく開けると、配管トンネルを猛然と駆け出した。寒さなんてまるで感じない。怖い! 怖い!! 怖いっ!!!

    毛細血管のように入り組んだトンネルはまるで迷路であり、陽葵はすぐに往きに通ってきた道とは違う道に入ってしまった。直後、薄暗いトンネルのあちこちで赤色灯が点き、方々でけたたましいアラート音が鳴った。すぐに警備員や調教師たちが駆け付け、陽葵はあっという間に捕縛された。

     

    8月10日23時48分、陽葵は脱走した。

     

    ……佐渡は便槽の通用口のドアの前で呆然と立ち尽くしていた。

    奴隷の体内には各種センサーが内蔵されたマイクロチップが埋め込まれており、その位置は監視システムが常時把握している。システムは、奴隷の生活動線や指名状況などを基に奴隷の可動範囲を自動で切り替えつつ、奴隷がその範囲から逸脱した場合には即座にアラートを鳴らすようにプログラミングされている。

    佐渡は、虹彩認証付きのドアを通らずに客用トイレから便槽まで行けるよう、事前に配管トンネルの経路を調べ上げ、この日の23時から明朝までの間、その経路を陽葵の可動範囲に加えるよう、予め警備員に伝えておいた。警備員には堀田の命令であると虚偽の説明をした。

    全ては陽葵に極限の絶望を与えるため。絶望の中で苦悶するJSPFの奴隷たちを差し置いて、この私を差し置いて、ひとり恋人といちゃつくこのクソガキを徹底的に潰すため。

    うまくいっていた。便槽の中にいたスカトロマニアの男たちにも、自分と陽葵が深夜に便槽を訪れたことと、会話の内容は秘密にしてくれるよう事前に大金を渡しておいた。あとは陽葵に、今夜ここで起こったことを七海たちに話したら、七海たちの手足を切ってここに捨てると脅してから、773号室に帰らせて、それで終わるはずだった。

    だが、興奮の極みにあった佐渡は、陽葵が逃げ出す可能性を完全に見落としていた。それ故に便槽の通用口の鍵を掛け忘れた。 ……遅かった。気づいた時には陽葵は既に走り出していた。「あっ!」と声を上げて佐渡は急いで追いかけたが、通用口のドアに達した時には既にアラートが鳴っていた。佐渡は真っ青な顔でそれを聞いていた。

     

    II:罪

     

    翌8月11日。1周年の日の朝6時。七海たちが起きると陽葵はいなかった。3人とも昨日の最後の調教は別々に受けており、調教が終わってシャワーを浴びた直後、3人は例によってベッドに倒れ込み、失神するように眠りに就いた。深夜3時頃に美海がぐずり出したため、今日子が起きてオムツを交換し、その際に陽葵がいないことに気づいたものの、ここ最近、陽葵は七海のベッドで一緒に寝ることが多かったため、今日子は特に気に留めることもなく、オムツ交換が終わったらすぐにベッドに戻って寝てしまった。773号室は高性能の防音シートで覆われているため、けたたましく鳴り続けるアラートも、警備員や調教師たちの足音も、3人は全く気づかなかった。

    そして朝、陽葵は忽然と消えてしまった。調教部屋やシャワー室でそのまま寝てしまったのではないかと、全ての部屋を念入りに探したが見つからなかった。そして、玲香がリビングの机の上に置いてある書き置きを見つけた。

    『光希お姉ちゃん、生きてるみたい! 調べてくるね。必ず会わせてあげるから、待ってて! 陽葵』

    3人は、光希が生きているかもしれないという情報に驚愕し、だが喜ぶどころか一気に不安になった。調べるって…… 部屋の外に出たってこと? 玄関のドアを開けるには虹彩認証をパスしないといけないし、客用トイレは鍵が掛かっているのに…… どうやって出たの? ……なんで戻ってきてないの? これって脱走したってことに……ならないよね!?

    3人の不安は、8時になっても飯森と堀田が来なかったことでさらに跳ね上がった。

    どうなってるの? こんなことこれまでに一度もなかったのに…… 昨日の夜はいつもより疲れてて、すぐに寝ちゃったから隣に陽葵がいたかわかんないよ…… 陽葵、どこにいるの? いついなくなったの? いつ帰ってくるの? 無事なんだよね? 脱走なんてしてないよね? お願い…… 早く帰ってきて…… お願い…… お願いっ!!

    陽葵…… どこにいるの? いつからいなくなったの? ああ、美海ちゃんのオムツを換えた時に七海ちゃんの部屋を見に行けば良かった…… あの時には一緒に寝てたのかしら…… それとももういなかったのかしら…… ああ、陽葵…… お願い、無事でいて……!!

    陽葵ちゃん、どこにいるの? 調べるって、外に出たの? 外はマズいよ…… 普通の奴隷ならカプセルベッドと調教室の間とかは監視システムがオフになっていて自由に行き来できるけど、私たちは七海の部屋に移ってから一度も外に出てないから、多分オフエリアはない。多分玄関の外に1歩でも出たら即アウト…… お願い、無事でいて…… お願い!!

    だが、昼を過ぎて集団調教の時間になっても、夜の少人数調教の時間になっても、誰1人来なかった。もちろん陽葵も。時間を追うごとにどんどん強まる不安。光希が生きているという情報も気になるが、陽葵が心配でそれどころではない。

    陽葵は堀田の命令で、外で何かしているのだろうか? もしかして堀田の命令で光希の生死を調べているとか? まさか。飯森は「光希は死んだ」と言ったのだ。もし生きているなら飯森は嘘をついていたことになる。堀田も。そんな人間が、光希の生死を陽葵に調べさせるとも思えない。そして、もし堀田の命令とは関係なく調べているのだとしたら、あまりに危険だ。嘘をついていた堀田が、飯森が、JSPFの人間が、真実を知った陽葵を放っておくだろうか? ……放っておくわけがない。外は敵だらけ。見つかったら終わりなのでは? 怖い。考えるのが怖い。考えれば考えるほど陽葵が恐ろしい目に遭っていそうで、怖くて怖くて堪らない。

    結局誰も来ないまま深夜0時を回ってしまった。3人はベッドにも行かず、書き置きの置いてあったリビングのソファーに座って、ひたすら陽葵の無事を祈り、帰還を待ち続けた。

     

    ……時間を巻き戻して、朝の8時、飯森と堀田は七海の許には向かわず、メス犬区画1号室にいた。

    飯森と堀田は怒り狂っていた。佐渡を天井から吊るし、普段は使わない拷問用の鞭でメッタ打ちにした。全身の皮膚がボロボロに裂け、血と肉片が飛び散り、全身真っ赤に腫れ上がっても尚、鞭を振るい続けた。気絶するたびにスタンガンで起こし、ショック死しないように気付け薬を皮下に注射し、泣き叫ぶ佐渡の口を正面から拳で殴り付けて残り少ない前歯を全てへし折る。手足の爪は20枚全て剥がされ、右手の親指と薬指は前歯とともに床に転がっていた。右目には釘が打たれ、左の乳房は裂けて中の脂肪が飛び出してしまっている。凄惨な拷問の中で佐渡は洗いざらい自白したが、自白が終わっても拷問が終わることはなかった。

    陽葵への嫉妬! たったそれだけ! そんなくだらない理由で!! 姉の死という不可避のハードルを乗り越えさせ、あとはもう好きなだけ七海を可愛がっていこうと思っていた。1年、5年、10年、30年。自分が老衰で死ぬまで、毎日七海と愛娘たちを愛(虐待)していこうと思っていたのに! 七海の処女を奪って1周年となる今日。七海が理想の奴隷となるようひたすら調教してきたこれまでと、理想の奴隷となった七海をさらに調教し続けていくこれから。その結節点である記念の日。よりによってこの日に。なんてことをしてくれたんだ、このゴミクズは! 全部…… 全部パアじゃないか!!

    堀田もまた激怒していた。堀田の名前を勝手に使って陽葵を外に連れ出し、会員客を買収してまでこのような愚挙に出るとは! 七海は堀田にとってもお気に入りの奴隷だったし、仁科母娘も七海の影響を受けてか、当初の期待以上に良質な奴隷になりつつある。七海の人気はJSPFの中でもダントツのトップで、773号室は連日の大盛況。新たな調教部屋も続々と作っている最中だ。姉の死という特大の不安要素をクリアして前途洋々。堀田も七海と仁科母娘の今後に大いに期待していたし、記念日たる今日は、JSPFを挙げての大イベントを行う予定だったのだ。それを…… 嫉妬に狂った飼い犬に台無しにされるとは!!

    脱走した奴隷は四肢切断。これはJSPFの鉄則だ。陽葵たちJSPF専属の奴隷はもちろんのこと、七海のように会員個人が持ち寄った奴隷にすら適用される。そこに酌量の余地は一切ない。

    例えば、ポチは施設から故意に逃げようとしたわけではない。連日の過酷な調教でフラフラになり、ベッドルームに帰る途中で道を間違えた。すぐにアラームが鳴った。そこで立ち止まって、駆け付けた警備員に事情を話せば、抜歯1本程度で済んだのだが、当時14歳だったポチは、パニックに陥ってそのまま逃げ出してしまった。これは紛うことなき脱走であり、酌量はなされなかった。

    当然、陽葵も脱走罪となった。四肢切断刑(麻酔なし)の執行は既に決定済みである。佐渡の自白は一切斟酌されず、幹部の堀田への忖度なども行われなかった。 ……脱走罪とは、それほどまでに絶対的な存在なのだ。

    JSPFにとってはそれで良いのだが、飯森にとっては最悪だった。なにせ陽葵は七海と相思相愛なのだ。最愛の恋人が四肢を断たれてメス犬になるなどと知ったら、七海が受ける精神的ショックは計り知れない。しかも、姉の死の際には事前に入念な準備を行ってきたが、今度は一切それがないのだ。

    しかもより悪いことに、陽葵は書き置きを残していき、七海はそれを読んでしまった。

    深夜、陽葵の脱走が発覚した直後から、飯森は堀田に頼んで七海たち3人の監視を強化させたのだが、強化したのは七海の寝室と世話係の部屋、それに陽葵が便槽に向かった経路である客用トイレなどに限られ、書き置きの置いてあったリビングは対象外だった。朝になって玲香が書き置きを発見する前に、その存在に気づくことができていれば、警備員を向かわせて密かに回収することもできたのに。

    朝の6時に七海たちが起き、リビング含め各部屋を回って陽葵を捜索している間、数十台のカメラは3人を映し続け、飯森と堀田もそれを見ていたが、小さく折り畳まれた書き置きには気づけなかった。そうこうしている間に玲香が発見し、すぐに読んだ。そして七海に渡す。七海がそれを読んでいる間、七海の後方に設置されているカメラが書き置きにズームし、飯森と堀田は七海と同時にそれを読んだ。

    『光希お姉ちゃん、生きてるみたい! 調べてくるね。必ず会わせてあげるから、待ってて! 陽葵』

    最悪の内容だった。

    光希はJSPFの奴隷であるから、その処分はJSPFの規則に則って行われる。死期が近づき、役立たずと判断された奴隷(メス犬含む)は、四肢を完全に断たれて全身の体毛を永久脱毛され、便槽に放置される。そして死の瞬間までスカトロマニアの慰み者となり、死んだら縦坑に落とされる。これもまた不可避の鉄則であるが、こちらについては七海のような個人所有の奴隷には適用されない。

    ……最愛の姉がこのような悲惨な末路を辿ると知ったら、七海は激しく動揺するだろう。発狂してしまうかもしれない。だからこそ、光希が四肢を断たれる日の朝、光希が死んだと飯森は七海に告げたのだ。光希は既にいつ死んでもおかしくないくらい衰弱していたので、4人は光希の死体を見ることなくその死を受け入れた。絶叫する七海を最も強く支えたのは陽葵だった。姉に代わる精神的支柱。それは娘の美海でも、玲香でも今日子でもなく、陽葵なのだ。恋人の陽葵がいたからこそ、七海は姉の死を乗り越えられたのだ。

    その陽葵が書き置きを残して消えた。死んだはずの人間が生きているなど、にわかには信じ難いが、陽葵が消えてしまったことで真実味が出てくる。恐らく七海は、姉は生きていると信じ込んでしまったに違いない。と同時に姉は死んだと言った飯森に強い不審を抱いているはずだ。それは現在の絶対服従の関係に大きなヒビを入れてしまうだろう。

    七海は姉に会わせろと必ず言ってくる。その時、どうするか。会わせたらまず間違いなく発狂する。会わせなかったら陽葵の件と合わせて飯森への不審がさらに膨れ上がり、服従心は霧散してかもしれない。どちらにしても、理想の七海がいなくなってしまう。1年かけて作り上げてきた理想の七海が! このゴミクズのせいで!! 愛しの七海が!!!

    飯森と堀田は、さらに暴行を続けた。死なない程度に、死ぬよりも辛い苦しみを与え続けた。しばらくして、さすがに血の臭いに飽きてきた2人は、佐渡の耳元で処分方法を伝えた。佐渡は元JSPFの奴隷だが、堀田が身請けしているため生殺与奪は堀田の一存で決められる。そのあまりに恐ろしい処分方法に、佐渡は恐怖のあまり失神した。スタンガンを食らわせてももはや起きることはなかった。

    堀田と飯森は裏沢を呼んでゴミを片付けさせると、シャワー室で血しぶきを洗い流してから、服を着て拘束中の陽葵の許へと向かった。

     

    ……再び時間を巻き戻して、8月11日深夜0時過ぎ。捕縛された陽葵はJSPF内の牢獄に入れられていた。猿轡を噛まされ後ろ手に縛られたまま、粗末な簡易ベッドに腰を下ろし、ただ呆然とコンクリートの壁を見つめていた。

    やっちゃった。逃げちゃった。逃げたら光希お姉さんやポチのようになるから絶対逃げないって、七海と一緒にここで生きてくって決めてたのに。ここは辛いことしかない地獄のような場所だけど、それでも七海と一緒なら大丈夫って思ってたのに。

    佐渡先生のあの顔が心の底から怖かった。爪先から頭のてっぺんまで全身くまなく震え上がった。先生から逃げたくて、あの恐ろしい目から逃れたくて。 ……でもそれだけじゃない。

    まさか光希お姉さんがあんな恐ろしいことになってただなんて! ……手足、いつ切られたんだろう。飯森様がお姉さんは死んだって言った時? アタシたちみんなで泣いてた時? みんなで七海を励ましてた時? セックスしまくってた時? それとももっと前? 前の日? 前の日に光希お姉さんがみんなにお別れを言って、その後体調が優れなくって医務室に行って、それっきりだったけど、医務室じゃないとこに連れてかれたの……? 怖い! 怖い!! 怖いっ!!!

    光希お姉さん…… メス犬の身体でもなんとか動けてたけど、あんなふうになっちゃったら全然動けないよね…… 上からウンチが落ちてきても避けれない…… アタシ…… 今の部屋に移る前は真上のトイレ毎朝使ってた…… 何も知らずに…… 信じらんない…… なんなの? なんなのっ!? 毎朝大量のウンチやオシッコを浴びて、避けれないし片付けらんないし、身体の上にどんどん積もって、どんどん臭くなって、なのにキショいオッサンに犯されて、抵抗も何もできなくて…… 点滴で無理やり生かされて…… そんなの……ありえないでしょ!!

    でも。アタシもいつかああなるんだ。たぶん近いうちに手足ちょん切られてメス犬にされて、光希お姉さんやポチみたいにメス犬区画のくっさい部屋に閉じ込められて…… そのうち用済みって言われて、手足全部失ってハゲにされて、トイレの下に閉じ込められて、ウンチまみれになって、死んだら穴に捨てられるんだ。もし奇跡が起きて今回はメス犬にならずに済んだとしても、先生が言ってたみたいに、10年、20年経って、アタシもオバサンになったら、お前は用済みだって言われて、やっぱりあそこなんだ、きっと。それじゃおんなじじゃん! どうなってもあそこで死ぬしかないっていうの!?

    アタシだけじゃない。七海……は飯森様の奴隷だから違うかもしんないけど、ママも玲香さんもポチも、この施設にいる大勢の奴隷も、たぶんアタシとママのお腹の中にいる子も、みんな最後はあそこなんだ……!!

    あ、そうか。先生が言ってたオークションとかミウケとか、そういうのでこの施設から出られれば、あそこで死ななくてもいいんだ……。でも無理。先生が邪魔するって言ってたし。逃げちゃったし! もう手遅れ!!

    怖い…… 怖い…… なんなのここ…… なんなのここ!! 恐ろしい場所だって…… 狂ってるって思ってたけど、まさかここまでヒドかったなんて!!!

    七海…… 会いたいよ…… 七海…… ママ…… 玲香さん…… またあの部屋で、みんなで暮らしたいよ…… でもメス犬になっちゃったらもう無理…… それに…… 会ったとしても、光希お姉さんのこと、どうやって七海に言えばいいの!? お姉さんは死んだってウソをつきながら、あんなヒドいことしてた飯森様や堀田様にも、どんな顔して会えっていうの!!?

    陽葵はベッドに腰掛けたまま、一睡もできずに朝を迎えた。途中何度かベッドに横になってみたが、ノルアドレナリンが過剰に分泌されているためか、疲労の極みにあるのに睡魔は一切襲ってこなかった。

    朝8時過ぎ、佐渡を血祭りに挙げた堀田と飯森が牢の前に現れた。陽葵は恐ろしくて堀田の顔を見ることができず、震えながら牢の床の上に土下座した。猿轡があるのでうまく喋れないが、必死に謝罪の言葉を連呼した。

    「おえんあはい(ごめんなさい)! おえんあはい! おえんあはいっ!!」

    「……愚か者め」

    「おえんあはい! おえんあはい! おえんあはいっ!!」

    「これから猿轡を外す。何があったのか正直に話せ。嘘をついたり余計なことをしたら、母親共々直ちに便槽に突き落とす」

    「ひぃっ!!」

    「いいな?」

    「…………(こくん)」

    ……そっちだってウソついてたくせに。陽葵は一瞬そう思ったが、口にする勇気はなかった。

    堀田は南京錠を開けて牢内に入り、陽葵の猿轡を外してベッドに腰掛けた。飯森も牢内に入って南京錠を再施錠した後、鉄格子にもたれ掛かって陽葵の方に目をやった。陽葵は床の上に正座し、堀田の足の辺りを見つめながら、ぽつりぽつりと深夜に起きたことを話し始めた。

    「「…………」」

    話を聞き終えた堀田は飯森の方を振り返り、目を合わせた。陽葵の話は佐渡の自白内容と合致しており、どうやら嘘はついていないようだ。いきなりあの便槽と光希の成れの果てを見せられて、お前を必ずここに落とすと言われれば、反射的に逃げてしまうのは致し方ないことにも思われる。となると、やはり非は完全に佐渡の方にある。あのゴミクズめ!!

    だいたい詰めが甘すぎる。便槽の存在、光希の惨状、自分や母親の未来、縦坑での最期、それらの秘密を全てぶち撒け、特大のトラウマを陽葵に植え付けておいて、それで毎週陽葵を指名して徐々に追い込むなど、そんなことできるわけがないではないか。1人で抱え込むにはあまり大きすぎる秘密。隠し通せば陽葵の心は壊れてしまうし、話してしまえば、七海は光希の件でパニックになり、今日子や玲香もJSPF専属奴隷の末路を聞けば絶望する。4人全員が発狂すればあの部屋での生活は崩壊し、指名どころではなくなるではないか。何故それがわからぬのだ、あのゴミクズは!!

    ……だが起きてしまったものはどうしようもない。覆水盆に帰らず。今後のことを考えねばならない。堀田はそれ以上何も言わずに再び陽葵に猿轡を噛ませると、飯森と共に牢の外に出た。取り敢えず今後の計画を練り直さねばならない。

    「おえんあはい、おえんあはい、おえんあはい……」

    次第に牢から離れていく2人の足音を聞きながら、陽葵は土下座したまま謝罪の言葉をひたすら繰り返した……。

     

    ……飯森と堀田は会員用の小会議室に入り、今後について話し合った。

    まず決まっていることとして、今夜20時に陽葵の四肢切断刑(麻酔なし)が執行される。これはJSPFの決定事項であり何人も覆すことはできない。その後2週間の療養を経て、陽葵はメス犬区画9号室、これまで光希が入っていた場所に移る。これも決定事項だ。

    よって、これまでのように七海の部屋で起居を共にすることはできない。光希のようにキャリーバッグに入れて七海の部屋に毎日通わせることはできるが、衰弱著しく指名が少なかった光希と違い、メス犬になりたての陽葵はかなりの人気が出るであろうから、七海の部屋に運べるのは午前中の合同調教だけとなるだろう。

    陽葵には身体の手入れと食事・排泄のサポートを行う雑用係がつくことになる。光希とポチを担当していた雑用係は、現在ポチのみの世話をしている状況なので、その者に陽葵の世話も行わせるか。或いは、母親を、今日子を陽葵とポチの雑用係にするという手もある。その場合、今日子は773号室の外に出ることになるから、やはりあそこで起居することはできなくなる。元のカプセルベッドに戻ることになるだろう。しかし、陽葵と今日子が2人きりとなれば、陽葵は自分たちの末路を話すだろうし、そうなれば今日子も発狂して、母娘で心中を図るかもしれない。 ……どうすべきだろうか。

    正直なところ、飯森自身は仁科母娘にはまるで興味がない。メス犬になろうが便槽で朽ち果てようがどうでもいい。だが七海にとっては違う。特に陽葵は七海にとって極めて大切な存在で、そうなるように画策したのは他ならぬ飯森なのだからタチが悪い。こんなことなら七海と陽葵を恋仲になどしなければ良かった。当初の計画どおり人質は美海1人に留めておくべきだった。とは言え、七海が光希の死を乗り越えられたのは美海以外の3人、特に陽葵のおかげであることも事実である。

    ……そう、問題はその光希だ。あの書き置きがさらに事態を厄介なものにしている。あれさえなければ、陽葵が勝手に逃げたとシラを切ることもできるし、七海だけでなく玲香と今日子も773号室に監禁して陽葵との接触を断ってしまえば、光希の惨状や奴隷の末路を3人が知ることはなくなる。いっそあの書き置きも陽葵の勘違いということにするか。光希がまだ生きていると陽葵が勝手に思い込み、勝手に外に出て勝手に捕まった。そう伝えるか…… だが、賢い七海がそれを素直に信じるとは思えない。

    ……では逆に、こちらから真実を明かしてみるのはどうだろう。まず陽葵が佐渡に唆された経緯を話し、次いで奴隷の末路についても話す。ただし後者については回避方法も教える。即ち、七海は飯森の個人所有だから便槽には送られないし、陽葵含め他の3人もオークションで落札されたり、会員に身請けされれば、ここから出られる。その上で七海を光希に会わせる。七海1人だと発狂するかもしれないから、玲香を同行させるか。これで七海はどういう反応をするだろう。やはり精神が壊れてしまうだろうか。それとも……

    話し合いは7時間経っても結論が得られず、堀田は17時少し前に会議室を出、飯森は尚も1人で考え続けていたが、20時になると会議室に設置されているモニターの電源を付けた。映像はメス犬区画特別室。陽葵の四肢切断刑の中継である。

     

    III:罰

     

    陽葵は特別室の中央、処置台の上で仰向けになり、十字に拘束されていた。陽葵の真上には大きな鏡が下向きに設置されていて、陽葵は自分の姿を鏡越しに見ながら、顔を真っ青にして泣きながら震えていた。ホントにやるんだ。ホントにちょん切っちゃうんだ……!

    やだ…… やだ……! ちゃんと奴隷やってたじゃん! ご主人様にもお客様にも精いっぱいご奉仕してきたじゃん! 痛いことも苦しいことも全部耐えて、ウンチもいっぱい食べて、逆らわずに言うこと聞いてきたじゃんっ! なんで? 逃げたっていっても、この施設から脱走しようとしたわけじゃない。先生から逃げただけ。そしたら道にちょっと迷っちゃっただけ。何度もそう言ってるのに誰も聞いてくれない……!

    助けて。誰か助けて。ママ、玲香さん…… 七海。七海に会いたい。助けて。お願い。こんなのイヤ! いやあああああああっ!! ……あ。

    「ご主人様! 堀田様! 助けて! 助けてくださいっ!!」

    物音がしたので横を向いたら、ちょうど堀田が入室してきたところだった。もう堀田しかいない。ウソをついてたことなんてどうでもいいから! お願いします! 助けてください! 何でもしますから! お願いっ!!

    だが、堀田は陽葵を完全に無視して、処置台から離れた隅の方の席に座ると、陽葵の方は向かずに隣の男と何やら話し始めた。

    「なんでよぉっ!! 無視しないでっ!! 助けてっ!! 誰か助けてっ!! 七海っ!!! ななみいいいいいいいいいっ!!!!」

    陽葵は愛する者の名を必死に叫んだが、もちろん本人に届くはずもない。

    数分後、白ヒゲの目立つ黒ずくめの初老の男が処置台の横に立った。先程まで堀田と話していた男だ。直後、背後の壁に掛かっている時計の長針と秒針が12の位置で重なった。午後8時。男は低い、だがよく通る声で言った。

    「これより仁科陽葵の四肢切断刑を執行する」

    「いやああああああああああああああああっ!!!!」

    「仁科陽葵。朝にも言ったが、どんな事情があろうとお前が逃げたことに変わりはない」

    「そんなっ! 逃げるつもりなんてなかったんです! 先生が…… 佐渡先生がヒドいことばっか言うから、怖くなっちゃっただけなんです!」

    「先刻承知だ。尚、佐渡彩音は……」

    ……パチン。男が指を鳴らすと奥のドアが開いて、裏沢ともう1人の調教師がそれぞれ台車を押して入ってきた。台車に乗っているのは……

    「佐渡先生!!!!!!!!」

    心臓が止まりそうになった。否、一瞬止まった。身体じゅうをズタズタに引き裂かれて血まみれになり、目も口も胸も股間もメチャクチャになっていた。そして腕と脚が根本から切断され、切断面は茶色く焼け焦げていた。

    2台目の台車には大きな盥(タライ)が乗っていて、何かの肉が山盛りになっていた。堀田は17時にメス犬区画1号室に戻ると、失神している佐渡を蹴りつけて起こし、無麻酔のままチェーンソーで四肢を切断していったのだが、その際、根本からバッサリ斬らずに、手首に近い方から5cm間隔でスライスしていったのである。盥の中で山盛りになっているのは、その骨付き輪切り肉だった。

    「ウソ…… ウソでしょ…… なんてことを……」

    「安心しろ、陽葵」

    いつの間にか台車の横に堀田が立っていた。

    「こいつに色々と脅迫されたらしいが、見ての通りこいつはもう何もできん」

    「…………」

    「こいつはこのまま例の便槽に落とす」

    「……!!」

    「お前たちが毎日服用している大便を無毒化する薬は、傷口から侵入する雑菌の繁殖を抑える効果もあるのだが、こいつには与えん。大量に糞を食えば食中毒になって口も胃も腸も悲惨なことになる。さらには全ての傷口から大量の大腸菌が侵入して全身が炎症を起こし、発熱して化膿して壊死する。身体の中も外も、想像を絶する激痛に苦しみ抜いた末に真っ黒に腐って死ぬだろう」

    「ひぃっ!!」

    「お前をこんな目に遭わせたゴミクズは我々の方で処分するから、お前は安心してメス犬になれ」

    「!!!!」

    「いかなる事情があろうと逃げた者は四肢を失う。これを変えることは誰にもできぬ」

    「…………」

    「安心しろ。お前の場合は傷口の焼灼は行われない。切断痕は丁寧に治療してもらえる。良かったな」

    「そんなっ! 全然よくないっ! ショーシャクとかわけわかんないしっ!!」

    「ああ、焼灼というのは止血法の一種でな。切断面に焼き鏝を当てて血を止めるのだ。こいつの肩、焦げているだろう? ……凄まじい絶叫だったぞ」

    「…………」

    「切断はレーザーによって行う。故意の脱走ではないからな……」

    「…………」

    「ペロの場合は鋸(ノコギリ)だった。故意の脱走はそれだけ罪も罰も重くなるというわけだ。時間をかけてギコギコと肉や骨を砕いて引き千切るのに比べれば、レーザーは一瞬だぞ? それも4本同時。痛いのは最小限で済む。 ……良かったな」

    「…………」

    もはや陽葵には何も言えなかった。言葉が見つからなかった。怖い。堀田が怖い。佐渡先生も怖かったけど、堀田はもっと怖い。なんでこんな残虐なことを平気でやれるんだろう。佐渡先生に対してザマァミロなんてとても思えない。堀田を怒らせたら自分もミンチにされるかもしれない。怖い。心の底から怖い。 ……でも。それでも!

    痛いのが最小限で済んで良かったなって…… 良くない! そんなん全然良くないよ!! どんな方法だろうと手足を切られたらメチャメチャ痛いだろうし、手足が失くなってしまう事実は変わらない。もう二度と七海と一緒に歩けない。手を握れない。顔を触ることも髪をなでることも。悲しみの涙を流す彼女の目にそっと手をやって、優しく拭うことも。胸や股間や身体じゅうを愛撫し、クリペニスを扱き、熱く抱き締めることも。 ……なんにもできない!!

    なんでこんなことになっちゃったの!? 誰か助けて!! 七海!! いつかみたいに!! お願いっ!!! 七海ぃっ!!!!

    陽葵の周りに調教師たちがやってきて、腕と脚の切断箇所にマジックで印をつけると、その数cm手前を紐で強く縛った。身体を拘束されているので抵抗は一切できない。縛られた場所がものすごく痛い。その先の感覚が痺れてくる。調教師たちは、さらに切断箇所の周囲にレーザー装置を設置すると、一斉に陽葵から離れた。そして黒ずくめの男が静かに言った。

    「執行」

    直後、レーザー装置が稼働し、陽葵は一瞬で四肢を失った。その瞬間、痛みはなかった。手前で縛られている箇所の方が余程痛かった。が、1秒も経たないうちに激烈な痛みが陽葵を襲う。と同時に痺れていた手足の感覚がパッと消えた。そして視界に映る赤、赤、赤。

    「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    陽葵の絶叫が特別室に響き渡った。想像を絶する痛み。だがこの痛みは、肉体的な苦痛だけに依るのではない。四肢を失った恐怖と絶望。今後への不安。七海との生活を失う悲嘆。それら全てが精神的な痛みとなって陽葵を襲う。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいっ!!!!!!!!

    「ななみいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!!!」

    痛みが肉体と精神の限界を超えた瞬間、陽葵はさらに高い声で愛する者の名を叫び、直後に気を失った。気を失う寸前、視界を覆う赤一色が黒一色へと変じる刹那、陽葵は恋人の顔を、幸せそうな七海の笑顔を見た。 ……見た気がした。

    横に控えていた女医と看護師が速やかに処置を施していく。彼女らは驚くほど短期間に止血し、切断面を消毒し、整形し、縫合していく。20分後、陽葵はメス犬になった。

     

    ……同刻。未だ会議室にいた飯森の顔には邪悪な笑みが浮かんでいた。陽葵が手足を失う一部始終をモニターで見ながら、ある邪悪なアイディアを思いついたのだ。否、思い出したと言うべきか。

    ここまでこじれてしまった以上、飯森が1年かけて作り上げた理想の七海を維持することはもはや不可能だ。ならば、新たな理想の七海を今一度作り直せば良い。元々いつかは、最終的にはそうするつもりでいた。やれることが極端に減るので、もう少し後にしようかと思っていたのだが、今こそそれを行う時だ!

    今日は1周年の記念日。ゴミクズのせいで散々な記念日となってしまったと落胆していたが、そうじゃない。これまでの七海の集大成の日ではなく、これから新たな七海を作り出す、その始まりの日にすれば良いのだ。1年前の今日と同じように……!

     

    IV:姉妹

     

    翌8月12日、朝8時。飯森が単独で玄関に現れた。昨夜から殆ど一睡もせずに陽葵の無事を祈り続けてきた七海・玲香・今日子の3人。彼女たちの目の下にはハッキリと隈(クマ)ができており、疲労の色が濃い。が、3人ともそれを感じさせない動きで飯森の許に駆け寄り、質問攻めにした。

    飯森は、質問には答えずにただ一言、低い声で言った。

    「陽葵が逃げた。よって、規則により昨晩手足を失い、奴はメス犬になった」

    うそ…… メス犬って…… 陽葵が…… うそ、でしょ? ……呆然と立ち尽くす七海の横で、今日子が床に崩れ落ちた。

    「いやあああああああっ!! 陽葵っ!! 陽葵ぃっ!! あああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

    床の上でうずくまって号泣し、娘の名を連呼する母親。

    予想を遥かに超える最悪の事態に動揺する2人に対し、玲香は比較的冷静だった。やはりと思った。あの書き置きを読んだ瞬間から危ないと思っていた。ポチがメス犬になった経緯を本人から聞いている玲香は、脱走罪が、奴隷が逃げるに至った経緯を全て無視する、極めて無慈悲で教条的な存在であることを知っていた。そして脱走を検知するための監視システムが施設内のあらゆる所に網の目のように張り巡らされていることも。そんな中で、光希の生死を調べることなど陽葵にできるわけがない。玲香はそう思いつつも、それを七海や、まして今日子に話すことなどとてもできなかった。それに、堀田の命令で調べている可能性もゼロではない。玲香も夜を徹して陽葵の無事を祈り続けてきたのだが、やはりこうなってしまった……。

    玲香は、怒りと悲しみに声を震わせながら、低い声で飯森に詰問した。

    「どうしてそんなことになったんですか。陽葵ちゃんは今どこにいるんですか。 ……光希は、生きてるんですか」

    「……!!」

    呆然としていた七海が、姉の名に反応する。そう。おねえちゃんは生きてるの? あの書き置きはどういう意味? なんで陽葵はあんな書き置きを残したの? どうやって外に出たの? なんで捕まっちゃったの? なんでメス犬なんかに……! なんで? なんでっ!!?

    「ああ」

    「!!!!」

    飯森は短く肯定した。肯定した! おねえちゃんが生きてる! やっぱり生きてる!!

    七海に衝撃は殆どなかった。やっぱり、という想いしかなかった。陽葵が失踪したという事実が、あの書き置きが真実であることの証だと七海は確信していた。おねえちゃんはやっぱり生きている。だが嬉しさは微塵もなかった。だって陽葵が。陽葵が!

    姉の身体で見慣れているとは言え、人間の健康な手足を斬り落としてしまうなんてとんでもないし、手足が失くなるといかに不自由を強いられるのかも、姉の苦労を側で見続けてきた七海は充分すぎるほど知っていた。そのメス犬に、愛する陽葵がなってしまった。しかももうなった後だと言う。これからなるのであれば、止めることができたかもしれないのに。もう遅い。もう手遅れ! なんで!? なんでこんなことになっちゃったの!!?

    やっぱりあの書き置きが原因なの? おねえちゃんが生きてるって知って調べてくれたの? だったらなんで私に相談してくれなかったの? 今日子さんや玲香さんにも話して、4人でご主人様を問い詰めていれば…… 少なくとも陽葵1人が犠牲になることはなかったのに……!

    そうだ、ご主人様。やっぱりウソついてたんだ。「ペロが死んだ」って、あの時言ったじゃない! ウソつき! ウソつき!! ウソつき!!!

    七海の中に主人に対する強烈な不審感が芽生えた。七海は飯森に絶対服従を誓ったが、別に飯森を愛しているわけではないし、洗脳されているわけでも、信仰しているわけでもない。嫌々従っているわけでもない。全てを諦めて淡々と主人に付き従っているだけ。飯森がどんなに酷いことをしても無批判で受け入れようと努力しているだけ。だが、この嘘だけは看過することはできない!!

    姉が死んだと言われてどれほど動揺したか。どれほど辛かったか。絶望の底に突き落とされた七海を救ってくれたのは、玲香であり今日子であり美海であり、陽葵だった。一番最初に抱きついてくれて、ずっと一緒に泣いてくれた。慰めてくれて、励ましてくれて、冗談を言ってくれて、思わず笑っちゃって…… あれでどれほど心が落ち着いただろう。悲しみを忘れるようにみんなで快楽に溺れて、どれほど慰められただろう。ずっと愛し合おう、支え合おうって言ってくれて、どれだけ嬉しかっただろう……!

    姉の死が虚偽だったということは、陽葵のあの励ましの言葉も全て無意味になってしまったということ。あの時の陽葵の努力を、優しさを、この男が無駄にした。汚した! 踏みにじった!! それだけに留まらず、陽葵に極限の苦しみを与え、陽葵の手足を奪い、自由を奪い、未来を奪った!!! ……陽葵の失踪やメス犬化にこの男が関わっているかどうかはわからないが…… 違う!こいつのせいに決まってる! 全てはこいつのせいだ!! こいつが全部悪いんだ!!!

    七海は無言のまま主人を睨みつけた。できるなら大声で詰問したい。主人の胸ぐらを掴んで、思いっきりぶん殴ってやりたい! 首を締めて殺してやりたい!! ……それをしない自分が腹立たしい! 恋人が酷い目に遭って、なんで黙ってるんだ! なんでじっとしてるんだ! じっとしれれば酷いことはされないって…… じっとしてても陽葵が酷い目に遭ったじゃないか! 反抗したってしなくたって結局酷いことされるんなら、なんで反抗しないんだ、私!! 最低っ!!!

    七海の中に怒りが渦巻いている。誕生日プレゼントに抜歯してやった時以来の深刻な怒りが。 ……飯森はそれに気づきつつ、七海の次の行動に注視していた。どうするだろう。殴りかかってだろうか。罵声を浴びせてくるだろうか。それとも…… どう出る? 七海?

    「……陽葵に会わせて。おねえちゃんに会わせて」

    ……七海は十数秒の沈黙の後、主人を睨みつけたまま低い声で言った。敬語は敢えて用いなかった。

    飯森は薄気味悪い笑顔を浮かべながら「いいだろう」と言い、3人は飯森とともに玄関から外に出た。美海が心配だったが、少し前に母乳を飲ませてオムツの交換も終え、今は眠っているから大丈夫だろう。

    飯森は、他の奴隷との接触を避けるために中央ホールや少人数調教用の調教室を迂回しながら、陽葵のいる療養室へと向かった。その間に少しずつ真相を話していく。だが便槽や縦坑の存在については言及を避けた。

    佐渡の暴走。陽葵への嫉妬。光希が生きていることを告げ、言葉巧みに陽葵を誘い出し、光希の目の前で陽葵を散々に脅迫した佐渡。恐怖のあまり逃げ出して捕縛された陽葵。逃亡罪が適用されて四肢切断刑となったものの、余罪はないので歯は無事、違法薬物も未投与。佐渡は処分済み。

    だが、光希がいる場所の詳細、佐渡が行った脅迫の内容などについては一切触れなかった。その上で、「ペロが死んだ」と嘘をついた件に関しては、光希はこの先さらに衰弱が進んで見るに堪えない姿となるため、4人への影響を考えて死んだことにしたと説明した。 ……七海は、後半は嘘だと確信した。こんなマトモな理由のはずがない。が、それを追求する前に療養室に着いた。

     

    陽葵は療養室のベッドで眠っていた。二の腕と腿の中程で四肢は切断されており、厚く包帯が巻かれていた。

    「「陽葵ぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!」」

    今日子が真っ先に駆け出し、僅かに遅れて七海が駆け出した。2人ともベッドの脇に立ち尽くし、小さくなってしまった陽葵の姿に絶句し、嗚咽を漏らし、そして泣き崩れた。大声で絶叫する2人。だが、麻酔が効いているのか、陽葵が目を覚ますことはなかった。

    玲香もまた療養室の入り口で立ち尽くし、大粒の涙を流していたが、すぐに異変に気づいた。七海じゃない。今日子。今日子の顔が真っ赤に歪んでいる。娘の身体をメチャクチャにされた憤怒、憎悪! この感じは…… 爆発する!! ダメっ!!!

    同時だった。激昂した今日子が飯森に向かって突進し、それを押さえようと玲香が今日子に向かって突進した。今日子の両手が飯森の首を掴む直前、すんでの所で玲香は今日子の腕を掴み、そのまま羽交い締めにした。

    「放して! 放しなさい! 殺してやる! 殺してやるっ!!」

    「冷静になって! 陽葵ちゃんをこんなふうにしたのは飯森様じゃありませんっ!」

    「うるさいっ! 同罪よ! ここにいる男全員! 全員同罪! 全員殺してやる!!」

    「そんなこと言って…… あなたまで酷い目に遭ったら、誰が陽葵ちゃんの面倒を見るんですか!!」

    「!!!!」

    今日子は雷に打たれたかのように棒立ちになった。

    「私はずっと光希の…… メス犬のペロとポチのお世話をしてきました。メス犬は自分では殆ど動けません。食事もトイレもお風呂も…… 誰かがお世話しないと自分ではもうできないんです!」

    「あぁぁ……」

    「今あなたが飯森様の首を絞めたところですぐには殺せません。そしてすぐに男の人が入ってきて取り押さえられます。監視されてるんですから。 ……きっと酷い罰を受けて、最悪あなたまでメス犬にされちゃったら、もう陽葵ちゃんのお世話もできないんですよ!?」

    「ああぁぁぁぁ……!!」

    「そんなことになったら、誰より陽葵ちゃんが悲しみます。だからどうか…… 怒りを鎮めてください。お願い。もうこれ以上、誰も、傷ついてほしくない…… お願いよ…… 今日子さんっ!!」

    「うああああああああああああああああああああああっ!!!!」

    後半、玲香は泣いていた。今日子も泣いていた。今日子はその場にへたり込むと、床に突っ伏して号泣した。朝から何度目だろう。どれだけ泣いても涙も鼻水も一向に止まらない。無限に湧いてくる。今日子は箍(タガ)が外れたのか、子供のようにひたすら泣き続け、玲香も涙を流しながらそっと今日子を抱きとめた。

    七海はその光景を見ながら絶望していた。 ……まただ。怒りに狂った陽葵を七海が押さえ、今日子を玲香が押さえた。同じだ。あの日の叛逆の失敗を教訓に、佐渡に対する怒りが暴走していた陽葵を七海は止めた。だが、それによって今度は佐渡の方が陽葵に対する嫉妬を暴走させてしまい、結局陽葵は手足を失ってしまった。あの行動は間違っていたんだろうか。正しい選択をしていれば陽葵は手足を失わずに済んだのだろうか。今の玲香の行動は正しいんだろうか。

    七海にはわからなくなっていた。叛逆したら手酷いしっぺ返しがやって来る。でも黙って従っていたって酷いことはやっぱり起こるんだ。じゃあもう、いったいどうしたらいいの? 反抗しても服従しても一緒なら、私はいったいどうしたらいいの……?

    ……今日子が泣き止む気配はない。陽葵が目を覚ます気配もない。七海はもう自分がどうして良いかわからなかった。どうしたら…… そうだ。おねえちゃん。おねえちゃんに会いたい……

    「……おねえちゃんに会わせて」

    先程と同じ言葉。だが明らかに覇気がない。怒気もない。

    「……いいだろう。ただし七海、お前だけだ」

    「…………」

    「……行ってきなよ。ひっく…… ここは任せて?」

    玲香は泣きながらそう言った。玲香も光希が気になるが、今の今日子を、陽葵と2人だけにしておくのは危険なような気がした。 ……七海は、飯森の後を静かに従いていき、療養室を出た。直後、飯森が語り出した。

    「お前にだけは真実を教える」

    「…………」

    「ペロは死んだと嘘をついた理由、納得していないんだろう?」

    「……はい」

    「ふふっ…… 素直だな」

    「…………」

    「ペロはJSPFの専属奴隷だからな。奴隷にせよメス犬にせよ、専属奴隷があそこまで衰弱してしまった場合、あとはもう決まっているんだ」

    「…………」

    「玲香も今日子も陽葵もペロと同じ専属奴隷。陽葵は眠っているが、奴らの前でその運命を教えるわけにはいかない」

    「……なんで」

    「自殺防止だ」

    「は?」

    「ここ、覚えてるか?」

    いつの間にか奴隷用トイレの前にいた。

    「……はい」

    奴隷用のボットン便所。仕切りも何もなく、床に開いた穴に向かって放尿・脱糞するだけの最低の便所。七海も773号室に移る前は毎日使っていた。 ……なんでいまさらこんなトコに?

    飯森は、便所の横にある黒色のドアの前に立ち、虹彩認証を行ってドアを開けた。黒は、奴隷は立入禁止であることを示す色だ。七海も当然入ったことはない。中は薄暗い階段になっていて、降りると小さなスペースがあり、重そうな鉄の扉があった。 ……七海は唐突に、この施設に連れて来られた初日のことを思い出した。虹彩認証を繰り返しながら暗い階段を降りていくと、そこには変わり果てた姉の姿が…… なんだろう。胸騒ぎがする。この中にとてつもない光景が広がっているような気がする。でも、行かなきゃ。きっとこの中にいる。おねえちゃんがいる!

    飯森が再度の虹彩認証を終えてドアを開けた。

     

    「うっ!!!!?」

    激烈な悪臭が七海の脳天を直撃した。反射的に胃液が逆流を開始するが、七海はなんとか口を閉じて嘔吐を阻止し、口の中に溢れた胃液と未消化物を全て飲み込んだ。喉が焼け付くように痛い。

    「なんなの…… ここ……!」

    まさにこの世の地獄だった。8畳程度の薄暗い部屋の床も壁も一面糞便で覆い尽くされ、その中に糞山が幾つも聳えている。いったい何人のうんちを集めたらこんなことになるの…… そう思って七海は絶句した。奴隷用のボットン便所から階段を降りてきた自分には構造がわかる。ここ、ボットン便所の真下だ! 広さも一緒だし! これ、奴隷が出したうんちなんだ!!

    「……察したようだな。そう。ここはボットン便所で奴隷たちが排泄した糞尿を受け止める場所、「便槽」だ」

    「…………」

    七海はただただ恐ろしかった。こんな場所があったなんて。そう思いつつ、七海は以前姉がしていた、用済みの奴隷は便器になって便所に繋がれるらしい、という話を思い出していた。ここが「便所」? ありえない…… ありえない!

    それに、隣にいる飯森がこの悪臭の中でも平気で鼻呼吸しているのが信じられなかった。糞便臭に慣れた七海でさえ、口で息をしないと吐いてしまいそうだというのに。飯森の変態っぷりに驚き呆れるなんてレベルじゃない。もはや恐怖しか感じなかった。

    「中に入るぞ」

    「…………」

    飯森は長靴を履いてからズカズカと便槽の中に入っていく。床は一面糞便の海。足の踏み場もないどころか、床の色がわからないほど茶色一色だ。さすがの七海も、素足で歩くことを躊躇った。だが、飯森はどんどん中へ入っていく。ということは、この中に……。七海は意を決して糞便の海の中に足を沈めた。

    猛烈な吐き気と寒気に襲われながら、七海は周囲を見渡した。部屋の中には男たちが数人いた。そして所々に積もった糞便の山。よく見たら等間隔に並んでいる。ボットン便所に空いた穴と同じ位置。上から落ちてきて降り積もったのだろう。そして、恐ろしいことに、男たちは糞山の中にペニスを突っ込んで前後に動いていた。あまりのおぞましさに、七海の胃液は再び逆流した。なんとかそれも飲み下す七海。

    そのうち、糞山のうちの1つが、他と形状が違うことに気づいた。大きな球状の糞塊が2つ。山の上に突き出ている。糞塊の上にはさらに糞棒が直立している。周囲に男はいないけど…… 僅かに…… 動いた!!? え? これってうんちの山じゃないの!? 人!!? ……まさか!!!!

    七海はその糞山の前で膝を付き、糞塊の表面に付いている分厚い糞を手で取り除いていく。これ、おっぱいだ! おねえちゃんだ!! 怪しい薬で大きくなっちゃったおねえちゃんのおっぱいと乳首!!!

    「おねえちゃん!!!!」

    七海は、姉の身体の上に積もった糞便を全て払っていく。胸に続いて腹に積もった糞便を取り除くと、下腹部に「姉犬」の文字を発見した。やっぱり! おねえちゃんだ!! こんなのあんまりだよ! 早く! 早くキレイに……  えっ?

    その時、手が止まった。思考も止まった。心臓も止まりかけた。腕がない!! 脚もない!! 髪の毛もないっ!!! ……その時、背後にいた飯森がゆっくりと口を開いた。

    「これがJSPFの奴隷の末路だ。死期が近づいた奴隷やメス犬は、麻酔なしで四肢を完全に断たれ、全身永久脱毛処理を受けてここに放置される。点滴で無理やり寿命を延ばされながら、後輩奴隷たちの糞尿を浴び、スカトロマニアの男たちにレイプされ続ける。心臓が止まる瞬間まで、な。」

    「なんてことを……!!」

    「そして死体は縦坑に落とされる。ここは昔鉱山だったと前に教えただろ? この便槽の横には恐ろしく深い縦坑があってな。そこに投げ捨てるんだ。墓穴を掘らなくていいから楽だろう?」

    「…………」

    「死体は糞まみれだから、大量の雑菌で死体はあっという間に骨だけになる。縦坑の底は、そうやって死んでいった奴隷たちの骨で埋まっているらしい。誰も見たことはないがな……」

    「……狂ってる」

    「そうだな」

    「もう、わけわかんない……」

    もう完全に理解不能だった。弱々しく呟くと、七海は考えることを放棄した。考えたくなかった。 ……奴隷の未来は陽葵の未来。いやだ。考えたくない! 考えるな!!

    糞便をあらかた取り除いたとは言え、まだまだ糞便まみれの光希に七海は抱きつき、そしてか細い声で泣き出した。

    「ふえぇぇぇん! おねえちゃん…… おねえちゃん…… もうやだよ…… こんなんもうやだ…………」

    その時、糞山が動いた。

    「な、なみ……?」

    「おねえちゃんっ!?」

    「ななみ…… どうして、ここ、に……」

    「おねえちゃん! おねえちゃんっ!!」

    「ななみ…… ないているの……? だいじょうぶ……?」

    「うわあああああああん!! おねえちゃあああああああああん!!!!」

    七海は姉を抱き締めながら大声で泣いた。強くて賢くて優しい七海はもういなかった。陽葵があんなことになって、おねえちゃんがこんなことになって。姉の姿に陽葵が重なる。陽葵も、玲香も今日子も、いつかはここで……。もうどうしたらいいかわからない。ただ姉に縋り付いて泣き喚くことしかできなかった。

    しばらく泣いて、気が済んだのか疲れたのか、七海は泣き止むと、飯森の方を振り返った。昨年に戻ったかのような弱々しい顔だった。

    「ご主人様。おねえちゃんをここから出してあげてください」

    「無理だ」

    「お願いしますっ!」

    「規則だ」

    「そんなぁっ! お願いします! お願いしますっ!!」

    飯森は七海を興味深く観察していた。本当に昨年、木下家で調教していた頃に戻ってしまったようだ。賢さなど微塵も感じられない。ただ姉に取り縋って泣き、「お願いします」を繰り返すだけ。

    結局、あの強くて賢くて優しい理想の七海は、本当の七海ではなかったということだろうか。最も傷つかない方法はあれしかないと思って、無理をして、努力して、全神経を常に研ぎ澄ませて、理想の奴隷を演じ続けてきたのだろうか。だが、それでも傷ついた。それも自分ではなく、最愛の姉と最愛の恋人が。 ……かくして砂上の楼閣は虚しく崩れ去り、元の七海に、弱々しく人見知りで優しいだけの七海に戻ってしまった。そういうことだろうか。

    昨日、陽葵が手足を失うシーンを会議室のモニターで見る前の飯森だったら、この状況を深く嘆いただろう。理想の七海が消えてしまったと。この1年が無駄になってしまったと。だが、飯森は内心ほくそ笑んでいた。そうだ。これはリセットだ。これからまた、理想の七海を新たに作っていけばいいのだ!

    ……さっそく飯森は話し始めた。

    「ならば条件がある」

    「……え?」

    「ここで最期を迎えるというJSPFのルールは、脱走罪ほど厳格なものではない。外に連れ出すことは可能なのだ」

    「!!」

    「ペロはもはや死を免れないが、それまでの間、清潔な部屋と清潔なベッド、糞尿とは無縁の環境を用意することは可能だ。男たちも近寄らせない。点滴も充分投与してやろう」

    「!!!!」

    「ここまですれば、ペロの寿命はもう少しだけ延びるだろうな」

    「ありがとうございます! ありがとうございます、ご主人様っ!」

    「まぁ待て。条件があると言っただろう?」

    「……はい」

    飯森は、ただでさえ醜悪な顔をこれまでにないほど醜く歪ませると、これまでにないほど残忍な笑みを浮かべた。

    「ダルマになれ」

    「……だる、ま?」

    「ペロと同じ、手足の全くない身体になるのだ」

    「!!!!!!!!」

    「そして773号室でオナホールとして生きていく。自分では動けず、3つの穴を俺や客たちに使われるだけのオナニーの道具になるんだ」

    「!!!!!!!!」

    「それを受け入れるなら、姉をここから出してやる。手足を斬る際は麻酔を使うこと、全身の永久脱毛は行わないことも約束しよう」

    「…………………」

    七海は呆然とした。頭も身体も完全に凍り付いた。何も考えられない。あまりに予想外で、あまりに意味不明で、あまりに残酷な話だった。オナニーの道具って…… オナホールって…… そんなのメス犬よりも酷い…… ありえないよ…………!

    「だめ……! ななみ……! そんなの、ぜったい、だめっ……!!」

    同じくダルマ状態の光希は、七海の目を見て必死に訴えた。もう大きな声が出ない。それでもなんとか声を振り絞る。そんなの絶対だめっ!!

    「わたしは、どうせ、しぬの…… だったら、どこにいても、おなじ…… ななみのてあし、むだになっちゃう……! そんなの、だめ! ぜったいに、だめっ!!」

    七海は、光希の必死の説得を、涙を流しながら聞いていた。そう。おねえちゃんならこう言ってくれる。絶対言ってくれる。 ……私はどうしたらいいんだろう。考えなきゃ。考えなきゃ。 ……だめ、考えられない。集中できない。なんで? なんで??

    その時、飯森が七海の耳元で囁いた。

    「ふふふ…… もうマトモに考えることもできないか? どれ、お前に代わって考えてやろう……」

    そう言って、飯森は「理想の七海」ならどのように考えるかをシミュレートし始めた。

    「ご主人様がこんな話をしだしたということは、ご主人様は私の手足を奪う決断をしたということなんじゃないだろうか。だとしたら、今回拒絶したところで、今後もことあるごとに選択肢を提示してくるに違いない。しかも次回の選択肢からは、麻酔ありという項目が抜けてしまうかもしれない……」

    「…………」

    「私はご主人様の個人奴隷だから、死にそうになってもここへ落とされることはないだろうが、ご主人様は私より30以上も年上だ。順番から言えばご主人様が先に死ぬ。そうなったら私は自動的にJSPFの専属奴隷だ。そしてその時点で多分オバサン。需要なんてない。酷使された挙げ句にここに落とされる。結局はダルマになる。しかも麻酔は打ってもらえない」

    「……!!」

    「やめて! ななみは、そんなこと、かんがえないっ!!」

    「ふふふ…… どうかな?」

    「…………」

    「ご主人様に逆らったからお姉ちゃんの片目は潰された。だからご主人様に絶対服従を誓った。それなのに陽葵はメス犬になり、お姉ちゃんはダルマになった。逆らっても従っても結局は同じこと。お姉ちゃんがさっき言ったとおりだ。どこにいても、おなじ。どうあっても最後はダルマ。だったら…… 痛くないほうがいいんじゃないかな?」

    「!!!!」

    「やめろぉっ!!」

    七海は呆然としながら悪魔の囁きを聞いていた。自分はこんなこと、考えるだろうか。わからない。わからないけど、確かに、今ダルマになっておけば麻酔は打ってもらえる。手足を切断される痛みなんて想像できないし、したくもないが、きっとものすごく痛いに違いない。出産よりも遥かに。そんなのイヤだ。絶対イヤだ!

    囁きはまだ終わらない。

    「唯一の懸念は美海だ」

    「美海っ!」

    「30年後ならともかく、美海は未だ生後3ヶ月だ。育児は不可欠だが、ダルマになってしまえば育児はできない」

    「!!!!」

    「でも、現状でも美海の世話は玲香さんに任せっ放しだ。他の3人よりも調教が激しいせいで、育児をする時間や体力はいつも残らない。玲香さんが忙しい時は今日子さんが代わりを務めるし、たまには陽葵が代わる。私はごくたまに哺乳瓶で授乳するくらい。そんなの子育てとは言えない。どうせ子育てできないのならダルマになっても同じことかも?」

    「……!!」

    「いいかげんに、しろ!!」

    「だったらいっそのこと自分もダルマになって、母娘で玲香さんのお世話になるというのはどうだろう? 玲香さんの負担が増えないよう、玲香さんが受けていた分の調教も全部私が引き受ければ、なんとかなるんじゃないかな……?」

    「!!!!」

    「そんなこと、ななみが、かんがえるわけ…… ないでしょ!!」

    「…………それに、ご主人様はダルマが欲しいんだ。私が拒否したら、ご主人様は美海の手足を切り落とすかも……」

    「「!!!!!!!!」」

    トドメの一撃だった。七海だけでなく光希も言葉を失った。七海は絶望し、光希は激怒した。なんてことを。七海の立場で考えるなんて言っておきながら、七海の心を揺さぶって巧みに誘導し、最後は娘を人質にして他の選択肢を潰すだなんて。なんて、なんて……

    「なんて、ひれつなの? どこまで、ひきょうなの!? あなた、アクマよ……!!」

    光希は涙を流しながら飯森を罵った。さっきまでよりもさらに覇気が落ちている。最後の一言、あれを言われてしまったら七海に選択肢はない。ただでさえ絶望に次ぐ絶望で思考力が落ちているというのに。次に七海が言うであろう言葉を、光希はもう否定できない。自分の手足と娘の手足を天秤に掛けられて、自分の手足を失う決断する母親を、責めることなんてできない。できるわけがない。

    「……………………わかりました。私、ダルマになります」

    「ああぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ…………!!」

    長い沈黙の後、七海は小さな声で言った。光希は慟哭した。絶望に塗り潰された真っ黒な声が、便槽の中を弱々しく満たしていった。

    「でも、あの、ひとつだけ確認させてください」

    「なんだ?」

    「ウソ…… ついてませんよね? おねえちゃんをこのままにしたり、しませんよね?」

    「ああ、約束しよう。手足の切断手術をするより先に、光希を他の部屋に移してやる。お前にも見届けさせてやろう」

    「わかりました」

    「じゃあ出るぞ。そこにシャワー室がある。お前と光希の汚れを落とせ」

    「……はい」

    七海は飯森の言葉を信用できなかったが、もう他に何も考えられなかった。七海は、悲しいほどに軽い姉の身体をそっと抱きかかえて、便槽の入口横に設けられたシャワー室に入った。奴隷の成れの果てを陵辱した後、男が汚れを落とすための場所で、七海は自らと姉の身体に付いた糞便をシャワーで落としていった。

    顕(アラワ)になる骨と皮だけの身体。それに対して不釣り合いなほどに膨らんだ巨乳。普通、これだけ痩せてしまえば、いかな巨乳と言えども萎んで垂れ下がってしまうものなのに、違法薬物の過剰摂取によって膨らんだそれは、未だパンパンに膨らんだまま、まるでメロンのようだった。姉の身体から栄養を、体重を、ありとあらゆるものを吸い取って膨らみ続ける呪われた肉塊…… 七海はそんなことを思いながら乳房の汚れを落としていく。

    ここまでは見慣れている七海も、永久脱毛されて髪の毛も眉毛も睫毛も、何もかも失くなってしまった姉の顔は、あまりに無残で、見るに耐えなかった。 ……それでも見ないわけにはいかない。恐らく今生の別れになるのだから。七海が四肢を失って切断箇所の傷が治って麻酔が切れて目覚めるまでに1ヶ月以上かかると飯森は言っていた。さすがにそれまでは保たないだろう。だから最後の最後。今度こそ、本当のお別れ。

    ……飯森が見守る中、七海は糞色の包帯を慎重に外し、抜糸も済んでいない縫合部にもぬるめのシャワーをそっと当てて汚れを落とした。続けて柔らかなスポンジにたっぷり洗剤を付けて、光希の全身をくまなく洗っていく。顔、頭、首、肩、胸、腹、背中、腰。それだけしかない。縫合部は、スポンジではなく素手でそっと洗っていく。ズタボロになった膣や肛門に手を挿れて、こびり付いた汚れを掻き出していく。もう苦痛も快楽も何も感じていないようだった。眼帯も外して目の周辺を優しく洗い、口の中の汚れも手で掻き出して歯茎や長舌を手で磨いていく。最後に全身にシャワーを浴びせて泡を落とし、ようやく全身の洗浄が終わった。

    こんなにも大変だったんだ。これを玲香さんは毎日やってくれてたんだ。そして、ダルマになった私のお世話は……。飯森の言う通り、母娘ともに玲香に世話してもらうことになるのだろう。そこまで玲香に押し付けるのか。彼女だって奴隷なのに。辛い思いをしているのに。だが、美海の手足を人質に取られてしまってはもうどうしようもない。

    光希は、七海が身体を洗ってくれている間、なんとか七海も美海もダルマにならずに済む方法を考えた。脳細胞も死に始めている中、必死に必死に考えた。唯一考えついたのは、人質役を七海でも美海でもない第三者に移すこと。でも、自分はもう既にダルマ状態で、しかも瀕死だ。人質としての価値はない。じゃあ陽葵ちゃん? 玲香さん? 今日子さん? ……そんなことできるわけないじゃない! 一瞬でも考えた自分に腹が立つ! やっぱりいない。人質を代われる人なんていない。七海がダルマになる以外の選択肢がない。1個もない……

    七海は、飯森が呼んだ裏沢からキャリーケースを受け取ると、自ら光希を中に入れてケースを閉じ、大事に大事に抱きかかえた。ケースを引きずって運ぶなど考えられなかった。七海は飯森の後に従いてシャワー室を出、階段を登ってボットン便所の前を通り、しばらく歩いて、小さな部屋に入った。真ん中にベッドが置かれただけの簡素な部屋だった。

     

    七海はケースから光希を出した。これまでならケースを開けた瞬間に辺りに糞便臭が広がったのに、それがない。それが悲しい。 ……七海は、清潔そうな真っ白なシーツが引かれたベッドの真ん中に光希を寝かせた。そして唇にそっと唇を重ねた。

    「じゃあね、おねえちゃん」

    「ななみ……」

    「これまで、ありがとう…… ひっく」

    「こっちこそ、ありがとう…… ぐすっ」

    姉妹は互いに礼を言ったが、それ以上言葉が続かなかった。そしてしばし互いを見つめ合う。痩せ衰え、歯も左目も髪も眉毛も睫毛もない姉の顔。頬が痩け、歯もなく、額に入れ墨を入れられた妹の顔。だが、脳裏にはあの頃の顔が重なっていた。

    昨年の8月4日の朝。光希が両親とスポーツ用品店に出掛ける前。一家4人で食卓を囲んで食べた朝食。姉妹はテニスの話題で盛り上がっていた。姉は太陽のように眩しい笑顔、妹も月のように穏やかな笑顔。互いに笑いながら幸せの時を過ごしていた。

    あれから1年と8日。まさか、こんなことになるなんて。見るも無残に変わり果てた互いの顔を見ながら、無言のまましばしの時間が流れた。 ……先に口を開いたのは姉だった。

    「わらお?」

    「え?」

    「さいごに、ななみの、えがお、みたい」

    「……うん。私も。おねえちゃんの笑顔、最後に見たい」

    姉妹は同時に笑った。目に大粒の涙を溜めながら、口の両端を上げて、歯茎を見せないよう口は閉じたまま、互いを見つめ合って。薄く、優しく、静かに笑った。

    そして同時に言った。

    「「……さよなら」」

    七海はベッドから降りると飯森に睡眠薬を渡され、その場で飲んだ。急速に眠気に襲われ、七海は崩れ落ちながら意識を失った。その寸前、声が聞こえた、気がした。

    「七海っ!」

    声のした方を振り向くと、真っ黒に日焼けして、真っ白な歯を見せて、ポニーテールの髪を風にたなびかせながら、太陽のように眩しい笑顔で妹を呼ぶ姉が、そこにいた、気がした。

    飯森は、床の上で眠りこけている七海を自らストレッチャーに乗せると、部屋から出て行く。その際、光希に一言だけ声を掛けた。

    「じゃあな、ペロ」

    「…………」

    裏沢は、飯森がいなくなると、光希を再びキャリーケースに押し込んだ。戸惑う光希を完全に無視してケースの蓋を閉める裏沢。次にケースの蓋が開いた時、光希は猛烈な糞便臭に襲われた。

    裏沢は光希をもといた場所に乱雑に置くと、何も言わずに出て行った。便槽のドアを閉める直前に光希が弱々しく叫んだが、すぐに分厚いドアに阻まれて聞こえなくなった。

    「うそつきいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

    JSPF専属奴隷の最期の場所はあくまで便槽。死ぬ前に「一時的に」外に連れ出すことはできるが、その鉄則は誰にも変えられないのである。

    尚、この時、光希の4つ隣の糞山の下に佐渡がいた。ダルマにされて身体は動かず、声帯を潰されて声を上げることもできなかった。大量の糞を詰め込まれて口も食道も胃も腸も炎症を起こし、酷い食中毒症状が出ていた。身体中の傷口から雑菌が侵入して全身が化膿し、一部では壊死し始めていた。男たちも気持ち悪がって近づかなかった。身体の中も外も灼熱の激痛に絶えず襲われているのに、身体を動かすことすらできない。姉妹や飯森の声を聞きながら、佐渡はひたすら後悔していた。心の中でごめんなさいを繰り返し唱え続けた。だが3人が佐渡に気づくことはついになかった。

    ……数時間後、飯森はJSPF内の手術室において、自ら七海の手足を切断した。切断された手足は血を抜いて防腐処理が施され、773号室のリビングに飾られた。

     

    V:新たな地獄(1)

     

    それから2週間の間、玲香と今日子は奴隷奉仕免除となり、療養室にベビーベッドその他を持ち込んで、美海の世話をしつつ、付きっきりで陽葵の側にいた。たまにやって来る女医の話では、陽葵の術後経過は良好とのことだった。

    だが、問題はもう1つあった。七海まで行方不明になってしまったのだ。女医に聞いても知らないの一点張り。飯森も堀田も療養室には一切顔を見せない。2人は療養室に監禁状態で、773号室に戻ることもできず、七海と陽葵のことが気になって夜もあまり眠れなかった。特に今日子は不眠の度合いが激しく、ストレスから急速に白髪が増えていった。

    2週間後の朝、キャリーケースを持った裏沢が療養室に入ってきた。陽葵をケースに入れると、今日子に同行を命じ、玲香には美海とベビーベッドを持って773号室へ行くよう命じた。

    調教区画を過ぎて階段を降り、メス犬区画へ。今日子は、娘の入ったケースがゴロゴロと引きずられる様が我慢できず、自分がケースを抱きかかえて運ぶからと裏沢に頼み込んだが、「慣れろ」と短くあしらわれた。

    光希がかつて使っていた9号室の前で裏沢は止まり、虹彩認証をパスしてドアを開けた。脱臭剤のおかげで、部屋中に染み付いていた糞便臭は消え去っていたが、淀んだ空気と薄暗い照明は以前のままだった。

    部屋の真ん中で裏沢がケースを開けると、陽葵は既に目を覚ましていた。

    麻酔が切れていた陽葵は、運搬時の振動で目を覚ました。そして真っ暗なケースの中で、ひとり絶望していた。手足がない。見えないけどわかる。ケースの中で身体を激しく揺すられながら、手足で踏ん張ることができない。ホントにメス犬になったんだ! 手足なくなっちゃったんだ!! 夢じゃ、なかったんだ!!! 陽葵はケースの中で泣き喚こうとし、もう1つの異変に気づいた。そしてさらなる絶望の中に叩き込まれた。

    「うああああっ!! あぅ!! んあああっ!!」

    ケースから出た陽葵は、短くなった四肢をばたつかせながら辺りを見回し、母親の姿を見つけると声を張り上げた。

    「あういあ! んあっ! おあぁあん!!」

    ああ、やっぱりだ。言葉が…… 言葉がしゃべれない! なんで!? 声は出るのに、あいうえおしか言えない! なんで!? 光希お姉さんもポチも普通にしゃべれてたのに!! なんでっ!!?

    「あぅああ!! いあぁ!! おいあうああうあっ!!」

    今日子も異変に気づいた。短い四肢をばたつかせる姿があまりに悲しくて、見ていられなくて、今日子は思わず目を逸らしたのだが、声を上げ始めた陽葵がいつまで経っても母音しか発しないことに気づいた。始めは、麻酔が残っているからだと思った。だが様子がおかしい。今日子は娘の口元を凝視した。普通だ。歯も舌もある。口にも喉にもどこにも外傷はない。なのに、なぜ喋れないの? なぜ!? なぜっ!!?

    ……陽葵は、この施設の秘密を、便槽と竪穴の秘密を知ってしまった。だが、ここには隔離状態だった773号室と違って、ポチを始め多くのメス犬たちがいる。それに今日子も玲香も未だその秘密を知らない。故に、陽葵をそのままにしてはおけないのだ。陽葵はレーザー装置によって四肢を断たれた後、声を失うことなく言葉のみ発することができなくなるよう、追加手術を受けさせられていたのである。

    何らの説明もないまま、絶望の底で陽葵と今日子は抱き合い号泣した。と、その時、9号室に大勢の男たちと、メス犬のポチが入ってきた。さらに堀田が入ってきて、母娘に向かって言った。

    「さあ、今日の調教を始めるぞ。これからは午前の調教はここで行う。用意はいいか? ヒナ、今日子!」

     

    ……その頃、玲香は773号室に移動していた。そして虹彩認証をパスして中に入り、寝室兼育児室に入った途端、絶句した。身体も思考も呼吸も脈も心臓も、何もかも一瞬停止した。

    七海が、いた。手足が、なかった。この2週間ずっと一緒にいた陽葵とも、半年以上世話してきた光希とも違う。手も足も、付け根から全部失くなっていた。丸っこい胴体と、その上に首。たったそれだけ!

    「やあ、玲香」

    後ろで声がした。ようやく玲香の時が動き出した。飯森だった。

    「七海はご覧の通り「ダルマ」になった。玲香には引き続き七海の専属世話係になってもらう。七海と美海の世話。それがお前の仕事だ。いいな?」

    「ダルマ……」

    時は動き出しても、思考が追いつかない。何を言ってるの? この男は……

    「七海が起きるのは約2週間後だ。それまでは美海の世話を中心に、1日1回七海の身体を拭いてやってくれ」

    「…………」

    「それから、仁科母娘は基本的にはもうここには来ない。陽葵、じゃなかった、ヒナはメス犬区画9号室で生活し、今日子は雑用係となってカプセルベッドで寝起きしながらヒナとポチの世話をする。以前のお前のようにな」

    「…………」

    「七海が起きたら、午前中の調教だけは堀田氏と合同でこの773号室で行う。その時だけは仁科母娘もここへ通うことになる」

    「…………」

    「因みに、773号室は、この七海の寝室と隣のリビング、奴隷用のシャワーとトイレ、あとお前の部屋…… それ以外は全面リニューアル中だ。今は入れないからな?」

    「…………」

    「七海が起きるまでは、ここにやってくる客の相手は全てお前がしろ。場所はリビングとトイレのみ。大変だろうが、美海と七海の世話を忘れるなよ?」

    「…………」

    「以上だ」

    玲香は何も言えなかった。無視とかではなく、本当に言葉が出てこなかったのだ。この男は、七海のことを愛しているんじゃないの? なんでこんな酷いこと、平気でやれるの? 信じられない…… 信じられない……!

    言いたいことだけ言ったら、すぐ部屋から出ていこうとする飯森に対し、玲香はようやく一言だけ絞り出すことができた。

    「…………狂ってる」

    「結構。最高の賛辞だ」

    「…………」

    玲香はそれ以上何も言えなかった。飯森と入れ替わるようにして、男たちが入ってきた。奴隷たちの休息は終わったのだ。

     

    ……同じ頃、光希はついに息絶えた。男がペニスを光希の膣に挿入したら、中が冷たくなっていたのだ。男はスマホで光希の死亡を報告すると、死姦を開始した。しばらくして、光希の死を知った男たちが続々と便槽に入ってきて、光希の冷たい穴にペニスを突っ込み、射精していく。記念と称して右目をくり抜いていく者もいる。やがて糞まみれの死体の表面が白濁液で覆われると、男たちは、重さ10kgにも満たない光希の死体を皆で担ぎ上げ、隣の縦坑まで運んで穴の中に勢いよく投げ捨てた。あまりに深く、底の見えないその穴。落下音は聞こえなかった。

    光希は数百人分の人骨の上に落下した。重い頭部が下になって落ちていったため、光希は骨の海に真っ逆さまに墜落し、鋭利な骨の破片が頭蓋骨に突き刺さって脳味噌が周囲に飛び散る。この状態のまま光希は朽ちていく。

    周囲には、真っ黒に腐った挙げ句、細菌に分解されてバラバラになった「何か」の成れの果てが散らばっていた。

     

    VI:新たな地獄(2)

     

    9月12日。七海が四肢を失ってちょうど1ヶ月後、七海は目覚めた。

    「ああい?(七海?)」

    目の前に陽葵がいた。よかった…… 陽葵がいる。なんだ、全部夢だったのか……

    だがすぐに異変に気づく。陽葵の手足がない。自分のもない。身体が動かない。全く動かない。首しか動かない!

    「あぁぁ…………」

    ああ、ホントになってしまったんだ。ダルマに。オナホールに!

    「ああい…… おあっあ…… いいええおあっあおぉ……(七海…… よかった…… 生きててよかったよぉ……)」

    目の前ではメス犬になった陽葵が泣いている。よかった。お互い酷い身体になっちゃったけど、取り敢えず生きててくれた。無事みたいでよかった……んだけど、なんか変。なんだろ。なんで陽葵、あーうーしか言わないの? 猿ぐつわとかされてないのに。 ……え? ちょっと! なんで!? なんで言葉、しゃべれないの!? なんで私の名前、呼んでくれないの!!? 陽葵っ!!!?

    違和感は急速に膨れ上がって不安となり、衝撃、動揺を経て絶望となった。陽葵が…… 陽葵がっ!!

    そしてようやく辺りを見回す。手と足がない。玲香さんもいない。おねえちゃんも、ご主人様も。 ……あれ? なんで今日子さん、あんなに髪の毛白いの? 染めた……わけじゃないよね? 白髪? まだ若いのに…… ちょっと前まで真っ黒だったのに!

    何がどうなっているんだろう。色々陽葵に聞きたいが、言葉にならない。だって陽葵、言葉が……!!

    半ばパニックになりかけているところに、飯森と玲香が入ってきた。玲香は大きな姿見を持っていた。

    「おはよう、七海。気分はどうだ?」

    「……ご、主人さま」

    「今日からお前は俺のオナホールだ。末永く使ってやるからな」

    「…………」

    飯森の横に置かれた鏡。首だけ動かして鏡を見ると、そこにはオナホールとなったダルマの自分が映っていた。よく見たら下腹部にいつの間にか「妹ダルマ」という焼印が捺してある。それだけではない。言葉を失ったメス犬のヒナ、若白髪が増えた今日子、涙を流して俯いている玲香、邪悪な顔で笑う飯森。4人の姿も映っている。 ……そして光希の姿はない。

    あの夏の日。自宅を警察官が訪ねてきたあの時から1年と39日目。新たな地獄が始まったのだ。七海は堪らず絶叫した。

    「もういやああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

     

    VII:永遠

     

    ……あれから29年の月日が流れた。

     

    既に多くの者がこの世の地獄から解放されて天国へと旅立っていった。そして今、78歳になった飯森則夫が真の地獄に落ちようとしていた。末期の癌。癌細胞は既に全身に転移しており、余命1週間と宣告されてから9日目。抗癌剤の影響で白髪は全て抜け落ち、小太りだった身体は見る影もない。七海に絶望と快楽を与え続けた剛棒も、今は萎びた生ゴミのようだ。そんな枯れ枝のような身体で病室のベッドに横たわり、管まみれになって全身の疼痛にひたすら耐えていた。

    傍らに七海がいた。46歳になった七海は、一男四女を産んで骨などはかなり脆くなり、昔と同じ色に染められている髪も、染料の下は既に総白髪となっていたが、世話してくれる者たちの日々の手入れと、飯森が行わせた整形・美肌・老化防止など様々な手術のおかげもあって、表面的には信じられないくらいの若さと美貌を保っていた。手も足もないダルマ姿でベッド横の椅子に座り、飯森の方を静かに見つめていた。

    ……飯森が沈黙を破った。喋ったのは2日ぶりだ。

    「七海…… どうやらこれまでのようだ…… これまでありがとう…… すまなかったな……」

    「…………」(いまさら…………)

    「最期に…… 声を…… 聞かせてくれないか……」

    「ご主人様。最後に1つ、お願いがあります」

    「……なんだ? 癌に殺される前に自分で殺したいか? 儂を……」

    「……違います。逆です。死ぬ前に私を殺してください」

    「…………」

    「癌で死のうが私が殺そうが、ご主人様が死んだら私は自動的にJSPFの所有物になります。ご主人様以外の人に抱かれ続けて、使われ続けて、いつかは便槽に落ちる運命です」

    「…………」

    「こんな身体では自殺もできません。歯がないから舌も噛み切れません。ですから…… お願いです。私を殺してください。一緒に死んでください。 ……もう、これ以上、私に酷いこと、しないでください。お願い、します……」

    「七海……」

    「そこの花、花瓶、ガラスですよね。落として割って、ガラスの破片で私の首を切ってください」

    「ふふっ…… 最後に主人に命令するか…… だが手が届かん」

    「立って取りに行ったらいいじゃないですか」

    「そんな力、残っとらんわ…… それに立ったら管が外れる」

    「だから今まで言わなかったんです。もうすぐ死ぬんですよね? だったら立っても同じことじゃないですか」

    「ふ…… ふはは…… お前は本当に賢いな…… わかった。やってみよう」

    「ありがとうございます、ご主人様」

    飯森はベッドを起こすと最後の力を振り絞って立ち上がった。管が次々に抜けていく。なんとか花瓶の前までやって来ると、花瓶を掴み上げようとしたが、手はもうマトモには動かなかった。仕方がないので手全体を横に動かして花瓶を床の上に落とす。ガシャンと大きな音がして花瓶は砕け、ナイフのように鋭いガラス片が飯森の足元に転がってきた。飯森は、どうにかそれを拾い上げると、足を引きずるようにして七海の方へ歩いていった。管が抜けたからか、血圧が乱高下して激しい目眩に襲われる。だが、それでも歩みは止めず、どうにかこうにか七海の前に辿り着いた。震える両手でガラス片を握ると、七海の首元、頸動脈の辺りに持っていく。その時、七海が小さな声で言った。

    「ありがとうございました、ご主人様。さようなら……」

    そして小さく笑った。飯森を魅了したあの蠱惑的な笑みでも、陽葵に見せた満面の笑みでも、姉と別れた時に見せた優しい笑みでもない。透き通るような微かな笑み。30年、命を燃やしながら主人に奉仕してきた末の、灰のように白く温かく穏やかな表情。少女のような可憐さと年相応の深みが重なって…… ああ、なんて美しいんだ。愛しの七海。最期の最期にとっておきの笑顔を見せてくれてありがとう。最期の力を振り絞った甲斐があった。これでもう思い残すことはない。

    「ありがとう、七海…… ありが…………っ!」

    駄目だ。意識が保たない。手に力が入らない。最期に。あと1秒でいい。最期に、力を…………

    視界が暗転する刹那、飯森は赤い鮮血を見た。見た気がした。次の瞬間、飯森の魂は肉体から離れて地獄へと落ちていった。

    七海の視界も赤一色に染まっていた。燃えるように鋭い痛みがほんの一瞬だけチカッと走り、すぐに視界が黒ずんでいく。完全なる闇に閉ざされる直前、立ったまま絶命した飯森の身体が病室の床の上に崩折れていくのが見えた気がした。

    意識が遠のいていく。痛みはない。何もない。こんな安らかな最期が迎えられるなんて。私の大切な人たちは、みんなあの便槽で苦しみながら非業の死を遂げ、縦坑の底で骨になったというのに。七海は罪悪感を覚えつつも飯森に感謝した。生まれて初めてこの男に感謝した。

    だが、どうもスッキリしない。もうすぐ死んじゃうのに最期の最期でこの男に感謝することになるなんて。憎いままで終わればよかったのに。 ……最低。最期まで最低なやつ。でも、まぁいっか。もうすぐ終わるんだし。ああ…… 終わるんだ…… やっと、終わるんだ…………

    視界は既に真っ黒。何も見えないし何も聞こえない。何も臭わない。苦痛も快楽もない。ああ、いつかの夢の続きだろうか。でもいつかの悪夢はものすごい圧迫感があった。今はそれがない。自分の肉体の存在すら感じない。何もない空間に、ただ1人。

     

    ……ふと、何かが見えた気がした。飯森の死体じゃない。そんな汚物じゃない。あれは…………

    陽葵だ。陽葵がいる! 懐かしい。たった1人の私の恋人。あの頃の姿のまま、満面の笑みを浮かべて手を振ってくれている。手がある。足もちゃんとある。よかった、元気そうで。よかった、また会えて。会いたかったよ…… 何年、何十年経っても大好きだよ。ずっと愛してるよ、陽葵……!

    傍らには今日子さんがいて、さらにその隣に美海がいる。美佳美奈美久がいて、見覚えのない男の子もいる。もしかして、出産直後に別れた子だろうか。その横には玲香さんと見知らぬ子供たち。それに、ポチがいる。手足があって、満面の笑みで…… あんなに可愛らしい子だったんだ。本当の名前、知らないままでごめんね…… そしてその隣には……

    ああ、おねえちゃん。おねえちゃんだ! 会いたかった…… よかった、ちゃんと手足がある。健康そうに日焼けして、真っ白な歯を見せながら、眩しすぎる笑顔で…… 何か言ってる。腕を大きく振って何か言ってる。声は聞こえないけど、こっちにおいでって言ってる気がする……

    その横にいるのは…… あぁぁ…… お父さん…… お母さん…… 会いたかったよ…… ずっと…… ずっと…… おかあさん…… おかあさん…………

    いまいくね…… わたしもそっちいくね…… みんな…… みんな、いっしょ…………――――――――――

     

    +++++++++++++++++++++++

     

    佐渡 彩音(享年33):16歳、清隷女学園高等部1年の時に堀田荘司に調教され、17歳でJSPF専属奴隷。18歳の時にS役専門となり22歳で堀田に身請けされる。25歳の時に私立清隷女学園教師に就任。国語担当。33歳の時に仁科陽葵を唆した罪により全身に重傷を負い、さらに四肢切断。便槽にて細菌性胃腸炎(食中毒)・破傷風に罹り、全身が壊死して敗血症により死亡。

    木下 光希(享年18):木下七海の姉。17歳、清隷女学園高等部3年の時にJSPFの専属奴隷となるが49日後に逃亡。それまでに反抗・奉仕拒否ほか微罪多数。これにより四肢切断・全抜歯・T-ZL3投与の刑となり、メス犬「ペロ」に改名。妹の七海がJSPFのゲスト奴隷となった82日後、姉妹揃って飯森に叛逆するが失敗して左目失明。その後はT-ZL3の過剰摂取により急速に衰弱。18歳にて多臓器不全のため処分。

    北條 千秋(享年19):木下七海・仁科陽葵と同齢。12歳、清隷女学園中等部1年の時に堀田荘司に調教され、13歳でJSPF専属奴隷。14歳の時に逃亡し、メス犬「ポチ」となる。15歳の時ペロと、後に陽葵とペアで調教されるようになる。19歳にて衰弱のため処分。

    仁科 今日子(享年44):仁科陽葵の母。商社勤務。39歳の時に娘の陽葵とともに堀田荘司に調教されて、JSPF専属奴隷となる。陽葵らとともに通称「773号室」にて過ごし、優秀な奴隷に育っていた最中、陽葵がメス犬、木下七海がダルマとなる。この頃から老化が進み、出産ショーでは女児を死産。一時精神を病むものの、この頃鬱状態だった七海を懸命に励まし続ける娘を見て立ち直る。しかし43歳頃からさらに老化が加速。44歳にて衰弱のため処分。

    仁科 陽葵(享年26):仁科今日子の一人娘。木下七海・北條千秋と同齢。七海とは清隷女学園高等部1年A組の同級生。16歳の時に母の今日子とともに堀田荘司に調教され、JSPF専属奴隷となる。直後に七海と再会して友人に、後に恋仲となって773号室で過ごす。しかし佐渡彩音に脅迫されて逃亡。メス犬「ヒナ」になると同時に言葉も失う。ほぼ同時期に七海もダルマとなったが、当初鬱状態だった七海をヒナが筆談とセックスで励まし続け、2ヶ月後に七海は回復した。その後、身体が徐々に壊れていく中においても七海と恋人関係を続け、長女を出産。21歳の時に今日子が処分され、直後に自身も男児を死産すると徐々に衰弱。七海の懸命の励ましもあって、その後さらに5年間メス犬として活躍し、さらに一男一女を設けるものの、26歳にて衰弱のため処分。

    澤田 玲香(享年37):19歳の時に友人のトラブルに巻き込まれて破滅し、20歳の時にJSPF専属奴隷となる。22歳で雑用係となり、23歳の時にペロの担当となる。木下七海が773号室に移ってからは彼女の専属世話係となり、特に七海がダルマとなって以降、七海の世話と七海の子供たちの育児を一手に引き受ける。三男三女を出産。37歳にて衰弱のため処分。七海の世話係は七海の長女の木下美海が引き継いだ。

    堀田 荘司(享年85):JSPF理事、清隷学園理事長。24歳の時にJSPFに入会し、49歳の時にJSPF副理事並びに清隷学園理事長に就任。以降、学園の生徒を調教して定期的にJSPFに提供。54歳にてJSPF理事就任。62歳の時に773号室を新設。70歳で引退。85歳にて老衰のため死亡。

    木下 美海(享年27):木下七海の長女で飯森則夫の個人奴隷。奴隷養育施設ではなく773号室にて育つ。父の遺伝子をほぼ受け継がず、母以上の絶世の美少女となる。13歳の時に長女の美樹を出産し(父は飯森)、以降三男四女を設ける。14歳の時、澤田玲香の処分に伴い母の世話係に就任。27歳にて衰弱のため処分。ほか、次女の美佳は調教中に事故死(享年16)、三女の美奈は長女を設けるも21歳にて衰弱のため処分、四女の美久は出産直後に死亡、長男のは少年奴隷として別施設で人気を博するも、22歳にて衰弱のため処分。七海死亡時の世話係は孫の美樹(16)。美樹には長女の美緒(2)がいる(七海の曾孫)。七海の死後、存命の者は全員JSPFの専属奴隷となり、幼年の者は奴隷養育施設へと送られた。

    飯森 則夫(享年78):投資家。36歳の時にJSPFに入会。47歳の時に木下七海を調教し個人奴隷とする。48歳の時、JSPF内に居を移し、以降七海はJSPFのゲスト奴隷となる。七海の長女出産に伴い773号室を設計。3ヶ月後に七海はダルマとなる。その後も七海や七海の娘・孫たちとの間に多くの子供を設ける。78歳にて七海と心中。

    木下 七海(享年46):木下光希の妹。仁科陽葵・北條千秋と同齢。陽葵とは清隷女学園高等部1年A組の同級生。15歳の時に飯森則夫に調教されて個人奴隷となり、その後JSPFのゲスト奴隷となる。姉妹揃って飯森に叛逆するが失敗し、絶対服従を誓う。その後陽葵と再会。長女出産後は773号室に移り、「理想の奴隷」として人気を博す。陽葵とは恋仲となる。陽葵がメス犬「ヒナ」になった直後にダルマとなり、しばらくは鬱状態になるが、ヒナの懸命な励ましによって徐々に回復し、2ヶ月後には「理想の七海」に戻った。その後も「理想のオナホール」として高い人気を維持し続け、一男四女を設けたが、いずれも母より早世。46歳の時、JSPF内の病室にて飯森と心中。

     

    (死亡順)

     

    ……JSPFは木下七海の死後も変わらず存続し続けている。たとえ日本国が滅びようと、この施設が滅びることはないだろう。今日も施設内の至るところで奴隷たちの嬌声が、七海の子孫たちの悲鳴が上がり、縦坑の底で人知れず骨が増えていく。死んだ奴隷たちの骨の海の上で、生きている奴隷たちの生き血を吸いながら、JSPFは生き続ける。

     

    ……永遠に。

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第10章 – 別れ

    📂投稿グループ📎タグ

    I:別れ

     

    8月3日。5月31日に女医に余命2ヶ月と宣告されてから2ヶ月と4日目。朝8時になると服を着た飯森と裏沢が玄関から入ってきた。キャリーケースは持っていなかった。玄関先で出迎えた4人は息を呑んだ。 ……まさか。

    「……ペロが死んだ」

    飯森は七海に向かって短く言った。

    「…………」

    七海は、裏沢がキャリーケースを持っていない時点で嫌な予感がしていたが、いざその事実を告げられると頭が真っ白になった。他の3人も同じで、4人は玄関先で呆然と立ち尽くした。

    「…………」

    「今朝雑用係が9号室に入ったら、もう冷たかったらしい。その後市川医師が死亡を確認した。今から1時間ほど前だ」

    「うそ…… おね…………」

    七海は膝がガクガクの震え出し、立っていられなくなってその場に崩折れた。陽葵がすぐにしゃがみ込んで七海に寄り添う。

    ……予感はあった。予告された日は過ぎていたし、光希はもはや生きているのが不思議な状態だった。身体は骨と皮だけになり、流動食も受け付けず、点滴だけで生き永らえていた。記憶も大半が消え去り、顔と名前を覚えているのは奴隷4人と美海と飯森だけ。もう両親の顔すら思い出せなかった。七海も、他の3人も、覚悟はしていた。特に昨日、別れを予感させる出来事もあった。でも。でもっ!

    「おねえちゃん…… ひくっ…… おねえちゃん……! ひっく! おねえちゃんっ!!」

    うわ言のように姉を呼ぶ七海の目からは涙が滝のように溢れている。顔は真っ青だ。

    覚悟はしていたけれど、今日じゃないと思っていた。昨日も、一昨日もそうだった。今日じゃないと毎日思ってきた。特に昨日はあんなことがあったけれど、それでも今日じゃないと思っていた。8時になったら裏沢がキャリーケースを持ってきて、姉に会える。一昨日も、昨日も。今日もそうなると七海は思っていた。何の根拠もなかったけれど、七海はそう信じていた。今日を生き延びて、明日も生きて、明後日も生きて、そのうち1週間経って1ヶ月経って。点滴だけで生きていけるのなら、寿命なんて関係ないのかも。その間に下痢が止まって、体重も徐々に元に戻って。また前みたいに一緒に笑い合える日がもしかしたら来るんじゃないか。だってほら、余命2ヶ月を既に4日も超えてるんだし。もしかして……。七海は姉の死を覚悟しつつも、奇跡をひたすら願い続けた。

    ……奇跡は起きなかった。

    「やだ…… やだ…… っ!」

    七海は床に座り込んだまま両手で頭を抱えてうずくまった。七海の中で悲しみの感情がまるで風船のように膨らんでいく。身体の中を満たし、身体を突き抜け、身体をすっぽり包み込むまでに大きく膨らんで。ゴムの耐性限界を超えてまだ膨らんで。玄関の空間を全て埋め尽くすほどになってもまだ膨らんで。 ……そして弾けた。

    「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    そこにいる全員の耳が1つ残らず潰れてしまいそうなほどの、凄まじい絶叫だった。陽葵は堪らなくなって七海に抱きついた。

    「七海! 七海! しっかりっ!!」

    「おねえちゃあああああああんっ!!!! 死んじゃやだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    もう恋人の声も届かない。あらん限りの声を張り上げて泣き叫ぶ七海。

    「七海ぃ! 七海ぃっ! ……ひっく!」

    陽葵も今にも泣き出しそうだった。でもダメ。これまで何度も七海に助けてもらったんだから。今度は私が七海を助ける番。七海の支えにならなきゃ! お姉さんにも誓ったんだから! ……陽葵は七海を強く抱き締めつつ、飯森に話しかけた。

    「あの、七海を光希さんに会わせてあげてください。お別れを言わせてあげてください」

    「無理だ」

    「えっ?」

    「今、火葬中だ」

    「!!!!」(えええっ!!?)

    「!!!!」(そんな…… もうっ!?)

    「!!!!」(なんてことを……!)

    これには陽葵も玲香も今日子も呆然とした。信じらんない。亡くなったの、ついさっきなんでしょ? まだお通夜もお葬式もしてないのに。もう火葬しちゃったの? 奴隷だからお葬式はさせてもらえないのかもしんないけど、いくら何でも早すぎ! お別れも言えないじゃない!!

    七海は未だ大声で泣き叫んでいるので、飯森の言葉は聞いていなかったようだ。と、玲香がいつになく険しい顔で飯森に話しかけた。

    「今日1日、七海ちゃんの調教はお休みにさせてあげてください。お願いします」

    「ああ、そのつもりだ。お前たちも休め。七海のことは任せた」

    「…………はい」

    玲香は目の前の男を張り倒してやりたい衝動をどうにか抑えた。この男、どこまで身勝手なの!? 私たちに任せるって…… 七海の主人だと言うのなら、傷心の彼女を慰めるくらい自分でやりなさいよ! 面倒なことは奴隷に全部任せて、自分はいたぶるだけいたぶって、それで愛!? ふざけんじゃないわよ!! ……でも、こんな最低のクズに任せてなんておけない。七海は大切な妹なんだから! 光希から託されたんだから! 私たちでなんとかするわよ! だから今すぐ出て行って!! 顔も見たくない!! 消え失せろ、この外道!! 犯罪者っ!!!

    玲香は心の中で飯森に罵声を浴びせると、飯森と目を合わせないようにしながら感情のない声で言った。

    「私たちだけにしてもらえませんか? ……いつかみたいに」

    「わかった。ただし監視しているからな。余計なことはするなよ?」

    「わかってます」(わかってるわよ、そんなこと! とっとと出てけ!! クズ野郎!!!)

    ……こうして4人だけとなった。その直後、七海以外の風船が一斉に割れた。

    3人とももう限界だった。風船はパンパンに膨らんでいた。それでも飯森がいる間はなんとかこれ以上空気を送り込まないよう我慢していたのだが、ドアが閉まった瞬間に急激に膨張し、一瞬で弾けた。4人は玄関に座り込み、一斉に号泣した。凄まじい泣き声に、寝室兼育児室のベビーベッドで寝ていた美海も飛び起き、すぐに5人での大合唱となった。そう。話し合うのは後だ。まずは泣こう。泣いて弔おう。大声を出せば天国に旅立った光希にも聞こえるかもしれない。泣いて泣いて、声が枯れるまで泣いて、涙が涸れるまで泣いて、盛大にお別れをしよう。

    何分そうしていただろう。さすがに泣き疲れてきた4人は、美海の泣き声を聞いて我に返り、寝室へと移った。4人で美海をあやして寝かしつけてから、4人は七海のベッドの上に円陣を組むように座った。

    「あのね? 落ち着いて聞いてね?」

    「陽葵……」

    「さっき七海が泣いてる時に飯森様が言ったんだけどさ。お姉さんの遺体…… もう火葬しちゃったんだって」

    「……!!」

    「ヒドいよね…… お別れもさせてくれないなんて……!」

    「そんな…… おねえちゃん…… おねえちゃん……! ぐずっ!」

    七海は再び泣き出し始めた。話し掛けたのは、玲香だった。さっき飯森に対して発した声とはまるで別人のように優しい声で、七海の目を優しく見つめながら。

    「お別れ。昨日したでしょ? ……忘れちゃった?」

    「…………」

     

    前日の昼休み。午前の調教の汚れをシャワーで落とした後、光希はシャワー室で4人に話し掛けていた。死を悟ったのか、その内容は別れを強く意識したものだった。彼女の脳からは記憶だけでなく言語も失われつつあり、時々止まりながら、ゆっくりゆっくり言葉を紡いでいった。

    光「七海、これまでありがとね」

    七「おねえちゃん…… どうしたの?」

    光「私、もう限界、みたい……」

    七「そんなっ! そんなこと言わないで! おねえちゃんっ!」

    光「大丈夫。七海はもう、私がいなくてもやっていけるよ。こんなに素敵な恋人と、お姉さんと、おばさんと…… なにより美海がいるんだから」

    七「でもっ!」

    光「それに七海…… ほんとに素敵な、女性になったね。強くて賢くて、誰よりも優しくて。私、それが一番嬉しいよ」

    七「そんなぁっ! おねえちゃんの方がずっと強くて賢くて優しいよ! 私の憧れだもん! 昔も今も、大好きだもんっ!」

    光「ありがと…… ありがとね、七海…… 私の、自慢の妹だよ……」

    七「ぐすっ! おねえちゃん……」

    光「陽葵ちゃん……」

    陽「……はいっ」

    光「七海のこと、好きになってくれてありがとね。世界一お似合いの、カップルだよ」

    陽「……ひっく」

    光「七海のこと、よろしくね?」

    陽「はいっ! 任せてくださいっ! ずっと一緒にいます! ずっとずっと! 一生愛しますっ!」

    七「陽葵ぃ…… ぐずっ」

    陽「それにアタシ、七海に助けられてばっかで…… でもこれからは七海のことも助けられるようになんなきゃ! 誓います、アタシ! 助けて、助けられて、2人で支え合って生きていきます!!」

    光「ありがとう…… とっても嬉しい。 ……玲香さん」

    玲「うん」

    光「あとはお願いしますね」

    玲「うんっ」

    光「ずっとお願いしっぱなしで…… 頼りっぱなしで…… ごめんなさい」

    玲「そんなっ! 謝らなくていいから……!」

    光「玲香さんのこと、ずっと、お姉さんみたいだって思ってました。できたら…… 七海のお姉ちゃんに、なって、もらえませんか?」

    玲「うん。任せて? もうずっと前からそう思ってるから!」

    七「玲香さぁん…… ひっく」

    光「ありがとうございます。 ……今日子さん」

    今「はい」

    光「美海ちゃんのこと、よろしくお願いします」

    今「ええ」

    光「陽葵ちゃんを、こんな素敵な子に、育てたんだもの…… 七海に色々アドバイス、してあげてくださいね」

    今「……わかりました」(……私も変わらなきゃ!)

    光「みんな、ありがとう…… 言えてよかった…… いつ死んじゃうか、わからないしね…… よかった……」

    七「そんなっ! そんなこと言わないで、おねえちゃん! 明日もこの時間にみんなで話そ? 明後日も、その次の日も、毎日話そ? ねっ?」

    光「そうだね…… そう、しようね…………」

    途中から5人とも涙で前が見えなかった。皆七海と同じ思いだった。この5人でずっと一緒にいたい。明日も明後日も、ずっと。寿命なんて来なければいい。一緒に、いつまでも一緒に。 ……でも、そうはならないだろうことは皆心のどこかで感じていた。たとえそうだとしても、お別れも済ませずにいきなりいなくなるよりは余程よい。そうだ。これから毎日、この時間はお別れを言う時間にしよう。泣いて笑って、最後の思い出を1日でも多く紡いでいこう。そうしよう……

     

    だが、その時間は二度と訪れることはなかった。たった1回で終わったしまった。わかってる。一度も別れの挨拶を交わさないよりはいい。そんなことはわかってる! でも! でもっ! たった1回だなんて!!

    ……最初に口を開いたのは今日子だった。

    今「たった1回でもお別れの言葉を交わせて良かった。そう思いましょ? ね?」

    七「…………」(おねえちゃん……)

    玲「……そうですね」

    陽「……うん、ママの言うとおりだよ」

    今「七海さんも、ね? お姉さんの想い、しっかり受け取ったでしょう?」

    七「…………はい」

    今「私も、美海ちゃんのこと、任されましたからね。これまでも色々アドバイスしてきたけれど、これまで以上にしっかりしなくちゃ!」

    七「……ありがとう、ございます」

    今「その前に…… もう1回だけ言わせてもらうわね? まずは陽葵から…… 今まで本当にごめんなさい」

    陽「えっ?」

    今「あなたのことずっと放ったらかしで…… いくら仕事が忙しいからって、あなたが学校で何をやってるか、私全然知らなかった。あなたが苦しんでいるのに気づけなかった。ごめんなさい。」

    陽「ママ……」

    今「それから、七海さんも。陽葵が酷いことをしてしまったこと、改めてごめんなさい」

    七「そのことは…… ホントにもう気にしてないので……」

    今「ありがとう。だからね? 謝るのは今回で最後にするわ? ……七海さんと光希さんと、陽葵を見ていて思ったの。過去の過ちをいつまでも引きずってくよくよしていても意味がないって。今からでもちゃんとしなくちゃって。美海ちゃんのお世話だけじゃない。陽葵、あなたもね」

    陽「え? アタシぃ?」

    今「未成年の教育は親の義務ですから。親子で奴隷になったんですもの。この場所に相応しい教育っていうのをしっかり考えて、あなたを一人前の奴隷に育て上げなきゃ」

    陽「はぁぁ? なんでそうなるわけぇ!?」

    今「なんででも!」

    陽「アタシ、今日から反抗期……」

    今「あら…… 奴隷が反抗して良いと思ってるの?」

    陽「ママだって奴隷じゃんっ!」

    七「……ぷっ」

    陽「あー! 七海、いま笑ったでしょ! 笑うトコじゃないんだからね!?」

    七「うん、ごめん」

    陽「謝んなくっていいよ。それよりさ。昨日お姉さんと話したこと。アタシ、守るからね!」

    七「……うん」

    玲「……昨日はうるうるモードだったけどさ。陽葵のアレ、なんか結婚式の宣誓みたいだったよね」

    七「そ、そうですか?」

    今「言われてみれば確かに」

    玲「一生愛しますとか、一生支え合いますとか。ほんとラブラブだねぇ、キミたち」

    陽「いやぁ、それほどでもぉ♥」

    七「でも私、嬉しかったよ、あの言葉。私も一生愛するからね。一生支えるからね」

    陽「うんっ! ありがとっ! 七海、大好きっ♥ 愛してる〜っ♥♥」

    玲「あー、はいはい。そういうの、今はいいから…… 私もね? 昨日あの後色々考えたんだけどさ……」

    七「……はい」

    玲「七海を頼むって光希に言われたわけだけど、なんか最近の七海、カッコ良すぎてさぁ…… 私より全然しっかりしてるっていうか…… 姉と妹のポジ、逆転してないっ!?」

    七「そ、そんなことないですよっ!」

    陽「ぷぷっ! 確かにー!」

    玲「それにさぁ。七海のお姉さんになるってことは、七海よりたくさん奉仕して、たくさんうんち食べなきゃなんないってことじゃね!? それって超ヤバくね!!?」

    陽「ヤベぇ…… ご愁傷さまでっす♬」

    玲「うっわ、かわいくね〜! このガキ、いっぺんシめたるかぁ!」

    陽「おいおい! なんかキャラ変わってませんかぁ? 玲香パイセン!」

    玲「変わってないわよ! 私は外では元々こんな感じだったの!」

    陽「へぇえ? 光希お姉さんが知ったら、七海を頼むって言ったこと、後悔するかもぉ?」

    玲「んだとぉ!?」

    七「ぷっ! あははははっ!」

    玲「ちょっ! 七海まで笑うわけぇ?」

    七「ごめんなさい。なんだか可笑しくって」

    玲「……いいんだよ、それで。いつか話し合ったでしょ? その日が来たらみんなで泣いて悲しんで、最後は陽気に送り出そうって」

    七「……そうでした」

    玲「光希もさ、いつまでもうちらが泣いてたら成仏できないと思う。笑ってた方が安心して旅立てるんじゃないかな」

    七「そう……ですね」

    陽「うんうん。アタシもさ、なんか吹っ切れちゃった。これからも大変だろうけど、頑張っていこっ!」

    七「そうだね」

    今「大丈夫です。この4人なら、どんな困難も克服していけるわ。絶対!」

    七「はいっ!」

    陽「あ、じゃあさ。ひとつ提案があるんだけど……」

    七「ん?」

    陽「今日って1日お休みなんでしょ? この4人でレズプレイしまくらない?」

    玲「はぁっ?」

    今「さすがに今日は喪に服すべきでは……」

    陽「えーっ! アタシたち奴隷なんだよ? モとか意味なくない? モフク持ってないし」

    七「……いいかも」

    今「えぇぇ……」

    玲「マジっすか」

    七「奴隷に相応しい陽気な送り方って、セックス……かも?」

    陽「さっすが七海! アタシの言いたいこと、わかってる〜♬」

    玲「ま、七海がそういうなら」

    今「いいですよ」

    陽「よっしゃ! 今日は盛り上がっていこうぜ!!」

    七「うんっ!!」

     

    ……モニターを見ながら、飯森は心の底から安堵した。姉の死という最大の試練を七海に乗り越えさせることに成功したのだ。まさか皆でレズプレイを始めるとは予想外だったが、陽葵・玲香・今日子、この3人がいなければ七海は恐らく壊れてしまっていただろう。もちろん美海もいるが、重要なのは言葉のやり取りなのだ。

    モニターの中で七海と陽葵がキスし合っている。七海は、例の蕩けそうな表情をしている。だがまぁ、陽葵が相手だし大目に見るとしよう。七海は飯森に対しては決してあの表情を見せない。七海にとって飯森は恋愛の対象ではなく、あくまで服従の対象。七海はそこをきっちりと区別している。ならば良い。七海はさらに今日子や玲香ともキスをしていく。この3人と美海がいれば、七海は今後も理想の奴隷でい続けるだろう。

    飯森は長い溜息を1つつくと、8日後の計画を練り始めた。七海が光希の死を乗り越えられるかどうかが不安で、準備どころではなかったのだが、8日後は8月11日。七海の処女を散らしてちょうど1年の記念日だ。七海だけでなく3人も使って、どんなイベントを企画するか、飯森はニヤつきながら思考を巡らせ始めた。

    モニターの向こうでは4人が肌を合わせていた。七海と陽葵、玲香と今日子がそれぞれペアになって、キスやクンニ、貝合わせなどを繰り広げる。やがて絶頂に至ると、七海は玲香と、陽葵は母親と絡み、さらに七海と今日子、陽葵と玲香が絡む。奴隷は1日じゅう犯され、虐待されるのが仕事だ。体力は常人よりも遥かに高い。しかも女同士だから賢者タイムがない。ベッドのシーツをグショグショに濡らしながら、レズプレイはエンドレスで続いていく。

    やがて物足りなくなってきたのか、ペニスバンドや双頭ディルドーを使い出す4人。プレイ内容はどんどん過激になっていき、今日子は食糞に慣れるための教育と称して、娘に自らの糞便を食べさせ、自分も娘の糞便を食べた。陽葵はさらに、愛する七海の糞便を身体じゅうに塗り、同じく玲香の糞便を身体じゅうに塗った今日子と抱き合って、吐き気と闘いながら糞まみれの母娘ディープキスを繰り広げた。やがて陽葵は七海と、今日子は玲香とレズプレイを再開し、4人は茶色一色に染まっていく。

    昼休みになると、4人は流動食を浣腸器に入れて自らの肛門に流し入れ、糞まみれのまま四つん這いで円環状に並ぶと、隣の人の肛門に口を直接付けて糞便混じりの流動食を啜り合った。午後からはSMプレイも加わった。玲香は、散々軽口を叩いた陽葵を天井から吊るして鞭打ちし、その横では七海が今日子を吊るして妊娠8ヶ月目の腹を慎重に避けながら鞭でメッタ打ちにしていった。

    皆わかっていた。陽気に振る舞おうと頑張っても限度がある。ふとした瞬間に喪失感に襲われる。悲しみと絶望の渦に飲まれそうになる。だから肉欲に溺れるのだ。快楽を貪り、苦痛や悪臭に悶え、愛する者と無理やりにでも肌を合わせるのだ。 ……昼が過ぎ、夕方になっても4人はレズプレイを続けた。

    それでもさすがに疲れたのか、夜は4人でたっぷり美海をかわいがった後、グチャグチャになった寝室の掃除を行い、ゆっくりシャワーを浴びてからベッドに入った。陽葵は七海のベッドに入り、2人きりで色々なことを話した。途中からちょっと気分が盛り上がってきたので、互いの身体を優しく愛撫し合い、軽く絶頂してから2人抱き合って眠った。

    ……同日深夜、JSPFの施設内。人があまり立ち入らない区画を1人の女が歩いていた。崩壊に向けてのカウントダウンは着々と進んでいた……

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第9章 – 奴隷200日目

    📂投稿グループ📎タグ

    I:奴隷200日目 – 朝

     

    5人が語り明かした日から1ヶ月少し経った7月6日。七海はいつものように午前6時ちょうどに飛び起きた。爆音ブザーは鳴らなかった。爆音を鳴らすと美海が泣き出してしまうため、七海に埋め込まれたマイクロチップが午前6時に電流を流して七海を叩き起こすという方式になったのである。

    七海は、チップが埋め込まれている右の手首の辺りをさすりながら、寝室を出た。そしてリビングから世話係用の部屋へと向かう。扉を開けると美海と玲香がいた。玲香は、七海と同じように6時に叩き起こされた後、ベビーベッドの中ですやすやと眠る美海の様子を見に来ていたところだった。2人は美海を起こさないよう小声で挨拶を交わす。

    「おはようございます、玲香さん」

    「おはよう、七海」

    「昨晩もありがとうございました」

    「いえいえ、どういたしまして」

    七海の専属世話係となった玲香は、この小さな部屋を与えられ、夜はここで美海の世話をしていた。七海は毎日朝から晩まで犯されっぱなしの虐待されっぱなしで、それでも僅かな合間を縫って寝室兼育児室で授乳などを行うのだが、夜は毎日気絶したように眠ってしまう。だが、美海の方はそんな事情はお構いなしに深夜でも泣き出してしまうため、夜は玲香の部屋に美海を預けることになったのだ。玲香自身も七海ほどではないにせよ毎日過酷な目に遭っており、深夜に美海の面倒を見るのは大変だったが、それでもなんとか踏ん張っていた。

    踏ん張れるのは、同居人のおかげでもあった。5人で語らったあの日の翌日から、陽葵と今日子もこの部屋で寝起きすることになったのだ。深夜の美海の世話は、その日3人の中で体力に最も余裕がある者が行うことになり、玲香の負担は少しだけ減った。だが、玲香にとっては話し相手ができたことの方が嬉しかったし、それは仁科母娘にとっても同様だった。

    しかし今朝、玲香のベッドの隣にある二段ベッドに母娘の姿はない。玲香は七海とともに暗い顔で奴隷用のトイレへと向かった。773号室には奴隷用トイレと会員客用トイレがあり、両者は壁を隔てて隣り合っていた。会員客用のトイレは施錠されていて奴隷たちは通常入れない。

    「ぁぇ……」

    「かひゅ……」

    母娘はトイレの中にいた。壁から上半身が生えていた。壁の向こうは客用トイレである。客用トイレは、会員客が寝起きする宿泊区画の一角にある男性用トイレと扉1枚で繋がっており、773号室の玄関を通らずに行き来できるようになっていた。母娘は、腰の部分が壁に埋め込まれ、下半身を客用トイレに晒したまま、一晩を過ごしたのだ。

    母娘の目の前には大きなモニターが設置されており、壁の向こう側の惨状がリアルタイムで映し出されていた。 ……まるで小便器のように壁から生えた下半身は、鞭打ちで真っ赤に腫れ上がった上に大量の精液と尿で汚れきっており、肛門の真下の床の上には、それら汚液と糞便が大量に積もっていた。

    これは罰だった。前日の午前中、陽葵は堀田の鞭を受けながら飯森のペニスを口で奉仕していた。しばらくして飯森がイラマチオを始めると同時に堀田の鞭が陽葵の大陰唇を直撃し、陽葵は堪らず飯森のペニスを噛んでしまったのだ。JSPFの奴隷である陽葵は、抜歯に向けてのカウントが1つ進んでしまったわけだが、これを取り消すよう今日子は飯森に懇願した。そして娘と同じ仕打ちに耐えられればカウントを取り消すと言われ、今日子は必死に飯森のイラマチオに耐えたのだが、堀田の鞭がクリトリスを強打した瞬間、今日子もまた歯を当ててしまい、結局母娘はどちらもカウントが進む結果となってしまった(陽葵はあと1回、今日子はあと2回で1本抜歯)。しかも、抜歯はあくまでJSPFの規則であって、ペニスを噛んだことへの罰は別に用意すると飯森はニタニタ笑いながら言い、母娘を壁に埋め込んだまま一晩放置したのである。

    なお、壁の部分には目立たないようにクッションが置いてあり、妊娠7ヶ月目の今日子の腹に負担がないよう、一応の配慮がなされていた。

    深夜だというのに、宿泊客たちはひっきりなしに「小便器」を使った。下半身の感覚は次第になくなり、母娘はいつの間にか気絶。6時になって強制的に起こされたものの、意識は朦朧としたままだった。

    「2人とも大丈夫っ!?」

    七海が駆け寄る。その時、母娘の身体が前後に揺れた。

    「ぅあ…… ひぅっ……」

    「らめぇ…… はひ……」

    宿泊客が朝イチの小便を母娘の肛門=小便器の中に注ぎ始めたのだ。母娘の肛門は一瞬たりとも尿を留めおくことができず、ペニスが抜かれると同時に糞便カスと混じって茶色くなった汚液が噴き出して、床に散らばっている汚物の上に降りかかっていく。

    モニターに映し出される、あまりに不潔極まりない、異常な光景。外の世界の女性が見たら間違いなく嘔吐してしまうだろう。だが七海も玲香も動じない。七海も玲香も既に何度か体験しているからだ。ただただ、母娘が心配でならなかった。

    そのうち、母娘の身体が大きく揺さぶられ始めた。モニターを確認するまでもない。肛門に排尿した男たちが膣を犯し始めたのだ。

    「んんっ…… ひゅっ……」

    「あひぇ…… うあぅ……」

    母娘の反応は微弱だが、それでも先程に比べると色艶が感じられる。こんな状況でも快感を得てしまうほど、母娘の身体は開発が進んでいるのだ。

    「もうやめたげてよ……」

    七海が小さな声で呟く。だがどうしようもない。母娘は壁に固定されていて、助け出すには飯森が持っている鍵が必要だが、飯森は8時にならないと来ない。男たちを止めようにも、客用トイレは施錠されていて入れない。どうしようもないのだ。それどころか、母娘にはさらなる地獄が待っていた。

    ……朝食である。

    七海と玲香、後に合流した仁科母娘の計4人は、773号室で生活するようになってからは他の奴隷たちとは完全に別行動を取るようになったのだが、食事は相変わらず流動食であった。新たな部屋にはキッチンも設けられているものの、置いてあるのは菓子やつまみ、コーヒー・紅茶・酒類などで、これは会員客の軽食用であり、奴隷の4人が飲食することは固く禁じられていた。

    玲香は、トイレの床の上に犬用のエサ入れを2つ置いてそれぞれに1回の流動食を流し入れると、エサ入れの上でしゃがみ込み、今日子の流動食の上で半分だけ糞便を排泄し、次いで陽葵の流動食の上で残りをぶち撒けた。 ……前日にお仕置きを受けた者は、罰として翌日の朝食が糞便入り。その規則は今も変わらないのである。

    玲香は続いて、壁際に置かれた棚の中から薬品の入った小瓶を1つ取り出して蓋を開け、スポイトで少しだけ中の液体を吸い取ると、再びしゃがんでエサの上に数滴ずつ垂らした。そして、母娘の顔の前に可動式の台を持って行くと、出来上がった朝食を母娘の口元に置いて静かに言った。

    「陽葵、今日子、エサよ。いただきなさい」

    「「…………いただきます」」

    朦朧とした意識と微かな快感の中、母娘は躊躇うことなく汚物の中に顔をうずめた。手は壁の中に埋まっており、母娘は口だけを使って汚物を咀嚼し飲み込んでいく。食糞のペースは、以前茶碗6杯分の汚物を僅か9分で平らげた七海とは比ぶべくもなかったが、それでも母娘は拒否したり吐き出したりすることなく、ゆっくりゆっくり朝食を食べていった。

    その間も男たちは休むことなく母娘の膣を犯し続けた。立ちバックの状態で固定され、下半身を好き勝手犯されながら糞便入りの流動食を食べる。カプセルベッドで生活していた頃の夕食と、状況はほぼ同じだ。違うのは疲労の度合いである。カプセルベッドでの夕食は1時間強で、その前に午前4時間・午後4時間の計8時間の調教があった。対して、母娘は昨日の23時から7時間ぶっ通しで犯され続け(その間断続的に失神)。昨日も1日じゅう奉仕していたのだから、母娘ともに昨日の朝8時からほぼ丸1日犯され続けていたことになる。もう体力の限界だった。

    「「んあぃあああっ!!?」」

    だが、汚物と格闘しているうちに母娘の疲労と眠気は急速に消え去っていった。玲香が混ぜた液体は、カフェインその他の成分が合わさったJSPFオリジナルのアッパー系の薬物であり、依存性のない安全な代物ではあるものの、そこらの栄養ドリンクとは比較にならぬほど強力なものであったのだ。意識が晴れ渡るにつれて下半身の快感は急激に増していき、一方で嗅覚と味覚も研ぎ澄まされていく。快と不快の狭間で悶絶しながら、母娘は十数分かけて汚物を平らげたのだった。

    他方、七海と玲香は、母娘がエサを食べ始めると壁尻部屋から離れ、自分たち用の流動食をエサ入れに流し込みつつダイニングへと向かった。会員客用の立食テーブルの脇にある専用のスペースで四つん這いになり、エサ入れを床に置くと、壁に向かって朝の挨拶をする。壁には床から20cmくらいの高さの所に小型カメラが埋め込まれていた。

    「皆様おはようございます。飯森則夫様に飼われている奴隷の七海です」

    「皆様おはようございます。七海の専属世話係の玲香です」

    「これから奴隷の朝ごはんをお見せします。豚畜生よりも浅ましい下品なメス豚が、手も使わずにエサを食い散らかす様をご笑覧ください」

    「「…………いただきます」」

    七海は、わざと口を開けて、歯のない口内をカメラに晒してから、流動食の海に口を突っ込み、グチャグチャ音を立てながらエサを歯茎ですり潰していった。 ……なんて下品で不快で屈辱的な音なんだろう。

    飯森は所謂クチャラーだった。七海は、幼い頃から伯父が食事の際に発するこの音が堪らなく嫌いだった。それ故七海は常に口を閉じて静かに咀嚼してきたし、それはJSPFに連れて来られてからのカプセルベッドでの食事の時も同じだった。不味い流動食や上にかかった糞便に悪戦苦闘しながら、下半身を激しく犯されながら、それでも七海は音を立てないよう食べてきた。調教時に音を立てて糞便を食べるよう命令されることがたまにあり、せめて朝夕の食事の時くらいはあの不快な音を発したくなかったのだ……。

    なのに、新部屋に移って以来、七海はクチャラーになることを強制された。食事の前に屈辱的なことを言わされた挙げ句に、クチャクチャグチャグチャと不快な音を立てながら、豚のようにエサを食い散らかさねばならない。隣の玲香の咀嚼音も不快だ。今日は玲香1人だが、仁科母娘も加わって4人の咀嚼音が奏でる不協和音のおぞましさといったら……!

    しかもその様子を常時撮影されるのだ。映像は宿泊客の部屋のテレビにリアルタイムで流れている。この施設には宿泊用の部屋がいくつあって、何人が泊まっていて、そのうち何人がテレビを見ていて、何人が七海と玲香の朝食風景にチャンネルを合わせているんだろう。全くわからない。みんな寝てたらいいのに。でも見てる。絶対見てる。ご主人様も堀田様もみんな見てる! 口に嘲笑を浮かべながら見てる! さすが豚は食べ方も下品だとか勝手なことを言いながら、瞬きもせずに見てる……!!

    ……無人のダイニングには下品な咀嚼音だけが響き渡っている。その音を、その姿を、大勢に聴かれ、見られている。そう思うと七海の目から悔し涙が溢れた。人前で裸を晒すことも、豚マネ芸や脱糞さえも平気になった筈なのに。なのに、この音を聴かれるのがものすごく恥ずかしい。悔しい。自分がいよいよ卑しい豚に成り果ててしまったような気がして、恥ずかしくて悔しくて、悲しくて堪らない!

    これなら男たちの前でやった方がマシだ。男たちの前でやれば、マゾの血が騒いで、羞恥心や屈辱が興奮や快感へと勝手に変換されるに違いない。だが相手が無機質なカメラだからか、いつまで経っても興奮や快楽はやって来ない。カメラの向こうに男の視線があるとわかっているのに。 ……下品な音を立てている自分が悔しい。下品な音を聴かれていることが恥ずかしい!

    その思いは玲香も全く同じだった。2人は羞恥と屈辱に耐えながら激マズ流動食(糞便なし)を速攻で片付け、床の上に飛び散ったカスを舌で全て舐め取ると、エサを与えてくれたことに対する謝意をカメラに向かって述べ、最低の朝食を終えたのだった。

    壁尻部屋に戻ると、母娘はまだ糞便入り流動食と格闘していたので、七海と玲香は、美海の世話と身体の洗浄を2人交互に行った。その後三度壁尻部屋に行くと、母娘は大声で喘いでいた。

    「ああん♥ おちんぽ! もっと! 陽葵のうんちの穴、もっと突いてぇっ! んひゃああっ♥」

    「いいっ♥ ケツまんこっ! ああっ♥ もっとくださいっ♥ もっと汚してぇ! ああああっ♥」

    空になったエサ入れには未だ糞便のカケラが残っており、母娘の鼻のすぐ下で尚も強烈な悪臭を発していたが、薬物で覚醒した母娘はもはや気にも留めず、狂ったように快楽を貪り続けた。七海はエサ入れを洗いながら、親友とその母親の狂声を、悲しさ半分、羨ましさ半分で聞いていた。彼女の股間は、綺麗に洗った直後にも関わらず、ぐしょぐしょに湿っていた……。

     

    II:奴隷200日目 – 午前

     

    午前8時。玄関が開いて、飯森、堀田とキャリーケースを持った裏沢が入ってきた。リビングでケースを開ける裏沢。途端に強烈な糞便臭が辺りに充満する。

    光希はこの1ヶ月でさらに痩せ細った。肋骨だけでなく骨盤や肩甲骨、背骨までがくっきりと浮き出ており、肌は白を通り越して土気色。抜歯によって痩けていた頬はさらに落ち窪んで、老婆というより瀕死の病人といった様相だ。今や入ってくるより出ていく方が圧倒的に多く、日に2回の点滴でどうにか栄養分を補っている状態であった。

    「おはよう七海、玲香さん」

    「おねえちゃん、おはよう」

    「おはよう、光希」

    それでも光希は七海と玲香を心配させまいと気丈に振る舞い、2人もなんとか涙を堪えて光希に優しく語りかけた。

    一方、飯森と堀田は壁尻部屋に向かった。母娘は相変わらず嬌声を上げていた。

    「反省したか? 2人とも」

    「はいっ♥ 反省しましたっ♥ もう二度とおちんぽ噛みませんっ♥ 許してくらはいっ♥ ああんっ♥」

    「私もっ♥ 粗相をしてしまって申し訳ござ……ひうっ♥ 申し訳ございませんでしたっ♥ ひゃうっ♥」

    「あまり反省しているように見えんが…… まあいい。今からお前たちの口を使ってやるから、反省を態度で示せ」

    「あいっ♥ おちんぽ♥ おちんぽなめましゅ♥ しゃぶりましゅ♥ ひゃあああっ♥」

    「今度は絶対噛みませんので…… 私の喉まんこ、お使いくださいませ♥ あああっ♥」

    そうして、再びイラマチオが始まった。壁の向こうでは男たちが猛烈な勢いで膣を責めている。肛門にもバイブがねじ込まれている。壁のこちらでは飯森と堀田が、陽葵と今日子の頭を両手で掴んで猛烈な勢いで喉穴を突いている。先程食べた糞便入り流動食が全てリバースしてしまいそうな勢いでの激しい抽送。それでも2人は、凄まじい苦痛と吐き気、そして快感に耐えながら、舌と唇と喉を使って猛然とペニスに奉仕していく。 ……歯を当てないよう神経を研ぎ澄ませながら。

    薬物のおかげであろう。先程までの朦朧状態のままだったら、集中力が続かずに再び噛んでしまって、陽葵はカウントが5回に達していたに違いない。苦痛と快楽に翻弄されながら一心不乱にペニスに奉仕する2人の姿はまさにマゾ奴隷そのもの、そこにイジメっ子やキャリアウーマンの面影は、微塵もなかった。

    「「ぶもおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」

    やがて飯森と堀田はほぼ同時に喉奥で射精し、母娘は罪を許されたのだった。

    母娘はようやく壁から解放され、風呂場で身体を洗うことを許可された。その間、七海と玲香は解錠された扉の向こう、客用トイレで這いつくばり、それぞれ陽葵と今日子の下半身があった場所の床の上に積もった汚物を口で処理させられた。冷えた糞便と尿と精液と愛液の混合物は、身の毛もよだつ臭いと味、見た目であったが、2人は無言のまま食べ進めていった。 ……下品な音を立てながら。膣穴を飯森と堀田に犯されながら。

    「「ひうぅうううううっ!!!!」」

    七海と玲香が床の上の汚物を食べ切った直後、飯森と堀田も限界に達した。2人は射精直前に膣穴からペニスを抜くと、汚物があった場所に大量の白濁液を発射した。

    「汚物はほぼ平らげたようだが、まだカスが残ってるぞ。ザーメンと一緒に全部舌で舐めとれ。ちり紙ども」

    「……はい、ご主人様」

    「かしこまりました」

    七海と玲香は、四つん這いのまま再び床に舌を這わせ、飛び散った白と茶色の汚物を処理していく。 ……冷めた糞尿に比べれば温かい精液の方がまだマシだと七海は思った。いや、むしろ美味しい……かも? 七海は一瞬そう思ったが、直後、精液を美味しいと感じるようになってしまったことが無性に悲しくなった。悲しくて泣き叫びたい。こんなことしたくない。私はちり紙じゃない! ……七海はそれらの想いを全て封印して、ただひたすら薄汚い便所の床を舐め清める。トイレットペーパーに、ちり紙になりきる。身体の奥が熱い。感じてる。こんなことで私、感じてる。 ……最低だ、私。

     

    しばらくして身だしなみを整えた仁科母娘が客用トイレに入ってきた。母娘は、自分たちが出した汚物を七海と玲香が「掃除」してくれたことを知って驚愕し、そして謝罪した。自分たちが出した汚物は誰かが掃除しなければならない。当たり前のことなのに。完全に失念していた。昨日の朝から24時間汚され続けた身体を洗うことしか頭になかった。シャワーを浴びて、湯をがぶ飲みして、全身を洗って、膣や肛門の中も綺麗にして、髪を乾かして、整えて、歯を磨いて、爪を切って…… そんなことを悠長にやっている場合ではなかったのだ。

    七海と玲香は気にしてないと言ってくれたが、飯森は、七海と玲香に片付けを押し付けて自分たちだけ綺麗になるとは何事だ、と母娘を責めた。陽葵はさすがにカチンと来て、「あんたが洗ってこいって言ったんじゃない」と言い返しかけた。が、ここで反論してもさらなるお仕置きが待っているだけだ。陽葵は目を固く瞑り、飯森に対する怒りと七海に対する罪悪感で全身を震わせながら、喉まで出かけた反論の言葉をなんとか飲み込んだ。

    陽葵と今日子は、七海と玲香の口にそれぞれ指を突っ込んで強制嘔吐させ、直後に口づけして汚物を口移しで飲むよう命令された。自分たちの汚物なんだから、人に頼らず自分たちで処理しろというわけだ。七海と友達になる前の陽葵だったら全力で拒否していただろう。あれから3ヶ月近くが経ち、陽葵も今日子もこのような異常な行為に慣れつつあった。だがいくら慣れても、そんな気持ち悪いモノを美味しいなどと思えるはずがない。せっかく湯をがぶ飲みしたのに、またすぐこうなるのか。もうイヤ。こんな毎日、ホントもうイヤ……!!

    「七海、ごめんね。汚いモノ食べさせちゃって…… アタシが食べるから出して……」

    「うん…… あぁぁぁぁぁぁ……」

    膝立ちの状態で目を閉じ、口を大きく開ける七海。陽葵は指をそっと3本突っ込んで、喉の方をゆっくり掻き回した。七海がすぐにえずき出したので、陽葵はすぐに指を引き抜いて自分も膝立ちになると、七海にキスをした。友達になって以来何度も七海とレズプレイをしてきた。キスも何度もして、互いに舌をまさぐり合って唾液を飲み合ってきた。でも嘔吐物を口移しで飲むだなんて。最低…… サイッテー! 何考えてんのよ、このキモハゲオヤジ!! ……でも。でもやらなきゃ。命令なんだから。奴隷なんだから。それに、自分で出したモノの後始末を七海にやらせるのは、やっぱり良くないと思う。いやだけどやらなきゃ。いやだけど。いや…… いや…… いやああああっ!!

    「「げぶえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」

    「「うぶうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」」

    七海と玲香はほぼ同時にリバースし、陽葵と今日子はそれを飲んでいく。口から口へ流れていくので臭いをあまり感じないのは幸いだが、味の方は…… 筆舌に尽くしがたいおぞましさだった。それでも飲んだ。飲み続けた。吐き返しそうになるのをひたすら耐えた。ここで吐いたらもっと酷いことされるに決まってる。やだ! そんなんやだっ!!

    胃の中身を半分くらい残した辺りで七海は嘔吐を止めた。飯森の命令は、七海が食べた汚物を陽葵に移すこと。朝食の流動食まで陽葵に食べさせたら命令違反になるかもしれない。もちろん汚物と流動食は胃の中で既に混じり合ってしまっているから、汚物だけを吐き出すのはもはや不可能だ。それでもせめて分量だけでもということで、七海は半分吐いたところで嘔吐を止めたのだった。横で吐いていた玲香も、七海に合わせて嘔吐を止めた。そして4人は最悪の後味を忘れたいかのように、舌を絡めてディープキスをし始め、飯森はニヤニヤしながらその一部始終を眺めていた。

    キスがさらに激しさを増した時、トイレの中に大勢の男たちが入ってきた。8時を大幅に過ぎてしまったが、飯森と堀田による午前の合同調教が始まったのだ。合同調教は、七海が773号室に移ってすぐの頃は2対5で行われていたが、調教は次第に過激化し、ペニスが2本では足りないことからエキストラとして宿泊中の男性客にも参加してもらうことが多くなっていた。今朝もそうで、飯森は32人の男性客に事前に声を掛けていたのだ。

    4人は、壁に並んだ4つの小便器に1人ずつ座るよう命じられた。左から玲香、七海、陽葵、今日子の順である。4人は小便器の奥に尻を押し込み、肩をすぼめて上半身を小便器の中に嵌め込んだ。その状態で手と足が固定され、4人は身動きを封じられて4基の「便器」となる。32人の男たちがさっそく「便器」の前に列を作った。

    男たちは何も言わずに「便器」に向かって小便を放っていく。「便器」は口を大きく開けて待機しているのだが、男たちは構わず身体中のあらゆる場所に小便を引っ掛け、最後に思い出したように未だ放尿中のペニスを口の中に押し込んで最後の1滴まで搾り出していく。放尿が終わったら、「便器」はペニスを舌で舐め清めながら言うのだ。「小便器をご利用いただきありがとうございました」と。4人ともこのような扱いには慣れているが、それでも新参の母娘の顔には嫌悪と絶望が色濃い。

    8人が放尿を終えると、1人目の男に戻ってフェラ奉仕となる。身体を覆う尿素がアンモニアに分解されて、どんどん臭いがキツくなる。だから嫌なのに。全部飲んでしまった方が楽なのに。排出されたての尿はまだそれほど臭くないが、放置するとどんどん臭くなるということを奴隷たちは経験上知っている。だからこそすぐに飲んでしまいたいのに。男たちの方もそれを心得ているから、わざと口を外したのだ。奴隷たちは、ペニスで口を塞がれて鼻で息をせねばならない状況の中、悪臭を我慢しながら狭い小便器内で首を激しく振って、ひたすらペニスに奉仕していく。

    「むぷうううううう!」

    最も早く男を射精に導いたのは七海だった。七海の歯茎奉仕は既に熟練の域に達しており、歯茎と舌、唇や喉まで全て連動させながら、高速ピストンでペニスを責め立てる。百戦錬磨の男たちもこれには敵わず、あっという間に限界に達するのだった。

    続いて玲香、やや遅れて今日子、かなり遅れて陽葵が精液を搾り取った。陽葵が未だ飲尿・浴尿が苦手であると知っている男たちは、昨晩から水分摂取を控えた上で、濃縮されたオレンジ色の小便を身体中に引っ掛けていった。それが時間とともに強烈なアンモニア臭へと変わり、陽葵の集中力を奪ったのだ。 ……今日は朝からこんなんばっかりだ。もうやだよ、こんなん。普通にセックスしてよ。普通にフェラさせてよ!

    小便器の下には、直径10cmを優に超える特大肛門プラグを嵌めた光希が蠢いていた。床の上に飛び散った小便を舐め取るのが役割であり、「7本足」で這い回りながら長い舌で汚れを舐め取っていく。光希は、時間が経ってアンモニア臭のキツくなった小便すら美味しいと感じるまでになっており、心の中で陽葵に頑張ってと呟きながら、陽葵の周りに飛び散るオレンジ色の汚液を美味しそうに啜っていった。

    ……七海が8本のペニスに奉仕を終えた時、玲香は7本目を終えたところ、今日子は7本目をしゃぶり始めたところ、陽葵は6本目に奉仕中だった。飯森は、奉仕が終わった奴隷は休んでいるように言ったが、手足も動かせない中、強烈なアンモニア臭に耐えながら休むくらいなら、フェラ奉仕を続けて気を紛らせた方がマシだ。もっとゆっくり奉仕すればよかった。そんな想いで七海は主人の方を見たが、飯森は七海の視線の意味を正確に読み取りつつも、敢えて無視してニヤニヤしながら七海の顔を観察し続けたのだった。

    やがて陽葵が8本目の性欲処理を終え、4人はようやく拘束を解かれて小便器から抜け出した。陽葵以外の3人は褒美としてセックスが許され、ビリだった陽葵は罰として3人の身体に付着した小便を全て舐め取るよう言われた。

    3人は腕を掴まれて立ちバックの体位で膣や肛門を突かれ、陽葵はまず近くにいる母と玲香の身体に舌を這わせていく。小便に汗が加わってにがしょっぱい。まずい。くさい。気持ち悪い! 母と玲香は長髪なので、身体の汚れを舐め取っても、たっぷり小便を吸い取った髪から常に汚液が滲み出てくる。仕方なく、両手で髪を雑巾のように絞り、出てきた汚液を口に含んでいく。たまらなくまずい。ありえないほどくさい。もういや。こんなのいや! でもやらなかったらもっとヒドいことさせられる…! やだ! それもイヤ! もうイヤっ! いやああぁっ!!

    「もうやだあぁぁっ! うわああああん!! ぺろっ… ひくっ!」

    陽葵はついに大声で泣き出してしまったが、嗚咽しながらも舌は動かし続けた。小便が染み込んだ自分の髪のように、陽葵には奴隷根性が既に心の奥底まで染み付いていた。歯向かったら酷いことをされるという恐怖だけでなく、命令どおりにしなくてはという奴隷的思考が陽葵を無意識のうちに突き動かしていた。

    「陽葵…… ひまりぃ…… ああんっ」

    娘に身体を舐められながら、今日子はそれを察していた。そして自分もまた、同じように命令に従って腰を振りながら肛門を犯されていた。自分も娘も、もうすっかり奴隷に成り果ててしまったことが悲しくて、自分の身体が臭くて、ケツまんこが気持ち良くて、あまりに気持ち良くて、今日子は大粒の涙を流しながら嬌声を上げた。

    光希も小便を舐め続けた。床を這いずり回りながら長い舌で器用に床を舐め磨いていく。3人の身体は陽葵が舐め清めなければならない。それを勝手に手伝ったら陽葵が罰せられる。だから手伝わない。そのかわり、髪から絞り取った時などに床に落ちた小便を舐め取っていく。どうせ後で床を綺麗にするよう誰かに命令が行くのだ。その前に舐め取ってしまおう。 ……どれだけ痩せ衰えようと、光希は光希だった。愛する妹と、もう1人の姉と、妹のたった1人の親友と、そのお母さん。この4人を守るためなら何でもする。調教の邪魔をして、かえって4人に害が及ぶことがないよう気を配りながら。光希は残り少ない体力と思考力の全てをそこに注ぎ込んでいた。

    七海は陽葵のことを心配していた。今日子と玲香の次は自分の番。でも、できれば陽葵の負担を減らしたい。だって陽葵は飲尿が苦手なんだから。それ以上に、陽葵は七海にとって、とても大切な存在なんだから。そのためにはどうしたらいいか、七海は下半身から来る猛烈な快楽に耐えながら必死に考えた。そして陽葵が今日子と玲香の身体を舐め清め終わるのを待ってから飯森に話しかけた。既に膣と肛門に1発ずつ中出しされる程度の時間が過ぎていた。

    「ご主人様、陽葵の身体は私が綺麗にしてもいいでしょうか。その…… 臭いですし。自分では背中は舐められないですし。次の調教までに誰かがやんなきゃならないなら、私にやらせていただきたいんです。 ……ダメ……ですか?」

    飯森は感心した。

    七海は、泣きながら汚液を舐め続ける友人を心配し、自分の身体を綺麗にしてくれる礼も兼ねて、自分で陽葵の身体を舐め清めたいのだ。だが直接それを言っても許可は下りない。放っておくと臭いから、自分では背中は舐められないから、次の調教に支障が出るから。男たちや陽葵の身になって物事を考え、もっともな理由を見つけてくる。

    しかも、七海は陽葵の隣の小便器に固定されていたのに、小便器から解放されるといつの間にか陽葵から離れた位置に移動して、陽葵が最後に七海を舐めるように仕組んだ。七海は陽葵とレズプレイをしながら互いの汚れを舐め取り合いたいようだ。そうして自分の身体に付いている汚れもちゃっかり自分で舐め取って、陽葵の負担を減らそうという魂胆だろう。実に賢い。

    だが七海には裏がない。楽をしようとか、貸しを作ろうとか、そういう汚い思惑が微塵もない。今回の発言の底にあるのは友情、ただそれだけだ。だが、奴隷が主人の命令以外のことをやるというのは、お仕置きのリスクがあり、勇気が要る行為だ。七海は奴隷である自分でも許されることを必死に考え抜いた上で、勇気を振り絞って主人の許可を求めているのだ。期待と憂いが混ざった、あの独特な表情でこちらを見つめながら、控えめに、だが誠実に。ああ、これはもう、許可せざるをえないではないか……!

    「ああ、いいぞ」

    「ありがとうございます、ご主人様」

    七海は深々と頭を下げると、陽葵のところへ向かい、彼女を抱き締めた。そして消え入るような小さな声で言った。

    「次は私の身体、キレイにしてくれるんだよね? ごめんね? でも、ありがとう、陽葵。あなたの身体は私がキレイにするね?」

    「ななみぃ…… ぐすっ」

    「じゅぞぞぞぞぞっ! ずずずーっ! ごくんっ!」

    「七海…… ななみ…… れろっ…… じゅずずずっ!」

    「ひまりぃ…… じゅるっ! ちゅぱっ! ずぞぞぞっ!」

    七海と陽葵はシックスナインの体勢になって小便を吸い取っていく。七海は何も言わずに自分が上になると、腰をひねりながら自分の身体に付いた小便を陽葵の身体の上に振り落とし、元々陽葵の身体に付着していた分と合わせて猛然と舐め取り始めた。ショートカットの自分の髪から小便を絞り取り、次いで長髪の陽葵の髪も絞っていく。陽葵の臍の中に溜まった小便も口を付けて吸い上げ、顔、首、胸、脇、腹、股間、肩、背中、腰、尻、その他ありとあらゆる部位を、下品な水音を立てながら素早く、だが入念に掃除していく。

    陽葵は呆気に取られていた。自分が母や玲香に対して行った掃除とは全く違った。下品な音を立てて男たちを喜ばせながら、陽葵の身体に付いたぶんだけでなく、七海自身の身体に付いたぶんまで器用に掃除していく。そのあまりの手際の良さ! 飲尿に対する躊躇の無さ!

    そして、2人の足元では光希が床を舐めていた。七海が激しく動くことで、七海の身体に付いていた小便が、陽葵の身体にだけでなく周囲の床に飛び散っていたのだが、光希は床に飛散したもののみを舌で掃除していく。姉妹は事前に相談することなく自然に役割分担しながら、陽葵がこれ以上つらい思いをしなくて済むようにしてくれているのだ。

    陽葵は、目頭が熱くなるのを感じていた。友情と感謝と罪悪感と、それ以上の何かと。様々な感情がごちゃごちゃになって、そして溢れた。もう止まらなかった。

    「七海っ! 光希お姉さんっ!」

    陽葵は堪らず2人に抱きついた。名前以外の言葉が出てこず、ただ強く抱き締めた。3人の身体にはまだ小便が残っており、光希の身体には糞便すら付着していたが、そんなことは全く気にならなかった。陽葵は七海にキスし、次いで光希にキスをした。口内は小便の味と臭いしかしない。だがそれでもいい。無二の親友に、友情以上のよくわからない感情を伝えるために。余命幾許もない病身に鞭打って陰ながら助けてくれた親友の姉に心からの感謝を伝えるために。陽葵は泣きながら2人の口に舌を入れ、夢中で掻き回した。そしてそのまま感極まってしまい、陽葵はキスだけで軽く絶頂を迎えた。姉妹は細かく震える陽葵をそっと抱き締め、震えが止まるまでそのままでいた。

    玲香と今日子も、3人の抱擁に胸が熱くなっていたが、飯森と堀田と32人の男たちも別の意味で高ぶりを感じていた。この3人を、いや5人を、15個の穴を、滅茶苦茶に嬲り回したい。犯し抜きたい。小便ではなく精液で身体を白く染め上げたい!

     

    34人の男たちは、ホースの水を5人にぶち撒けて小便を流し去ると、それからの2時間、トイレの中でひたすら5人を輪姦し続けた。トイレの床で、小便器の中で、大便器の上で、洗面器の鏡の前で。絶えることなく3つの穴を犯され続け、光希を除く4人は頻繁に絶頂し、特に敏感な七海は途中から絶頂しっ放しになった。

    光希の肛門からは栓が抜かれ、役立たずの膣と肛門にシリコン製の大きなオナホールが突っ込まれた。そして男たちはオナホールの中にペニスを挿入していく。あまりに屈辱的で非人間的な行為。だが、これを屈辱と感じるような人間的な心を光希は既に失っていた。ペニスのピストンに合わせてオナホールがモゾモゾと動くのが気持ち良く、絶頂に達するほどではなかったものの、光希は歯茎でペニスをしごきながら、久々の快楽を味わった。

    2時間後、ようやく午前の調教が終わった頃には、凄まじい量の精液で5人とも全身真っ白になっていた。仁科母娘は互いに強く抱き合ってキスをしながら精液と唾液を交換中。光希は倒立のような体勢になって洋式大便器に頭を突っ込んだまま気絶している。途中何度か美海の世話のために抜け出した玲香は一番精液量が少なかったが、それでもトイレの床にうつ伏せに倒れてゼェゼェと荒い息を吐いていた。

    最も多くの白濁液を受けたのはやはり七海で、トイレの床の上で尻だけを突き出して四つん這いのまま失神しかけていたが、飯森が近づいてきたのを見ると、気合でなんとか立ち上がり、フラフラになりながら頭を下げて言うのだった。

    「調教ありがとうございました、ご主人様」

    七海は気を失っている光希を起こすと、玲香や仁科母娘とともに奴隷用トイレへと戻り、その横にある風呂でシャワーを浴びて汚れを落とした。そして5人一緒にダイニングで昼食を摂る。もちろん流動食である。朝と違ってダイニングには男たちが何人もいて、人間用の軽食を食べながら談笑している。その脇で、奴隷たちは四つん這いになってクチャクチャ下品な音を立てながら流動食を貪り食うのだ。

    男たちは気まぐれで奴隷たちの膣や肛門を犯しては、流動食の上に精液や小便をぶっかけていく。なんて最低の食事だろう。特に仁科母娘は屈辱と羞恥のあまり涙を流している。七海も、こういう扱いは木下家で調教されていた頃から受けていたとは言え、やはり悲しかった。しかし、ペニスのもたらす快楽が、奴隷たちの中にあるマゾのスイッチを強制的に点灯させていく。身体の奥底が熱くなっていく。男たちに犯されながら、四つん這いで手も使わず、精液や小便のかかった激マズの流動食をクチャクチャと食い散らかす。なんて哀れで惨めで下品な生き物なんだろう。そうやって自己を嫌悪することにすら快感を覚えてしまう。やがて七海、陽葵、玲香、今日子の順で絶頂に達し、彼女たちは無様なイき顔をカメラに晒すのだった。

    光希は食欲が一切なかった。が、4人に心配させないよう無理やり流動食を食べた。

     

    III:奴隷200日目 – 午後(1)

     

    午後は集団調教である。以前は中央ホールで行われていたのだが、七海の出産以降は773号室で行われることになった。もっとも、午前の合同調教では今朝のようにエキストラが呼ばれることが多くなったし、光希は午後も9号室には戻らずに引き続き一緒に調教を受けることになったため、午前と午後の差は殆ど無くなりつつあった。

    今日の集団調教の場所は、教室だった。

    773号室は、元は200畳以上の広大な空き部屋をパーティションで細かく区切ってできており、寝室やリビング、風呂にトイレといった居住空間を除くと、あとは全て調教部屋であった。当初、調教部屋は6つしかなかったのだが、会員客の要望に応える形で順次追加されていき、今やその数は20を超えていた。今も新規増設工事中の部屋が3つ、リフォーム中の部屋が5つある。中身も、JSPFの標準的な調教用個室と同じものから、教室、和室、病室、酒場、拷問部屋など実に多彩だ。

    中でも昨日完成したばかりの教室は、堀田理事長による設計・監修のもと、七海が在籍していた1年A組の教室が忠実に再現されていた。窓の部分には全面に大型モニターが嵌め込まれて、実際と同じ風景を映すなど、細部に至るまで凝りに凝っていて、椅子と机は、なんと七海と陽葵が使っていたものをそのまま運んできていた。

    七海と陽葵は呆気に取られた。午後1時になったので、一昨日までは存在していなかった引き戸を言われるままに開けてみたら、いきなり教室に出たのだ。懐かしい場所。懐かしい空気。そう、匂いまで一緒だ。もう二度と戻ることはないと思っていたあの教室に、七海は戻ってきたのだ。

    もちろん異なる部分もある。七海と陽葵以外の席には学生服を着た男たちが座っている。中年男や老人までもが学生服に身を包んでいる状況は異様で、ある種滑稽にも思えたが、七海も陽葵も笑うどころではなく、あまりに想定外の状況に言葉を失い、呆然と立ち尽くしていた。

    すると、スーツ姿の飯森が現れた。

    「驚いたか? お前たち、これを着て自分の席に座れ。場所は覚えてるな?」

    「「…………」」

    覚えているも何も、空いている席は2席しかないのだが、2人は何と言って良いかわからず、無言のまま制服一式を受け取った。それは2人が昨年着ていた本物の制服だった。制服だけではない。一緒に渡されたブラジャーやショーツ、靴下に上履きまで、全部。陽葵の上履きは踵の部分が潰れており、似たデザインのものを新調したのではなく、全て当時のままの本物であるのは、2人の目にも一目瞭然だった。

    七海も陽葵も(今日子も玲香も光希も)、全財産は全て処分されて私物は一切残っていないと聞かされていた。奴隷は基本裸で生活し、身に着けることを許されているのは首輪とピアスだけである。これまでにも、特に夜の少人数調教の際に、様々なコスチュームを着て奉仕することはあったし、制服を着たことも何度かあったが、それらの衣装は全てJSPFのものであり、デザインも七海の母校のものとは違っていた。まさか自分たちの制服が残っていたなんて。

    だが、2人に喜びの感情は一切なかった。これから何をさせられるのかと思うと七海には不安しかなかった。陽葵は…… 見覚えのあるショーツを見ながらガタガタと震え出した。 ……クロッチにシミが少し残ってる。本物なんだ…… これ、あのショーツ、あの日履いてたショーツだ……!!

    昨年の11月下旬のあの雨の日、悪臭を撒き散らす七海にブチギレた日に陽葵が履いていたショーツ。その前の週末に買ったばかりの、可愛らしいデザインのお気に入りのショーツ。あの日の午後、急に生理が始まってショーツを汚してしまい、1時間目の七海早退事件と酷い生理痛が相まって、ものすごく腹が立った。何度洗濯してもシミは完全には消えず、それを見るたびに退学した七海への憎悪が掻き立てられた。逆恨みだとわかっていても止められなかった。そうこうしているうちに陽葵は母ともども堀田理事長の魔の手にかかり、以降ショーツのことはすっかり忘れてしまっていたのだ……。

    あの日履いていたショーツ、あの日着ていた制服、あの日と同じ教室。いったい何をさせられるんだろう。いやだ。七海にしてきたことは心から反省しているし、七海はたった1人の大事な友達、もはや無二の親友だ。過去をほじくり返されたくない。七海が怒って絶交だって言ったらどうしよう。そんなのやだ…… 絶対やだっ!!

    「どうした2人とも。とっとと着替えろ。ここで…… 皆が見てる前でな」

    「「…………」」

    ……最低。七海は心の中で毒づきながら、横で震えている陽葵のことを気にしつつ、服を着始めた。何故か恥ずかしい。これだけの男たちが見ていたら、普通は服を脱ぐ方が恥ずかしくなるのだろうが、裸でいることに慣れてしまった七海にとっては、服を着ることの方がなんだか恥ずかしかった。衆人環視の中で奴隷から女子高生に戻ることで、羞恥心が蘇ってしまったのだろうか。

    だが、それだけではない。肥大化した乳首とクリトリスが邪魔をして、ブラもショーツも上手く着けられない。自室の鏡の前で泣きながら着替えた昨年の10月よりも、クラスメイトに責められて学校を早退した昨年の11月よりも、格段に大きく膨れてしまった乳首とクリトリス。もはや肥大化前の下着では隠しようがない。七海は涙をうっすら溜めながら試行錯誤を重ねたが、結局クリトリスは無理やりショーツで押さえつけることにし、ブラは諦めてノーブラのまま制服の上着を被った。ピアスの穿たれた敏感なクリトリスがショーツの中で圧迫されて鋭い痛みと鈍い快感を放ってくる。上着の布が巨大乳首に引っ張られて、腹と臍が露出してしまっている。飯森や周囲の男たちは、そんな無様な七海を見てニヤニヤと笑い、股間を固くしている。七海は久々に強い羞恥を感じながら再び心の中で毒づいた。 ……最低。

    その横では顔を真っ青にしながら、陽葵が制服を着ていた。何を…… 今から何をするんだろう。何をさせられるんだろう。恐怖と不安で手が震えて、ブラのホックがなかなかかけられない。片足を上げて靴下を履くことすら難儀してしまう。男たちの視線を感じる。でもそれ以上に七海の視線が怖い。怖い……!!

    2人がどうにか制服を着終わると、飯森は七海にあるものを手渡した。その瞬間、七海は主人の意図を理解した。そして、あまりの悪趣味ぶりに心の底から呆れ果てた。今更こんなことをして何になるというのだろう。自分は、この施設に来てからというもの、こんなのとは比較にならないくらい酷い目に遭い続けてきた。今朝の調教だって、木下家時代には考えも付かなかったほど過激で過酷だ。なのに今更、何故? ……と思ってふと横にいる友達の方を見た。

    今にも倒れそうなほど顔面を蒼白にして、涙を流しながら震えていた。飯森様が七海に手渡したもの。肛門栓だ。あれを七海が着けるってことは、あの日の…… あの日の再現をこれからやるってこと? そんなの…… そんなの絶対いやああああああああああああっ!!!!

    そうか、と七海は思った。これは自分ではなく、陽葵を貶めるための調教なのだ。あの日と同じ状況を再現して、陽葵の黒歴史を白日の下に晒そうというのだ。なんて…… なんておぞましいことを考えるのよ!! 私はとっくに陽葵を許してるし、私のうんちの臭いで陽葵に迷惑を掛けちゃったことも陽葵はとっくに許してくれてる! そのことはご主人様も堀田様も知ってるはずなのに! なんでいまさら蒸し返すの!? なんで私の大切な友達を傷つけるの!!?

    七海は、腹が立って仕方がなかった。できることなら伯父を張り倒してやりたかった。でもダメ。ご主人様に絶対服従を誓ったんだから。どれだけ憎くても憤ろしくても、逆らっちゃ絶対にダメ。それに陽葵だってとばっちりを受けるかもしれない。あの日を、叛逆が失敗に終わったあの日を思い出せ。激昂するな。冷静になれ。陽葵がこれ以上傷つかないようにするにはどうすればいいか、考えるんだ……!

    2人が自分の席に着いたところで教室の扉が開いた。前から服を着た玲香、後ろから堀田をはじめ十数人の男たちと数名のサディスティン、服を着た今日子、檻に入れられた光希を持った裏沢が入ってきた。同時に、飯森も教室の後ろに移動した。

     

    「では、授業参観を始めます」

    玲香が無機質な声で言う。玲香と今日子は、午後の集団調教が始まる直前、堀田に呼び出された。玲香には女教師、今日子には授業参観に訪れた母親役が与えられ、それぞれ服を着終わったところで調教の内容が告げられた。あまりに悪辣な内容に2人は愕然とし、特に今日子は、娘が受けるであろう精神的ショックを考えるといても立ってもいられず、堀田に調教の中止を懇願したが、受け入れられるはずもなかった。そして、堀田の合図とともに2人は前後の扉から教室内に入ってきたのである。

    七海は小刻みに震えていた。あまりに外道極まる展開に怒り心頭、飯森の所に駆け出しそうになるのを必死に抑えていた。 ……何が授業参観よ! あの日は参観日じゃなかったじゃない! 佐渡先生って確か30歳くらいだし! おねえちゃんの入った檻なんてなかったし! こんなん再現でも何でもない! 寄ってたかって陽葵をイジメたいだけじゃない!! 最っ低!!!

    ……七海の肛門には、あの日と全く同じ円筒状の肛門栓が刺さっていた。5人のうち七海と玲香は今朝から脱糞しておらず、直腸の中には糞便が溜まっている。午前中から昼休みにかけて肛門内に出された大量の精液は、糞便と混じって液状化し、七海はずっと便意を感じていたが、もはや精液浣腸にも慣れっこになっているため、なんとか我慢してきたのだ。拡張の進んだ七海の肛門と栓の間には昨秋以上に隙間が開いており、程なくして下痢便は栓を伝って漏れ出てきた。

    ……臭い。もうとっくに嗅ぎ慣れているのに。今朝もイヤというほど嗅いで、食べて、酷い目に遭ったのに。あの日と同じ教室で、同じ制服で、同じ状況。あの日の悪臭が蘇る。記憶が蘇る。周囲に自分の糞便の臭いを嗅がれる羞恥と、不快な思いをさせることへの罪悪感。隣の仁科さんにまたイジメられるという不安。様々な想いが交錯して、消え入りたくなるほど辛かった、あの日の記憶。

    あれから半年以上、地獄のような毎日を過ごしてきた七海にとって、あの程度の羞恥プレイはもはやたいしたことではない。だがそれは今だから言えることであって、当時はトラウマになるほど辛かった。あの時の絶望が、羞恥が、悪臭が、再び七海を襲う。七海は机の上に突っ伏し、目を固く瞑ってフラッシュバックに耐えた。と同時に、あの日とは違った意味で隣の様子が気になって仕方がなかった。

    臭いは陽葵にも達した。この臭いだ。何も知らなかった当時の自分。臭くて臭くて、息もマトモにできないくらい臭くて。もう我慢の限界だった。1回や2回じゃない。数日おきに何度も何度も。なのに、隣のこのコミュ障ウンコ女はなんで学校休まないわけ? なに恥ずかしそうに顔真っ赤にしてんのよ! ウンチしたいんならトイレ行けば!? 具合が悪いんなら保健室か病院行けよ! なんで教室でするわけ!? それも何度も!! アタシたちがいるのに!! わけわかんない!! ああ、もう限界っ!!!

    あの時の自分の怒りは正当なものだったと、陽葵は今でも思っている。七海がどんな酷い目に遭わされていたとしても、陽葵が悪臭に悩まされていた事実は変わりないのだから。七海はそのことについては謝ってくれたし、自分ももう怒っていない。

    一方で、その正当な怒りを発散させるために陽葵がやった行動には、正当さの欠片もなかった。机の中に悪口雑言を連ねたメモを毎日のように入れ、七海の教科書に油性ペンで「ウンコ女」と落書きした。グループL○NEでは思い付く限りの罵声を書き殴り、起きたことは誇張して、起きていないことも捏造して、ひたすら七海を陥れた。陽葵の属していた不良グループの主要メンバーは、隣のクラスの女子に対してかなり陰湿なイジメを行っていて、陽葵は正直ドン引きしていたのだが、そのやり方をできる限り真似た。災害事故で家族を失った可哀想な生徒ということで、表立ったイジメはこれまでしてこなかったが、このまま悪臭騒ぎが続けば、いつか不良グループにチクって七海を集団リンチにしてやろうと半ば本気で考えていた。そして11月のあの日、あまりの悪臭に陽葵は我慢ができなくなり、リンチのことも忘れてブチギレてしまったのであった。

    悪いことをしてしまった。教室の中で繰り返しウンチを漏らすなんて、普通に考えたらあり得ないことだ。何か理由があるはず。本人に、どうしたの?って聞けばよかった。ママや担任の佐渡先生に相談すればよかった。なのにそんなことは一切しなかった。まさか七海が実の伯父に奴隷調教されて肛門拡張中だったなんて、そんなこと思いもしなかったし、七海は聞いても本当のことは絶対言わなかっただろうけど、それにしても、なんでアタシ周りに相談しなかったんだろう……。

    その後は陽葵も七海と同じ境遇になり、同じように肛門拡張されてウンチの臭いをイヤというほど嗅がされてきた。そしてJSPFで七海と再会し、真実を知った時の衝撃を、陽葵は今でも忘れることができない。

    でも七海は許してくれた。のみならず、こんなアタシと友達になってくれた。この狂った施設の中で数少ない味方。心置きなく話せる同学年の友人。命令されればレズプレイもやってしまう奴隷仲間。お姉さんに代わっていつまでもずっと一緒にいると誓い合った無二の親友。それ以上の……何か。陽葵の中で七海の存在はどんどん大きなものになっていた。

    今朝もそうだ。命令されてのこととは言え、七海は陽葵が床の上にぶち撒けた汚物を口で片付けてくれた。 ……命令されなくても、オシッコまみれの身体を舐め清めるのをそっと手伝ってくれた。自分も辛くて仕方ないはずなのに、そんな顔など微塵も見せず、七海は淡々と助けてくれる。いつぞや檻に入れられた陽葵を糞便電流地獄から救い出してくれた時もそうだった。学校で酷いことをし続けた陽葵を助けて、助け続けて、それで恩着せがましくするわけでもなく、微かな、月のように淡い笑顔を向けてくれる七海。学校でのことを謝ると、気にしてないよといつも言ってくれる七海。ペニスバンドを着けて膣を突くと、甲高い喘ぎ声を弱々しく発しながら、切なすぎる表情でこっちを見上げてくる七海。地獄のような日々の中で、いつも一緒にいてくれる七海……!

    ……そっか、アタシ、七海のこと……

     

    その時、外の風景を映していた窓が一斉に他の映像に切り替わった。場所は教室。冬服を着た生徒。1時間目の授業中。顔を真っ赤にして身を縮めている七海と、その隣でイラついている陽葵。あの日の1年A組だった。しかも前後左右や真上など、様々なアングルから撮られている。飯森が依頼し、堀田が隠し撮りしていた映像である。

    それだけではない。モニタの一部には陽葵がグループL○NEに書いた文章が全て映し出されていた。見るに堪えない罵声の嵐。誤字や誤用も目立ち、書いた者の知性が窺い知れる。七海は当時グループLINEを敢えて見ないようにしていたので、見るのは初めてだった。

    「やめてええええええええええっ!! 映しちゃだめえええええええええええっ!!!!」

    陽葵が突如金切り声を上げた。そして窓に向かって突進し、ガラス面を拳で何度も叩く。だが、強化ガラスはびくともしない。直後、映像の中の陽葵が立ち上がって叫んだ。

    『ああっ! もう耐えらんないっ! クサいのよウンコ女! いい加減にしてよっ!!』

    「いやああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

    陽葵はその場に崩折れ、両耳を手で塞ぎ、両目を固く閉ざして号泣した。映像の音声が聞こえなくなるよう、ひたすら大声で絶叫した。

    玲香は動けなかった。なんて残酷なことをするんだろう。学校にいた頃の陽葵は確かに不良だったかもしれない。七海のことをイジメていたのかもしれない。でもとっくに改心したじゃないか。奴隷として頑張ってるじゃないか。無二の親友の前で、過去をほじくり返すようなことをして、何が楽しいんだろう。何が面白いんだろう。女教師役の玲香は教壇の上におり、男たちの顔が見えている。皆一様にニヤニヤとし、中にはペニスを扱いている者までいる始末。最低だ。玲香は男たちを心底軽蔑した。そして同時に陽葵のことを思い、彼女の所に駆け出そうとして、できなかった。勝手な行動を取ってしまったら、後が怖い。お仕置きが怖い。何をされるかわからない。だから動けない。 ……自分はなんて薄情な人間なんだろう。玲香は男たち以上に自分自身を軽蔑し、涙を流しながらその場に留まった。

    今日子も動けなかった。今日子はシングルマザーだった。5年前に交通事故で夫を亡くし、以来女手一つで陽葵を育ててきた。だが、昇進して管理職になってからは、仕事が忙しくて家庭を顧みる余裕が無くなってしまった。高校に入った娘が不良グループに入ったことも、同級生をイジメていたことも全く知らなかった。罵詈雑言だらけのL○NEの文章。これを全て娘が書いたというのか。最愛の一人娘は、知らぬ間に人を平気で傷つける人間になっていたのだ。そのこと以上に、母親の自分がその事実を当時全く知らなかったことが何よりショックだった。なんて最悪な母親なんだろう。あまりにショックすぎて、今日子はその場にへたり込んでしまった。今すぐ娘と七海の所に駆け付けたい。七海に謝って、それ以上に娘に謝りたかった。なのに足が動かない。立てない。こんな時まで動けなくなるなんて、なんて不甲斐ない母親なんだろう、私は。今日子は自分自身に絶望し、涙を流しながらその場に留まった。

    光希も動けなかった。檻に入れられている上に、ただでさえ少ない体力を午前中の輪姦で使い果たしてしまっていたからだ。だが光希は怒りに震えていた。陽葵は大切な妹の、たった1人の大切な大切な友達だ。自分のもう1人の妹とさえ思っている。そんな彼女に何故こんな惨いことをするのか。陽葵は過去を反省しているんだし、今更こんなことをしていったい何になるというのか。人には誰だって知られたくない過去がある。自分にもある。人犬ペロの浅ましい交尾映像を七海に見られた時は死ぬほど恥ずかしかった。過去を後悔し、自分を嫌悪した。でも、それで七海との関係が壊れることはなかった。七海はそんなことで姉を嫌いになるような人間ではないし、陽葵に対しても同じだろう。そのことを伝えたい。絶望の中でもがく陽葵の所に駆け付けて助言したい。大丈夫だよと。それができない自分自身に光希は怒り、涙を流しながらその場に留まった。

    七海は動いた。ただ1人、動いた。迷いは一切なかった。その場を動くなとの命令は受けていない。そのことを冷静に、瞬時に判断した上で七海は、窓の下で座り込んで号泣する陽葵の元に駆け寄ると、自らもしゃがみ込んで正面から力いっぱい陽葵を抱き締めた。

    「陽葵っ!」

    「うああああああああんっ!! 七海ぃっ!! ごめんっ!! アタシのこと、嫌いにならないで!! うわああああああんっ!!!!」

    「大丈夫だよ。私、全然気にしてないから」

    「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさいっ!!」

    「私こそごめんね? こんなに怒って、こんなに苦しんでたんだね。知らなかった。私の臭いのせいで苦しめちゃってごめんなさい」

    「そっ そんなん七海のせいじゃないじゃん!!」

    「うん。でも私が退学したのも陽葵のせいじゃないよ」

    「アタシのせいじゃん!! アタシが不良グループとツルんでるの、クラスのみんな、知ってたし! そのアタシがL○NEで七海のことボロッカスに書いてたのも、みんな知ってたし! だからみんな巻き込まれたくなくて黙ってたんだよ! アタシがバカなマネしなかったら、クラスの誰かが佐渡先生に相談して、そしたら七海が伯父さんにヒドいことされてるってこともバレて、七海は解放されて、そしたらきっと私もママも奴隷になることはなくって…… 全部、全部、アタシのせいじゃんか!!!」

    「なるほどー。そんなこと考えたことなかったよ、私。陽葵、頭いいね」

    「ふざけないで!!」

    「ふざけてないよ。でも、こんなに沢山のカメラで隠し撮りされてたんだよ? 堀田理事長1人じゃ多分無理だよ…… きっとあの学園には他にもこの施設の関係者がいたんだと思う。 ……佐渡先生とか」

    「なっ!!?」

    「ありえない話じゃないよ。私は高1の夏休みにご主人様の奴隷になったの。多分準備はそれよりうんと前からしてたんだろうし、理事長とも相談してたんだと思う。だとしたら理事長はきっと「そういう人」を1-Aのクラス担任にするんじゃないないかな。私のことを見張るために……」

    「…………」

    「推測だけどね。でも、だとしたら、クラスメイトの誰かが佐渡先生に相談しても、ウヤムヤにされちゃってたと思う。それどころか、そのクラスメイトだってどうなってたか……」

    「…………」

    「だからね? 全然陽葵のせいじゃないよ。ね?」

    「七海ぃ……」

    「大丈夫。陽葵はたった1人のお友達だもん。こんなことで嫌いになんかなったりしないよ。だから泣かないで?」

    「七海ぃっ!!」

    「ええっ!!? ちょっ!! うぷっ!!」

    「ちゅっ!! ちゅぷ!! 七海!! 七海!!」

    「く、苦しいよぉ! 陽葵ぃ!」

    「七海、好き! 大好き! 愛してるっ!!」

    「えええっ!!?」

     

    IV:奴隷200日目 – 午後(2)

     

    ……飯森はほくそ笑んでいた。またしても計画通りに行った。光希に代わる七海の人質役は娘の美海としていたのだが、人質役は多いに越したことはない。美海は片言も喋れぬ乳飲み子だし、姉を失って傷心の七海を言葉で慰める存在がいた方が良い。玲香でも良いが、同年代の方が尚良いだろう。そこで七海と陽葵の仲をより強固なものにするために、堀田と相談の上で一計を案じたのだが、どうやら上手くいったようだ。

    それにしても、七海はどこまで賢いのだろう。佐渡は確かにJSPFの関係者だ。彼女は清隷女学園の教師を務めながら、堀田の下で様々な雑務を行っていた。七海の推測通り、飯森の相談を受けた堀田は、佐渡を1-Aの担任に任じて、特に2学期以降、七海を常に監視させていたのである。

    七海はどこまで見抜いているのだろう。実は佐渡は、アイマスクとウィッグで変装した上で、保護者役に扮して自分と堀田の間に立っている。それは七海もよく知っている顔のはずだ。なにせ、奴隷9日目に初めて七海を指名して以降、度々指名してはボロボロになるまで七海を痛めつけ、公開出産ショーの際には助産婦として七海の妊婦腹に鞭を打ち込んだ、あのサディスティンなのだから。

    あのサディスティンが担任の佐渡先生であると、七海は気づいているのだろうか。見た目と口調は別人、同じなのは声と体格だけであるが……。それはわからないが、憶測だけでここまでの真実に迫る七海には飯森も脱帽だ。 ……飯森が佐渡の方を見やると、佐渡も飯森の方を見、堀田もそれに気づいて皆でニヤリと笑った。

     

    「ちょ…… 陽葵! 待ってっ!」

    「七海…… ちゅ…… 七海ぃ…… 大好きぃ♥」

    陽葵は感極まってしまって周りが見えていないのか、七海とのキスを続けながら臍出し状態の制服の中に手を入れ、七海の乳房を揉み始めた。

    「待ってってばっ! 大勢に見られてるんだよ? それに許可を…… ご主人様の許可を取らないと」

    「いいぞ、好きにしろ。ただし衆人環視の中で、だ。撮影もするからな?」

    飯森がそういうと、窓の映像が再び一斉に切り替わった。七海と陽葵のドアップだ。複数のモニターを繋ぎ合わせて実物の10倍の拡大映像をリアルタイムで映し出しているらしい。

    「うわっ! 何これっ!?」

    「最新の16K超高精細カメラと大型モニターだ。 ……これだけで数千万だぞ」

    「いや、そういうことじゃなくって!」

    「ふふっ…… 愛のあるセックスは初めてだろう? たっぷり楽しめ、七海」

    「ううっ…… ご主人様ぁ……」

    「場所は、そうだなぁ。教壇の辺りがいいだろう。玲香、頼む」

    「……はい」

    玲香は教壇を教室の隅に引きずっていくと、教室中央前寄りに座っていた男たちに立ってもらって、空いた机を3×3の長方形に隙間なく並べ、簡易ステージを作っていった。飯森の指示に従って作業を進めながら、玲香の心境は複雑だった。

    玲香がお仕置きを恐れて動けない中、七海は躊躇なく陽葵の元に駆け寄った。今にも壊れてしまいそうだった陽葵を抱き締め、説き伏せ、立ち直らせて、最後には愛の告白までさせてしまった。近頃の2人の関係は友達以上なような気がしていたから、告白については正直驚かなかったが、主人の命令に逆らわない範囲で自由に動き、あっという間に友人を窮地から救ってしまった七海の勇気と機転と行動力にはただただ驚嘆するばかりだ。なんて…… なんてすごい娘なんだろう。そして思った。全力で守らなくちゃ、この若いカップルを。

    光希は自分を恥じていた。先程は動けない自分に腹を立てたが、それは心の底では妹を信じていなかったということの表れではないか。妹はひ弱で人見知りで頼りないから自分が陽葵を説得したいのに、それができない自分が情けなくて腹が立った…… そんな想いが心の片隅にあったのではないか。妹は、もう以前の妹じゃない。ただ優しいだけの弱々しい少女じゃない。それでいて姉みたいに無鉄砲でもない。まるで亡き父のような強さと亡き母のような賢さを持っている。でもその根底には以前のままの優しい七海がいる。いつの間にこんな素敵な女性になっていたんだろう。光希は涙を流した。嬉しさ半分、そんな七海ともうすぐ永遠に別れなければならない悲しさ半分……。

    今日子はひたすら七海に感謝していた。今日子が動けない中、猛然と駆け出して娘を絶望の渦から救い上げてくれた。本当に、感謝してもしきれない。七海の説得を今日子も聞いていた。もし自分の足が動いて娘の元に駆け付け、抱き締めることができていたとしても、あんなことはとても言えなかっただろう。最愛の娘の強く賢く優しい友達、否、恋人。今日子は元々LGBTQには全く興味がなく、それどころか嫌悪さえしていたのだが、娘にこんなにも素敵な恋人ができたことが嬉しくて仕方なかった。そして思った。2人が過去を克服したのだから、自分もいつまでも過去を引きずっていては駄目だ。それではいつまで経っても母親失格のままだ。今からでも理想の母親を目指さなくては。奴隷の娘に相応しい母親を。

    ステージの用意が整うと、2人はほぼ同時にステージに上り、そして制服を着たまま再びキスを始めた。

    「七海…… 好きだよ…… んちゅ♥」

    「陽葵…… ちゅぷ」

    陽葵と再会した日の夜に友達になった時は、単なる「友達」だった。だが、過酷な調教を一緒に受けたり、レズプレイを命じられたりするうちに、肉体だけでなく心の親密度はどんどん増していった。そしてあの日。姉の寿命を聞かされてパニックになった七海を慰め、ずっと一緒にいるよと言ってくれた時、その感情は初めて明確に七海の中に宿った。恋愛経験のない七海にはそれがどういうものかよくわからなかったが、その感情は日に日に大きくなっていった。今日の午前中も、今さっきも、陽葵を助けたのは正義感からじゃない。そんなんじゃない。そんなんじゃなくって…… 好きだから。大好きだから! 愛してるから!!

    「うん…… 私も好きだよ…… 陽葵……」

    目を潤ませながら顔を真っ赤に赤らめ、微かな笑みを浮かべて小さな声で愛を囁いた。その瞬間、感情が膨らみ、弾け、溢れた。愛する人を力いっぱい抱き締め、今度は大きな声で言った。

    「陽葵っ! 大好きっ!!」

    「七海ぃっ!!」

    陽葵は天にも昇る思いだった。感激のあまり涙が溢れて視界がぼやけ、七海の顔が歪んでしまう。でも止まらない。今朝から苦しみと絶望の涙を流し続けてきたというのに、歓喜の涙は涸れることなく溢れ続ける。嬉しすぎて、奴隷とか、衆人環視とか、そんなことどうでもよくなる。七海! 七海!! 七海っ!!!

    熱烈なキスが始まった。唇を合わせて舌を重ね、唾液を交換する。奴隷になってから何百回も何千回もやらされてきた行為。なのに相手が愛する人だとこんなにも幸せな気持ちになれるのか。2人は夢中になってキスを貪り、幸福のあまり軽く絶頂してしまった。

    そのまま両手で互いの身体を弄り合っていく。最初は制服の上から。次に手を制服の中に入れて。でも服は脱がない。脱ぎたくない。裸は奴隷の正装だ。だから、せめて服を着せてもらっている今だけでも自分から裸になりたくない。裸になってしまえば奴隷同士の単なるレズセックス、服を着ていれば人間的な愛の営み。そんな気がする。

    2人は制服の上着をたくし上げて互いの胸を愛撫し、次いで口で舐め始めた。陽葵は、肥大化した七海の乳首を口に含んで思いっきり母乳を吸いたかったが、七海の母乳を飲んでいいのは美海と男たちだけと決まっているのでさすがに自重し、乳房、肋骨、腹、臍と徐々に下半身へと舐め進めた。

    そしてスカートをたくし上げた瞬間、陽葵はあの臭いを嗅いだ。否、これまでも常に臭っていたのだが、感激と興奮のあまり気づかなかったのだ。そしてスカートの中の濃厚な臭気を嗅いで、ようやく気づいたというわけである。スカートの中、ショーツは既に大量の下痢便で茶色く染まっていた。

    「いやぁ…… 恥ずかしいからめくらないで…… 陽葵ぃ……」

    「…………だぁめ♥」

    「うぅぅ……」

    「大丈夫。アタシが綺麗にしてあげるね?」

    そう言うと、陽葵は一気にショーツをずり下ろした。肛門周辺から下半身全体に広がる汚らしい光景。圧倒的な悪臭。あの日も、七海のスカートの中はこんなことになってたんだと思うと、堪らなかった。そりゃ臭かったわけだ。でも不思議と嫌悪を感じない。微塵も感じない。 ……綺麗にしてあげたい。あの日の贖罪というわけじゃない。ただ綺麗にしてあげたいだけ。愛しい人の汚れた股間を舐めて綺麗にしてあげたいだけ。それが愛ゆえの欲求なのか、奴隷的奉仕精神の表れなのかは陽葵にもわからない。 ……陽葵は大きく深呼吸すると、七海の下半身に顔を埋めた。

    「ちゅっ…… じゅるる…… れろっ…… ごくんっ」

    陽葵はいきなり汚れの中心、肛門に唇を重ねてキスをすると、舌を動かして周辺の糞便を舐め取り、飲み込んでいく。

    「げほっ! げほっ! げほっ!」

    激しく咳き込む陽葵。

    「陽葵っ! 大丈夫っ!?」

    「けほっ! ずちゅううっ! うげっ! ぢゅるるっ! うぷ!」

    陽葵はまだまだ食糞が苦手だ。味も臭いも食感も喉越しも何もかも苦手。愛する人の汚物なら美味しく感じるんじゃないかと淡い期待を抱いていたのだが、そんなわけもない。堀田や飯森と全く同じ、不快極まる最低最悪の味。1口ごとに激しく噎せ返り、吐き戻しそうになるが、それでも陽葵は汚物を食べ続けた。意識せずとも口を開け、クチャクチャと汚らしい咀嚼音をわざと発しながら、夢中で貪り続けた。

    やがて七海の身体に付着した汚物を全て舐め尽くすと、陽葵は七海の肛門に刺さっている円筒形の栓を抜いた。元の色も形状もわからないほど大量の糞便がこびりついていたが、陽葵は意を決して肛門栓を口に含むと、歯で汚物をこそげ落として飲み込んでいった。肛門周辺にこびりついていたモノよりも新鮮な分、味も臭いもさらに強烈だったが、陽葵は泣きながら栓を掃除していった。

    「もういいよ、陽葵。あとは私がやるから……」

    「ううん。アタシにやらせて? ね? お願い…… 七海のウンチ、全部アタシにちょーだい……」

    「えっ…… 全部って……」

    「うん。お腹ん中に溜め込んでるのも全部」

    「いいよ、そんなの。だってすごい量だよ?」

    「うん、わかってる。アタシの口に全部出して? 口便器に、して?」

    「うぅぅ…… そんなぁ……」

    「七海のウンチ、食べたいの。不味くてもいいから」

    「だって…… ザーメン混じりの下痢便だよ? めちゃくちゃマズいよ?」

    「いいの、なんでも。お願い、七海!」

    「ああ、もう…… わかったから……」

    「ありがと。あぁぁぁぁぁっ…………」

    陽葵は仰向けのまま目を閉じ、口を大きく開けて待機している。ここに出して欲しいということだろう。

    一本糞のような硬い便であれば口の中に狙いを定めることもできるが、下痢便の場合は広範囲に撒き散らしてしまう。七海は陽葵の口の真上でしゃがみ込むと、制服をなるべく汚さないよう、陽葵の唇に自身の肛門を密着させて括約筋を緩めた。

    「いくよっ!」

    「うんっ!」

    ブビビビビビビビビビビビ!!!!

    下痢便が勢いよく陽葵の口の中に入っていく。その量は、陽葵の口内の容積よりも遥かに多く、溢れた下痢便が陽葵の口元から顔全体へと広がり、鼻の穴を覆っていく。

    「うぶうううううううううっ!!!!!!!!」

    ちょ…… くっさ! まっず! なにこの量! こんな多いの!? 口ん中パンパン…… こんなんどうやって飲み込んだらいいの? ダメ! 口ふさがってるから鼻でしか息できない! 鼻ん中にもウンチ入ってきてる! くさい! くさすぎ! こんなん無理! 無理ぃっ!!

    「陽葵っ! ごめんっ!」

    こんなに沢山出るとは思っていなかった。七海は急いで体勢を変えると、下痢便で覆われた陽葵の鼻に迷うことなく口を付けた。鼻の穴周辺の下痢便を舌で全て掬い取ると、鼻の穴に舌を入れて、鼻クソごと汚物を掻き出して全部飲み込む。次に首の方に流れた分を全て舌で掃除していく。なんとか制服は汚れずに済んだようだ。さらに顔に広がった分を全て処理する。

    続いて、唇を尖らせて陽葵の口の中に入れ、並々と溜まった下痢便を、下品な音を立ててバキュームしていく。しばらくして、ようやく口を閉じることができる程度に下痢便が減ってくると、陽葵は口を閉じた。全部七海にやらせるわけにはいかない。アタシが食べるって言ったんだから。めっちゃニガくてマズいけど。やらなきゃ! ……陽葵は目を固く瞑り、強烈な吐き気と戦いながら、なんとか少しずつ下痢便を飲み下していった。

    数分かけて全ての下痢便を胃袋に送り終えると、陽葵はゆっくりと目を開け、咳込みながら七海に向かって言った。

    「げほっ! うげぇ…… こほっ! ……きっつ」

    「ごめん。思ったよりたくさん溜まってたみたい……」

    「うん。ビックリした」

    「あぅぅぅ…… ごめん……」

    「謝んなくていいよ。それより、手伝ってくれてありがと」

    「うん」

    「でも、アタシ頑張るよ。そのうち全部飲み込んであげる」

    「陽葵……」

    「そのかわりさ…… 今度アタシのも、飲んでね?」

    「いいよ」

    「即答!? さっすが!」

    「……バカ」

    「ははっ♬ それよりさ。身体もキレイになったし、今度は気持ちよくならない?」

    「うん」

    2人はシックスナインで互いの膣を愛撫し合うと、続いて双頭ディルドーを互いの膣に挿入し合って貝合わせの体勢で優しく腰を振り合った。

    「ああん♥ 七海っ♥ んあっ♥ 気持ちい? 七海ぃ♥」

    「ああっ♥ 気持ちいぃよ♥ 陽葵っ♥ あひぃっ♥」

    なんて優しい快感なんだろう。暴力的なレイプも確かに気持ちいいけど、なんだろう、この満たされた感じ。愛のあるセックスってこんなにも素敵なものだったんだ。おねえちゃんや玲香さんと交わった時にも、陽葵とこれまでに交わった時も、こんな気持ちになったことはなかった。ディルドーの先端が膣壁とこすれあって気持ちがいいとか、そんな次元ではなく、2人の身体が溶け合ってしまったような、ふわふわとした優しい幸福感。なんて…… なんて気持ちいいんだろう。なんてしあわせなんだろう。

    陽葵は涙が出るほど嬉しかった。先程から七海が、これまでに見たこともないほど幸せそうな表情を浮かべていた。あの儚げで切なげで蠱惑的な表情ではなく、恋人と溶け合って幸せの絶頂にいるといった感じの、なんとも満ち足りた表情。七海がこんな素敵な表情を見せてくれたことが、陽葵のことを奴隷仲間でなく恋人だと思ってくれていることの証のような気がして、陽葵もまた幸せの表情になり、2人はそのまま優しく穏やかな絶頂に包まれた。

    モニターに10倍ズームで映された七海と陽葵の幸せに満ちた表情を見て、光希も玲香も今日子も涙を流していた。この地獄の中で、2人がこんなにも素敵な顔を見せてくれたことが、心の底から嬉しかった。

    一方、飯森は虫酸が走っていた。七海が飯森に対してこんな顔を見せたら、飯森は七海を即刻JSPFに売り飛ばすだろう。主人と奴隷の関係とは、あくまで主従であって恋愛ではない。七海が光希の死を乗り越えるために、陽葵との絆をより強固なものにする。そのためには当人同士が恋人になるのがてっとり早いので、例によって堀田と協議の上で、陽葵イジメを兼ねたこのようなショーを企画したわけだが、それにしても反吐が出る。2人の仲が深まりすぎて奴隷であることを忘れてしまっては本末転倒であるし、ここはしっかりと釘を刺しておくべきだろう。飯森は全裸になると、堀田とともにステージに上がって幸せの絶頂にいる奴隷どもに話しかけた。

     

    「七海」

    「…………」

    夢のように幸せな時間を過ごしていた七海は、薄汚い声で現実に引き戻された。そうだよね。今は調教中なんだし、こんな幸せなこと、いつまでも続くわけないよね。わかってはいるけど…… 何も今、このタイミングで出てくることないじゃない。 ……最低。

    「はい」

    「随分とご満悦のようだが、今がどういう時間か忘れてはいないだろうな?」

    「はい」

    「他の奴隷とどういう関係になろうと構わんが、お前はどういう存在なんだ? 改めて言ってみろ」

    「…………」(はぁぁぁぁ…………)

    そんなのわかってる。心の中で深い溜息をつくと、七海は速やかに奴隷に戻った。奴隷の正装は裸に首輪のみ。七海は衆人環視の下、命令されずとも制服を脱いでいく。全く恥ずかしくない。服を着るのが恥ずかしくて、脱ぐのが恥ずかしくないなんて、自分が最低の存在に、心の底から奴隷になってしまった気がして悲しかった。制服を脱いでしまえば、ブラは着けていないし、糞便まみれのショーツは床に転がっているから、いつもどおりの全裸だ。ただただ残念だった。もう少しだけ人間でいたかった。恋する少女でいたかった。はぁぁ…… 最低。

    七海は心の中で短く毒づくと、飯森の足元に土下座した。陽葵も、後ろ髪を引かれる思いで制服を脱ぎ、堀田の前にひれ伏す。そう、私たちは恋人である前に奴隷。ご主人様に、お客様に奉仕するのが最優先。ご主人様を怒らせちゃダメ。陽葵と別れさせられちゃうかもしれない。そんなのイヤ。絶対にイヤ!

    「私はご主人様の、飯森則夫様の奴隷です。所有物です。ご主人様にご奉仕し、皆様にご奉仕するためだけの存在です」

    「うむ。忘れるなよ? 忘れずにいる限り、陽葵との関係は許してやろう」

    「あ…… ありがとうございます、ご主人様っ!」

    「七海。陽葵も。ちょっと来い。向かい合って鼻と鼻を密着させろ」

    「……はい」

    「??」

    七海と陽葵は、これから何をさせられるのかと不安になりつつ、言われるままに向かい合った。顔と顔を近づけ、鼻同士を触れ合わせる。 ……もう一度キスしたいな。七海はぼんやりと思った。

    飯森は2人の鼻に穿たれた鼻輪同士を小さな金属のリングで繋いだ。鼻と鼻の距離は3cm程度。ちょっとでも動くと鼻輪が引っ張られて痛い。

    「さあ準備できたぞ? 今日はお前たち2人で我々に奉仕しろ。その状態でな」

    「……わかりました」

    「マ、マジ……?」

    七海と陽葵は、互いの鼻が繋がったまま、身をかがめて尻を突き出すと、互いの手をしっかりと握り締めた。互いの顔が間近にある。2人とも頬が紅潮し、目が潤んでいる。これから行われる調教に対する不安と期待で、マゾの血が騒いでいるのだ。七海は例の妖艶な顔、陽葵も興奮しきって歪んだ顔を、それぞれ愛する者に晒しながら、飯森と堀田に向かって口上を行った。

    「どうぞ犯してください、ご主人様。私たちで事前に濡らしておきましたので…… もう準備万端です。グチョグチョのおまんこにご主人様のおちんぽを突っ込んで、メチャクチャに掻き回して、ザーメン、たっぷり出してください。2人目の赤ちゃん、孕ませてください……」

    「アタシにも堀田様のおちんぽください。おまんこで精いっぱいご奉仕しますので。お願いします……」

    そこにいるのはもはや恋する乙女でなく、2匹の卑しいメス奴隷だった。

    「ああっ! いつっ! ああんっ! 痛いっ!」

    「うぐっ! あんっ! いたっ! んああっ!」

    奉仕が始まった。鼻を繋がれながら猛烈なピストンで膣を犯される2人。窓にはあらゆる角度からのライブ映像が映され、教室内のボルテージは急速に上がっていく。ピストンのたびに鼻が引っ張られて痛い。すごく痛い。飯森と堀田は、鼻同士が不規則に引っ張られるように、わざとピストンのタイミングをずらして責めていく。

    強い刺激故か、2人の鼻粘膜からは大量の鼻水が分泌され、鼻周辺はドロドロ。口にまで大量の鼻水が流れ込んでいく。鼻の痛みと、鼻中隔(=2つの鼻の穴の間にある仕切り壁)が千切れてしまうのではないかという不安にゾクゾクし、鼻水と涙を撒き散らして快楽を貪るマゾの2人。

    興奮した男の1人がステージに上がって、鼻の下のドロドロにペニスをこすり付けると、2人に舐め取るよう命じた。2人は不規則な動きに翻弄されながらも、ペニスに付いた鼻水を下品な音を立てながら舐め啜っていく。しょっぱい。涙と同じ液体だとわかっていても、鼻水には汚いというイメージがどうしてもある。だが、愛する者の汚物を舐めるという行為が、先程の食糞を思い起こさせ、レズプレイの興奮が蘇ってくる。

    「陽葵…… じゅぞぞ! べちゃべちゃっ! 陽葵っ!」

    「ぶちゃっ! 七海っ! ずずずずずずっ! 七海っ!」

    熱の籠もった声で互いの名を呼び、鼻水を啜りながら膣穴の快楽に酔いしれる七海と陽葵。気持ちいい。メチャクチャ気持ちいい! 2人はあっという間に快楽の階段を登り詰めていく。

    「イくっ! もうダメ! イっちゃううううっ!!」

    「ひぐううううううううううううううっ!!!!」

    2人はほぼ同時に達したが、その間も飯森と堀田はピストンを止めないし、2人も口奉仕を止めない。奉仕を休んで絶頂の快楽に浸るなんてことがあれば奴隷失格、厳しいお仕置きが待っている。その辺りは七海も陽葵も心得ていて、絶頂の激しい快楽に包まれながらも膣を強く締め、ペニスをさらに激しく舐め回すのだった。

    やがて飯森たちも限界に達し、5人は同時に絶頂した。足がガクガクと震える。飯森たちが離れた後、2人は膝を折ってその場に倒れ込みそうになったが、倒れた際に鼻が強く引っ張られて千切れてしまうのが怖くて、なんとか堪えた。そして、逆に鼻と鼻を0cmまで近づけ、鼻水と涎と精液でグチャグチャになっている互いの口を合わせると、下品な音を立てて熱いディープキスを開始。すぐに次の男たちがステージに上って、2人の肛門に剛棒をねじ込んだ。

     

    40分後、鼻輪同士を結ぶリングがようやく外された。既に膣にも肛門にも無数の精子が放たれ、2人も10回以上絶頂を迎えていたが、奉仕はまだ始まったばかりである。

    自由度が増した2人を男たちが取り囲んでいく。膣、肛門、口、胸、手、腋、足、その他身体のありとあらゆる部位を弄ばれる2人。もうわけのわからない状況で、レズプレイの時の優しく穏やかな幸福感とは真逆の、嵐のように暴力的な快楽が2人を襲っていたが、2人は快楽に身を任せることなく舌を動かし、手を動かし、膣と肛門を締め、疲れた身体に鞭打って男たちに奉仕していった。そう。何でもやらなきゃ。私たちは奴隷なんだから。愛する人とずっと一緒にいるために、何だってやらなきゃ!

    あまりにも大人数がステージという名の机の上に殺到したため、玲香は安全のためにステージを解体し、今日子とともに教室内の机を全て後ろに移動させた。床の上で引き続きもみくちゃにされる七海と陽葵。だが2人で相手にできる人数には限りがあるため、順番待ちしている男たちは、手近な9個のオナホールで性欲処理をし始めた。特に光希は既に体力の限界だったが、七海と陽葵の負担を少しでも軽くするために、最後の力を振り絞って己に開いた3つの穴でペニスに奉仕するのだった。

    男たち全員が七海と陽葵の穴を使い終えると、2人はレズプレイを強制された。男たちは、2人をシックスナインの体勢にして、互いのドロドロの膣穴やクリトリス(クリペニス)を舌で舐めさせながら、2人の肛門にペニスをぶち込んで激しく犯しまくった。ある者はそのまま肛門内で射精し、奴隷たちに互いの肛門に舌を突っ込ませて茶色く濁った精液を掻き出すよう命令し、ある者は射精直前にペニスをもう片方の口に中にぶち込んで喉奥で射精し、糞カスにまみれたちんぽを舌で清めるよう命令した。掃除の終わった膣穴には再びペニスが挿入されて、すぐに白濁液で満たされた。やがて性器の締まりがなくなってくると、男たちは2人の首を絞めたり、身体じゅうに鞭を打ったりして締めさせた。それでも締まらなくなってくると、拳を膣と肛門にぶち込んでWフィストが始まり、2人は狂ったように泣き叫びながら、それでも絶頂して潮を撒き散らした。

    調教終了の午後5時を迎えた時には、2人は午前中以上に真っ白に染まり、折り重なるように倒れて失神していた。光希もまた失神し、今日子も失神寸前。美海をあやしたり、ダイニングや奴隷用トイレなどを清掃したりするため、度々教室を抜け出していた玲香だけが正常な意識を保っていたが、やはり身体じゅう精液まみれだった。

    飯森は、今日はこのままここで夕食を摂るよう玲香に言い、食べ方を伝えると、玲香に流動食のパックを4つ渡した。玲香はもはや呆れ返る気力もなく、光希を除く失神中、または失神寸前の3人の所に行き、精液まみれの身体の上に流動食をぶち撒けて身体じゅうに塗りたくっていった。そして最後に自分の身体にも流動食を塗ると、3人を起こした。七海と陽葵。玲香と今日子。互いの身体に付着した流動食と精液を舌で舐め取って飲み込んでいく。もう味なんてしない。途中で舐める相手を変えながら、4人は黙々と舌を動かし続けたのだった。

    一方、光希は裏沢によって失神したままキャリーケースに放り込まれ、メス犬区画の9号室へ戻る前に医務室へと運ばれた。本来なら、夕食はこの後、9号室で雑用係が用意した流動食を食べることになるのだが、恐らくもう飲み込む体力も残っていないだろう。失神したまま栄養剤の点滴を受けた後、失神したまま9号室へと運ばれると、光希は明日の朝まで白濁まみれのまま死んだように眠り続けた。体重は朝より0.5kg減っていた。 ……光希の最期の時は、刻一刻と近づいていた。

     

    V:奴隷200日目 – 夜

     

    4人の奴隷はどうにか夕食を終えると、重い身体を引きずって教室を出、シャワーを浴びて汚れを落とした。19時からは1回50分の少人数調教である。

     

    1人目は白髪交じりの男で、七海単独でのご指名だった。場所は和室。七海は紅白の巫女服を着せられた上で、胸だけをはだけた状態で雁字搦めに縛られ、エビ反りの体勢で天井から吊るされた。さらに紅白の蝋が胸に垂らされ、鞭で全身メッタ打ちにされる。元々身体の硬い七海にとっては地獄の苦しみで、今朝から輪姦されっ放しだった七海は、一転して苦痛に泣き叫んだ。マゾの身体が苦痛の一部を快楽に変換していくが、朝からイき続けて疲労の極みにある七海にとって快楽はもはや苦行でしかなく、七海は2種類の苦しみにひたすら耐え続けた。

    その頃、玲香は教室の後始末に追われ、ペアで指名された仁科母娘は20代の巨漢の男の相手をしていた。男は母娘でのレズプレイを要求し、陽葵は七海との絡みで味わった興奮とは別種の興奮を感じながら、実の母と唇を重ね、互いの性器を舐め合った。男はさらにフィストレズをするよう命令する。娘は自分が産まれてきた穴に自らの拳を突っ込んで激しく掻き回し、母は娘の前で絶叫しながら痴態を晒し続けた末に盛大に潮を吹き、娘の腕をビショビショに濡らした。続いて、緩んだ膣を男の巨根に貫かれながら、母が娘の肛門に拳をねじ込み、娘は狂ったように喘ぎまくった末、母と同じように潮を吹いて果てた。さらに男は緩んだ娘の肛門にも巨根を突っ込み、最後は母娘の顔に精液をぶっかけると、娘の糞カスの付いた巨根を母に舐め清めさせて帰っていった。

     

    2人目は中年の男で、七海と玲香を指名した。場所は拷問室。男は2人それぞれに鞭を持たせ、立ったまま互いを打ち合えと命じた。2人とも、S役を命じられたことはこれまでに何度もあったが、互いに打ち合うなどというのは初めての経験だった。七海が鞭を振るうと玲香が硬直し、玲香が鞭を振るうと七海が硬直する。最初はそんなふうに交互に鞭を打っていたのだが、そうではない、同時にやれと男に言われ、七海は玲香をメッタ打ちにしながら玲香にメッタ打ちにされた。痛い。痛くて立っていられない。でも鞭を振るうためには足に力を入れて踏ん張らねばならない。するとその足に鞭が飛んでくる。見れば男も鞭を持っており、主に2人の足に鞭を浴びせていたのだ。2人は1箇所に留まることすらできず、無様なダンスを踊りながら互いの鞭を浴び、互いに鞭を浴びせた。ただでさえ疲労の極みにあるというのに、2人は数十分間も被虐のダンスを踊り続け、後半は足腰が立たなくなって倒れ込んだところにさらに男の鞭を受けた。男は真っ赤に腫れ上がった2人の身体の上に精液をぶっかけ、ついでに小便をひっかけて帰っていった。

    陽葵と今日子はまたもペアで指名された。今度は男たちも2名である。773号室では七海がダントツの人気を誇るが、親子丼もかなりの人気らしい。陽葵はノーブラノーパンの上に例の制服、今日子まで何故か同じ清隷女学園の制服を着るよう命じられた。そして、後ろ手に縛られた状態で1つの三角木馬に互いに向かい合うような格好で跨がされ、足にはそれぞれ重さ10kgの鉄球の付いた足枷が嵌められた。さらに、制服をたくし上げて胸を露出させ、互いの乳首ピアス同士を小さなリングで結ぶと、男たちはその状態で蝋燭と鞭を母娘の身体に浴びせた。母娘は泣き叫びながら身体を激しく動かし、そのたびに股間と胸を激痛が襲った。マゾの母娘はこんな状態でも苦痛を快楽に変換し、互いに身を乗り出して母娘でキスしながら絶頂した。面白がった男たちは、母娘をM字開脚の状態で抱き合わせて、互いにキスした状態で上半身を縛り上げて天井から吊るし、再び乳首をリングで連結した。そして膣穴同士を双頭ティルドーで繋ぐと、母娘の肛門を猛然と犯し始めた。痛くて気持ち良くてもうわけがわからなかった。母娘は涎と涙と鼻水で顔じゅうドロドロになりながら、互いの口内を夢中になって貪り、互いに「ママ」「陽葵」と呼び合いながら何度も何度も果てた。最後は、母の糞カスの付いたペニスを娘が、娘の糞カスの付いたペニスを母が、それぞれフェラ掃除して終わった。

     

    3人目も中年の男で、七海を単独指名した。場所は客用トイレの中にある和式個室だった。七海は鍵の開いた状態のドアを通って客用トイレに入り、指定された個室のドアを開けた。飯森よりもさらに薄汚い中年太りの冴えない小男がしゃがみ込んでいて、七海に背を向けたまま和式便器に向かって脱糞しているところだった。七海は咄嗟に場所を間違えたと思い、男に謝りながら慌ててドアを閉めようとしたが、男に「入れ、七海」と言われて、悪臭漂う狭い個室内に入った。男は半立ちの体勢になると、肛門を綺麗にするよう七海に言って尻を突き出し、七海は跪いて、黒ずんだ毛むくじゃらの肛門を舐め、舌で肛門をほじくって糞便の残りカスを掻き出した。次いで大便器の中も綺麗にするよう男が命じる。七海は「はい」と感情のない声で短く答えると、床に這いつくばって和式便器の中に顔を埋め、30cm近い巨大な一本糞を食べていった。もういいや。輪姦や鞭打ちに比べればラクだし。次はどうせ便器の底に溜まってるオレンジ色のオシッコを全部飲めって言うんでしょ? ……最低。七海は男に言われるままに小便を飲み干し、和式便器をピカピカになるまで舌で磨いた。男は汚れた七海の顔をベロベロに舐め、鼻の穴にまで舌を突っ込んで悪臭漂う唾液まみれにすると、これまた悪臭漂う包茎ペニスを七海の口に突っ込んでイラマチオを始めた。巨根ではないので息苦しさはないが、皮の中に溜まっていた大量のチンカスが、皮がめくれるとともに口の中いっぱいに溢れ、得も言われぬ不快な味と臭いを撒き散らしていく。七海は全身鳥肌になりながらもチンカスを飲み込み、激しいピストンに合わせて唇から喉までを全て使ってペニスに奉仕していく。やがて射精に至ると、男は再び七海を四つん這いにさせて頭を便器の中にぶち込み、便器の水を流しながら肛門を犯しまくった。中出しした後、男は七海にペニスを掃除させようとしたが、便器の中でもがく七海の口に入れても掃除どころか逆効果であると気付き、ペニスに付いた汚れをトイレットペーパーで拭き取ると、七海の口に押し込んで帰っていった。

    玲香は、ぐずりだした美海をあやしつつ、和室と拷問室の清掃を行ったが、清掃中に男2人にレイプされた。男たちは射精直前にペニスを引き抜くと、玲香が持っていた掃除用の雑巾…… 拷問室の床の上に飛び散っていた精液や尿をたっぷりと吸ったそれの上に精液を撒き散らし、雑巾を綺麗にするよう命令した。玲香は雑巾を床の上で絞ると、床の上にこぼれた汚液を這いつくばって舐め取っていった。

    陽葵と今日子はそれぞれ複数人に単独指名され、内容は陽葵が針責め+3P、今日子が水責め+4Pであった。母娘ともに朝に摂取した薬物の効果が切れかけており、前日からほぼ不眠不休であるため、疲労と眠気でもうフラフラの状態だったのだが、それでもなんとかお仕置きされることなく50分を耐え切った。

     

    そして、4人目。相手は七海と陽葵をご指名だった。2人は22時少し前に指定された扉を開いた。中はJSPFの一般的な調教室と同じ間取りで、赤いボンデージに身を包んでアイマスクを着けた例のサディスティンが足を組んでベッドの端に座っていた。

    「ひっ……!」

    陽葵は小さく悲鳴を上げた。陽葵はこのサディスティンに指名されたことは未だなかったが、他のサディスティンの指名は何度か受けていたため、サディスティンの多くが男たち以上に苛烈な虐待を加えてくることを知っている。もう身体は限界なのに、これからさらに酷い目に遭うのかと思うと、陽葵は軽い目眩に襲われ、その場に倒れそうになった。

    「…………」

    七海は全く別のことを考えていた。やっぱり……そうだったんだ。

    「佐渡先生…… ですよね?」

    「…………へぇ。よくわかったわね」

    サディスティン、否、佐渡はアイマスクとウィッグを外した。見慣れた顔がそこにあった。

    「…………え? えええっ!? マジぃっ!!?」

    陽葵は一瞬ポカンとし、それから驚愕の声を上げた。眠気が一気に消し飛んだ。

    「いつ気づいたの?」

    「さっき、教室で、です。教室の後ろにいましたよね」

    「そうね」

    「私、さっき陽葵と、佐渡先生はグルなんじゃないかって話をしてた時に、あなたがご主人様と堀田様の間にいることに気づいたんです。そして、よく考えたら佐渡先生に声も体格もそっくりだった……!」

    「…………」

    「そしたら、あなたがご主人様と堀田様と目を交わして、ニヤッと笑って…… それで私、確信したんです」

    「ふふっ…… あなた本当に賢いのね。テストの成績は可もなく不可もなくって感じだったのに」

    「グルだったんですね」

    「ええ、そうよ? 因みにペロの調教映像を飯森様に渡していたのも私。1-Aの教室にカメラを仕掛けて盗撮した映像を理事長に渡したのも、あなたが変な行動を取らないか見張っていたのも、理事長の指示に従ってあなたの退学手続きを処理したのも、拉致に向けて陽葵と今日子の身辺を調査したのも、みんな私」

    「…………」

    ……最低。ほんと最っ低! 優しくて美人で……素敵な先生だと思ってた。先生の教える国語の授業はとても面白くて大好きだった。助けて欲しいと、実の伯父に酷い目に遭わされていると、何度先生に相談しようと思ったことだろう。 ……まさかこんな最低の人間だったなんて!

    七海は沈黙したまま目に涙を浮かべて佐渡を睨みつけた。本当なら口汚く罵って、頬を思いっきり引っ叩いてやりたかった。でも、できない。奴隷がお客様にそんなことしちゃ、ダメ。でも…… でもっ!

    陽葵も驚愕していた。授業なんてテキトーに聞き流していたし、1学期末の国語のテストも確か14点だったけれど、担任の佐渡先生のことは嫌いじゃなかった。まさかアタシとママのことを調べてただなんて! 教室を盗撮したり七海を監視したり、そんな酷いことをする人だったなんて!!

    「なんで……こんなことするんですか?」

    「そりゃ、仕事だからでしょ」

    「学園の生徒を監禁して堀田理事長の調教を手伝ったり、ここに連れてきて奴隷にしたり…… 私たち以外にもそういう酷いこと、してきたんですか」

    「その通りよ」

    「なんで……」

    「それを聞いてどうするわけ?」

    「…………あ」

    「……ん?」

    「そうか。あなたも堀田理事長の奴隷……なんじゃないですか?」

    「…………」

    「だから理事長の命令通りに動いてるんだ……。違いますか?」

    「いや〜、まいったなぁ。ほんとに賢いね、七海……」

    「そうなんですね。だったらなんで…… なんで私たちに酷いことするんですか! おんなじ奴隷じゃないですか! 私たちの気持ち、わかりますよね!? なんで………… ひっ!」

    七海は言葉を詰まらせた。獲物を見つけた肉食獣のような恐ろしい形相でこちらを睨んでいる……!

    「ふふっ…… いいわ。特別に教えてあげる。私もね、高1の時にご主人様の…… 堀田理事長の調教を受けたの。陽葵と同じってわけ。ご主人様に目を付けられて学園内に監禁されて調教されて、ここに売り飛ばされた。もう15年も前の話よ。それからの1年間は地獄だったわ…… 私の前歯、半分くらい入れ歯だしね」

    「…………」

    「でもね、ある日気づいちゃったのよ。とあるお客様に鞭を渡されて、他の奴隷を打つよう命令された。あの時の快感は今でも覚えてるわ。柔肌を鞭で打ちのめす感覚、赤く腫れ上がった肌、乾いた鞭音と奴隷の甲高い悲鳴……! その時に私、サドに目覚めたの」

    「…………」

    「それから色々あってご主人様に、堀田様に身請けされて個人奴隷となり、学園の教師となって理事長の影の補佐役になった。以来学園の生徒を何人もここに送り込んできたわ…… 初等部、中等部、高等部、大学…… 何人も何人も。陽葵、沙弥香さやか、梢、真弓まゆみ一夏いちか妙子たえこ、 ……ポチ」

    「ポチ!!?」

    「そ。確か中等部の入学式の日にご主人様が見初めたのよ。で、私が色々調べて、ご主人様があの子を監禁して調教してここに売り飛ばしたの。しばらくは大人しく奴隷やってたんだけど、ある時逃げ出しちゃってね……。まあ、ペロみたいにずっと反抗的な態度を取り続けて、ちんぽ噛みまくってたわけじゃないから、危険な薬物は打たれなかったけど。でもあの娘、イラマが苦手だったから歯はもう1本も残ってないし、乳首もクリも舌も伸ばされまくって、ケツの穴もぶっ壊れてて…… ふふっ、見た目はペロとあんまり変わらないわね」

    「…………」(何が可笑しいのよ……! なんで笑えるの!? 同じ奴隷なのに!!)

    「…………」(ポチ…… あの子もアタシとおんなじだったんだ…… アタシも逃げたらあの子みたいになるんだ……)

    「さて…… 昔話はおしまい。そろそろ調教に入ろうかしら」

    「「…………」」

    「ふふっ、最初の命令よ。調教が終わるまで私のことは「先生」と呼びなさい」

    (……最低)

    「ほら、とっとと土下座なさい。そして靴を舐めて挨拶するのよ、木下さん、仁科さん」

    「くっ!」

    七海は腹立たしかった。この女に最初に指名された時も、同性に調教される屈辱に涙したが、あの時とは比較にならないほどの激しい怒りが七海を支配していた。顔が真っ赤に紅潮し、身体が細かく震え出す。好きだった先生に裏切られたことへの憤怒。ポチを含め何人もの生徒を長年陥れてきたことに対する義憤。サディスティンならともかく、同じ奴隷の女に跪かねばならい屈辱。様々な怒りの感情が七海の中で燃え盛り、今にも爆発してしまいそうだった。

    でもダメ。怒っちゃダメ! それじゃああの日と同じだ。主人である飯森に直接叛逆するのに比べれば、罪は軽いかもしれないけど、お客様に逆らったらご主人様の顔に泥を塗ることになっちゃう。そしたらこの女だけでなくご主人様にもお仕置きされる。この最低な女のせいでご主人様にお仕置きされるなんて、そんなの絶対…… 絶っ対イヤっ!! でも! でもっ!! なんでこんな最低なヤツに土下座しなきゃなんないの!? 靴を舐めて、調教してくれって、酷いことしてくださいって…… ふ…… ふ……

    「ざけんなぁっ!!!!」

    キレたのは七海ではなく、隣にいた陽葵だった。七海以上に顔を真っ赤にし、全身をワナワナと震わせながら、疲労も眠気も全て忘れて絶叫した。

    「あんた、奴隷なんでしょ!? アタシやママとおんなじ! 学校でもここでも、アタシが毎日どんな気持ちで過ごしてるか、わかるでしょっ!? なのになんでっ!? なんでっ!!? なんでアタシを…… ママを…… こんな……っ!!」

    涙が溢れ、それと同時にあらゆる負の感情が溢れ出る。過呼吸になって言葉がうまく出てこない。 ……奴隷にとってご主人様の命令は絶対。それはわかる。堀田理事長の命令に従って自分と母を陥れた。教師の立場を利用して。百歩譲って、ご主人様に逆らえないから嫌々やったっていうのなら、まだ許せる。でもなに!? コイツの顔! 笑ってる! 楽しんでやってる! 奴隷のくせに!! アタシとおんなじ奴隷のくせに……!!!

    「…………」

    七海もまた言葉が出てこなかった。佐渡に逆らったら陽葵は酷いお仕置きを受ける。堀田からも罰を受けるだろう。恋人がそんな目に遭うのを黙って見てるなんてできない。止めなきゃ! 今すぐ止めなきゃ!! ……でも。陽葵の怒りは七海の怒りだ。七海が言えなかったことを陽葵は代弁してくれている。なら、陽葵と一緒に佐渡に立ち向かうのが、人間として正しい在り方なんじゃないだろうか。陽葵を止めるっていうことは、私も佐渡の側に立つっていうことなんじゃあ……。愛する人を裏切って最低な女の味方をするの? そんな最低な人間なの!? 私っ!!!

    (…………そうか)

    七海はあの日を思い出していた。眠っている間に全ての歯を抜き取られて、飯森への怒りが爆発したあの日。陽葵はあの日の自分なんだ。そして、私はあの日のおねえちゃん……。きっとおねえちゃんも今の私と同じことを考えてたに違いない。ご主人様に逆らっちゃダメって。でも言えなくて。私に同調してくれて。一緒に闘ってくれて。結果、おねえちゃんは左目を失い、私はおねえちゃんに焼き鏝を捺してご主人様に絶対服従を誓った。

    このままじゃダメ。同じことになる。陽葵のためなら正直片目を失ったって構わないけれど、そんなことになったら陽葵が悲しむ。陽葵が傷つく。それだけは絶対ダメ。人間としての正しい在り方なんてここでは意味ない。だって私はもう人間じゃないんだから。奴隷なんだから。でも奴隷にだってできることはある。守る。陽葵を、愛する人を守るんだ! 今度こそ間違えるな、私っ!!

    「陽葵っ!!」

    「えっ!? なな……うぷっ!!?」

    七海はいきなり陽葵を抱き締めた。そして唇に唇を重ねて有無を言わさず言葉を奪う。

    「ううん! ぶぷっ! むぅん!!」

    陽葵はしばらくもがいていたが、七海の突然の行動に、怒りの感情が驚きで上書きされたのか、次第に大人しくなっていった。七海はさらに数十秒間口付けを続けた後、そっと陽葵から離れた。そして彼女の両手を握りしめ、目を見ながら話し始めた。

    「ダメ。怒っちゃダメ、陽葵」

    「七海……」

    不服そうな顔の陽葵。

    「ごめんね。こんなの裏切りだよね。先生と変わらないよね。私も一緒に怒りたい。できるなら今すぐこの女の首を絞めて、殺してやりたいよ……」

    「ふふっ……」(どうなるか、見ものね……)

    「でもね? そんなことしたら大変なことになる。陽葵も私も……」

    七海は叛逆事件の顛末をかいつまんで話した。 ……陽葵は絶句した。陽葵も光希の左目のことは気になっていたが、本人や七海には聞きづらかった。光希が逃亡した時に目にも重傷を負ったのだと思っていた。まさか七海と再会する少し前に、そんな恐ろしいことが起きていたなんて……!!

    「そんなことが……」

    「うん。だからね? 絶対逆らっちゃダメ」

    「…………」

    「土下座してお客様の足を舐めながら挨拶するなんて、いつもやってることでしょ?」

    「だって……」

    「相手が先生だろうと変わらないよ」

    「…………」

    「陽葵、昨日から寝てないんでしょ? このままだと今夜も壁の中に埋められちゃうよ…… そんなんヤでしょ?」

    「……うん」

    「大丈夫。私も一緒だから。一緒に佐渡先生にイジメられよ? ね?」

    「……………………わかった」

    「ありがと、陽葵 ……ちゅっ」

    七海は陽葵の頬に軽く口を付けた。そして小さく笑った。 ……その笑顔に、陽葵は思わず見とれてしまった。あの蠱惑的な表情でも、幸せの絶頂にある表情でもない。誠実で真摯で優しげで…… なんて素敵な笑顔なんだろう。

    陽葵は、学校での木下七海を根暗なコミュ障だと思っていた。実際には友人も数人いて、七海は根暗でもコミュ障でもなかったのだが、人見知りする性格だったのは事実であるし、不良グループに属していた隣席の陽葵とどう接していいのかわからず、言葉少なになっていたのを陽葵が勝手にコミュ障だと決め付けていたのである。

    それがどうだ。先程の教室でも、今も。七海は飯森や佐渡の不興を買うのを承知で、恐怖や憎悪の袋小路に迷い込んでいた陽葵を正しい方向に導いてくれた。相手の目を見て、誠実な言葉で、最高の笑顔で。これじゃ、先生の前で何も言えなくなっちゃったアタシの方がよっぽどコミュ障じゃん。

    そう。佐渡先生が何者だろうと、そんなこと関係ないんだ。アタシは奴隷で、お客様に奉仕するのが全て。大好きな恋人の七海と一緒にお客様に奉仕する。先生に奉仕する。それだけ。怒るようなことじゃなかったんだ。 ……ありがと、七海。なんか吹っ切れたよ。いつも助けてもらってばかりだね。いつかお返ししなきゃね。愛してるよ。

    「ありがと、七海。ちゅっ」

    陽葵もまた七海の頬に軽く口付けすると、七海に笑顔を見せた。そして、七海よりも先に自ら床に土下座し、佐渡の足元の床に額をこすり付けた。

    「先生、ごめんなさい。アタシ、気が動転しちゃって…… 奴隷のくせに先生に酷いこと言っちゃいました。すみませんでした。何でも言うこと聞くから許してください、先生」

    七海が先に謝るんじゃダメ。七海の真似してちゃダメ。七海は悪くないんだから。悪いのはアタシなんだから。謝らなきゃ。そして……

    「ぺろっ れろっ 先生…… アタシのこと…… しつけてください…… ちゅぷ 学校で悪いことばっかしてたアタシのこと、お仕置きしてください…… ぺろっ」

    「…………」(陽葵……)

    七海は複雑な心境だった。取り敢えず陽葵が怒りを鎮めて先生に謝ってくれた。あの日の自分たちのようなことにならずに済んで心底ホッとしていた。でも……。あの時、勝手に抜歯されて怒り狂っていた時、姉が今日の七海のようなことを言い出していたら、果たして自分は素直に受け入れていただろうか。

    わかっている。あの時と今回とでは状況が違う。陽葵が説得に応じたのは、あの叛逆事件の結末を知ったからだ。あの時は叛逆したらどうなるか、自分も姉もわかっていなかった。そんな状況で姉が説得してきたら……。多分受け入れていなかった。姉の説得を裏切り行為だと罵り、姉のことを軽蔑し憎悪したかもしれない。そうしたらどうなっていたのだろう。七海1人怒り狂ったまま、主人に片目を潰されていただろうか。それとも、最後にはやはり姉が味方になってくれて、姉の方が片目を失っていただろうか。わからない。今更考えたところで姉の左目はもう二度と元には戻らない。私がすべきことは過去の選択をくよくよ思い悩むことじゃない。陽葵や自分が片目を潰されることのないよう、過去の教訓を今に活かす。それだけ……

    姉が今後も健在ならば、それで全て良しなのかもしれない。だが、姉の命の灯(トモシビ)は消えかけている。片目どころか命そのものが失われようとしているのだ。そう思うと、切なくて堪らなかった。七海は、最愛の姉が自らの左目を犠牲にして最愛の恋人を守ってくれたような気がした。命そのものを犠牲にして妹の自分を守ってくれているような気がした。泣きたくて仕方がなかった。今すぐメス犬区画9号室へ行って、瀕死の姉を抱き締めて大泣きしたかった。でも今はそんなことをしてる場合じゃない。おねえちゃんの想いを無駄にしちゃダメ。奴隷としての務めを果たさなきゃ。

    七海は陽葵の隣に額ずくと、陽葵と一緒に佐渡の足を舐めながら言うのだった。

    「先生。佐渡先生。れろっ 私…… 私たち、先生のおかげで奴隷になれました。でもまだまだ未熟です。国語よりもっと大切なこと…… たくさん教えてください。私たちの身体に刻み込んでください。先生……!」

     

    ……佐渡は感服していた。まただ。先程の教室に続いて、七海はいともたやすく陽葵を憎悪の沼から引っ張り上げてしまった。なんて子だろう。昨年の1学期は全然こんな感じじゃなかったのに。

    そして思った。15年前。サドに目覚める前。奴隷として地獄の調教を受けていたあの頃。あの頃の自分にも七海のような強く優しい親友が…… 恋人が一緒にいてくれていたら、その後の人生は変わっていたんだろうか……?

    高1の1学期のある日、佐渡はクラスのとある女子に恋愛感情を持っている自分に気づいた。ショックだった。自分がレズビアンだったなんて。同性の女の子を好きになるなんて! 中学では全然そんなことなかったのに! その気持ちは日に日に高まり、佐渡はいつしかその女子に告白したいと思うようになった。恋仲になりたかった。 ……でもできなかった。勇気が持てなかった。拒絶されたら、気持ち悪がられたらどうしよう。噂好きな子だし、クラス中に私がレズだって触れ回ったらどうしよう。悶々としたまま1学期が終わり、2学期も半ばに差し掛かったある日、目が覚めたら佐渡は堀田の調教室にいた。

    それから地獄の1年を過ごし、男と肌を合わせ、男に奉仕することにもすっかり慣れたが、他の奴隷を痛め付けるよう命令された時に全てが変わった。サドに目覚めた。というより、サドになれば奴隷の女の子たちとレズプレイできることに気づいたのだ。JSPFでもトップレベルに残忍なサディスティンの誕生であった。

    だが、自分と似た境遇の陽葵が、同じく奴隷の七海に愛の告白をし、相思相愛の強い絆で結ばれたのを先刻目の当たりにして、佐渡は複雑な思いだった。自分もあの子に告白していたら、どうなっていただろう。キスからセックスに発展して、ディルドーで処女膜を破ってしまうような関係にまでなっていたら、処女でなくなった自分に堀田は目を付けていただろうか。或いはJSPFに連れて来られて以降に、七海のような素敵な恋人ができていたら、レズセックスし放題の毎日を送っていたら、果たして自分はサディスティンになっていただろうか。

    今となってはわからない。佐渡は今の生活に満足している。奴隷の女の子をいたぶるためなら喜んで男にも奉仕するし、堀田の指示にも従う。問題は、ないはずだ。なのに、どこかモヤモヤしてしまうのは何故だろう。喉の奥に魚の小骨が刺さったような違和感が、午後からずっと続いているのは何故?

    ……そんなのわかりきってる。これは嫉妬だ。自分と同じ境遇にありながら、七海という最高のパートナーを得ることができた陽葵に嫉妬しているのだ。

    自分も何度絶望の渦に飲まれただろう。だが自分には相談できる奴隷仲間がおらず、暗闇から笑顔で救い出してくれる親友も恋人もいなかった。ただひたすらに孤独と暴虐に耐え続けた。毎日毎日心が壊れる寸前まで追い込まれ、それでもなんとか耐えて耐えて、歯も10本近く失って、1年後にはようやく一人前の奴隷になることができた。それまでのあの地獄の日々……!!

    なのに陽葵は、この小娘は、ここに来てまだ3ヶ月にも満たないというのに、1本も歯を失っていないのに、最愛の恋人ができて、母親もいて、姉みたいに慕うペロや玲香がいて…… 同じ境遇なのに、なんでこんなに違うわけ? なんでこんな幸せそうな顔ができるわけ? 自分はあんなに大変だったのに。1人で悩み抜いて耐え抜いて苦しみ抜いてきたのに。なんで? なんでっ!? 羨ましい! 妬ましい! むかつくっ!! ……教師にあるまじき黒い感情が体内にどんどん蓄積されていく。

     

    七海は佐渡の靴を舐めながら、室内の空気が変わったのを肌で感じていた。さっきまで饒舌に語っていたのに、急に黙ってしまった佐渡。足が細かく震えている。 ……どうしたんだろう? そう思って七海は佐渡の顔を見上げ、そして思わず身震いした。恐ろしい形相で陽葵を凝視していた。先程のような肉食獣のそれではない。黒い感情に支配された悪鬼のようだ。な、なんでこんな顔してるの? 陽葵、何か怒らすようなこと言った……?

    佐渡は、七海が怯えた表情でこちらを窺っているのに気づき、我に返った。取り敢えず黒い感情を胸の中にしまい込む。が、一度その存在に気づいてしまった以上、もはや忘れることはできない。佐渡は2人から顔を逸らすように顔を上げ、そして時計を見た。もう30分が経過していた。あと20分。たった20分でこの黒い感情を陽葵にぶつけ切るなど到底不可能だ。それにここには七海がいる。できれば七海はいない方がいい。どれだけ陽葵を追い詰めても、七海ならやすやすと彼女を救ってしまうだろうから。今日は適当に切り上げて、後日改めて陽葵を単独指名しよう。そして…………

    佐渡はペニスバンドを装着し、机の上に七海を寝かせて彼女の膣を正常位で犯した。と同時に、陽葵に足の下で仰向けになって待機するよう命じ、この時間のために3日間溜め込んできた糞便を思いっきりぶち撒けた。奴隷調教時代に拡張された彼女の肛門からは極太の一本糞がひり出され、陽葵の顔の上にトグロを巻いていく。陽葵は嫌々ながらも糞便を少しずつ噛み砕き、嘔吐することなく胃袋へと送っていった。が、あまりにも量が多いため20分で食べきることはできなかった。

    「うぶぇっ!!?」

    佐渡は七海をイかせ、自分も絶頂した上で机に座り、ハイヒールで糞まみれの陽葵の顔をグイグイと踏んでいく。さらに、糞便がたっぷり付いたヒール(踵)を陽葵の鼻の穴に突っ込んでグリグリと掻き回していった。

    「いっ! いたっ! くしゃいっ! 痛っ!!」

    「これっぽっちのウンコ食べるのに20分以上もかかるなんてありえないでしょ。お仕置きよお仕置き」

    「ご、ごべんなざい…… 先生…… ぐぷっ ごくんっ」

    「50分経っちゃったけど、全部食べ切るまで延長よ。そうね…… あと3分で食べ切れなかったら壁尻部屋でもう一晩過ごしてもらおうかしら」

    「しょ……しょんな…… あむっ んぐっ」

    「陽葵っ……!」

    「木下さんは手伝っちゃダメよ? これくらいの量でもたつくなんて奴隷失格。あなただって奴隷生活長いんだから、それくらいわかるでしょう?」

    「……はい」

    「靴が汚れちゃったわ。木下さん、頼める?」

    「はい、先生」

    「良い返事よ、木下さん」

    「ぴちゅ れろっ にゅぷ ずちゅ」

    佐渡は、陽葵の顔の上10cmくらいのところで、七海にハイヒールの汚れを掃除させた。七海は陽葵のすぐ横に這いつくばって、手を使わずに舌だけでハイヒールに付いた糞便を舐め取っていく。七海は1分もかからないうちに掃除を終え、陽葵は残り16秒のところで佐渡の糞便を食べ切った。

    「先生、ごちそうさまでした。げぅっ! 口便器、使ってくれてありがとうございました…… うっぷ!」

    「ふん。じゃあ、またね。仁科さん」

    そう言うと佐渡は帰っていった。

    「陽葵っ! 大丈夫っ!?」

    「うん、大丈夫。ちょっと食べるのに時間かかっちゃっただけ…… げぷっ!」

    「そっか……」

    「これくらいで済んでよかったよね……」

    「……だね」

    「んあ〜! もうダメ! 鼻ん中ウンチまみれ〜! くっさ〜!! シャワーシャワーっ!!!」

    七海は、先生の態度がどこか腑に落ちなかった。あの鬼の形相はいったい何だったんだろう。その後の責めも、いつもに比べれば大したことなかったし、先生は七海を犯している間も心ここに在らずといった感じだった。そして去り際、「またね、仁科さん」と言った。なんで私の名前は呼ばれなかったんだろ? 陽葵だけ、また指名するってことだよね? ……大丈夫かな。あんな怖い顔してたけど…………

    七海はもっと考えようとしたが、限界だった。ヨロヨロとシャワー室に向かい、陽葵と一緒に汚れをザッと落とす。陽葵は、鼻の穴を洗い湯をがぶ飲みし、糞便臭が消えたところで力尽きた。2人とも髪も乾かさずにベッドに直行する。陽葵のベッドは世話係用の部屋にあるのだが、陽葵はなんとなく七海に従いていき、七海のベッドに2人同時に倒れ込んだ。恋人同士のピロートークなどする間もなく、倒れ込んだ瞬間に意識を手放した。

     

    …………崩壊が始まろうとしていた。

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第8章 – 運命

    📂投稿グループ📎タグ

    I:773号室

     

    5日後、七海は目を覚ました。寝ぼけまなこで周囲を見渡す。知らない天井、知らない壁、知らないベッド。89号室とも療養室とも異なる知らない部屋。ここ、どこ……?

    取り敢えず起き上がってみようと腹筋に力を入れた時、違和感に気づいた。お腹の方を見て思い出した。そうだ、私、出産したんだ。赤ちゃんを産んで、その後も酷いことされて…… えっと…………

    「美海っ!!!!」

    七海はガバッと飛び起きると、布団を無造作に撥ね退け、ベッドから降りて歩き出した。 ……身体が軽い。お腹に赤ちゃんがいないとこんなにも身体が軽いのか。七海は部屋の中を歩き回り、美海がいないとわかるとドアを開けて外に出た。鍵はかかっていなかった。勝手に部屋の外に出たら脱走したと見做されるかもしれないと一瞬考えたが、美海が心配で、いても立ってもいられなかった。

    ドアの外も部屋であった。ソファーや大きなモニターなどが置かれていて、どうやらリビングのようだ。リビングには沢山のドアあり、七海は片っ端から開けていく。調教部屋が複数、キッチン、ダイニング、風呂、トイレ、空の部屋、物置、拷問室……。色々な部屋がある。が、誰もいない。美海もいない。ここはいったいどこだろう。JSPFの施設内だとは思うが、未だかつてこんな所に来たこともない。男性客用の部屋だろうか。それにしても広すぎるが…… スイートルームというヤツだろうか? VIP客がここに泊まって、調教部屋や拷問室で奴隷たちをいたぶるんだろうか? それにしては内装が簡素で殺風景な感じだが…… でもなんで私がスイートルームなんかにいるんだろ??

    疑問に思いながら尚も美海を探していると、玄関らしいドアを見つけた。鍵がかかっている。見慣れた虹彩認証の端末があったので顔をかざしてみるが反応はない。このドアの向こうが、七海がこれまで生活してきたエリアだろうか。なんでこんな所にいるんだろう。美海はどこにいるんだろう…… ご主人様は私が育てていいって言ってくれたけど…… まさか養育施設に送られちゃったなんてこと、ないよね!? 会いたい。会いたい。美海に会いたいっ!

     

    ……新生児室にいた飯森のスマホが鳴った。七海の体内には各種センサーを搭載したマイクロチップが埋め込まれており、七海が起きたら鳴るように予めセットしておいたのだ。

    公開出産ショーの後、奴隷は数日間の休養に入る。出産は母体にとってかなりの負担がかかる。しかも産前産後に長時間の輪姦まで行うのだ。処置を行わずに放置すれば高確率で死亡してしまうほど、奴隷は生死の境ギリギリまで身体を消耗させられる。そこで産後数日間は睡眠薬と点滴が投与されて療養室で静養する決まりになっているのである。

    JSPFの奴隷の場合、産まれた子供は母親が寝ている間に養育施設へと送られ、母子が会うことは二度とないわけだが、七海は違う。育児は七海自身が行うことになっている。かと言って七海がこれまで寝起きしてきた89号室には育児を行うスペースはないし、周辺に育児スペースを設けたとしても、子育てを諦めた他の出産済み奴隷たちの前で七海に子育てを行わせれば、七海にとっても奴隷たちにとっても良くない結果となるのは明白だ。

    そこで飯森はJSPF幹部の堀田に頼んで七海専用の部屋を作ることにした。通称は「七海」をもじった「773号室」。奴隷居住区から遠い場所にある、使っていない大部屋をパーティションで細かく区切って、調教部屋や育児室、水回り設備等を設け、七海をそこに軟禁するのだ。大人気の七海の部屋ということで、多くの客から潤沢な寄付が集まり、趣向を凝らした調教部屋が幾つも作られた。そして産後の処置を終えた七海は寝室兼育児室で眠りに就き、先程目覚めたというわけである。

    ……玲香は飯森から連絡を受けて新生児室へと向かった。玲香はペロやポチの世話を含め雑用係を昨日で終了し、今日からは七海専属の世話係となる。773号室の一角で寝起きし、美海の育児サポートと各調教部屋の清掃をこなしながら、合間合間に客の相手もせねばならない。妹のような七海と四六時中一緒にいられるのは嬉しいが、七海の主人はあの飯森であるし、七海を気に入っている客の中には堀田を始め酷虐な客が幾人もいる。ペロやポチのことも気になる。これからの生活がどのようなものになるのか見当も付かず、玲香は不安を抱えたまま新生児室へと急いだ。

    新生児室で飯森から再度説明を受けると、玲香は美海を抱っこして、飯森とともに七海の部屋へと向かった。道中、玲香は自分の胸が張ってくるのを感じていた。息子を産んで1年半。息子は玲香が寝ている間にいなくなってしまったが、母乳はまだまだ出る時期なのだ。1年前に第2子を妊娠し、数カ月後に流産してからは母乳の出が悪くなり、最近では殆ど出ていなかったが、赤ちゃんを抱いたことで眠っていた母性本能が目覚めたらしい。

    「…………」

    玲香は切なかった。息子に、名前も知らないたった1人の自分の息子に、このお乳をあげたかった。七海のように自分で我が子を育てたかった。 ……1歳半になった息子は今頃どうしているだろう。今後どうなるのだろう。お乳がまた出るようになったところで、息子には飲ませてあげられない。会うことすらできない。これを飲んでいいのは男たちだけ。薄汚い口に黄ばんだ歯の男たちが乱暴にしゃぶりついてチューチュー吸っていくだけ。悲しい…… 会いたい…… 息子に会いたい…… お乳、飲ませてあげたいよ…… せめて美海ちゃんに…… 美海ちゃんにお乳、あげたい……

    玲香は飯森に気づかれないよう静かに涙を流しながら、ゆっくりと飯森の後に従いていった。

     

    ……七海は未だ玄関前にいた。あれからもう一度各部屋を隅々まで探し回り、悪趣味な調教部屋の数々に辟易した後、最初に寝ていた部屋に戻ったものの横になる気になれず、再び玄関前まで来て虹彩認証の端末をいじっているうちにドアが開いた。

    「おはよう、七海」

    唐突に開いたドアの向こうには、珍しく服を着た飯森が立っていた。

    「あ、ご主人様…… おはようござい……!!」

    七海は挨拶をしようとして、飯森の後ろに玲香が全裸で立っているのに気づいた。玲香に抱っこされているのは……

    「美海っ!!!!」

    もう美海しか見えなかった。七海は玲香の前に飛び出し、玲香から美海をそっと受け取った。

    「ああ、美海っ! 美海っ!!」

    七海は涙を流しながら美海を抱き締めると、優しく頬ずりした。体温が優しく温かい。ああ、やっと会えた。なんて可愛いんだろう。私の子。私の子……!

    「ぅぅぅぅぅぅふあぁああああぁああああああああああああん!!!!」

    「え、ええっと…… えっと……っ!」

    気持ちよく眠っていたのを急に起こされたからか、美海は大きな声で泣き始めた。動揺する七海。

    「ほら、中に入るぞ。うるさくてかなわん」

    飯森がそう言うと、七海は自分が廊下にいたことに気づき、慌てて部屋の中に戻った。玲香も中に入り、飯森がドアを閉める。玲香は物置からベビーベッドを持ってくると、育児室の一角に置いた。

    「そこに美海を置け」

    「…………」

    七海は渋々ベビーベッドに美海を寝かせた。しばらくすると美海は泣き止み、すぐに眠ってしまった。

    「やれやれ…… それでは七海。今後について話すからよく聞いておけ。玲香もな」

     

    II:運命

     

    「今日はお前に大事な話がある」

    ……それは773号室での生活が始まって8日目の朝のことだった。

     

    育児と調教の両立は、七海が思ったよりも遥かに大変だったが、玲香の献身的なサポートもあって、七海はどうにか日々の調教をこなしていた。臨月中は控えられていた過酷な調教が復活したため、七海の身体は再び鞭痕で覆い尽くされ、スカトロ調教なども以前よりさらに過激になっていった。

    それでも、美海を抱き上げ、あやしているうちに疲れは吹き飛んでしまう。牛の乳搾りのように自分の手で肥大化乳首を握って母乳を搾り出し、飛び散った母乳をかき集めて哺乳瓶に移し替える作業は今でも悲しくて堪らないし、飯森や男たちが横でニヤニヤ見ていると腹が立ったが、美海が美味しそうに母乳を飲んでいる姿を見ると、言いようのない喜びと幸せを感じるのだった。

    午前中は以前と同じく飯森の調教を受けたが、メス犬区画へ行くこともなく、七海は出産後ペロと未だ一度も会えていなかった。七海はそれが気がかりだったが、調教と育児で休む時のない七海に、ペロのことを考える余裕は全くなかった。

     

    今朝も玄関の前で土下座して飯森を迎え、寝室兼育児室にて、玲香が美海をあやしながら七海が朝イチの歯茎奉仕を終えたところだった。玄関でブザーが鳴り、女医が入ってきた。七海は、意外な人物の来訪にキョトンとし、美海か自分の定期検診かと思った。それ故に、飯森が次に言った言葉を、七海は当初理解できなかった。

    「ペロの身体は2ヶ月後に限界を迎える」

    「……………………??」

    「…………!!」

    玲香はすぐに理解した。昨秋、ペロとポチの世話を命じられた時に、ペロは胸や股間に危険な薬物を過剰に投与されており、寿命はそれほど長くないと聞いていたからだ。が、80歳の寿命が40歳くらいに縮まったんだと思っていた。その日1日を生き抜くことに必死で、数十年先のことなんてとてもじゃないが考える余裕などなかった。まさか…… まさかこんなに短かったなんて……!!

    玲香は、美海がベビーベッドの中で眠っているのを確認してから、七海の方を振り返った。せっかく新しい生活にも慣れ始めていたのに。初めての育児はわからないことの連続だったし、各調教部屋の掃除も大変だった。男たちに奉仕する時間は雑用係をしていた頃よりも格段に増えた。

    それでも七海との会話が増えたことは嬉しかったし、七海と一緒に試行錯誤しながら子育てをするのは充実した時間だった。七海は、自身が調教を受けている間は、玲香が美海に直接授乳してほしいと言ってくれた。直接授乳できない乳首に改造されてさぞ悲しいだろうに、息子と生き別れた玲香のことを七海は気にかけてくれるのだ。最初に美海にお乳をあげた時、あまりに嬉しくて悲しくて玲香は七海の前で大泣きしてしまった。そんな時も、七海は少し困った顔で優しく微笑んでくれた。私も頑張ろうと思った。七海の笑顔と美海を守るために。頑張っていたのだ。なのに…… なのに!

    ペロが…… 光希が限界を迎える。つまり死ぬ。半年以上ずっと世話してきた光希が。七海が誰よりも愛するたった1人の姉が! 玲香は知っている。七海が如何に深く光希を愛しているか。依存しているか。心の支えにしているか。その支えを失ってしまったら…… 七海はどうなってしまうんだろう。ダメ…… 怖くて考えられない! でも…… でもっ! 私が…… 私が七海を支えなきゃ……!!

    「ペロは脱走未遂と度重なる反抗・奉仕拒否の罪で手足と歯を失ったわけだが、その際に規則で乳首とクリトリスに違法薬物を大量に投与されてな…… お前に使ったような安全な薬ではなく劇薬だ。さらに薬物の投与は続き、クリは今や長さ30cmを超えている。知ってるだろ? ……もう限界なんだ」

    「…………」

    「市川…… 検査結果が昨日出たんだろ?」

    「はい。ペロは妊娠機能を既に喪失しています。それとここ1週間ほど下痢が続いていて、体重が落ち始めています。つまり生殖系や消化器系の臓器に多数障害が出始めています。 ……余命2ヶ月です」

    「……ということだ」

    「…………」

    七海は飯森と女医の話を黙って聞いていた。みるみる血の気が引いていく。目が限界まで見開かれ、歯茎が震え、脈拍が跳ね上がる。

    おねえちゃんが限界ってどういうこと? 余命2ヶ月ってどういうことっ!? 冗談でしょっ!!? ……でも、わかる。いつになく真剣なご主人様の目。淡々と検査結果を話すお医者さん。強張った表情の玲香さん。冗談なんかじゃない。本当なんだ。おねえちゃん、し、死んじゃうんだ……っ!!!!

    「ぁぁあぁああぁぁあああぁあぁああぁぁぁ…………」

    七海が小さな声でうめき始めた。そして次の瞬間……

    「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!! いやだあっ!! そんなんいやだああっ!! おねえちゃんっ!!! おねえちゃ

    んっ!!!! うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    七海は絶叫した。「おねえちゃん」と呼ぶのを禁止されていることなど頭から完全に抜け去っていた。

    「ほぎゃああああああああああああっ!!!!」

    突然の大声に飛び起きた美海が、これまた大声で泣き出した。狭い室内に母娘の泣き声がこだまする。

    その時、玲香が動いた。鼓膜が破れそうなほどの大絶叫に怯むことなく七海の元に駆け寄り、肩を掴んだ。

    「七海っ! 七海っ!! しっかりっ!!!」

    「あああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    「しっかりしなさいっ!!」

    パシンッ!!

    玲香が七海の頬を強くビンタする。

    「れいかさん……! おねえちゃんが! おねえちゃんがっ!! うあぁああぁあああ…………」

    一旦泣き止んだと思った七海が再び泣き始めそうになったので、玲香は七海を強く抱き締めた。 ……玲香の目にも涙が溢れていた。

    「しっかりして、七海。 ねっ? 落ち着いて……」

    「玲香さん…… ひくっ」

    「飯森様…… さっきの話は本当……なんですね?」

    「ああ」

    「おねえちゃ……」

    「あの…… 飯森様にお願いがあります」

    「なんだ?」

    「光希を…… ペロを…… ここに連れてきていただけませんか? あと、できれば陽葵ちゃんと今日子さんも……」

    「わかった」

    飯森はスマホを取り出すと裏沢に連絡を取った。 ……七海の反応も想定内なら、玲香の反応も期待通りだ。今日の午前中は仁科母娘の調教は、堀田と事前に打ち合わせをして中止にしてある。玲香が言い出さなければ飯森が彼女らを呼ぶ予定だったが、ここは玲香に任せた方がいいだろう。

    玲香は、一旦七海の側を離れると、泣き喚く美海をあやして寝付かせ、再び七海のもとに戻って強く抱き締めた。

    「あんまり泣いてばっかだと美海ちゃんが心配するよ? ね?」

    「あぅぅぅ…… ひっく…… 美海ぅ……」

    「しっかりしなきゃ。ね? お母さん」

    「ぐすっ……」

     

    数分後に陽葵と今日子が、その直後に裏沢が七海の部屋に現れた。キャリーケースの中から糞便臭とともにペロが姿を表す。ケースの中はこれまで以上に下痢便でまみれ、ペロは七海の出産の日に比べ明らかに痩せていた。その姿を見て、玲香も陽葵も今日子も、七海も、皆事態の深刻さを理解したようだった。

    ……ペロと仁科母娘が真実を知ったのも今朝だった。

    ペロは1週間ほど前に急に下痢になった。最初は風邪かと思ったが、下痢は止まらず、それどころかどんどん悪化し、体重は日に日に落ちていった。ポチと絡んでも以前のように体力が続かない。七海とは出産の日の朝以来会えていなかったが、体調が悪化するにつれて、早く会いたいのに、こんな弱った身体を見せて心配させたくないという、相反する気持ちを抱くようになっていた。

    そして先程、裏沢に自分の寿命が長くないことを聞いた。そういうことか、とペロはすんなりと運命を受け入れた。そしてそんな自分に少し驚いた。思えば、何度死にたいと思ったことか。ここに拉致されて処女を失った時、逃亡に失敗して手足と歯を失い両親と妹が死んだことを知らされた時、伯父の奴隷になった妹と再会した日の夜、叛逆に失敗したあの日…… その他数え上げたらきりがない。今後5年、10年、30年、50年、この暗く悪臭の籠もった地下室で惨めに生きていく地獄を思えば、余命2ヶ月の宣告は、何にも勝る最高のご褒美じゃないか。やっと…… やっと終わるんだ。今度こそこの地獄から逃げ出せる。やっと死ねるんだ、私……

    そう思いながらも嬉しいなどとは微塵も思えなかった。最愛の妹を地獄に置き去りにして、自分だけ抜け出すことへの罪悪感。未だ顔も知らぬ七海の娘・美海。可愛い姪の成長を見届けられないことへの未練。そして、もうすぐ自分が死ぬことを知ったら、七海はどうなってしまうのかという圧倒的な不安。それらが死への甘い誘惑に浮足立つペロを地獄の現世に固く縛り付けていた。 ……七海は恐らく相当ショックを受けるだろう。どんなにバケモノのような姿になっても、七海は姉を心の底から愛してくれていた。その最愛の存在がいなくなったら、七海は……

    ペロは裏沢が去った後、部屋の隅に転がりながら自分より妹のことを心配し続けた。新たな雑用係に綺麗にしてもらった肛門からは、下痢便が、栄養素が、体重がどんどん流れ出ていった。辺りには凄まじい悪臭が立ち込めたが、ペロは妹のことを心配するあまり臭いには全く気づかなかった。 ……嗅覚も衰え始めていた。

    しばらくして、裏沢がキャリーケースを持って再び現れた。七海の所へ連れて行ってもらえる。ペロは確信した。七海に会ったら何と言おう。何と言えばいいだろう。ペロはキャリーケースの中で下痢便にまみれながらずっと考えていた。

     

    陽葵は、出産以降七海が別の場所に移ってしまったのが残念でならなかった。午前中に七海やペロとの合同調教が行われることもなかった。そして今朝になって堀田からペロの話を聞かされたのだ。陽葵は激しいショックを受けた。

    ペロが調教の初期段階で逃げ出した結果メス犬になったということは、本人から聞いていた。陽葵もここから逃げたいと何度も思ったが、逃げたらどうなるかを知った時の恐怖と絶望は今でも忘れられない。だが、あんな姿になってもペロの心は普通の人と変わらなかったし、ペロはあの姿のままずっとここにいて、普通の人と同じように年を取っていくのだろうと思っていた。まさか寿命が1年もないだなんて……!

    七海と友達になる前、何度ここから逃げたいと思っただろう。一緒に逃げようと母の説得を試みたことも一度や二度ではない。それでも踏みとどまったのは、逃げたら大変なことになると堀田に脅されていたからだ。でもまさかその「大変なこと」っていうのが、手足を失うだけでなく、薬漬けにされた挙げ句に早死にしてしまうことだったなんて! ありえない! ありえないよそんなの!! やっぱ怖い…… ここ怖い…… 怖いよ…… 逃げたい…… 逃げたいのに…… 逃げたいのに……っ!!

    七海…… 七海、大丈夫かな…… お姉さんとすごく親しそうだったけど…… 会いたいよ、七海…… もし会えたら、なんて声をかければいいんだろ…… どうやって励ませばいいんだろ…… 学校ではヒドいことばっか言って傷つけちゃったけど…… ううん! だからこそ今度はちゃんと励まさなきゃ! 七海は大切な友達なんだから!!

     

    III:愛と友情

     

    そうして5人は一同に会した。七海の出産の日の朝以来だった。

    「おねえちゃんっ!!」

    七海が駆け寄り、四つん這いの体勢で下痢便まみれの光希をギュッと抱き締めた。

    光「七海……」

    七「おねえちゃん! おねえちゃん! おねえちゃんっ!!」

    光「七海ごめんね? 私、もう限界みたい……」

    七「謝らないで! おねえちゃんっ!!」

    光「でも……」

    七「おねえちゃんは悪くないっ! 悪くないよっ!!」

    光「ううん、私のせいだよ。私が逃げたからこうなったの。反抗的だったからこうなったの」

    七「そんなんちっともおねえちゃんのせいじゃ……」

    光「私が逃げずにちゃんと奴隷になってれば、今頃私も美海ちゃんのお世話、できたのにね」

    七「うぅうううう……!」

    光「泣いちゃダメだよ。七海はお母さんになったんだから。私よりも美海ちゃんのことを一番に考えなきゃ。ね?」

    七「でもぉ…… ひっく」

    光「大丈夫。七海にならできるよ」

    七「おねえちゃぁん……」

    光「玲香さん。子育てを手伝ってもらってるみたいで…… ありがとうございます」

    玲「うん…… あとは、任せて? ……ぐすっ」

    光「ありがとう…… 私の身体の世話も、長いことありがとうございました」

    玲「うんっ!」

    陽「あっ、あのっ! ペ…… お姉さんっ! アタシにも任せてくださいっ! ずっとずっと、七海と友達でいますから!」

    光「陽葵ちゃん、ありがと」

    陽「七海! 大丈夫だからね! アタシ絶対死なないし! 逃げないし! ずっとずっと一緒だから! 友達だから! ねっ!!」

    七「陽葵…… ひく…… 陽葵ぃ……」

    今「私、ご主人様に七海さんともっと一緒に調教を受けられるようお願いしてみます」

    光「今日子さんも…… ありがとうございます」

    今「大丈夫。七海さんは決して1人じゃありません。もう1人の頼れるお姉さんと、ずっと一緒にいてくれる親友と、何より、可愛い可愛い美海ちゃんがいるんだから。だから、ね? 泣いてばかりじゃだめよ、七海さん。お姉さんとの時間は残り少ないんだから。泣いてばかりいたら勿体ないわ?」

    陽「そうだよ、七海! ママの言うとおりだよ!」

    玲「うんうん!」

    七「うん…… うんっ…… みんなありがと…… ぐすっ…… ありがと…… ひっく」

    光「私からも、ありがとうございます。みんな七海を愛してくれて、本当にありがとう…… ぐすっ」

    七「ひくっ…… あの…… ご主人様……」

    飯「なんだ?」

    七「あの、2つお願いがあるんですけど……」

    飯「言ってみろ」

    七「今日から、また「おねえちゃん」って呼ばせてください。 ……その時まで。あとでお仕置きは受けますから。お願いします」

    飯「……いいだろう。あと1つは?」

    七「今日の午前中は、みんなこのままここにいさせてください。できればその…… ご主人様、抜きで」

    飯「…………」

    七「絶対逃げたりしません! 自殺したりしません! 誓います! お願いしますっ!!」

    飯「わかった。ただしモニターは続けるからな? 余計なことをしたらすぐにバレるぞ」

    七「わかりました。絶対余計なことはしません」

    飯「よし。じゃあな」

    七「ありがとうございます」

    ……こうして育児室は5人と美海だけとなった。

    結局5人は午後と夜の調教も休むことが許され、その日1日ずっと773号室にいた。すぐに光希の下痢便臭で美海がグズりだしたため、全員寝室兼育児室から風呂場(6畳程度)に移った。そこで光希は初めて姪の顔を知り、あまりの可愛さにたまらず号泣した。つられて七海が泣き出し陽葵が泣き出し、玲香も今日子も美海までもが泣き出した。光希を囲むように皆が抱き合ってただただ泣き合った。やがて泣き疲れると、少しずつ5人は会話をし始め、陽葵や玲香が茶化したりするうちに次第に明るい雰囲気になっていった。5人は1日じゅう風呂場で語り合った。

    そう。死を免れえないのなら、せめてそれまでを陽気に過ごそうじゃないか。そしてその日になったらもう一度皆で泣いて、そして陽気に見送ろう。 ……そうしよう。

    ……モニターを眺めながら飯森は安堵していた。どうやら上手くいきそうだ。あの場に美海しかいなかったら、七海は恐らく壊れてしまっていただろう。飯森は玲香・陽葵・今日子の3人に感謝しつつ、彼女らを使ったさらなる調教計画を練るべく、スマホで堀田に電話を掛けた。

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第7章 – 公開出産ショー

    📂投稿グループ📎タグ

    I:出産の日

     

    そして5月18日。七海が飯森の子を妊娠して280日目、JSPFに来てから152日目、飯森に絶対服従を誓ってから69日目。七海の公開出産ショーの日を迎えた。

    朝、七海はいつものように糞便なしの流動食を片付けると、仁科母娘と一緒に奴隷用便所で放尿し、身だしなみを整えてからメス犬区画9号室へと向かった。今日が七海の出産の日と知っている2人は、何と声を掛けて良いかわからず、七海も緊張して気もそぞろだったため、会話は殆どなかった。今日子は、難産だった陽葵のお産を思い出し、あれと同じ苦痛を僅か16歳の少女が今日これから経験するのだと思うと、いても立ってもいられず、七海の手を両手で握り締めて「頑張ってね」と言うので精一杯だった。自らも先日妊娠したことを知らない陽葵は、自分もいつかは七海みたいになるのかと思うと不安で堪らず、目に涙を浮かべながら、太鼓腹を刺激しないよう背後から七海を強く抱き締めることしかできなかった。

    9号室でペロ、玲香と合流し、5人の会話が始まる。何も知らない5人の会話が。

    「七海……」

    「ペロ……」

    姉妹も互いに見つめ合うのみで、名前を呼ぶ以外言葉が出てこない。

    「いよいよね、七海ちゃん。調子はどう?」

    重い沈黙を破って七海に静かに語りかけたのは、5人の中で唯一公開出産ショーを経験している玲香だった。そのことを知っている七海も、やがて静かに口を開いた。

    「…………はい。昨日の夜は痛かったですけど…… 今はそんなに」

    「そう、よかった…… 出産ショーってホントに辛くて苦しいけど、大丈夫だからね? 私は今もこうして元気だし。私の息子も元気で育ってるみたいだし。七海ちゃんも、お腹の子も、必ず乗り切れるから」

    「……はい」

    「だから、頑張ってね?」

    「あの…… やっぱり私の赤ちゃんも…… すぐに施設に送られちゃうんですか?」

    「飯森様はなんて?」

    「その…… 教えてくれなくて……」

    「そっか。この中であなただけはJSPFの奴隷じゃないからねぇ。赤ちゃんをどうするか決められるのは飯森様だけ…… 私にもわからないの……」

    「ですよね…… 私、ご主人様の赤ちゃんができたって聞いた時はほんとにショックで…… しばらくしたらつわりが酷くなって…… お腹が大きくなったらどうやって学校に行こうって毎日泣いて……」

    「七海……」(そんな辛い思いしてた七海をアタシ…… ホントに…… あの時はホントにごめん……!)

    「でもだんだん産みたいって思うようになって…… ご主人様に忠誠を誓ってからは、この子を愛おしいと思えるようになって…… 時々お腹を蹴ってくるのが嬉しくて…… できたら、この子、私が育てたいって、思うようになって…… ぐすっ」

    「うん」(そうだよね…… 私もそうだったもん。ごめんね? 名前も知らない私の息子…… ごめんね……?)

    「バカですよね、私…… 無理やりだったのに…… レイプだったのに…… こんなの…… ひっく」

    「そ、そんなことないよ! 七海っ!」

    感極まった玲香が七海をそっと抱き締めた。

    「そうです。キッカケはどうであろうと、十月十日かけて貴女が育ててきた世界にたった1人の大事な大事な赤ちゃんであることに変わりはありません。その赤ちゃんのことを想う母親がバカだなんて、そんなこと絶対にありませんっ!」

    自分をバカ呼ばわりする七海に我慢できなくなったのか、この中で一番人生経験豊富な今日子が強い口調で話し始め、そして玲香同様、七海をそっと抱き締めた。

    「私は世界で一番陽葵のことを愛しているし、それと同じくらいの愛情を、お腹の中にいるこの子にも注いであげるつもりです。産まれたらすぐに離されるのかもしれませんが、それでも産まれるまではずっと一緒なんだから、最大限の愛情を注いであげなくちゃ。それが母親ってもんです」

    「ママぁ……」

    まだ膨らんでいない腹部をさすりながら、言い聞かせるように語る今日子の手を、涙声の陽葵がギュッと掴んだ。

    「七海。七海なら大丈夫だよ。なんとかなる。大丈夫だよ。だから頑張って……!」

    そうして陽葵もまた七海を抱き締めた。望まぬ妊娠を強制され、勝手に漏れ出てくる糞便に苦悩し続けてきた七海。知らなかったとは言え、その彼女に酷い言葉を吐き続けた自分。今では後悔しかない。何度でも謝りたい。今すぐもう一度謝りたい。でも今はそんなことを言ってる場合じゃない。きっと出産ってものすごく大変なんだろう。ママや玲香さんの顔を見ればわかる。今は七海に余計なことを言うべきじゃない。友達としてひたすら励まして励まして励ますしかない。七海! 頑張って!!

    円陣を囲むようにして七海を抱き締める3人を前に、ペロは独り臍を噛んでいた。この中で唯一七海の家族である自分。七海のことを最も愛している自分が、この輪に加われないだなんて……! 手足が…… 手足があれば!! ……でも! それでも! 私も言わなくちゃ! 出産を前にして不安に押し潰されそうになっている七海に! 愛する妹に! 大丈夫だよって! 頑張ってって! 言わなきゃ!!

    「なな…………」

    その時、9号室の扉が開いて飯森が現れた。

    「じゃあ行くぞ、七海」

    「…………はい」

    「ま、待っ……!」

    あっという間に扉が閉まり、七海は行ってしまった。なんてことだ! 姉として激励の言葉を掛けてあげられなかった! なんで! なんでっ!! なんでもっと早く言わなかったんだ!!! 頑張ってって!!!!

    ……録画されている5人の会話を部屋の外で聞きながら、玲香・今日子・陽葵のナイスアシストに飯森はほくそ笑んでいた。3人とも七海の母性を高め、産まれてくる赤子への執着を強めるような発言をしてくれた。そう、これもいつぞやと同じ。飯森の思惑と奴隷たちの願望が一致しているからこそ生まれたアシストだ。こういう状況を今後も作っていけば、七海は姉の死を乗り越えることができるに違いない。

    おっと、ペロが話しかけようとしているな。ペロへの依存度は下げねばならんからな。そうはさせんぞっ! ……こうして七海は、ペロとマトモな会話を交わすことなく別れた。

     

    II:公開出産ショー (1)

     

    公開出産ショー専用の大部屋は、中央ホールからほど近い場所にあった。飯森と七海は、観客用でなく出演者用の専用入口から入り、まだ照明の付いていない薄暗いステージに上がった。

    ステージの中央には分娩台が1つだけ置かれている。毎週のように奴隷たちが悲鳴と号泣のうちに出産させられる場所。だが、様々な体液や汚物が飛び散るであろう分娩台やその周辺は、今はシミ1つなくピカピカに洗浄されている。ステージ前に扇型に広がる無人の観客席(定員70名)にも灯りは付いておらず、辺りは静寂に包まれていた。

    突然照明が付いた。それとともにステージ裏から女性が数名現れる。全員20〜30代くらいで、うち1人は白衣を纏い、それ以外は全員アイマスクを付けていた。

    「今日はよろしく頼む」

    「かしこまりました、飯森様」

    「…………」

    七海は飯森の斜め後ろで不安そうに立っていた。白衣を着ている人が産婦人科のお医者さんで、横にいる人が看護師さん?……助産師さんかな? なんで目を隠してるの? ……って、この人、助産師さん、いつも私に酷いことしてくる女王様だ! 助産師さんだったの!!? 怖い…… 何、されるの? 他の助産師さんもみんなサドの女王様なの? お産を助けてくれるんじゃないの!? 顔……笑ってる……! 怖い……っ!!

    七海は怖くなってサディスティンたちから目を背け、分娩台を改めて見直した。この椅子って…… 前にビデオで見た気がする。保健体育の時間に見たビデオ。ちょっと形が違う気もするけど。ここに妊婦さんが座って、股をガバっと開いて、「ひっひっふーっ」って言いながら血まみれの赤ちゃんを産むんだよね。今からあれをやるんだ…… 大勢の男の人や女王様たちに見られながら…… 赤ちゃんを産んでママになるんだ……! ……あまりに絶望的な状況に、そのまましゃがみ込んで大泣きしたいのをなんとか堪えていると、飯森が振り返って言った。

    「ここに座れ」

    「…………はい」

    小さな声で返事をすると、七海は自分から分娩台に乗った。すぐに助産師たちが手足を台に固定し、無人の観客席に向かって股を開いていく。恥ずかしい。もっと恥ずかしい格好を散々やってきたのに。羞恥心なんてとっくになくなっているはずなのに。奴隷奉仕という、この施設の外での非常識な行為にもすっかり慣れてしまった七海だったが、出産という外の世界での常識的行為を非常識な形でやらされることで、忘れていた羞恥心が戻ってきたようだ。そして、羞恥心とともに、出産という神聖な行為を下劣なショーにしてしまう男たちへの嫌悪感や、そのショーの主役が自分であることへの絶望感など、外の世界の「マトモな」感覚が次々と七海を襲ってくる。なんで…… なんでこんなトコでこんなカッコをしているんだろう。なんでこんなことになっちゃったんだろう……。助けて…… 助けて、お母さん…… 助けて…………

    七海の目から次々に涙が溢れてくる。手が拘束されていて涙を拭うことができないので、溢れた涙は痩けた頬を伝って顎から垂れ落ち、分娩台や床を濡らしていく。ピカピカに磨かれたそれらが早速体液で汚れていく。 ……七海は気づいていなかったが、大きく開かれた股の中央からも別の体液がどんどん溢れ出て、周辺を汚していた。マゾに調教され尽くした七海の身体は、久々に感じる羞恥心に瞬時に反応し、何の刺激もない状態でも愛液を撒き散らしていたのである。

    七海の正面に立ち、しとどに濡れた股間を見て内心ニヤけていた飯森は、七海の顔を見ながらゆっくりと口を開いた。

    「七海。これからショーの内容を伝える。一度しか言わんからちゃんと聞いとけよ?」

    「……はい」

    「この後ここに客が入ってくる。予約は満席だし、当日参加も可能だから立ち見がでるかもな」

    「…………」(そんな多いの!?)

    「まずは出産直前のお迎えショーだ。その姿勢のままお前の3つの穴で観客全員の相手をしろ」

    「……は?」

    「席数は70だが、恐らく100人くらいだろうな。 ……4時間はかかるぞ」

    「なっ……!?」

    「いいか? 陣痛に襲われようが破水しようが全員の相手をするまで終わらんからな? 途中で産んでしまったらお仕置きだ。お前だけではないぞ? 赤ん坊は産まれてきた直後に手足をちょん切ってペロのようなメス犬にしてやる」

    「!!!!!!!!」

    「お迎えのショーが終わったら俺が背後からお前のケツを犯す。その状態で産むんだ」

    「!!!!!!!!」

    「産み終わったら、まず最初に俺がお前のまんこに挿入する。それが終わったら産後ショーだ。再び観客全員の相手をしてもらう。2人目もとっとと孕めよ? ……以上だ」

    「………………………………」

    あまりの内容に顔が真っ青になる七海。目を大きく見開いて主人の顔を見上げ、何か言おうとするものの、言葉が出てこない。身体中の震えが止まらない。 ……このまま産むのだと思っていた。大勢の男たちの前で公開出産するのだと。それだけでも耐え難いのに、まさか出産直前と直後に輪姦されるだなんて! アナルセックスしながら出産するだなんて!! そんなの絶対イヤ!!! 赤ちゃんが死んじゃうっ!!!!

    その時、観客席の照明が点灯し、座席後方の扉が開いて男たちが入ってきた。顔見知りの常連客が何人もいる。堀田理事長の顔もある。座席はあっという間に埋まり、立ち見の客も鈴なりだ。100人を軽く超えている。150人くらいだろうか。公開出産ショーで立ち見が出ることは滅多にないので、七海の人気がいかに高いかがわかる。男たちの目は一様にギラつき、ステージ中央、分娩台に拘束された16歳の妊婦へと向かう。数多の視線を浴びて、七海は強い羞恥を感じたものの顔を赤らめるどころではなく、これから起こることへの不安で青ざめ、歯のない歯茎はガタガタと震え、目からは大粒の涙が溢れていた。 ……股間はまるで洪水のように愛液で溢れかえっていた。

     

    「皆様、七海の主人の飯森則夫です。本日は七海の公開出産ショーにお集まりいただきありがとうございます。七海は今回が初産(ウイザン)となりますが、遠慮などは一切不要です。七海の3つの穴を心ゆくまで犯し抜いてやってください」

    歓声が上がり、早速予約客3名がステージへと上がる。うち1人は堀田であった。

    分娩台に拘束されていた七海の手足が少しだけ緩み、分娩台と七海の間に人が1人入れるくらいのスペースが生まれる。3人のうちの1人がそのスペースに入り込むと、七海を後ろから抱き締めつつ自らのペニスを七海の肛門に突き刺した。

    「んんんっ! やっ…… やめてっ! やめてくださいっ! 赤ちゃんが死んじゃうっ!! いやああっ!!!」

    七海の抗議は完全に無視され、七海の正面に立った堀田が、ぐしょぐしょの膣にペニスを挿入した。ほぼ同時に、3人目が七海の首を90°曲げ、尚も叫んでいる七海の歯茎穴にペニスをぶち込んだ。

    「んぶむぐぅーーーーーーっ!!!!」

    開発され尽くした七海の身体は、突如始まった4Pにも即座に反応したが、快感に浸る余裕など七海には全くなかった。死んじゃう! 赤ちゃんが死んじゃうっ!! ……七海の頭の中にはそれしかなかった。七海は昨日も一昨日も何度か4Pをしていたが、数が違いすぎる。それに、出産ショーの中に組み込まれているのが恐ろしい。途中で赤ちゃんが出てきたらどうしよう。流産しちゃったらどうしよう。手足を切られるだなんて、そんなのダメ!! 絶対にダメ!!!!

    昨秋に妊娠が発覚した時は絶望しかなかった。酷いつわりに悩まされながら学校に通った。腹の中にいるのであろう豆粒ほどの胎児は、七海にとって恐怖と憎悪と呪詛の対象でしかなかった。

    認識が変わったのはJSPFに来てからだ。日に日に大きくなっていく腹。過酷過ぎる奴隷生活。その中で七海は姉に対する依存を深めていったが、ペロとは午前中にしか会えない。それ以外の時間の孤独を埋めようと、七海はいつしか腹の中にいる娘に心の中で語りかけるようになり、娘の存在は七海の中で物理的にも精神的にも大きくなっていった。特に飯森に絶対服従を誓ってからは、軽い陣痛が始まったこともあって娘への愛情は格段に深まり、母性が芽生え始めた。

    そしてそれと同時に不安も増大していった。毎日限界まで奉仕してたら流産しちゃわないかな。出産はどれくらい苦しいんだろう。産まれた赤ちゃんは養育施設とかいう所に連れて行かれてしまうんだろうか。イヤだ。一緒にいたい。ちゃんと育てたい。おっぱいをあげて、オシメの交換をして、離乳食を食べさせて…… 奴隷奉仕の合間でいいから私が育てたい。だって…… だって私、お母さんになるんだから!

    筋力が少ない七海でも奉仕できるよう工夫を重ねたのも、奴隷的義務感だけが原因ではなかった。無理やり犯されるばかりでは、いつか流産してしまうかもしれないという恐怖や危機感が生み出したものだったのだ。そうして独特な身体の動きを体得してはみたものの、無理やり犯されるよりも快感が大幅に減ってしまったことに対して残念に思う、救いようのないもう1人の淫らな自分。 ……あの妖艶な表情は、奴隷奉仕と快楽の間の葛藤から生まれたものであるだけでなく、母性と快楽の間の葛藤が表出したものでもあったのである。

    その表情によって男たちが魅了され、奉仕よりもレイプの割合が増えてしまったことは、七海にとって皮肉な状況であった。自発的奉仕よりも遥かに強い快楽に翻弄されながら、常に我が子を心配し続ける哀れな母親。奉仕からレイプに変わると七海の表情がより切ないものになっていったのは、そういう事情からであった。

    飯森と堀田が話し合うまでもなく、七海の中で娘の存在は既に姉に匹敵するほどに大きく膨らんでいたのである。その愛しの娘がいよいよ産まれてくるというのに……!!

     

    調教されきった七海の下半身からは強烈な快楽が絶えず送られてくる。それに加えて痛みも感じる。陣痛だ。陣痛が始まったのだ。もう快楽どころじゃない。七海の頭の中は恐怖一色に塗り潰された。膣内で暴れている堀田の巨根が子宮口をこじ開け、赤ちゃんのいる所に到達してしまうのではないか。流産したら手足を切るってホントだろうか。ホントにそんな恐ろしいことをするのだろうか。いや、流産以前に、子宮口から出てきた赤ちゃんの頭を堀田のペニスで突かれたら……。そんなことされたら赤ちゃんが死んじゃう。死ななくても障害が出ちゃうかも。そんなのイヤ! 絶対絶対イヤ!! 痛い! お腹痛い! やめて! 抜いて! せめてもっとゆっくり! お願い! お願いします! 堀田様っ!! いやああああああああああっ!!!!

    堀田は、恐怖に歪む七海の表情を見て、いつになく興奮していた。サキュバスのように男を誘惑しているかに見える最近の七海の表情も確かに魅力的だったが、やはり恐怖と絶望に支配されたこの顔には敵わない。サディストの血が騒ぐ。もっと歪ませたい。もっともっと絶望の淵に追い込みたい! 可能ならこのまま赤ん坊を突き殺してやりたい!!

    だが飯森の希望は、母子ともに五体満足な状態での出産である。そのためにはどれくらいの強さで突くべきか、何をしても良くて何をしてはいけないか、これまで何百回も出産前輪姦を経験してきた堀田は、例のマニュアルを読まずとも熟知している。サディストとしての加虐心をどうにか抑えながら、堀田は限界ギリギリの力加減で七海の膣を犯しつつ、激しいイラマチオに耐えている七海の耳元で囁いた。

    「ほら、もっと締めろ。締めないと赤ん坊が出てきてしまうぞ。そうしたら俺のペニスでグチャグチャに突き殺して、お前の娘をミンチ肉にしてやるからな」

    「ぶもぉおおおおぉおおおおおぉおおおっ!!!!!!!!」

    あまりの一言にパニック寸前になってしまう七海。まだ破水もしていないのに胎児が出てくるわけがないのだが、初産の上に輪姦中で余裕のない七海はそのことに気づけない。気づけるわけもない。陣痛はどんどん強くなっている。絶叫とともに膣と肛門と歯茎が締まり、3人の男は同時に七海の体内に射精した。それと同時に七海の身体は反射的に絶頂を迎えたが、心はそれどころではなかった。口からペニスが出ていった瞬間、七海は大声で叫んだ。

    「だめえええっ! 殺さないで!! 赤ちゃん殺しちゃだめえええぇえぇぶぇぁおっっ!!?」

    すぐに次の男たちが七海の3つの穴にペニスを突き入れたため、七海の叫びは途中でかき消されてしまう。

    「くくく…… 良かったぞ、七海。せいぜい頑張るんだな」

    堀田は七海に目もくれずに小声で言うと、ステージの脇へと移動した。 ……そこでは後ろ手に縛られた玲香が正座の状態で待機していた。

    射精して汚れたペニスを口で掃除するのは奴隷の務めだ。だが出産前輪姦の際は掃除するいとますら与えられない。そのために掃除役が別途必要になるわけだが、掃除役は出産ショー経験者の中から選ばれることになっており、飯森は敢えて玲香を掃除役に選んだのである。

    「堀田様、失礼いたします」

    そう言うと、玲香は精液と七海の愛液でベタベタになったペニスを咥え、音をたてながら舐めしゃぶって汚れを落とし、汚れを全て飲み干した。続いて七海の口と肛門に入っていたペニスも掃除しながら、玲香は心の中で七海を励ましつつも、1年半前に自分があの台の上で受けた仕打ちを思い出していた。

    玲香の時は、立ち見客はいなかった。確か60人くらいだった。それでもいつもの4Pとは比較にならないくらい恐ろしかった。玲香は当時22歳で60人。七海は16歳で150人。七海が感じている恐怖と絶望は、恐らく玲香の比ではないだろう。何か手伝いたい。可能なら代わってあげたい。でもそれはできない。何か余計なことを言ったら、自分だけでなく七海にも懲罰が及ぶかもしれない。それだけは絶対に避けなければ。だが、妹のような可愛い七海が目の前で苦しんでいるのに、何もしないだなんて。ただ、七海を犯し、苦しめたちんぽの掃除をするしかないだなんて。 ……なんて不甲斐ないんだ、私は!

    玲香が激しい自己嫌悪に襲われている間も、男たちはひたすら七海を陵辱し、玲香はひたすら後始末に追われた。尿意を催した男たちは、当然のように玲香の口内に小便を流し込んでいく。七海の身体は、膣や肛門に中出しされるたびに絶頂を繰り返したが、頭の中は快楽を圧倒的に上回る恐怖に常に支配されていた。自主的にペニスに奉仕しようなどという余裕は一切なかったが、奴隷として完成された七海の身体は、無意識のうちに膣や肛門を締め付け、舌と歯茎を的確に動かすのだった。

    ……3時間半が経過し、射精人数が95となった時、七海がついに破水した。陣痛もさらに激しくなった。七海の恐怖は頂点に達したが、それでも輪姦が止むことはなかった。

    ……立ち見客も含めた153人が全員射精した時には、開始から5時間半が過ぎていた。七海は全身白濁液にまみれて失神寸前だったが、男たちは全員マニュアルを読んでいるため、破水後の膣穴の責め方を心得ており、七海はなんとか流産せずに輪姦を乗り切ったのだった。

    「玲香。七海の身体を綺麗にしろ」

    飯森が玲香に命令する。玲香は5時間半に及ぶ正座で足の感覚が失くなっていたが、よろめきながらもなんとか立ち上がると、七海の全身に付着した精液を舐め清めた。153回もの掃除によって味覚の方も麻痺してしまったのか、精液の味はまるで感じられなかった。

     

    「皆様、七海を可愛がっていただきありがとうございました。それではいよいよ出産となります……!」

    飯森は興奮しきった声で客に向かって言うと、七海と分娩台の隙間に入り込んで後ろから七海を抱き締め、耳元で囁いた。

    「ではいくぞ、七海。可愛い娘を産めよ?」

    「ま、まって…………」

    「それっ!!!!」

    「ひぁああああああっ!!」

    飯森の剛棒が七海の肛門を貫いていく。長時間に及ぶ輪姦で七海の意識は朦朧とし、肛門の感覚は麻痺しつつあったが、飯森の声を聞いて急速に覚醒した。いよいよだ。覚醒とともに忘れていた陣痛が蘇る。痛い。ものすごく痛い。破瓜の痛みよりも、ペニスで喉を突かれる痛みよりも、刺青を施された時の痛みよりも、鞭や蝋燭や針の痛みよりも、これまで受けてきたどんな痛みよりも、圧倒的に痛い!!

    「あぎゃああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

    七海の絶叫が部屋全体に響き渡る。こんなに…… こんなに痛いの!? 度重なる輪姦で膣の中が切れてしまったのだろうか。肛門に巨根が入ってるから産道が塞がれてるんだろうか。それとも赤ちゃんが変な体勢になって引っかかってるんだろうか。それって、大丈夫!? 死んじゃうってこと……ないよね!!?

    ……七海の後ろで絶叫を聞きながら、飯森は言いようのない充足感を味わっていた。幼い頃から愛し続けてきた七海を犯し、孕ませ、奴隷にし、調教し、屈服させ…… ついに今、娘が産まれようとしている。これまでの十月十日を思うと、それだけで射精してしまいそうだった。なんとか堪えると、飯森は七海の耳元で囁いた。

    「ひっひっふー、だ。高校の性教育の時間を思い出せ。呼吸に合わせていきむんだ」

    「ぃひっ、ひぎっ……ぅぎゃああああああああっ!!!!」

    ラマーズ法どころではない。痛い! 痛すぎる! 早く! 早く産まれて! 私の赤ちゃん! はやくっ! いたいっ! いたいよぅっ!! たすけて!! おかあさん!!! おねえちゃんっ!!!!

    10分、20分、なかなか産まれてこない。どうやら刺激が必要なようだ。飯森は助産師たちに目で合図を送った。

    「とっとと産むんだよ! この豚ぁっ!!」

    助産師の1人、調教12日目に初指名して以来何度も七海を虐待してきたサディスティンが、七海の太鼓腹に鞭を浴びせた。直後、助産師たちが一斉に鞭を振るい始める。

    「やっ! やめてえええええええええええええっ!!!!」

    臨月以降過激なプレイが減ったために、七海の身体に無数にあった鞭痕は殆どが消え、七海の肌は元の白さを取り戻していたのだが、腹を中心に全身くまなくピンク色に腫れ上がっていく。冷静に考えれば、鞭の痛みなど出産の激痛に比べれば取るに足らないのだが、そんな冷静な思考が今の七海にできるはずもない。痛い。お腹が痛くて、全身が痛くて痛くて、死んじゃいそうだ。出産という女性にとって最も過酷で、だけど最も神聖な行為の最中に、この人たちはなんでこんな酷いことをするんだろう。あなたたちも女なんだよ? 出産の時に鞭で打たれたらどんな気持ちになるか、考えないの!? もういい加減にしてよ!!! やめてええええええっ!!!!

    玲香は分娩台の後方で震えていた。1年半前、玲香が出産ショーに出た際も、初産だったために凄まじい痛みを経験したが、肛門にペニスを挿入されてすぐに出産した。それから2回、出産ショー時の掃除役を仰せつかったが、いずれも難産ではなく、鞭打ちは行われなかった。出産を促すために腹に鞭打ちをするなんて信じられない。なんて酷いことをするんだろう。胎児や母体に影響はないんだろうか。

    「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    普段は物静かな七海が恐ろしい悲鳴を、獣のような咆哮を上げている。恐ろしい。自分も難産だったらこうなっていたかと思うと恐ろしくて堪らない。妹のような可愛い七海が、未だかつて聞いたことがないような声を張り上げているのが怖くて堪らない。 ……七海の間近にいながら助けに入ることもできず、ただ震えていることしかできない自分が情けなくて堪らない!

     

    その時、辺りが異臭に包まれた。絶叫を繰り返しながら、それでもなんとか産もうと必死にいきむあまり、飯森のペニスとの隙間から糞便が漏れ出てきてしまったのだ。この程度の糞便臭を気にするような人間はステージ上にはいなかったが、飯森は待ってましたと言わんばかりに玲香に命令した。

    「玲香、そこにバケツが置いてあるだろ。俺の小便が入ってる。全部浣腸して七海の顔の上に跨がれ。俺のちんぽを汚した罰を与える」

    「!!!!」

    玲香は真っ青になった。そこまで…… そこまでするの? ……七海の顔の上でぶち撒けろって言うの? 苦しんで苦しんで、激痛に泣き喚いて、裂けんばかりに口を開けて絶叫している七海に…… 私のうんちを放り込むの? 食べさすの? 出産中にうんちが出ちゃうなんて、よくある話なんじゃないの? なんでそこまで酷いことするの? あなた、七海を愛してるんじゃないのっ!!?

    「早くしろ、玲香。やらなければ施設にいるお前の息子の目玉をくり抜いてお前に食わせるぞ」

    「ひぃぃっ! い、い、今すぐっ!!」

    そう言われては逆らえない。玲香は飯森の小便を浣腸器で吸い上げると、観客席に向かって尻を突き出して肛門に浣腸器を押し当て、冷えた小便を一気に直腸に流し込んだ。そして、分娩台の首の辺りにある足乗せ台の上に足を乗せてしゃがみ込んだ。七海の顔の真上20cmくらいの位置に玲香の肛門が来る。玲香の正面には観客席、下を見れば真っ赤に腫れ上がった七海の妊婦腹を助産師たちが寄ってたかってメッタ打ちにしていた。

    助産師…… これが助産師のやること? お産を助けるためにやることっ!? お産をサポートして、妊婦さんを優しく励まして、うんちが出ちゃったらそっと取り除いてあげて…… それが助産師の仕事でしょっ!!? なんなのよ、アンタら! アンタらだって女なのに!! 七海や私と同じ、女なのに!!!

    「よし! ぶち撒けろ!!」

    「はい……!」(七海! ごめんっ!!)

    ぶぼぼぼぼぼぼぼっ!! びちびちびちびちっ!! ぶしゃあああああっ!!!

    「ぶぃっ! ごぼっ! うぶぇべぅおぇえううううっ!!!!」

    七海の顔の上に大量の軟便が降りかかり、口の中を満たしていく。激痛の中でなんとかラマーズ法を試みているのに、口が軟便で塞がれてしまって鼻でしか息ができない。鼻呼吸とともに強烈な糞便臭が脳天を直撃する。七海は反射的に嘔吐してしまった。5時間半に及ぶ輪姦の間に消化が進んだ朝食の流動食と、玲香の大便と飯森の小便の混合物が勢いよく飛び出して、七海の胸や妊婦腹、膣穴までをも汚していく。

    「もういやあああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    喉が潰れるくらいの大声で七海が叫んだ時、これまでで一番の激痛が七海を襲い、同時に子宮口が開いて胎児が産道を下りてきた。赤茶色に染まった膣が限界まで開かれ、胎児の頭が見えてくる。観客席に緊張が走り、153人306個の目がただ1点に注がれる。

    産道を通過する胎児と、直腸内に満たされた七海の糞便に圧迫されて、飯森のペニスはこれまでにないほど強く締め付けられた。七海と自分の愛の結晶がいよいよ産まれてくる。産まれてくる時すら父のペニスを締め付けてくるとは! 産まれる前から父の奴隷になることを自覚しているのだろうか。母と一緒に父のペニスを締め付けて奉仕しようとしているのだろうか。なんて…… なんて健気な母娘なんだ! これはもう、産まれてきたその日から毎日調教してやらねば! そして母娘共々死ぬまで奴隷として飼い続けるのだ!!

    飯森は猛烈な勢いでピストンし、胎児が産道を抜けきると同時に射精した。

    「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!」

    鼓膜が破れそうなほどの七海の絶叫、鼻がもげそうなほどの悪臭、そして意識が飛びそうなほどの圧倒的快感! ……凄まじい量の精液が七海の直腸内に溢れ、彼女の糞便と混じり合っていく。飯森がペニスを抜くと、弛緩した肛門から液便がドロドロと流れ出して、産まれたばかりの女児の身体を汚していった。

    女児はなかなか泣かない。飯森は糞まみれの女児を掴むと、七海の眼前に持っていった。

    「お前の糞で息ができないみたいだぞ。取り除いてやれ」

    嫌悪感はなかった。窒息しちゃう。赤ちゃんが死んじゃう! 七海の頭にはそれしかなかった。手足を拘束されて動けない中、汚物まみれの赤ちゃんの口に口付けし、邪魔な汚物は全て飲み込んでから人工呼吸を施していく。しばらくして、女児が甲高い産声を上げた。臍帯循環から肺呼吸に切り替わって、産声とともに初めての呼吸で女児が吸ったのは、父の精液と母の糞便の臭いだった。母とともに父の奴隷となることが運命づけられた女児は、これから生涯嗅いでいくことになるであろう臭いを、産まれた直後に知ったのだった。

     

    III:公開出産ショー (2)

     

    観客席から歓声が上がる中、赤ちゃんの産声を聞いた七海は、汚物の中で独り泣いていた。

    ……産まれた。産まれてくれた。痛くて痛くて、気が狂いそうになるくらい痛くて、叫びすぎて声が枯れるくらい痛くて、汚物の味や臭いも鞭の乱打も全部忘れるくらい痛くて、最後の力を振り絞って。 ……やっと産まれてきてくれた。うんちまみれでザーメンまみれで。わかってる。この娘は産まれてきた時から奴隷。実の父親の奴隷。酷い目に遭うためだけにこの世に生を享けた。冷静に考えたら、産まなかった方が、流れてしまった方が良かったのかもしれない。でも、そんなことない! 絶対ない! だってほら、こんなにかわいい。うんちやザーメンにまみれて顔もよく見えないけど、たとえどんなにご主人様の顔に似てたとしても、世界で一番かわいい私の娘。 ……ごめんなさい。産んでしまってごめんなさい。でもありがとう。産まれてきてくれて、ホントに、本当にありがとう。 …………ありがとう。

    後ろに控えていた玲香もまた静かに泣いていた。良かった。本当に良かった。こんなにおぞましい出産ショーは初めてだった。七海も赤ちゃんも死んでしまうのではと気が気でなかった。産声が聞こえた瞬間、玲香は張り詰めていた緊張が解け、その場にへたり込んでしまいそうになった。産まれてきた女児の運命を考えると手放しに祝福できる状況ではなかったが、今すぐ七海を抱き締めて、よくやったねと声を掛けたかった。無論そんなことは許されない。それどころか、今から七海に待っているのは……。

    女医は、汚物まみれの女児を洗い、臍の緒を切って淡々と処置を施していく。助産師たちは、分娩台に付属しているシャワーで七海の身体に付いた汚れを落とすと、手の拘束のみを解いた。互いに綺麗になったところで、母子が改めて対面する。

    七海は全身の力を使い果たして分娩台に横になったまま、両手でそっと女児を抱きかかえた。体温が温かい。鼓動が優しい。しわくちゃの真っ赤な顔がただひたすらに愛おしい。七海は深く、深く息をついた。同時に、急速に胸が張っていくのを感じた。

    一方、女児の方は、女医が処置している間ずっと泣き喚いていたが、母に抱かれると急に大人しくなった。そしておっぱいを吸おうとして…… できなかった。七海の肥大化した乳首を咥えることができなかったのだ。

    七海は、幸せの絶頂から奈落の底へ叩き落された思いだった。この改造された無様な乳首では、赤ちゃんにおっぱいを飲ませることができないんだ。そんな。そんな……っ! 悲しみの涙がこみ上げてくる。そんな中でも女児はなんとか乳首に吸い付こうと小さな口を動かして試行錯誤し始め、その刺激によって七海の乳首から初めての母乳が染み出してきた。女児はその僅かな母乳を吸い取ると、安心したのかそのまま眠ってしまった。七海は震える手で女児を強く抱き締めながら、大声で泣き喚きたいところを我慢して、女児を起こさないよう静かに涙を流した。

    飯森は一部始終をニヤニヤと眺めていた。JSPFの奴隷が出産した場合、赤子は産まれたらすぐに母から離されて二度と会うことはない。だが、個人所有の奴隷はその限りではないし、七海の場合は姉の死を乗り越えさせるために、娘への依存度を高めさせる必要がある。だから出産直後に娘を抱かせたのだ。母性を高めさせるために。改造乳首のために授乳できず悲しんでいるようだが、哺乳瓶に移して飲ませれば何の問題もない。 ……全ては順調に進んでいた。

     

    「ではこれより産後ショーを開催いたします!」

    飯森はそう告げると、まだ胎盤の娩出すら終わっておらず、臍の緒の切れ端が覗いたままの膣口にいきなりペニスを挿入した。と同時に、女医が女児を七海から取り上げてそのまま退室していく。

    「おお、こういう感触かぁ……!」

    「いぎゃあああああ……ぇえっ!? だめっ! 連れてかないでっ!! だめええええええええっ!!!!」

    七海は突如激痛に見舞われた。血だらけの膣内に飯森の巨根が侵入してきたのだ。だが直後、女児がどこかへ連れて行かれるのを見て、痛いどころではなくなってしまった。掠れた声で絶叫する七海。イヤ! 別れたくない!! 養育施設に連れてっちゃダメ!!! お願いぃっ!!!!

    「安心しろ。新生児室に連れて行くだけだ。ここはお前の出したクソを始め、雑菌だらけからな。綺麗に洗い直してから新生児室で数日過ごさせる」

    「…………」

    「それより、娘の名前は『みう』だ。美しい海で美海みう。いいな?」

    「みう…… 美海……」

    その名はストンと七海の胸の中に収まった。驚くほど違和感がなかった。私の一字が入ってるのが嬉しい。紛れもなく私の娘。醜いご主人様のDNAをどれだけ濃く受け継いだとしても、世界で一番可愛く美しい私の娘、美海!! ……そして嬉しいと同時にホッとした。ペロやポチみたいなふざけた名前じゃなくてホントによかった。七海は、自分で娘に名前を付けることなどとっくに諦めていただけに、素敵な名前を与えてくれたご主人様に心から感謝した。

    ……でも、あれ? 確か玲香さんは自分の子供の名前を知らないんじゃなかったっけ? どういうこと? 私がこの施設の奴隷じゃなくてご主人様の奴隷だから? じゃあお願いっ! 玲香さんみたいなことしないで! 美海を連れて行かないで! 美海と別れるなんて考えられない! それだけはどうしてもイヤ! ご主人様ぁっ!!

    「さ、今は美海のことは忘れろ。お前は奴隷なんだ。いついかなる時も、たとえ出産直後だろうと主人に奉仕するのがお前の役割。 ……そうだな?」

    「いぎぃっ! そんな…… いたっ! 少しだけ休ませて…… ぐぎぃっ!」

    「いいのか? 俺に逆らって…… 今すぐ美海を養育施設に送ってもいいんだぞ?」

    「!!!!」

    …………ん? 待って? 逆らわなければ……施設には送られない……ってこと!?

    「ご主人様っ! 美海は! 美海は施設には送らないんですか!?」

    「なんだ? 送ってほしいのか?」

    猛烈な勢いで首を横に振る七海。

    「とっとと奉仕しろ。お前はマゾなんだ。マゾなら全ての痛みを快感に変えてみせろ。しっかり奉仕して、その後の輪姦もこなせば美海は施設には送らずにおいてやる。お前に育てさせてやろう」

    「!!!!!!!!」

    「わかったら奉仕しろ」

    「は はいっ! ありがとうございます!! ご主人様っ!!!」

    膣内の生傷を引っ掻き回されて、そんなの気持ちいいなんて思えるわけない。痛い。めちゃくちゃ痛い。陣痛は、産みの苦しみは、美海のためならどれだけでも我慢ができたけど…… 出産の後にまでこんな理不尽な痛みに苦しまなきゃいけないだなんて! でも、良かった! 育てていいんだ! 美海を! 私が! よかった! よかったぁっ!! ……そのためにもしっかりご奉仕しなきゃ! 痛いけど、我慢しなきゃっ!! 美海のために!!! 美海のためにっ!!!!

    激痛に必死に耐える七海を見ながら、飯森は内心ほくそ笑んでいた。どうやら上手くいったようだ。

    飯森は、娘の名前も処遇も、出産が終わるまで決して七海に教えなかった。出産が終わったらまず七海に娘を抱かせ、母性がこれまでにないほど高まったところで娘のみを新生児室へ連れて行く。これによって七海は強い分離不安に襲われる。そこで娘の名前と処遇を明かすことで、不安は感謝へと昇華するだろう。そして一度不安を味わったことで、娘への愛と執着はより強固なものになるに違いない。 ……姉に対するものより遥かに。

    「そのまま胎盤を出してみろ」

    「た、たいばん……?」

    「美海と臍の緒でくっついてた器官だ。後産(アトザン)と言ってな。出産後しばらくして排出されるんだ」

    「で、でも、ご主人様のおちんぽが……」

    「邪魔してるから無理だと言うのか? いいからいきんで出してみろ」

    「…………くぅぅぅっぅぅぅぅっ!!」

    七海は、出してみるからおちんぽを抜いてくださいと言おうとして先を越され、何と返せばいいかわからず、仕方なくいきんでみた。しかし既に体力を使い果たしている七海は、下腹部に力を込めることができず、胎盤が剥がれる気配はない。それに仮に剥がれたとしても、七海が思ったとおり、ペニスが邪魔しているから出ていきようがない。

    胎児が通った直後のため膣道は開ききっており、セックスの快楽はあまりなかったが、無駄にいきむ七海の可愛らしい醜態を見ながら、飯森はゆっくりと射精した。先程のような強烈な快感はなく、眠ってしまいそうなほどに優しく気持ちの良い射精だった。

    七海の方はといえば快感など皆無で、ようやく終わった激痛にホッとしていた。直後、飯森が七海の膣穴に指を突っ込み、臍の緒を掴むと、乱暴に引っ張った。特に痛みもなく、腹の奥が一瞬変な感じがして、あっさりと胎盤は排出された。驚くほど大きくて、青みがかった灰色の不気味な物体が出てきたため、知識のない七海は思わずギョッとしたが、その次の飯森の行動にさらに仰天した。なんと胎盤に齧り付いたのだ。

    「え、ちょっ!?」

    「うん、うまいぞ、七海」

    「うそ…… 食べちゃった……」

    胎盤を食べる人も稀にいるということを知らない七海は、あまりのことに呆気に取られ、次に強烈な嫌悪感を抱いた。ありえない。人間の一部を食べるなんて! 生のまま食べちゃうだなんて! 信じらんない!!

    「…………」

    横で見ていた玲香もまた驚愕した。日本では胎盤食は一般的ではないが、海外ではやっている所もあるという知識は持っていたが、まさか排出直後のものを生のまま食べるだなんて。血液や羊水や精液でベタベタなのに。玲香は、飯森の異常性を再認識するとともに、改めて七海に同情した。

    「ごちそうさま。じゃあ引き続き頑張れよ? 俺以外の子を孕んだらお仕置きだからな?」

    「え?」

    「産後の輪姦ショーの開幕だ!」

     

    七海は足の拘束も解かれて分娩台から降ろされ、ステージの床の上で男たちに犯された。飯森にも犯された。お迎えショーの時は1人1発だったが、産後ショーは無制限だ。153人の精巣が枯れ果てるまで、輪姦は果てしなく続く。出産直後の七海が妊娠するはずもないのだが、それを知らない七海は、男たちが膣内に中出しするたびにお仕置きの恐怖に怯えた。だがそれでも美海のためにひたすら奉仕を続けた。とは言え体力の限界はとうに超えていたので、1時間後には早くも失神してしまったが、失神中も3つの穴を犯され続け、たまにスタンガンで叩き起こされてはまた失神しを繰り返し、それでも覚醒中はなんとか自発的に奉仕しようと重たい身体を動かし、最後には完全に気絶してしまったがそれでも輪姦は終わらなかった。結局13時間に亘って七海は犯され続けたのだった。

    その横では、全身に縄打たれてうつ伏せ状態で天井から吊るされた玲香が男たちと助産師に折檻されていた。七海の顔の上で糞尿を撒き散らした際に、飛沫が飯森や助産師に飛び散ったことに対する罰であった。そんなことを気にするような飯森や助産師ではないのだが、「ごめんなさい」と泣き叫ぶ玲香に対して、助産師たちは男女十数人分の糞便を塗りたくっては鞭の雨を浴びせ、男たちは上の口と下の口を前後からひたすら犯し抜いた。13時間後にはこちらも完全に気絶し、全身汚物まみれのボロ雑巾のようになって床の上に打ち捨てられた。

    こうして、全19時間にも及んだ七海の公開出産ショーはようやく終わりを迎えたのだった。

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第6章 – 計画

    📂投稿グループ📎タグ

    I:小さな懸念と大きな懸念

    4月20日、出産予定日まで1ヶ月を切ったある日。七海は既に臨月を迎えていた。流石に臨月の状態で過激なSMプレイを行うわけにもいかず、1ヶ月少し前の叛逆の際に行われた苛烈な折檻をピークに被虐系のプレイは徐々に減り、最近では3穴奉仕の割合が多くなっていた。スカトロプレイだけは過激になる一方であったが……。

    奉仕中の七海の妖艶っぷりはJSPF内でも評判で、昼の集団調教でも夜の少人数調教でも七海は大人気。集団調教では4時間ずっと3P〜4Pが続き、少人数調教でも4回の内容が全て複数人プレイなんて日もあった。被虐系プレイでの体力の消耗はなくなったものの、連日の快楽責めで七海はいつもフラフラの状態。それでも尚、独特な表情と腰使いで必死に奉仕する姿に、鬼畜外道ばかりのJSPFの客たちもみな彼女の虜になってしまっていた。 ……七海からすれば、男を誘惑しようという意図など毛頭なく、飯森や客たちに必死に奉仕しようと頑張っているだけなのだが。

    火傷の治療が終わったペロは、身重の七海の分も過激プレイを一手に引き受けていた。先日ある客がペロの肛門に足2本を突っ込んで以来、脱肛はさらに酷くなり、括約筋も完全に破壊されてしまった。ペロの尻穴は、もはやペニスを挿入しても何の快楽ももたらさず、肛門としてもケツまんことしても無価値の、糞を垂れ流すだけの壊れた下水管だった。

    クリトリスは違法薬物によってさらに膨れ上がり、今や七海の腕よりも太く、長さは30cmを優に超え、短い後ろ足よりも長く伸びて、まるで第3の足とでも言うべき有様だ。乳首も乳房もさらに膨れ上がり、ペロの短い腕で四つん這いになると、乳首どころか乳房までも床に接するまでになった。床に接している部分を「肢」と定義するなら、ペロは既に7本肢のバケモノであった。 ……クリトリスへの薬物過剰投与の影響で女性ホルモンのバランスが崩れ、ペロの子宮は既に妊娠能力を失っていたが、本人含めそのことを誰も知らない。

    次第に壊れていくペロの身体。だが、心は今も変わっていない。互いに糞を漏らしながらポチの膣や肛門に巨大なクリペニスを挿入して、下品な犬後尾で客を楽しませつつも、心のなかでは常に臨月の七海を心配していた。七海と玲香との朝の会話と、その後の姉妹同時調教の時間だけがペロの生き甲斐だった。

    その姉妹同時調教では、姉妹ともにすっかり飯森に隷従し、命令があれば妹は姉を鞭で叩きのめし、姉は喜んで妹の糞を頬張った。レズプレイを命令された場合は、七海は小柄な身体を激しく動かしてペロのクリペニスを膣壁や腸壁でキツく締め付けるのだが、その際七海は、ペロに対しても例の妖艶な視線を送るものだから、ペロは興奮のあまり凄まじい勢いで七海を犯しまくり、結果七海を失神寸前にまで追い込んでしまうのだった。

    陽葵と七海は、午前が特殊調教、午後が集団調教、夜が少人数調教と、同じルーティーンなので顔を合わせる機会が多く、調教以外にも朝の身だしなみチェックや夕飯後のシャワーなど、会うたびに話をするようになった。学園の教室では席が隣同士だったにも関わらず会話が殆どなかった2人だったが、親密の度合いは急速に深まっていった。

    大人気の七海の友人ということで、男たちの陽葵への関心も高く、少人数調教で2人(または今日子を含めた3人)同時に指名されることも徐々に増えてきた。七海の抜群の奉仕テクニックには陽葵も今日子も驚嘆するばかりだったし、特に陽葵は、普段とまるで違う奉仕中の七海の妖艶な姿にすっかりまいってしまっていた。初めて七海とレズプレイを求められた時は、ペニバンで突いた時の七海の表情があまりにエロくて、元々レズっ気など皆無だったはずの陽葵が、興奮のあまり鼻血を吹いてしまったほどだ。

    飯森もまた、七海がこちらに来てからできた友人に関心があり、姉妹同時調教の際に堀田と仁科母娘を呼んで合同調教を何度か行った。ペロは、陽葵が昔七海をイジメていたことを、飯森を介して聞いていたのだが、七海が楽しそうに陽葵と話している姿を見て安堵し、辛い過去や過酷な現実を乗り越えていく妹の勇姿に感動していた。陽葵は手足を切られたメス犬という存在を初めて知って激しいショックを受け、ポチとの下品な後尾にドン引きし、壊れた肛門から絶えず漏れ出る悪臭に辟易としたものの、話してみるととてもいい人だったので安心し、調教前に玲香を含めて5人で話をするのが楽しみになった。

    一方で、母娘の食糞調教も少しずつ進んでいた。酷虐な堀田の調教は相変わらず滅茶苦茶で、度々陽葵にトラウマを植え付けていったが、調教師たちの執拗な調教と、七海の献身的なアドバイスやサポートのおかげもあって、見ず知らずの中年の醜男の毛むくじゃらの肛門に口を付けて直接糞便を貪るくらいは、母も娘もなんとかできるようになった。 ……泣きながらではあったが。

     

    飯森は、絶対服従を誓って以降の七海が可愛くて可愛くて仕方がなかった。どんな酷い命令にも忠実に従うのみならず、命令の根底にある飯森の意図をも正確に把握して、それを実現すべく精一杯努力する。どんなに痛くても苦しくても臭くても不味くても、健気に耐えて耐えて耐え続ける。絶対服従と言いつつ、時に飯森に意見してくるのだが、これがいちいち正鵠を射ていて、なのに七海が言うと不思議と不快にならない。たまに意見を採用してやると、誠実だが無感動そうに「ありがとうございました」と言うのだが、直後の歯茎奉仕ではいつも以上に激しくピストンしてきたりするのが何ともいじらしい。そして喉奥に射精してやると、七海はケホケホと咳込みながら涙目で言うのだ。「ご主人様、ザーメンごちそうさまでした」と。その時の表情……!

    そう、七海の表情だ。臨月を迎えたということもあって、最近は測位や後背位で奉仕させることが多いのだが、激しい奉仕の合間に時々こちらを振り向いてきたときの潤んだ瞳が、儚げな表情が堪らない。強烈な快感に翻弄されながら、ペロのように下品な獣声を喚き散らすのではなく、高く細い声で短く喘ぎつつ、何かを訴えるような目でこちらを見てくる。口で言わずに目で、表情で訴えてくる。

    もっとこの表情が見たい。もっと声を聞きたい。こっちも動いたらどんな表情に、声になるんだろう。見たい! 聞きたい! そうやって最近では七海の奉仕に全て任せず、飯森の方からも動くことが多くなった。向こうに奉仕させている最中なのに、気づいたらこちらが奉仕している。でもそんなことどうだっていい。七海も、こちらの動きとシンクロし、増幅させるような独特な動きをしながら奉仕しているのだから。互いが互いに奉仕し奉仕される。その中で七海の表情はどんどん切ないものになり、声も次第に大きく長くなっていくが、下品にはならずにひたすら可愛い声で泣き続ける。そして始まる連続絶頂。だが絶頂が始まっても彼女はピストンを止めず、筆舌に尽くしがたい目で、声で、表情で必死にこちらを見つめてくる。互いに興奮の極致に至って精を彼女の体内に放った後、ゆっくりと絶頂の波が引いていくと、七海はおもむろにこちらを振り返って、荒い息の合間に掠れた小声で言うのだ。「ご主人様、気持ちよかったですか?」と。その妖艶な顔、声。言葉とは裏腹に、目は別のことを控えめに訴えているように感じる。「ご主人様、もう1回してくれませんか?」 ……その顔があまりに可愛くて、すぐにペニスが復活し2回戦が始まる。最近は毎朝これの繰り返しだ。

    飯森だけではない。JSPFの客たちも、奴隷の玲香や仁科母娘、果てはペロやポチですら七海の虜になっている。七海のことを魔性の女だとか天然のサキュバスだとか言う者もいる。意図してやっているのではなく無意識でやっているから魔性で天然というわけだ。飯森もそう思う。奴隷が主人に奉仕させるとは何事かと思うのだが、あの表情が見られるならそれもいいかとも思ってしまう。何しろあの表情は、元々七海が持っていたものではなく、9ヶ月間飯森が調教してきた結果、身に付いたものなのだから。それに、どうせ被虐系の調教は、今は無理なのだ。ならば出産までの1ヶ月、魔性の七海を楽しむのも悪くない。

    その七海の表情。あれの意味するものも飯森はだんだんとわかってきた。快楽に耐えて奉仕を優先しようという奴隷的義務感と、奉仕をおざなりにして快楽に浸っていたいという性的欲求、2つが七海の中でせめぎ合っている時に、無意識のうちにああいう顔になるらしい。 ……何とも理想的な状態だ。機械的に奉仕するだけの奴隷人形になってもつまらないし、快楽のみを求めて奉仕を軽視するようでは奴隷失格だ。ちょうど真ん中にいる今がベストだ。そう思う。そう思うのだが……

    問題は七海よりむしろ男たちの側にあった。あの顔をされると、飯森も客たちも、陽葵やペロでさえ理性が吹き飛んでしまう。七海の自発的奉仕を遮って、自らの欲望の赴くままに犯しまくりたくなる。そうして身体中を滅茶苦茶に蹂躙されながら、七海も快楽を存分に味わって絶頂を繰り返し、さらに切ない声と儚げな顔で男たちを追い込んでくる。どこまでも深まっていく快楽のスパイラル。七海が大人気なのも頷ける。

    ……だが。男たちがすぐに沸騰してしまうものだから、このところ七海は奉仕している時間よりも犯されている時間の方が明らかに増えてきている。1ヶ月前、飯森に絶対服従を誓った頃はほぼ同じくらいだったのに。それが七海の心の葛藤にも影響を与え、最近では男への奉仕よりも自らの快楽を優先する考えが優勢になりつつあるような気が、飯森はしていた。そして尚悪いことに、あの表情さえすれば自分が奉仕せずとも男たちが快楽を与えてくれるということに、七海は気づきつつあるのではないか……?

    七海は賢い。絶対服従以降明らかに賢くなった。自分の表情で相手がどう変わるかを冷静に分析しつつ、露骨にあの表情を作ったら誘惑していることがバレるので、自分は無意識でやってますという雰囲気を演出しながら、計算された控え目な表情で男たちを意のままに操って快楽を貪っているのではないか? ……だとしたら、それこそサキュバスだ。天然ではなく本物の。

    流石にそんなことはないと思う。あり得ない。だが、ふとそんなことを考えてしまうほどに、最近の七海は蠱惑的だった。天然は天然でい続けることはできない。特に七海のような賢い人間は。 ……今のところ七海のあの表情は無意識の天然だと飯森は確信している。しかしこのままだと近い将来、七海がサキュバス化することもまた確実であるように飯森には思われた。

    だが、奴隷が主人を誘惑するなど決して許されない。奴隷にとっては主人の快楽こそが常に最優先なのであって、自分の快楽は二の次、三の次。それが逆転するなど言語道断だし、そうなることを目論んで色目を使って誘惑してくるようになっては興醒めも甚だしい。

    取り敢えず、5月18日の出産予定日までは無理もさせられないので、天然・魔性の七海を皆で楽しむとしよう。そして出産後、まずはハードプレイを解禁して様子を見る。もし何らかの演技をしているのだとしたら、ハードプレイで余裕がなくなればボロが出てくるだろう。七海が意図的に男を誘惑していたと判明すれば、激しい折檻を加えて再調教する必要がありそうだ。それによって現状の理想の七海が変わってしまうのが惜しい気持ちと、どんなふうに変わるか楽しみな気持ち。だが、飯森の懸念はただの杞憂に過ぎず、ハードプレイが再開されても七海は魔性のままでい続ける可能性もある。その場合は、苛烈な責めの合間にどんな表情を見せてくれるのか楽しみでならない。

    取り敢えず出産前後の予定は決まったし、七海のあの表情に対する対処も決まった。だが、その後については……。やはり考えざるを得ない。もう先送りにはできない。タイムリミットはそこまで迫ってきているのだから。

     

    ……ペロの身体の限界というリミットが。

     

    ペロの身体は間もなく限界を迎える。JSPFが作成した拷問マニュアルを読んだ結果、ペロは近い将来妊娠能力を失うだろうと飯森は予測していた。否、もう既に失っているかもしれない。そうして子宮にまで、内臓にまで薬物の影響が出始めたら、あとは加速度的に体調が悪化し、下痢が続いて体重は激減、歯が残っている場合は全て抜け落ち、脳にも異常が現れて精神と身体機能に様々な障害が起きていく。JSPFでは、そうなったメス犬は価値なしとして四肢を根元から切断し、便槽に落として余生を過ごさせた後、処分することになっていた。 ……飯森はマニュアルを熟読し、ペロが便器となるのは4ヶ月後と予想した。そして便槽に落としてしまえば1ヶ月は保たない。

    4ヶ月後、8月。8月11日。七海の処女を奪ったあの日からちょうど1年後の記念日……。

    飯森は、3月に七海が叛逆した時点では、8月の調教1周年記念日に合わせて七海の四肢を切断し、ペロと同じメス犬にする予定でいた(ただし寿命が激減する違法薬物は摂取させない)。だが叛逆は1日で終わり、その18日後に七海は完全服従し、以降七海は、飯森が思い描いていた理想の奴隷になった。完全服従後の七海はJSPFの客にも大人気で、最近では七海を調教した主人である飯森も、客たちに一目置かれるようになっている。こうなってくると、七海をメス犬にするのが惜しい。8月以降も理想の七海を皆で愛でていきたい。

    だが、ペロの寿命は確実にやってくる。そしてその時、七海はこれまでとは比較にならないほどの衝撃を受けるだろう。昨年の8月に七海が飯森の奴隷となって以来、ペロは七海にとって常に最も大きな存在であり続けた。七海が飯森の調教を受け入れたのも、放課後や登下校時に教師や警察に相談しなかったのも、JSPFでの過酷な調教生活に耐えてきたのも、飯森に完全服従を誓ったのも、理想の奴隷・魔性の女・天然のサキュバスとなったのも、全てはペロの、最愛の姉・光希の存在ゆえだ。そのペロがいなくなる。全ての前提が崩れ去る。そうなれば今の理想の七海も儚く消え去ってしまうに違いない。だが、それだけでは終わるとは思えない。ペロの死によって七海の心が壊れてしまう可能性はかなり高いと飯森は見ている。だが、それだけは絶対に避けねばならない。

    飯森は、七海をペロと再会させるというアイディアを思いついた昨年の秋から、さらに言えば、光希が逃亡罪によって手足を失い、同時に例の違法薬物を過剰投与されたと聞いた時から、このペロの寿命問題についてずっと考えてきた。だがいくら考えても答えが出ない。そうこうしている間に姉妹の絆はさらに強固なものになってしまった。……そろそろ本腰を入れて熟考しなければならない時が来たようだ。

    ……堀田氏に相談してみるか。あの人ならJSPFの幹部だし、七海を大層気に入っている。調教歴は自分よりも遥かに長いから、七海に姉の死を受け入れさせる何らかのアイディアを持っているかもしれない。うむ、明日にでも聞いてみよう。

    ああ、七海。愛しい七海。もっと…… もっともっと愛してあげるからね……!

     

    II:計画

     

    いよいよ七海の出産予定日が近づいていた。

    奴隷にとって妊娠は不可避である。JSPF専属の奴隷たちの場合、奉仕の際に避妊は一切行われないので(ただし専属調教師はパイプカット済み)、奴隷たちはあっという間に客の子供を妊娠する。途中で流産してしまう場合もあるが、専属奴隷は100人を超えるため、毎週のように公開出産ショーが行われており、奴隷は激痛と快楽と羞恥と絶望の果てに赤子を産んでいく。出産後、赤子は直ちに親元から離され、彼(女)らは両親の顔も知らぬままJSPF内の養育施設(男女別)へと送られて、奴隷2世として徹底的な教育・調教が施された後、6〜12歳頃に全世界に向けて出荷されるのだ。

    玲香は出産を1回・流産を1回経験しており、今日子は学園での調教中に堀田の子を孕んで現在妊娠3ヶ月目、陽葵は昨日名も知らぬ中年客の精子によって受精したが、本人含めその事実を誰も知らない。ペロは、メス犬となってから短期間に3回妊娠しているがいずれも初期に流産し、現在は妊娠能力を失っている。

    専属奴隷でない会員客の個人奴隷の場合、公開出産ショーへの参加・出産後の母子の処遇等は会員客に一任されている。ショーには参加せず、小さな分娩室を借りて自分一人で赤子を取り上げる主人もいれば、JSPFのショーよりもさらに過激な拷問出産ショーを開催して、妊婦や胎児を死亡直前まで追い込む主人もいる(稀に死亡するケースもある)。産まれてきた赤子については、自宅に引き取ってメイドに世話をさせたり、JSPFの養育施設で育てた後に引き取ったり、そのまま売却して大金を入手し次の奴隷調教のための資金にしたり、こちらも色々である。中には我が子を食材と捉え、フォアグラよろしくエサを過剰摂取させた上で数年後に生きたまま解体し、肥大化した幼児の肝臓を食すという外道行為を平然と行う食人マニアもいる。奴隷の子は奴隷。所有「物」だ。売ろうが食べようが全て主人の自由なのである。

    七海の場合は、JSPFの公開出産ショーで出産させ、産まれた子供はJSPFの養育施設で6歳くらいまで育ててもらった後、女児なら引き取って母娘奴隷とする、男児なら売ってカネに換える…… というのが、七海をJSPFに連れてきた頃に飯森が思い描いていた未来であった。直後に七海の胎内にいるのが女児であることが判明した。

    だがこの未来は、飯森が堀田に相談したことで大きく変わることとなった。

    「なるほど…… 七海のあの表情にはそういう事情があったのか。なかなか面白い話だな」

    「ええ…… ですが……」

    「ああ。もう1つの方は難問だ。今ペロが死ねば、七海は恐らく壊れるだろう……」

    「そうですよね……」

    「そうだなぁ…… うーむ…………」

    「…………」

    「ふむ…… ん? おう、そうか! 「人質」役をペロから産まれてくる女児に引き継がせるというのはどうかね?」

    「……! そうか! 娘を人質に取ればいいのか!!」

    「これまではペロがいたから七海という奴隷が成り立っていた」

    「その役を娘にやらせればいいわけですね」

    「そうだ。そのためにはまず、七海が娘を溺愛するようにならんといかんが…… 現状はどうなのかね? 七海は君との娘をどう思っているのかな……」

    「妊娠当初は絶望していたようですが、絶対服従を誓って以降は愛情が日に日に増していっているようです」

    「ふむ…… だが姉の代わりとしては、まだ弱いな」

    「ですね」

    「出産後すぐに養育施設に預けず、七海に子供の面倒を見させるか……。ベッドルームで育児をさせたら他の奴隷の反感を買うだろうから、出産以降は七海専用の部屋を用意して、そこで育児をさせつつ、食事や就寝、調教も全てそこで行う」

    「なるほど。そこで娘に対する愛情を深めさせ、七海の母性本能を高めさせるわけですね」

    「うむ。調教と育児の両立は難しいだろうから、育児のサポートを行う者が必要になるな……」

    「玲香はどうでしょう。ペロとポチの世話をしている雑用係です。七海とも仲が良いようです」

    「あいつか…… 使えるな。ペロとポチの世話を他の雑用係にやらせれば、かなりの時間が確保できる。まぁ、ペロは便器になってしまえば世話は不要だがな。その時間で玲香に育児のサポートをやらせよう」

    「そうやって玲香のサポートを受けながらも毎日娘の育児を自ら行うことで娘への愛情が膨らんでいけば、別れ別れになるのを恐れるようになりますね」

    「その通り。言うことを聞かなければすぐにでも娘を養育施設に送る。そうなれば娘とは永遠に会えない。そのうちどこぞの飼い主に買われて酷使された挙げ句、幼くして惨殺されるだろう。 …そう言えば良い」

    「まさに人質ですね」

    「娘の方は正直何とでもなるが…… ペロの方は難しいぞ。最も重要なのは、ペロの死は寿命であって七海のせいではないということを本人にきちんと認識させることだ。ペロの寿命が縮まったのは薬物のせい、ペロが逃げ出したせい、つまりは自業自得だと」

    「まあ、本を糺せば全部私のせいですが(笑)」

    「それでも良い。君のせい、もしくはJSPFのせいということになれば、怒りの感情が湧くだろう。それならば御しやすい。怖いのは、姉の死を自分のせいだと思い込み、自責の念で押し潰されて自我崩壊するパターンだ。これだけは避けねばならぬ」

    「ええ。となると出産の後、なるべく早い段階で、ペロの寿命が近いことを2人に明かした方が良さそうですね」

    「だな。女医を同席させて、医学的見地から回復も延命も不可能であることを説明させる。実際不可能だしな……」

    「午前中の特殊調教は毎日ペロを七海の部屋に運ばせます。日に日に体調が悪化していくペロを目の当たりにすれば、七海もペロの死期が近いことを悟らざるを得ないでしょう。ペロは恐らく、死は自分のせいだと言って七海を諭すと思います。まあ、私のせいだとは言うかもしれませんが。少なくとも七海のせいだとは言わないでしょうし、思ってもいないでしょう」

    「うむ。あとは自殺と逃亡だな。自殺に関しては、お前が死ねば娘が悲惨な人生を歩むと言って脅す」

    「逃亡は…… 七海を専用の部屋に軟禁してしまえば防げそうですね」

    「だな。それと、七海と仲の良い玲香や陽葵も使えるかもしれん」

    「確かに。これも考えてみます」

    「次に我々だ。我々も耐えねばならんことがある」

    「??」

    「ふふっ…… 七海のあの表情だよ。私も含めて、どうもあの目を見てしまうとレイプ衝動が高まってしまうのだが…… しかしここは心を鬼にして、七海にもっと奉仕させないと駄目だ」

    「別れの悲しみを忘れさせるためですか」

    「そうだ。我々に犯されている間、七海は好きなだけ悲しみに浸れることができる。悲しみはどんどん膨れ上がっていき、やがては破裂して再起不能となってしまうだろう。そうならないためには常に自発的に奉仕させて、悲しみを忘れさせることが肝要だ。」

    「奴隷としての務めを果たさずに悲しみに浸ってばかりいたら、娘ともお別れだぞと脅せば、より効果的ですね」

    「くくく…… そうだな」

    「ご助言ありがとうございました。おかげでなんとかなりそうです!」

    「それは良かった。七海は壊すには勿体ない逸材だからな。ペロの件は難問だが、調教師としての君の腕の見せ所でもある。楽しみにしているよ」

    「ありがとうございます。これで七海も、娘も、末永く愛してやることができそうです」

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第5章 – 奴隷100日目

    📂投稿グループ📎タグ

    I:奴隷100日目 – 朝

     

    3月28日、七海が奴隷となって100日目。七海とペロの叛逆が失敗に終わった18日後。

    朝6時、起床のブザーが鳴ると、89番ベッドで寝ていた七海は飛び起きた。心臓がドクンと跳ねて耳がキーンとなる。100日も奴隷をやっていると色々なことに慣れてくるが、この音だけはいつまで経っても慣れない。

    いつものように小窓が開いて流動食と小便の朝食だ。七海はここ4日ほど朝も晩も糞便の入っていない流動食にありつけている。つまり調教中にお仕置きを食らっていないわけで、それだけここの生活に慣れてきたということだろう。早速歯のない口で流動食をグチャグチャとすり潰す七海。歯茎だけで物を食べる行為にも次第に慣れつつあるが、悲しみや屈辱は完全に消え去ってはいない。

    相変わらず味も匂いも最低だ。だが糞便が入っていないだけでかなりマシに思える。あの日、ペロとポチとともに大量の糞便にまみれた一夜を過ごして以来、七海は飯森にも客にもさらに過激なスカトロプレイを要求されるようになった。出して、食べて、吐いて、塗って…… 毎日そればかりだ。そのおかげか知らないが、食糞にもだいぶ慣れてきた。だが慣れたからといって、あんな汚物を美味しいと感じるはずがない。不味くて臭くて堪らない。できれば食べたくないに決まっている。激マズ流動食を食べながら、今日はうんちを食べたくないなと七海は願った。

    食後は奴隷としての最低限の身だしなみを整えていく。大きな鏡の前に立った七海は、なんとなく半年前のことを思い出した。

    昨年の10月、七海がまだ木下家で凌辱されていた頃。七海は自室の鏡の前で、刺青や肥大化した乳首を隠そうと、泣きながら下着を引っ張っていた。あの頃はまだ妊娠2ヶ月目で、身体の表面に変化はなかった。

    それがどうだ。妊娠8ヶ月目を迎えて腹はまるまると膨れ上がり、あの頃の数倍に膨れ上がった乳首やクリトリスは、メラニン色素によって黒々と変色してしまっている。太鼓腹とは対照的に身体は痩せ細り、あばら骨がくっきり浮き出ていた。歯を失った頬はそれ以上に痩け、まるで老婆のようだ。刺青も身体中至るところに掘られている。そしてその無様な身体全体を無数のミミズ腫れが覆い尽くしていた。

    もはや涙も出ない。なんて醜い身体なんだろう。こんなんで身だしなみとか意味あるんだろうか。七海は自嘲気味に溜息をひとつつくと、ペロと玲香が待つメス犬区画へ歩いていった。

    「おはようございます」

    「おはよう」

    「おはよう、七海ちゃん」

    9号室の扉を開けていつもの挨拶を交わす3人。いつもの会話、いつもの臭い。だが、この部屋に来てこの臭いを嗅ぐと、いつもあの時を思い出す。七海にとってトラウマになってしまった、あの時……。

     

    ……あの時、大量の糞便にまみれてレズプレイをしながら、七海とペロとポチは玲香がやってくる午前7時をひたすら待った。嗅覚も味覚もどういうわけか全く麻痺してくれず、臭くて臭くて気が狂ってしまいそうに臭くて、そんな中、互いの糞まみれの膣や肛門や乳房を刺激しながら過ごす2時間は、永遠とも思えるほどにとてつもなく長い時間だった。あまりに臭いので、どれだけ性器を刺激してもちっとも気持ちよくならなかった。……ポチ以外は。

    玲香は何も聞かされていなかった。いつものように7時に9号室の扉を開けた途端……

    「ううっ!!!?」

    一瞬にして胃液が口の中まで逆流した。なんとか飲み込んで押し戻したが、あまりの凄まじい悪臭に、息をすることさえできない。扉の横にあるスイッチを押して室内灯を点けると、床一面茶色一色だ。その茶色い海の真ん中に大きな茶色い塊が3つ。玲香は当初、それら全てが糞便の塊だと思った。いったい何千人ぶんのうんちを集めたらこんな量になるんだろう。なんでこんなことになってるの? あれ? 光希がいない……。 …………え? これってまさか、ひと? 人間!? 光希!!? あとは…… ポチと…………

    「げほっ! げほっ! れいか……さん…… たすけ……て…………」

    「七海ちゃん!!!!」

    「げぼっ! げぼっ! おげええええぇっ!!」

    七海が吐いた。ドボドボと吐き出された吐瀉物は、胃液の色ではなく糞便そのものだった。

    「なんてこと……!!」

    「やあ、玲香。おはよう」

    振り向くと飯森が立っていた。

    「これを付けて、3人の洗浄と部屋の掃除をしてくれるかい?」

    そう言って、飯森は手にしていたガスマスクを玲香に手渡した。

    「…………」

    反射的に受け取ったけれど、あまりの状況、あまりの光景に、流石の玲香も言葉が出て来ない。それに…… この人、この凄まじい臭いの中、何も着けてなくても平気なの……?

    「頼んだよ」

    それだけ言うと飯森は去っていった。呆然と立ちすくむ玲香。こんなの着けたことない。どうやって着けたらいいの? 何なのよ、このおぞまし過ぎる状況は!! ……でもなんとかしなきゃ。掃除とか以前に、早くこれ着けないと私、耐えられないっ! 吐くっ!!

    なんとかマスクを装着すると、無臭の空気が口と鼻に入ってきた。取り敢えず安堵する玲香。だが、冷静になって辺りを見回して見れば、凄まじい惨状だ。こんなの、未だかつて見たことがない。どうやってこれを片付けたらいいの? こんな大量のうんち、いったいどうしたら……

    その時、スピーカーから飯森の声が流れてきた。

    「ウンコは1人分ずつくらいに分けてトイレに流してくれ。全部で60人分くらいだから60回に分ければ問題ないだろう。一度に大量に流したら便器が詰まるから気をつけろよ。あらかた流したら風呂場で3人を洗ってやってくれ。床にこびり付いたウンコは3人の舌で全て舐め取らせること。そこまで終わったら脱臭器を持っていくから、それで換気を行う。 ……今日の午前中の調教は休みとする。半日かけて4人で部屋の掃除だ。いいな?」

    ……それからが大変だった。いくらガスマスクを着けているとは言え、誰のものとも知れぬ排泄物を素手で掴み、トイレに持って行って流す。それを60往復だ。1往復1分でも1時間。実際にはそれ以上の時間をかけてゆっくりと人の形を取り戻していく3人。その3人を風呂場に連れていき、シャワーで汚れを落としていく。排水口は大量の糞便ですぐに詰まってしまい、玲香は仕方なく排水口の蓋を開けて糞便を直接下水管へ流した。そうしてようやく露わになった肌。だが七海は真っ赤、ペロは紫色にそれぞれ腫れ上がっており、マトモなのはポチだけだった。しかもペロは左目に黒い眼帯を着けていた。

    「光希…… 目、どうしたの? 大丈夫?」

    「…………」

    ペロはそれには答えず、七海とともに身体を洗ってもらった礼を言うと、魂の抜けた幽鬼のような顔で部屋に戻り、舌で汚れた床を舐め始めた。2人の表情があまりに暗いので、ポチまで浮かぬ表情になり、黙って部屋に戻ると舌掃除に参加したのだった。

    しばらくして飯森が再び9号室に入ってきた。さらに、ガスマスクを着けた裏沢も、大きな脱臭器を持って入ってきた。床の上に置いて電源を点けると、大きな音を立てて脱臭が始まった。

    「さて、七海とペロの今後についてだが、これは玲香とポチにも聞いてもらう」

    4人は無言のまま視線を飯森に向ける。

    「七海とペロは昨日俺に逆らった。ペロはさらに裏沢のちんぽを噛んだ」

    「!!」

    「よって罰を与えた。2人は酷い折檻を受けた上に、ペロは左目を潰された」

    「そんな…… 光希………… あっ」

    その名はペロと七海の前でしか呼ばないようにしていたのに。動揺してついその名を口にしてしまった。その瞬間、何故か飯森のスマートフォンがピーッピーッと鳴り出した。

    「玲香。その名前を口にすることは金輪際禁止する。たとえペロや七海しかいない場所であってもだ。この部屋は常時録画中だが、「ミツキ」という単語が七海・玲香・ポチの3名の口から発せられた瞬間に俺のスマホが鳴るよう、音声認識アプリを連動させた」

    「「「「!!?」」」」

    「ポチ、試しに「ミツキ」と言ってみろ」

    「……光希」(ピーッピーッ)

    「こういうことだ。俺の声には反応しない。裏沢やペロの声にもな。あくまでお前ら3人だけだ。いいか? もし発したら、そいつはキツい折檻を受けた上で、ペロは右目も潰されて失明する」

    「「「「!!!!」」」」

    「そいつの名前はペロだ。いいな? ……七海」

    糞色でなく透明な涙が、七海の目から溢れる。ここまでするの? ……ご主人様の前だけでなく、おねえちゃんと2人きりの時でさえ、ペロと呼ばなきゃいけないの……?

    「……………………」

    「返事をしろ、七海」

    「……………………はい。わかりました」

    「それと七海。3つ目の命令は覚えてるな?」

    「はい」

    「今実行しろ」

    「……はい」

    七海は泣きながらしゃがみこみ、ペロに向かって言った。

    「……ペロ、裏沢様に謝って? おちんぽを噛んだこと。お願い…………」

    「……………………わかったわ」

    ペロは七海に素直に従い、4つ足を器用に使って裏沢の足元まで歩いていった。そして短い両腕で裏沢の片足を掴むと、足に向かって謝罪した。

    「すみませんでした、裏沢様。ペロは奴隷以下のメス犬の分際で、裏沢様のおちんぽ様を噛んでしまいました。本当に、本当に、申し訳ございませんでした」

    熱のある誠意のこもった声。ペロは心の底から謝罪していた。昨日の夜に七海と和解できたことで、ペロは完全に戦意を喪失していた。叛逆は……失敗に終わったのだ。

    七海が初めて則夫様に逆らった。だから私も昔を思い出して裏沢様に逆らった。その結果がこれ。そう。逆らっちゃいけなかったんだ。私も、七海も。歯を失って激昂する七海を宥めて、飯森様に逆らわないよう説得するのが私の役目だったんだ。それがどんなに七海を傷つけたとしても、どんなに七海に憎まれ蔑まれたとしても、2人がこの施設で生きていくためには、それ以外選択肢はなかったというのに。本当に、なんて愚かな姉なんだ、私は。

    身体中が痛い。麻痺していた痛覚が、嗅覚や味覚とともに目覚めたのだろう。早朝にレズプレイで気を紛らしていた頃から、全身の殴られた痕と左目の奥がズキズキと痛くて堪らない。だがこれは罰だ。愚かな自分に対する罰なんだ……。

    でも、七海はそんな愚かな私を許してくれた。だからもう迷わない。則夫様にも裏沢様にもこの施設の全ての男性にも、もう二度と逆らわない。淫乱変態マゾメス犬・ペロになりきる。否、なるんだ……!

    決意を込めて裏沢の足を見つめるペロ。ペロの舌は床掃除で汚れているから足を舐めたりはしない。ただ足を見つめ、全身の痛みに耐え、姉妹の悲しい運命を想う。

    「うう…… ううっ…… うううう……」

    静かな嗚咽とともに、ペロの残された右目から透明な液体が流れていく。その様子を静かに見守る七海の両目からも、同じ液体が溢れていた。

     

    ……あの時の臭い、あの時の記憶。あれから17日経った今でも、ここに来るたびに鮮明に思い出す。あれ以来、ペロは元の変態メス犬に戻り、七海はより積極的に飯森に奉仕するようになった。あの日から数日間は朝のこの時間も殆ど会話がなく、暗く重々しい空気に支配されていたが、玲香が努めて明るく2人に接したこともあって、ペロ、七海の順で徐々に以前の空気を取り戻し、今ではすっかり元通りになっていた。 ……「名前」以外は。

    「目の具合はどう? ペロ」

    「痛みはなくなりました。全身の腫れも引いたし、玲香さんのおかげです」

    「薬を塗るのが私の仕事だからねー。でも良かったわ、治って」

    「ありがとうございます」

    「七海ちゃんは? お腹は大丈夫?」

    「はい。痛くないです」

    「そ? 良かった。 ……あ、そうそう。七海ちゃん、今夜私たちに指名が入ってるみたいよ? 七海ちゃんがここに来てすぐの頃以来かしら」

    「そうですね。よろしくお願いします、玲香さん」

    「私の方こそ、よろしく」

    「お客様に奉仕してる時の七海って、どんな感じなんですか? 玲香さん」

    「前回はスカトロ責めの後だったから、あんま覚えてないなぁ。あ、でも、お客様の評判だと、最近の七海ちゃん、すっごい変態らしいわよ?」

    「ひどっ! 変態じゃないもん!」

    「そう? 昨日のこの時間も結構すごかったような……」

    「あうぅぅ…… ペロまで……」

    「じゃあ、今夜じっくり観察しないとね♪」

    「私もこの後改めて観察しようかな」

    「んもうっ! 2人とも意地悪っ!!」

    努めて、明るく。玲香だけじゃない。七海もペロも同じことを考えるようになっていた。暗く沈んだままでは心が死んでしまう。それに暗かろうが明るかろうが、されることは変わらない。ならば明るくしていた方が精神的にラクだ。それでいいじゃないか。どうせ逆らっても無駄なんだし、奴隷人生を楽しめばいいんだ!

    ……無論3人とも心の底からそう思っているわけではない。無理矢理にでもそう思わなければ、やってられないだけ。姉をペロと呼び、頑張って明るい会話を続けながら、七海は泣きそうになるのを必死に堪えていた。

     

    II:奴隷100日目 – 午前(1)

     

    朝8時、飯森が9号室の扉を開けると、七海が土下座していた。

    「おはようございます、ご主人様。今日も七海の身体をメチャクチャにしてください」

    「おはようございます、則夫様。今日もペロを拷問してください」

    七海の横で、四つ足で立っていたペロも、七海に続いて挨拶をする。叛逆心を完膚なきまでに叩き潰された姉妹は、すっかりおとなしくなって飯森に隷従していた。

    「2人とも顔を上げろ」

    「「…………!?」」

    飯森の足元に置かれたバケツ。中は真っ赤になった石炭で満たされ、その中に鋼鉄製の焼き鏝が1本突き刺さっていた。

    「ひぃっ!!」

    ペロが小さく悲鳴を上げる。尻に捺された「ペロ」の焼印。木下光希が歯と手足と失ってメス犬となり、新たな名を与えられた時に、一生消えないよう尻に焼き付けられた。あの時の屈辱と絶望、そして灼熱の激痛を思い出す。また? また捺されるの? それともまさか七海に!?

    「七海」

    「ひぃっ!!」

    今度は七海が小さく悲鳴を上げた。いやっ! いやっ! おねえちゃんのお尻みたいになるの、絶対いやああああっ!!

    「ふふっ ションベンちびってるぞ、七海」

    「や… やだっ……」

    「安心しろ。お前には捺さない。お前が捺すんだ。」

    「え?」

    「ペロにな」

    「「!!!!!!!!」」

    「ペロの腹にこいつを捺せ、七海」

    「……いやっ いやっ! いやですっ!!」

    七海が悲壮な顔で訴える。

    「ご主人様っ! 今日もちゃんとご奉仕しますからっ! 妊娠まんこでもケツまんこでも歯茎まんこでもご主人様のおちんぽ、しっかりご奉仕しますから! ご主人様のうんちも喜んで食べるし、ムチやロウソクでメチャクチャにしてくれていいですから! お願いしますっ! おね…… ペロにそんなの…… しかも私がなんて…… そんなの絶対いやですっ!!!」

    「七海…………」

    七海の必死の訴えを、ペロは俯きながら聞いていた。ダメだよ、七海。逆らっちゃ……

    「いいのか? 俺に逆らって……」

    「!!!!」

    「もっと小さいサイズの焼き鏝もあるからな……。そいつをペロの右目に突っ込んでやろうか?」

    「「!!!!!!!!」」

    「いいからやれ。これは先日の叛逆に対する罰だ」

    「え……? ペロの左目は……? 私がうんちまみれになったのは……!?」

    「言ったはずだ。ペロが左目を失ったのは裏沢のちんぽを噛んだことに対する罰だと。叛逆に対する罰ではない。お前らを糞まみれにしたのはただの折檻だ。叛逆に対する罰があの程度で済むはずがないだろう」

    「な……!!」

    「お前たちの叛逆が終わった日の午後にこれを発注したんだが、発送が遅れたとかで昨日の夜にようやく届いたってわけだ」

    「だって…… そんなの…………」

    「最愛の姉に焼印を推す、それが七海への罰。最愛の妹に焼印を捺される、それがペロへの罰だ」

    「うそ…… うそ…………」

    「…………七海、お願い」

    「おね……」

    「それ、私のお腹に捺して?」

    「!!」

    「ね? お願い」

    さっき焼き鏝を見た時には、咄嗟のことで動揺してしまったが、よく考えれば2回目だし、四肢切断や全抜歯の痛みに比べればあんなの全然大したことなかった……ような気がする。こんなのが罰だというのなら、正直、ラクなくらいだし、七海に捺されるなら本望だ。それよりも、七海がまた逆らって、失明して七海の顔が見られなくなる方がイヤだし、そんなことになったら七海が自責の念に苛まれて今度こそ再起不能になってしまうかもしれない。それだけは絶対にダメ!!

    「私なら全然平気だから。則夫様に逆らっちゃダメ」

    「うぅ……」

    「ね? 七海」

    「……………………うん、わかった。ごめんね……?(おねえちゃん……)」

    ペロは四つん這いの状態から器用に身体を回転させて仰向けに寝転んだ。七海はバケツから焼き鏝を抜いてゆっくりとペロに近づいていく。なんでこんなことしなくちゃいけないの? 一生消えないって、刺青だってそうだけど…… こんな熱そうなの…… すごいヤケドして…… 醜い痕が残って…… なんで? こんなの絶対おかしいよ!!

    涙と鼻水と身体の震えが止まらない。焼き鏝を落とさないように強く握り締めているため、手の震えが増幅されて棒に伝わり、真っ赤になっている先端部分が激しく揺れている。

    「力を抜け、七海。ヘソの上あたり、腹の真ん中に捺すんだ」

    「うぅぅ……」

    だめだよ! 力を抜いて落としちゃったら、おねえちゃんの上に…… そんなん絶対ダメっ!

    「七海、落ち着いて?」

    「あぅぅぅ……」

    「大丈夫。死ぬだけじゃないわ。ペンで落書きするのとおんなじ。ね?」

    「くくくく…… そうじゃないだろ? ペロ」

    「…………」

    「俺が命令して七海が捺すということは、俺が捺すのと同じことだ。言い直せ」

    「…………はい」

    どこまで私たちを貶めれば気が済むの? ……この男は。

    「七海様…… 則夫様に逆らったこの大罪人に罰をお与えください。痛いのが大好きな糞マゾ犬の私には、生半可な罰ではご褒美になってしまいます。痛くて熱くて死にそうになるくらい辛いお仕置きをお願いします。マゾ犬ペロの汚いお腹に、その焼き鏝を押し当てて、一生消えない醜い烙印を付けてください。七海様、則夫様、どうか、お願いします。ペロにお仕置きしてくださいっ!」

    「…………!!」

    聞いていられない。妹を様付けで呼んで、罰してくれ、焼き鏝が欲しい、お仕置きしてって…… 顔を見ればわかる。本心じゃない。やめて。わかったから。やるから。だからそんな悲しい顔で悲しいこと言わないで! おねえちゃんっ!!

    ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!

    「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    「あぁぁぁ…………!!!!」

    「まだだ! そのままでいろ! 皮膚の真皮層まで焼かねば痕は残らん!」

    「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    「ひぃぃっ!!!!」

    鼓膜が破れんばかりの悲鳴。なんてことを…… なんてことをっ!! やめなきゃ! 今すぐやめなきゃっ……って、ええっ!!?

    ふらつく七海の手を飯森が握り、さらに強く押し当てる。

    「ぴぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    「あぁ………… おね…………」

    臭い。皮膚や産毛が焼け焦げる臭いと僅かに灰色がかった煙、壊れた肛門から一斉に流れ出す液便。あまりに恐ろしい声と臭気に、七海の手足はガクガクと震え、殆どパニック状態になっている。その七海を飯森が後ろからガッチリと支え、焼き鏝が動かないようさらに力を入れた。

    「あああああが…… ぐげ…… いぎゅ……………………――――――――」

    ついに失神するペロ。その直後、ようやく飯森は焼き鏝をペロの身体から離した。焦げた皮膚が剥がれる嫌な音がする。と同時に七海の手も焼き鏝から離させる。七海はショックでそのまま床に座り込んでしまった。

    飯森はホッとしながら焼き鏝をバケツに刺し戻した。七海がパニックになるのは読めていたので、七海を後ろから支えたまでは良かったが、混乱した七海が暴れて焼き鏝の先端に触れてしまったら、当たりどころが悪ければ流産もあり得たのだ。そうならずに済んで飯森は心から安堵していた。そんなリスクを冒さずとも、飯森が自分で捺して七海には別の罰を用意することもできたわけだが、飯森でなく「七海が焼印を捺すこと」が重要なのだ。

    姉妹がともに叛逆した当初、飯森は面白いことになったと思った。8月まで叛逆が続くとは流石に思えなかったが、1週間か2週間か、しばらくは反抗的な七海を楽しめると見込んでいた。が、ペロの自滅もあって叛逆はたった1日であっさり終了してしまった。

    こうなった以上は方針を転換せねばならない。2人が二度と逆らおうと思わぬよう、それどころか飯森に対して怒りの感情が湧くことすらも封じるために、目に見える形で罰を与えることにしたのだ。それが焼印だ。焼印を捺すという「行為」だ。最愛の姉の身体に生涯消せぬ烙印を自ら刻ませる。これによって七海は、今後ペロの腹を見るたびに、自らの罪を思い出すことになるだろう。

    そしてもう1つ。飯森が捺せば、七海の中で飯森への憎悪が再燃する可能性がある。だが七海が捺せば、敵(カタキ)は即ち自分自身。憎悪は自分へと向かうだろう。あとはその自責の念と自己嫌悪を、飯森に対する絶対服従へと昇華させるだけだ。

    飯森は、ペロを医務室に連れて行くよう玲香に連絡を取ると、座り込んだままの七海に話しかけた。

    「どうだ? 生涯消えぬ烙印を姉の身体に刻み付けた感想は?」

    「…………ぁぁ…………」

    「ほら、見てみろ。ペロの腹を」

    「…………!!!!」

    真っ赤に爛れた腹の中央に、横12cm縦6cmくらいの大きさで「姉犬」の2文字が刻まれている。「メス犬」の焼き鏝ならこの区画内にある倉庫に置いてあるのだが、この2文字を捺したくて、飯森はわざわざ特注で作らせたのだった。

    七海は呆然と姉の腹を見ていた。赤黒く浮き出た2文字よりも、重度の火傷を負って水ぶくれだらけの腹部の惨状があまりに酷くて見るに堪えない。だが目を逸らすわけにはいかない。私がこれをやったんだ。おねえちゃんのお腹を、私がこんなふうにしたんだ……!!

    「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    七海が絶叫しているところに玲香が入ってきた。ペロのお腹を見てすぐに状況を察する。七海の制止を振り切って飯森がペロの腹に焼印を捺したのだろう。幸い玲香自身は焼印を捺されたことはまだないが、奴隷が焼印を捺された直後の惨状は、これまでも何回か見てきている。だが何度見ても、重度の火傷というのは痛々し過ぎて正視に耐えない。しかも火傷を負っているのは、直前まで軽口を叩き合っていたペロなのだ。猛烈な吐き気を催しつつもなんとか堪える玲香。

    ペロも七海も、このところようやく以前の2人に戻ってきていたのに、またこうなってしまったのか。……でも仕方がない。奴隷とはこういうものなのだから。こうやって肉体と精神をボロボロに擦り減らしていくだけの存在なのだから。身体が震える。明日には自分もこうなるかもしれない……

    「医務室に連れて行きますね、飯森様」

    「ああ、よろしくな」

    患部に触らないよう気をつけながら、真っ青な顔をして意味不明の言葉を叫んでいる七海の心配をしながら、玲香は小さなペロの身体を抱きかかえて部屋から出て行った。

     

    「さて七海」

    「あぁああ……」

    パチンッ! 絶叫の後に放心状態になってしまっていた七海の頬を飯森が軽くビンタする。

    「七海」

    「…………はい」

    「なぜこうなったのかわかるな?」

    「ひっく…… 私がご主人様に逆らったから……です」

    「そうだ。せっかく俺が用意した誕生日プレゼントをお前が拒絶し、俺に逆らったからだ」

    「…………(コクン)」

    「そして、お前が逆らわなかったらペロも逆らわなかった。奴が左目を失うこともなかったし、腹に焼印を捺されることもなかったし、お前が捺すこともなかった」

    「…………(コクンッ)」

    「今回の事態、全ての元凶はお前にある。そうだな?」(全ての元凶は俺だがな!)

    「…………はい。ぐすっ……」

    「うむ。だがお前は、俺の命令どおり最愛の姉に自ら焼印を捺して罪を滅ぼした」

    「…………うぅぅ」

    「だから俺はお前を許そうと思う」

    「…………えっ?」

    「お前もペロも罪を犯した。そして罰を受け、犯した罪を全て償った。だからこの件でこれ以上お前やペロを責めない。2人を許す」

    「あぁぁ…………」

    「その代わり改めて誓え。二度と逆らわないと」

    「……はい」

    「次逆らったらペロは失明するわけだが…… 右目に焼き鏝を突っ込むのはお前にやらせるからな?」

    「ひぃっ!!」

    「わかったら、土下座しろ。そして俺の足の指を舐めながら誓うんだ」

    「はい」

    七海は、ペロが撒き散らした液便の泥の上で土下座すると、飯森の臭い足の指を一舐めしてから、足に向かって誓いの言葉を述べ始めた。決められたセリフを機械的に復唱するのではなく、自分の言葉で。

    そう。自分で考えるんだ。何も考えずにただ闇雲にご主人様に盲従して、何かあったらおねえちゃんや玲香さんを頼って、腹が立ったら後先考えずに暴走して…… そんなんじゃダメ。自分で考えるんだ。考えて行動するんだ。ご主人様が何を欲しているのか、そのためには自分が何をすればいいのか、何をしちゃいけないのか。自分で考えるんだ……!

    「私は、木下七海は、ご主人様の、飯森則夫様の奴隷です。二度と逆らいません。どんな命令にも絶対に従います。一生をご主人様に捧げます……」

    卑猥な形容詞などは一切なく、必要最低限のことだけを淡々と簡潔に述べる。罪は償ったのだから謝罪の言葉もない。それで良い。JSPFに来て101日目、七海の処女を奪って230日目。七海はついに完全服従した。七海の心が全て手に入ったのだ。深い充実感を味わう飯森。それとともに下半身が熱を帯び始める。

    「では七海。さっき言っていたな。3つの穴を使って奉仕すると。俺のウンコを喜んで食べると。鞭や蝋燭で虐めて欲しいと……」

    「……はい。ご奉仕させてください、ご主人様」

     

    III:奴隷100日目 – 午前(2)

     

    「まずはシャワーで足の汚れを落としてこい。ここは臭いからな…… 部屋を換えるぞ」

    「はい」

    七海は急いでシャワー室に行って汚れを落とすと、ペロが撒き散らした汚物を踏まないように気をつけながら、飯森に従いて部屋の外に出た。飯森は、メス犬区画から調教室が並ぶ区画へと上がり、その中の一室に入った。飯森が清潔なベッドにどっかと座ると、七海は再び飯森の足元に土下座をして口上を述べた。

    「では、改めてご奉仕させていただきます、ご主人様」

    「口が汚れる前に、まずは服従のキスだな。あとはお前に任せる」

    「……はい」

    七海は立ち上がると、まっすぐ飯森の顔を見た。相変わらず醜い顔だ。斑に禿げた頭、無精ヒゲが伸び放題の顎、鼻の穴から覗いている鼻毛がいかにも汚らしい。ヤニ臭い口、歯並びが悪く黄ばんだ歯、全身から漂う加齢臭。だが、この醜怪な男に七海は生涯を捧げると誓った。奴隷として仕えると、所有物になると誓ったのだ。その人を醜いだの不快だの思っていいはずがない。わかってる。そんなことわかってる。でも。でも、やっぱり気持ち悪い。せめて…… せめてイケメンなご主人様ならよかったのに……

    「ご主人様…… 私はご主人様の奴隷です…… 一生お仕えします…… ちゅっ」

    誓いのキス。こんなことにならなければ、いずれは自分も結婚していたのだろうか。素敵な男性と結婚式場で、姉や両親に見守られながら幸せなキスを交わしたのだろうか。それは10年後か20年後か…… 幸せな家庭を築いて、子宝にも恵まれて、やがて年老いて子や孫に見守られながら天寿を全うする。そんな幸せな未来はあり得たのだろうか。

    ……悪趣味な調教室で、ウェディングドレスはおろか下着の着用すら許されず、素っ裸に首輪のみ。膨れ上がった乳首とクリトリスに、全身を覆う刺青とピアスと鞭痕。本来あるべきだった未来より10〜20年も早く妊娠し、70年も早く歯を失ってしまった。そんな惨めな身体で、醜悪極まる男と唇を重ねる。誓いのキスではあるが、結婚ではなく隷属の誓いだ。お嫁さんではなく奴隷。家畜。所有物。

    「うううう…… ちゅぷ…… ぶちゅる……」

    早速飯森が舌を絡め始める。分厚い舌が七海の口内を、ぷにぷにの歯茎を蹂躙していく。嫁と愛を確かめ合うのではなく、自分の所有物の具合を確かめているだけ。最低の行為。だが受け入れざるを得ない。七海は奴隷なんだから。なると誓ったんだから。 ……固く瞑った目からは大粒の涙が零れ落ち、両手は固く握り締められている。七海の痩せた身体は、屈辱と絶望で細かく震えていた。

    飯森は七海の口内を舌で弄っていく。歯茎、舌、頬の裏側、あらゆる箇所を自らの唾液で汚していく。屈辱に震えつつも抵抗せずに舌を受け入れている七海。 ……こうでなくてはな! ペロやポチのような変態もいいが、七海には似つかわしくない。人によっては、奴隷が主人を盲愛し、まるで恋人のように振る舞うよう調教する者もいるが、そんなのは論外だ。かと言って、調教のしすぎで廃人にしてしまっては意味がない。嫌だけど従う。嫌だけど絶対服従を誓う。こうでなくては。飯森は七海を、自身が考える理想の奴隷に調教できたことを確信し、深い達成感を存分に味わった。

     

    「もういいぞ。奉仕を始めろ、七海」

    数分間キスを楽しんだ後、飯森は七海に言った。

    「ちゅぷ…… はい。まずは口で…… 歯茎まんこでご奉仕させていただきます…… ちゅっ」

    七海は飯森の目を見ながら口上を述べると、主人の足元にしゃがみ込んでペニスの亀頭に軽く口付けした。飯森のペニスに、おちんぽに、生涯を捧げるとの無言の誓いを込めたキスだった。そして舌を出して亀頭をひと舐めすると、頭を横に傾けてペニスの側面に舌を這わせ、歯茎を押し付けながら左右に扱き始めた。

    「あむ…… むちゅ…… ぐにゅ……」

    あの日の姉妹フルートフェラのような動き。だが今、隣に姉はいない。七海が一人で奉仕しなければならない。舌と唇と歯茎を総動員して竿、根元、金玉と舐めねぶり、そこから反転して竿、裏筋、亀頭を刺激していく。そして……

    「ご主人様にご奉仕するためだけに存在する私の惨めな歯茎まんこ…… お楽しみください」

    目を濡らしながら顔を赤らめ小さな声で、しかししっかりと飯森の目を見ながら言うと、七海は口を大きく開いて肉色の口内を飯森に見せてから、まずは浅く亀頭を咥え込み、舌で敏感な部分を刺激しながら亀頭を歯茎で甘噛みし始めた。

    七海が歯を失う前から毎日のように見てきたペロの歯茎奉仕。肥大化した七海のクリトリスをペロがフェラしてくれたことも何度もあるし、七海が歯を失って以降は、ペロが歯茎奉仕の手本を毎日のように見せてくれた。七海自身、飯森や客相手に既に百回以上歯茎奉仕をしてきた。その時の経験を、記憶を、全てペニスにぶつける。イヤイヤやってちゃダメ。ご主人様に誓ったんだから。この肉の棒に…… ご主人様のおちんぽに…… 気持ちよくなってもらう。私がやるべきなのはそれだけ。ただそれだけ! 集中しなきゃ!!

    「れろれろ じゅるっ! ぬぽっ! ぐぷぷぷ じゅろろ! かぷっ ぶもももっ!」

    歯茎で甘噛みすると飯森の体温が直に伝わってくる。唾液にまみれた肉と肉が卑猥な水音を立ててこすれ合う。やっと慣れ始めた異常な感触。ポチなどは、若くして歯を失くしたことにすらマゾヒスティックな快感を覚えると言うが、とてもそんな気になれない。気が緩むとすぐに涙が滲み出てくる。悲しみの渦に飲まれる。 ……ダメ! 集中しろ! 余計なことを考えるな!!

    「ぐぷぷぷぷぷ! ごもも! うぇっ! ぐぽぽぽ!」

    一通り亀頭に奉仕をし終えると、七海は巨根を喉の奥深くまで飲み込んでいく。命令を待ってちゃダメ。自分で考えなきゃ。喉が痛い。息苦しい。でももう慣れた。フェラ経験は半年以上、咥えた本数は延べ千本以上。それだけ咥えたら慣れるよ…… でも慣れたからって手を抜いちゃダメ! もっと奥へ! 1mmでも奥へ! そして……!!

    「ごえっ! ぐぽっ! がぽっ! ずろろろ! ぶちゅっ!」

    七海は猛烈なピストンを開始した。イラマチオにも引けを取らない激しい動き。そう。イラマチオと同じでなくちゃいけない。何故ならイラマチオとは、奴隷の口奉仕が物足りない時に、男の側が手本として行うものだからだ。七海を指名した客が以前そんなことを言っていた。その時は何を勝手なことをと心の中で毒づいたのだが……

    歯を失う前、七海はイラマチオが苦手だった。痛くて苦しくて死にそうで、無意識のうちにペニスに歯を当ててしまうことが度々あった。今思えば、男が奉仕の手本を示してくれていたのに、恩を仇で返していたわけだ。そっか、だから抜かれちゃったんだ……。男の立場で考えれば、一連の非道の理由が見えてくる。外の世界の常識で考えるからいけないのだ。この施設の常識で、男目線で考えるんだ。七海は目からウロコが落ちる思いだった。冷静になれば色々なことが見えてくる。ペニスが出ていく度に鼻で空気を吸える瞬間がある。喉の力を抜けば吐き気が軽減できる。歯茎を通じてご主人様の興奮が伝わってくる! そう! もっと興奮して、もっと気持ちよくなってもらわなきゃ! お手本を超えるんだ! ペロよりも! ご主人様のイラマチオよりも! もっともっと激しくっ!!

    飯森は凄まじい快感に襲われていた。飯森のイラマチオはJSPFの客の中でもトップクラスで激しく、七海だけでなく他の奴隷も度々歯を当ててしまっていたし、胃液や鼻血を噴き出しながら射精とともに失神する奴隷も多かった。抜歯に向けたカウントが進む可能性が他の客より高いので(5回ペニスに歯を当てたら麻酔なしで1本抜歯)、フェラ奉仕が苦手な奴隷は皆、飯森に指名されること恐れているくらいだ。

    その飯森のイラマチオすら凌駕する猛烈なピストン。しかもただ抽送するだけでなく、ペロやポチすら真っ青なほどに舌と喉と唇と歯茎を激しく動かして確実にペニスを追い込んでくる。未だかつで見たこともないような七海の激しい奉仕。 ……飯森は驚きつつも感動していた。初めて見るということは、七海は自分で考えて行動しているということ。命令を守るだけの機械になるのではなく、命令は守りながらも、奴隷に相応しい奉仕とは何か、自分で考えて実践している。飯森を主人と認め、自分が体得した技術を全て使って全身全霊で主人に奉仕している。誓いの言葉を実行しようと試行錯誤している。それが伝わってくる。なんて…… なんて健気なんだ!!

    猛烈な歯茎フェラによる肉体的快楽と、七海の心を手に入れたという精神的充足。飯森はあまりの快感に何もする気が起きず、七海の奉仕にただ身を任せた。イラマチオなどもはや不要、手を動かす気すら起きない。気持ちが良い。目眩がるすほど気持ちが良い。 ……やがて全身の快感が股間の一点に集まり、尿道を駆け上がっていく。射精が近いと悟った七海は、息を止めてペニスを喉の最奥まで飲み込んだ。七海の唇が、歯茎が舌が喉が食道が、飯森の長いペニス全体を力強く締め付ける。飯森は火花が飛び散るような猛烈な快感を得て、ペニスの先端から七海の食道に向け白濁の塊を猛然と解き放った。

    「ぐむぶうううううううううううううううううううううううううっ!!!!」

    射精が止まらない。七海のうめき声を聞きながら、10秒以上に亘って大量の白濁を七海の胃袋へと送り込んでいく。 ……なんという解放感だろう。これまでのどのイラマチオをも超える圧倒的な解放感だ。いつかのように気を失ってしまいそうだ。だが七海の奉仕はまだ始まったばかりなのだ。失神などしていられるか……!

    七海は、自らの喉を占拠していた剛棒をゆっくりと抜くと、しばらく咳き込んだ後、命令されずとも掃除を始めた。精液は殆どが直接胃袋に流れていったので、ペニスには殆ど付着していない。僅かに白く泡立っていた部分を舐め取ると、七海は飯森の方を見て静かに言った。

    「ぜぇ…… ぜぇ…… ザーメンごちそうさまでした、ご主人様……」

    その瞬間、飯森は思わずゾクッとした。七海の目! 顔! なんだ、この表情はっ!!

    喉奥での射精が相当苦しかったのか、七海は少しでも多くの酸素を取り込もうと荒い呼吸を繰り返し、目は涙で歪んでいる。口元に笑みはなく、大量の涎が泡となって口から汚らしく垂れている。そんな状態で、七海は涙や涎を拭うこともせず、控え目にこちらを見つめてくる。苦しげで悲しげで儚げで、そして何とも淫靡で妖艶なその目! 16歳の少女とはとても思えない、その表情!!

    意識してこんな表情をしているわけではないのだろう。奴隷として絶対の忠誠を誓った直後の奉仕を終えて、心の中では色々なことを考えているに違いない。その結果、無意識に生まれた表情だと思われる。だが、なんて蠱惑的なんだ! まるで男を誘惑しているようだ。奉仕もいいけど、もっと犯して。メチャクチャにして。声に出さず表情でそう訴えているようにすら感じる。奴隷が主人を誘惑するなどケシカランと思う。思うのに…… なんて…… なんてかわいいんだっ!!

    飯森のペニスがすぐさま復活する。こんな表情をされては堪らない! 今すぐ七海を押し倒して妊娠まんことケツまんこを犯しまくりたい! 七海を縛り上げてメチャクチャに虐め抜きたい!! ……だが駄目だ! せっかく七海が自主的に奉仕しているのだ!! まずはそれを堪能せねば!!!

    飯森が黒い欲望を必死で抑え込んでいる中、一方の七海は、荒い呼吸を続けながら全く別のことを考えていた。 ……めちゃめちゃ苦しかったけど、ご主人様は気持ちよさそうにしてるし、これでよかったのかな。えっと、次は…… おまんこかな。騎乗位でご奉仕すればいいのかな……。はぁぁぁ。こんなん、命令に従ってるだけの方がまだいいよ……。奴隷に何がふさわしいか自分で考えて行動するって…… 恥ずかしいし惨めだし……最低。最低の生き物になっちゃった気分。ご主人様よりも自分のことがイヤになる…… いっそいつもみたいに私の身体、めちゃめちゃにイジメてくれた方がまだマシ…… イヤなこと全部忘れて、痛いって泣き叫んで、気持ちよくイっちゃう方がマシだよぉ…… でもそれだと赤ちゃんが…………

    ご主人様を誘惑する気など毛頭ない。ただ、このまま惨めな奉仕を続けるくらいなら、ご主人様にめちゃめちゃに犯された方がいい。でもそんなこと言えない。言えるわけない。恥ずかしいし、そもそも奴隷がご主人様にそんなこと頼めるわけないじゃない。流産しちゃうかもしれないし。でも切ない。切ないんです、ご主人様。 ……口に出せない想い。それが目から溢れる。控え目な性格と合わさって、何とも言えない淫靡で妖艶な表情を作っていく。

    「じゃあ挿れますね? ご主人様ぁ……」

    ……互いに秘めたる想いを封じたまま、七海はベッドの上に仰向けになった飯森の上に乗ると、騎乗位の体勢で膣に自らペニスを迎え入れ、激しいピストンを始めた。刺激がワンパターンにならないよう、微妙に突き方を変えたり、たまにグラインドしてみたり、その都度強烈な快感に襲われながらも必死にまんこ奉仕をしていく。筋肉の少ない七海が無理にスクワットをしても、すぐに体力の限界を迎えてしまう。なので、七海の動きに合わせて飯森が僅かに動く、その動きを逆に利用し、飯森の動きを増幅するような形でピストンを行う。これなら筋力は殆ど使わずに済む。が、飯森の動きに完全にシンクロさせねばならないし、その上で動きに毎回変化を付けるなど、そう簡単にできるものではない。

    飯森は舌を巻く思いだった。これまで数多の女を抱いてきた飯森も、未だかつて見たことも聞いたこともないような複雑な動きだ。いったいどこで覚えたのだろう。否、今ここで、編み出しているのだ。筋力のない七海でも自分から動いて奉仕できる方法を。なんという創意。なんという誠意! フェラに引き続き感動しながら七海の顔を見上げると、七海はまたもあの妖艶な表情をしている。意図したものではないのだろうが、まるで「もっと動いてくれ」「犯してくれ」と懇願しているようだ。 ……堪らない! 七海の細い腰をガッチリと掴んで、下から猛烈に犯したい! でも駄目だ! 今は七海の奉仕に任せるんだ! それにあの顔をもっと見ていたい……!!

    「んっ♥ ふぅっ♥ くっ♥ あっ♥ ひぅ♥ んんっ♥」

    ……七海はもどかしくて堪らなかった。筋力を使わずに奉仕するやり方を発見したものの、ご主人様に有無を言わさず犯される時と比べると、快楽のレベルは圧倒的に低かった。 ……でもだから何だと言うの? 私は奴隷なんだから、ご主人様に奉仕する方が大事でしょ? ご主人様が第一、自分は二の次でしょ? ……そう考えている自分に腹が立つ。奴隷根性というのだろうか? 見も心も奴隷になり果ててしまったのだろうか、私は……。

    身体の底がうずく。もっと強い快楽を要求してくる。犯されたい。レイプされたい。めちゃめちゃにされたい! でもダメ! 奉仕が優先! ご主人様が一番!! ……調教されきった奴隷の肉体がさらなる快楽を求め、奴隷の精神が自制と忍耐を求める。両者が七海の中で激しく争っている。 ……そしてそのせめぎ合いを目の前で見つめる本来の七海。違う。こんなん私じゃない! ホントはイヤなの! 自分から奉仕するのも無理やり犯されるのもどっちもイヤなの! 私が私でなくなっちゃう! 怖いっ! でも気持ちいいっ! もう何が何だかわかんないよ……! 私、どうしたらいいの? ねえ、ご主人様ぁっ!!

    2人の想いはまたもすれ違ったまま、飯森は再び興奮の極致に達し、七海の膣内に大量に射精した。先程とは違って穴は行き止まっているため、精液が逆流して膣とペニスの隙間から滔々と溢れ出す。 ……飯森の射精とともに七海も絶頂した。が、飯森に激しく犯される時の絶頂とは比ぶべくもなく、しばしの沈黙の後、七海は尚も硬さを維持している飯森のペニスを今度は肛門に挿れ、あの表情を浮かべながら再び奉仕を開始するのだった。

    20分後、七海は肛門奉仕を終え、飯森のペニスを舐め清めていた。今日は未だ浣腸を行っていないため、ペニスには無数の糞カスが付いていたが、七海は全く気にすることなくカスを舐め取り、飲み込んでいく。

    「催してきたな…… 七海、便器になれ」

    「……はい」

    七海は小さく返事をすると、口を大きく開けて巨根を根元まで飲み込んだ。口と喉全体に広がる、硬さを失ったペニスの温かな感触が妙に心地よい。その状態で飯森が放尿を開始する。飲むという感覚ではない。喉の奥、食道に放水され、尿は直接胃へと流れ込んでいく。そんな異常な感覚にもすっかり慣れた七海は、引き抜かれたペニスに再び舌を這わせてこびり付いた残尿を舐め取るのだった。

    掃除が終わると今度は食糞だ。飯森のけむくじゃらの汚い肛門に口を付けて舌をねじ込む七海。飯森は糞を溜め込んでいるのか、すぐに苦味ある物体に舌が触れた。七海は気にせず舌を激しく動かして肛門を刺激し、飯森に排便を促していく。しばらくして排便が始まると、七海は姿を表した糞棒を、まるでフェラするかのように咥え込み、歯茎で押し潰しながら次々と飲み込んでいった。が、脱糞の勢いが速くとても間に合わない。七海は溢れ始めた糞便を仕方なく両手で受け止め、手の中でトグロを巻きつつある糞便をガツガツ食べていくのだった。

    ……飲尿も食糞もすっかり慣れてしまった。尿は、出したての新鮮なものであれば、美味しいとは思わないものの、不味いとも思わなくなっているし、糞便は未だ不味くて仕方ないものの、取り敢えず吐かずに食べられるようになってしまった。七海は、口を閉じて舌で口内の汚れをこそげ落として飲み込むと、綺麗になった舌で飯森の肛門を舐め清め、最後に汚れた手も舌で綺麗にして、再び土下座をして口上を述べた。

    「おしっことうんちを便器にお恵みくださりありがとうございました」

    「なんだ? 手を使ったのか? 便器失格だな。お仕置きだ!」

    「…………はい。お仕置きしてください、ご主人様」

    飯森は我慢の限界だった。お仕置きなど単なる口実だった。七海をメチャクチャに犯したい! 虐めて虐めて虐め抜きたい!! ……飯森は、妊婦腹に負担がかからないよう注意しつつ七海を縛り上げ、三角木馬を跨がせたまま拘束して、腹以外を鞭で全身メッタ打ちにした。

    「あああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    さっきから七海はイきっ放しだ。直前の2穴奉仕で絶頂欲求が高まっていたとは言え、七海の中のマゾの血が、瞬間的に沸騰して痛みを根こそぎ快感へと変えていく。身体の自由を奪われ自発的な奉仕ができない状態になったことで、奴隷的自制心をマゾの血が駆逐してしまったのだろう。もっと痛いことをして欲しい! ペロやポチのような変態マゾになって、卑猥な単語を喚き散らしながら苦痛と快楽で絶頂し続けたい! 私を…… 私を壊して!! 身体じゅうメチャクチャにしてぇっ!!!

    ……でもやだ。本来の七海が、最後の防波堤となって暴走するもう1人の自分を必死に抑え込む。やだ。そんなんやだ! 私が私でなくなっちゃう! 流産しちゃう! これ以上私を壊さないで! お願いっ!! でも痛い!! 気持ちいい!! 気持ちよすぎてどうかなっちゃうよ!!! ご主人様ぁっ!!!!

    七海の想いとは無関係に、飯森は自らの加虐欲求に従って暴虐の限りを尽くしていく。七海は逆さ吊りにされて浣腸を施され、噴出した液便を全身で浴びながらさらに鞭打たれ、逆さ吊りのまま激しいイラマチオを受け、鼻血が出るほど強烈なビンタを数十発食らって泣き叫びながら潮を吹いた。ようやく縛りが解かれると、今度は針・蝋燭責めを受けながら2穴フィストファック。最後はトゲ付きのペニスサックを付けた飯森の巨根で2穴を激しく犯され、喉が潰れそうなほど大きな声で絶叫した。

    ……七海は、ようやく訪れた強い絶頂を当初夢中で貪ったが、止まぬ暴虐に途中から困惑し、恐怖し、後悔し、絶望し、最後には白目を剥いて失神したのだった。

     

    IV:奴隷100日目 – 午後

     

    午後1時。七海はいつものように中央ホールでまんぐり返しのポーズになっていた。羞恥心などとうの昔になくなった。客に選ばれなければお仕置きされるのだ。無駄なお仕置きは体力を無駄に消耗して悪循環に陥るだけ。それがわかっている七海は、鞭痕だらけの身体を淫らに下品にくねらせて、肥大化した乳首やクリトリスをぶらぶらと振りながら、場末のストリッパーのように客に媚を売っていく。ストリップごときではピクリとも興奮しない百戦錬磨の客たちも、七海の独特な色気に目が釘付けになってしまう。七海の叛逆が失敗に終わって1週間くらい経った頃から、七海の色気は加速度的に増し始め、七海は今では客たちに大人気。今日も七海の周りには黒山の人だかりができていた。 ……それにしても今日の七海は一段と色っぽい。痩けた頬以外はまだ幼さの残る顔に、何とも言えない妖艶な表情を浮かべている。その瞳に射抜かれた男たちは、しばし呆然となって立ち尽くすしかなかった。

    最初に指名したのは私立清隷女学園の堀田理事長だった。昨年末(七海奴隷9日目)に初めて指名した時に七海が気に入ったのか、以来毎週指名してくる常連客となっていた。

    堀田は他に2人の奴隷を連れていた。一方は黒く艶のあるベリーロングのストレートヘアーが印象的な中年の女。もう一方は七海よりやや小柄で、髪を金色に染めた少女…… って、ウソ!! 同じクラスの……仁科さんっ!!?

    「ええっ!? 木下っ!!?」

    教室で七海の右隣に座っていた少女・仁科陽葵。七海は陽葵が苦手だった。他のクラスの生徒を集団でイジメていた問題児で、クラス内でも素行も悪く、七海はなるべく関わらないようにしていた。

    だが、悪臭騒ぎが始まってしばらくした頃から、陽葵は臭いの原因が七海だと疑い始めた。「出ていけウンコ女!」というメモ書きを最初に七海の机に忍ばせたのは陽葵だし、グループL○NEで最も過激な罵詈雑言を最も多く書き続けたのも陽葵だった。そして11月のあの日、陽葵は立ち上がって公然と七海に罵声を浴びせ、直後に七海は早退、数日後には退学したのだった。

    あの時、七海の退学手続きを進めたのが堀田理事長であり、クラスメイトから事情を聴いて回った際、素行不良だが容姿端麗な陽葵に目を付けたのだ。陽葵は学園内にある秘密の調教室に監禁され、年齢のわりに若々しい見た目の母親(39)もろとも、堀田の調教を受けることになった。そして堀田は2日前に母娘をJSPFに売り飛ばし、今日がここでの調教初日である。

    「くくく…… クラスメイト同士、感動の再会というわけだ」

    「…………」

    「な、なんで木下がここにいるわけ……? なんなのよ、その身体…… お腹…… ど、どうなってんの!!?」

    「…………」(私が奴隷になっちゃったことは知らないのかな、仁科さん。 ……と、顔が似てるからお母さん……かな? 2人とも奴隷にさせられちゃったんだ…… 理事長…… この人、ホント最低)

    「ひ、久しぶり…… 仁科さん」

    「まさか、アンタもご主人様に!? だからあんな臭いを……!」

    「えっと、ご主人様は違う人。でも臭いは……」

    「そうなんだ……」

    なんてことだ。陽葵もスカトロ調教はイヤと言うほど受けてきたが、まさか七海も同じだったなんて!! っていうか、七海が教室で悪臭撒き散らしてたのは、調教が原因だったの!!?

    「さて七海。こいつらは今日がお披露目でね。これからステージで豚真似をさせるつもりなんだが、手本を見せてやってくれないかね?」

    「…………かしこまりました」(はぁぁっ…………)

    七海は心の中で溜息を付くと、堀田から受け取った鼻フックを付けながら、ステージに向かって歩き出した。

    堀田に最初に指名された時は、確か鞭打ちされながら逆さイラマチオをされて、それから豚真似ショーをさせられたんだった。一緒に豚真似をした母娘は、仁科母娘よりだいぶ若かったが、ステージの上で見事(?)な豚真似を披露し、七海は顔を真っ赤にしながら母娘の真似をしたものだった。あれから3ヶ月。まさか立場が逆転するなんて! しかも相手は元クラスメイトだなんて!!

    七海がステージに上がると100人以上の視線が七海に集まる。いつものことだ。だが、気になるのはたった1人の視線。元クラスメイトの前であれをやるのか。あの惨めなショーを。私に罵声を浴びせてきたイジメっ子の前で……!

    忘れていた羞恥心が戻ってくる。顔が赤く火照り、全身が熱くなる。いやだ。やりたくない。でもやらなきゃダメ。奴隷なんだから! お仕置きされないために! ご主人様と堀田様に恥をかかせないために!! 考えて行動しろ!!! 豚になれ、私!!!!

    「ぶひぃぃぃぃぃぃっ!! ぷぎっ! ふごっ! ぶぷっ! ぶもぉぉっ!!」

    七海はステージの上で四つん這いになると、ホールの端にまで届くような大声で奇声を上げた。

    「ぶほっ! ぷごっ! ぶきっ! おごっ! ぶひょひょひょーっ!!」

    ステージの上を四つん這いで走り回り、時々止まっては観客席に向かって豚顔を晒し、涎と鼻水と、若干の涙を撒き散らしながら、尚も駆け回った。3ヶ月前に七海に手本を示してくれた母娘よりさらに下品に、豚っぽく。ホールのあちこちから嘲笑が巻き起こる。「いいぞ豚女!」「最低だな」「人間辞めてるわね」「あの腹、まさに豚ですな」…… 様々な罵声が七海のマゾ性に火を点ける。

    「ふごっ! ぶきゃっ! ぶぎぃ! ぶひゃあああっ!!」

    膣や肛門を曝け出し、ステージの真ん中で狂ったようにオナニーを開始する。久々に感じる羞恥心も加わって、七海の身体は高ぶり、あっという間に潮を吹く。

    「じゅるっ! べちゃっ! ふがっ! じゅぞぞ! ぷぎぃっ!!」

    飛び散った潮や尿を舌で舐め取り、その間も豚真似を続ける七海。否、豚。あまりに惨めで下品で無様な豚芸に、観客のボルテージはどんどん上がっていく。

    「「…………」」

    仁科母娘は呆然と七海を見つめていた。特に以前の七海を知る陽葵は大きなショックを受けていた。

    ウソでしょ!? 木下ってあんなことするヤツじゃなかった! ネクラなコミュ障っぽかったじゃん! 何よあれ…… ステージの上で豚みたいに鳴いて、四つんばいで走って、オナって、床ナメて…… 信じらんない…… どうやって調教したら、あの木下があんなふうになっちゃうわけっ!? 調教されすぎて狂っちゃったの!!?

    しかも、あのお腹、妊娠してるよね…… めっちゃ大きいし、臨月……? まさか昨年アタシの横に座ってた時も妊娠してたのっ!?

    「陽葵、今日子、お前らも行け。豚になってこい」

    「「!!!!」」

    「ご主人様…… ど、どうかそれだけは……」

    「ママぁ……」

    母親の今日子が真っ青な顔で訴える。あんな恥ずかしい真似、できるわけない。娘にもさせられないっ!

    「いいのか? 私に逆らって……」

    「「ひぃっ!!」」

    「母娘揃って「人豚」にしてやろうか? 手足を短く切って、鼻を肥大化させて、歯を1本残らず抜いて、全身ピンク色の刺青を入れて、豚小屋で本物のオス豚と一緒に飼ってやってもいいんだぞ……?」

    「そ、そんな…… お許しをっ……!」

    「ご、ごめんなさいっ」

    「ならとっとと行け」

    仁科母娘がステージに上がる。100名余の視線が痛い。陽葵にとってはそれ以上に七海の視線が痛かった。ホントにやるの? 木下の前で? 昔イジメてたヤツの前で? やだ…… やだよっ! ママっ!!

    陽葵はイジメっ子グループの一員ではあったが、主犯格ではなく取り巻きの1人であり、生粋の悪女というわけでもなく、根は小心者だった。他校の男子生徒と付き合うこともなく、援交やパパ活にも手を出さず、堀田に初めてを奪われた。調教が始まってすぐの頃は、堀田に威勢よく罵声を浴びせていたが、少し痛めつけられると母にしがみついていつも泣いていた。

    その母はと言えば、夫の死後はシングルマザーとなり、一人娘の陽葵を女手一つで育ててきた。だが仕事が忙しくて家は留守がち、教育方針ももっぱら放任主義で、娘が不良グループに入って集団イジメに参加していることなど全く知らなかった。夜遅く帰宅中に拉致され、気づいたら自分は見知らぬ男にレイプされていて、目の前では娘も堀田にレイプされていた。

    2人の調教は順調に進んで、1カ月後には母娘ともども堀田の奴隷になることを受け入れ、3ヶ月後にここに売り飛ばされた。そして今日がここでの調教初日。朝の特殊調教(母娘同時調教)で堀田と数名の客に散々犯された後、午後の集団調教を迎えたというわけだ。

    七海の前で恥を晒す…… だけでなく七海の真似をしろという。そんなことできるもんか! でも、やらなかったらどうなるんだろう…… こんな狂った施設で、狂った連中がいっぱいいる中で、ご主人様に逆らったら……

    「陽葵、やりましょ」

    「ママぁ」

    「やるしかないわ。ね? いい子だから」

    「ママぁ…………」

    母が先に四つん這いになる。鼻フックが痛々しい。だが陽葵はどうしてもできない。途端に周囲からヤジが入る。

    「陽葵、はやく」

    「ううううう…………!」

    陽葵は尚も立ち尽くしていたが、高まるヤジについに観念し、崩折れるように四つん這いになると、鼻フックを付けて七海の方を向いた。

    七海は迷っていた。最初はおとなしい感じに始めたらいいのだろうか。それとも最初っから全力でいったらいいだろうか。どうしよう。……だが、おとなしく始めて、お前は手本失格だとか言われてお仕置きされるのも嫌だ。仁科さんとおばさんには悪いけど、ここは全力でやるしかない!

    「ぶひぇぇぇっ!! ふごっ! ぶぶぶっ! ぷがぁっ!!」

    七海は狂ったように奇声を上げると、再びステージの上を四つん這いで駆け回った。

    あんなん絶対ムリっ! 木下ってば頭オカシイんじゃないのっ!!? ……目を瞑ってうずくまる陽葵。それを庇うように、覚悟を決めた今日子が奇声を上げた。

    「ぶひいいいいいいいいいっ!! ぶひっ! ぶひっ! ぶひ~~~~っ!!」

    ママぁ……。最愛の母の惨めな声に涙が溢れる娘。だが周囲は容赦がない。「もっとちゃんと真似しろよ」「鼻を鳴らせ」「走り回れ」「豚になりきれ」…… それに混じって「おい、娘豚の方はどうした」の声。……ああもう、うるさいっ! やればいいんでしょっ!? やればっ!!

    「ぶひいいいっ!! ふごっ!! ふごっ!!」

    陽葵が大声で鳴き、鼻を鳴らし始めた。

    「ふごっ! ふがっ! ぶひっ!」

    釣られるように今日子も鼻を鳴らす。

    「ふがぁっ! ぶきゃきゃっ! もごごっ! げひっ! ぷもっ! ぶげぁっ!!」

    「「ぶひっ! ふごっ! ふごごっ! ぶひゃぁっ!!」」

    3匹の豚の鳴き声が重なり合う。だが七海のそれが飛び抜けて下品で無様で、バリエーションが豊富だった。観客からヤジが入る。「七海を見習え」「物覚えの悪い子豚だな」「年増豚の方は痴呆症なんじゃねぇか?」「3匹とも痴呆だろ」

    次第に母娘の羞恥心が薄れていく。より下品に、より無様に。3匹の豚は汗だくになってステージじゅうを駆けずり回った。3匹の息が上がってきた頃、堀田が次の命令を下した。

    「次は下の口で豚真似だ!」

    七海は空の浣腸器を堀田から受け取ると、ステージ中央で腰を落としてガニ股になり、自ら肛門に浣腸器を押し当てて空気浣腸を行い、今度は四つん這いになって尻を高く突き出した。

    「これからケツ穴で豚の真似をします。どうかお聞きくださいっ!」

    七海はそう言うと、括約筋に力を入れて思いっきり屁をこいた。

    ぷうううううううううううぅぅうううぅううううぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぶっ!

    屁は、最初は勢いよく一定のピッチで鳴ったが、弱まってくるとピッチが不安定になり、時に高音を時に低音をポルタメントで奏でていき、最後に短く大きく「ぶっ」と鳴ってから止まった。観客がどっと沸く。「いいぞ七海」「最低の音楽だな」「豚に相応しい」「ブラボー」……

    母娘は顔を真っ赤にして震えている。あれを……あれをやれって言うの!?

    ……だが5分後には母娘は屈し、七海とともに下品極まる三重奏を披露したのだった。

    「だいぶ汚れてきたな。おい、陽葵。七海のケツ穴を舐めてやれ。色々教わった礼に、七海の尻を綺麗にしてやるんだ」

    「!!!!!!!!」

    3匹とも午前中の調教でアナルセックスや浣腸を何度も行っており、直腸の中は空であったが、10回以上の空気浣腸によって直腸内に残っていた糞カスが周囲に飛び散り、特に肛門周辺は無数のカスがこびり付いていた。

    「許して…… 許してください、ご主人様……」

    陽葵が真っ青な顔をして堀田に嘆願する。陽葵は少ないながら食糞調教の経験もあったが、自分のと母のとご主人様のしか食べたことがなかった。まさか4人目が木下のだなんて! いくらちっちゃなカスだけだと言ってもそんなの絶対にイヤだ!!

    昨年の秋を思い出す。数日おきに悪臭に悩まされた。それが隣のコミュ障女から発せられていると知った時の驚きと怒り。それでも、七海は災害事故で家族を失った可哀想な子だからという周囲の同情や、陽葵の中にある薄っぺらい倫理観もあって、表立ったイジメはしにくかった。11月末にブチ切れるまでの1ヶ月、陽葵は悪臭に耐えて耐えて耐え続けたのだ。いくらそれが調教のせいだったってわかっても、あの時の不快な記憶は変わらない。ウンコ女への怒りは変わらない! ……そのウンコ女のウンコを舐めろだって!? 冗談じゃない!! そんなの絶対絶対、死んでもイヤだっ!!!!

    「それだけはイヤです…… ご主人様のうんちなら食べますから…… 許してください……!!」

    必死に訴える陽葵。だが堀田が許すはずがない。

    「ここにいる男女全員の糞を食らうか、七海の糞カスを食うか、2つに1つだ。選べ」

    「!!!!!!!!」

    ダメだ。ご主人様の命令は絶対。背いたら大変なことになることは骨身に染みている。やるしかない。わかってる。わかってるんだ。でもイヤ。イヤ! いやああああああああああっ!!

    「七海、手本を見せてやれ。陽葵の目の前で今日子の糞カスを全部舐め取れ。口上を忘れるなよ?」

    「……はい」

    七海の心境は複雑だった。1ヶ月もの間教室で悪臭を撒き散らし続けた罪悪感、元クラスメイトの前で痴態を晒す羞恥、元イジメられる側と元イジメる側が、先輩奴隷と後輩奴隷になったという妙な状況。それら全てが七海の中のマゾの血を沸き立たせる一方、この母娘もこれからここで自分やペロみたいに身体と精神をズタボロにされていくんだと思うと、やるせない気持ちでいっぱいだった。

    「おばさん、ここで四つん這いになってください。仁科さん…… えっと、陽葵さんも四つん這いになってここに…… 今日子おばさんと直角になるように…… はい。ありがとうございます」

    目の前にママのお尻が見える。ママのお尻も木下のみたいにうんちのカスでいっぱい……。私のお尻もきっとそうなってる。みんなに見られてる……! いやああああっ!!

    七海は今日子の尻の前で正座し、観客の方を向くと口上を述べた。

    「私は、木下七海は、うんち大好きな変態マゾ奴隷です。これから今日子さんのお尻にこびり付いているうんちのカスを舌で舐め取って、直腸の中に残ってるのも吸い出して、綺麗にお掃除します。皆様、最低のウンコ女がウンコの掃除をするところをどうか見ていてください」

    「!!!!?」

    陽葵は七海の口上を聞きながら、全身の鳥肌が立っていた。木下の口ん中…… 歯がないっ!!!!

    七海と再会した時から、七海の頬が妙にやつれているのが気にはなっていた。だが秋の頃よりだいぶ痩せたみたいだし、こんなもんかと思った。膨らんだ乳首やクリトリス、妊婦腹の方に目が行っていた。だが、四つん這いの陽葵が見上げる先、正座で喋っている七海の口の中、上顎に並んでいるはずの歯が1本もない!!

    JSPFに来てすぐの陽葵は、抜歯奴隷というものを見たことがなかった。だいたい、歯を故意に抜くという発想がそもそもなかった。ありえない。見間違い……じゃないよね。ウソでしょ? 木下って元々歯なかったの? 入れ歯だったの? ……病気とかで。まさかこっち来てから抜かれたとかないよね? ……私も抜かれる……なんてことないよねっ!?

    震えが止まらない。七海が何を言っているのか聞き取れない。それどころじゃない。恐ろしくて目を逸らしたいのに七海の口元から目を離せない。ウソでしょ? なんなのそれ…… なんなのここ…… なんなのよ、ここはぁっ!!

    「じゃあ始めますので見ててくださいね、陽葵さん」

    七海も四つん這いになって、今日子の尻の近くに、陽葵の目の前にやって来る。「じゃあ」と口を開けた瞬間に口の中が全部見えた。やっぱり下顎にも歯がない。上顎にもない。口の中に歯が1本もない。……正直、うんちの掃除なんてどうでもいい。陽葵は歯のことで頭がいっぱいだった。いつ抜かれたんだろう。まさか麻酔なし、なんてことはないよね? 私も抜かれちゃうの!? 虫歯1本もないのに!! ありえないよ、そんなの!!!

    「むちゅ…… ぺろ…… んく…… れろ…… ぷちゅ……」

    目の前で七海が掃除をしていく。今日子の尻や腿が次第に綺麗になっていき、反対に七海の口が茶色に染まっていく。

    「じゅるるるるっ! ずちゅううっ! れろれろれろ! ぶぢゅうううううううっ!!」

    「ひあああっ!!」

    飛び散ったカスを全て舐め取ると、七海は今日子の肛門に舌を突っ込んでバキュームを開始した。いきなりだったので今日子が驚きの声を上げる。七海は、糞カスまみれの直腸を平気な顔をして舐め回し、下品な音を立てながら汚物を吸い取っていった。

    ……こんなのできないよ、アタシ。ママのだって無理。お皿に出されたママのうんちを食べたことはあるけど、お尻の穴に舌突っ込んで直接吸い出すなんて…… これでママがうんち溜め込んでたらどうなっちゃうわけ? 歯のない口で全部食べちゃうわけ? 木下…… 七海ぃ…… あんた学校を退学してから、あんたずっとここでこんなことしてたの? 好きでやってる……わけじゃないよね…… イヤイヤやってるんだよね……?

    …………なんかごめん。色々酷いこと言ってごめん………… 目の前の光景に圧倒されて、陽葵はすっかりおとなしくなっていた。

    しばらくするとバキュームを終えた七海が今度は立ち上がり、観客に向かって口を大きく開けた。一面茶色い汚物で埋め尽くされている。次の瞬間、七海は口を閉じて汚物を飲み込み、再び口を開けた時には汚物は全て消えていた。

    「お掃除終わりました。最低のウンコ女には最高のごちそうでした」

    観客から歓声が沸き起こる。七海は再び四つん這いになると、今度は陽葵の目の前に尻を突き出した。

    「じゃあ陽葵さん…… お手本どおりにお願いします」

    「…………」

    イヤ。イヤだ! 舐めたくない! うんちだらけじゃん! ママより多いじゃん!(スンスン……) くっさ! あの臭いだ。昨年教室で嗅いだあの臭い。正直、皿に盛られたママやご主人様のうんちに比べたら量は全然少ないし、臭いもたいしたことないけど…… 教室でイヤというほど嗅がされたあの臭いだと思うと身の毛がよだつ。七海も色々大変みたいだし、あの頃に比べれば七海への憎悪は薄まっているけど、ウンコ女のウンコを舐めるなんて吐き気がするほど気持ちが悪い。食べる。飲み込む。吸い出す……! イヤだ! そんなん絶対!!

    「どうした? 陽葵…… まさかできないとでも言うんじゃないだろうな?」

    遠くてご主人様の声がする。できない。できないです。無理です。そう言いたい。言ってお仕置きを受けた方がマシ。そう思う。でも、お仕置きって何だろう。これまで学園の調教室で受けてきたお仕置きと同じだろうか。それともまさか、歯を……!!

    怖い。歯を失いたくない。七海は痛くなかったんだろうか。あんな口になってしまって悲しくないんだろうか。……決まってる。悲しいに決まってる。きっとムリヤリ奪われたんだ。私はイヤ。絶対イヤ! 絶対失いたくない!! ああ、クソッ! やるしかない! やるしかないっ!!

    陽葵は舌を出しながら七海の尻に顔を近づけ、端の方に付いている小さなカスを恐る恐る舐めた。舌を刺すような苦味と、鼻を襲う悪臭。教室のあの臭い。あの臭いの正体が、アタシの口の中に入ってる!!

    「うううううう!」

    陽葵は吐きそうになるのをなんとか堪えると、掃除を再開した。七海の4倍もの時間を掛けて身体の表面にあったカスを全て飲み込むと、今度は10倍の時間を掛けて号泣しながら直腸内のバキュームを行った。その間、娘の尻掃除を母が行った。七海、陽葵、今日子の順に一列に並んで、前の人の尻を舐め、尻穴を吸引するその異常な光景に、観客たちは拍手喝采を送る。母娘が掃除に手こずっている間、男たちは列の先頭にいる七海の前にしゃがんで汚い尻を突き出していく。七海は男たちの尻に次々と口を付け、母娘が掃除を終わらせるまでに18人もの直腸掃除を行ったのだった。

    全てが終わると、母娘は口をゆすぐことを許されてトイレへと駆け込んだ。糞便の後味に慣れている七海は、口をゆすぐこともなく堀田の足元に土下座し、指名してくれたことに対する感謝を述べると、再び所定の位置に戻った。まんぐり返しをする間もなく、次の指名客が七海を待っていた。

     

    V:奴隷100日目 – 夜(1)

     

    午後5時、七海は膣と肛門を交互に犯されながら夕食を摂った。この時間も七海は大人気のため、七海の尻の前には軽く順番待ちができ、下半身が休まる時間は片時もなかった。流動食は今夜も糞便なし。だが直前の集団調教で糞便を食べまくっていたため、七海の口内は糞の後味で満たされており、せっかくの糞便なし流動食なのに、糞便の味がするような錯覚を感じて、なんだか悲しくなった。食後のシャワーでいつものように湯をがぶ飲みして、ようやく糞便の味と臭いから解放される。

    午後7時からは少人数調教が4回行われる。1回目は玲香も参加しての3人プレイということなので、ペロのことが気になる七海は、シャワーを速攻で済ませて、6時半少し過ぎに指定の調教室の扉の前に着いた。虹彩認証で扉を開けて無人の部屋に入り照明を点けたところで、後ろから玲香が現れた。

    「こんばんは、七海ちゃん。今夜はよろしくね」

    「玲香さんっ、ペロは大丈夫ですかっ!?」

    「大丈夫よ。安心して?」

    「本当に?」

    「ええ。人間あれくらいじゃ死なないわ」

    「でもあんなにひどい火傷……」

    「ここだけの話、ここには拷問マニュアルみたいのがあってね? どれくらいの火傷なら死なないとか、焼き鏝は何秒当てるべきかとか、当てちゃダメな場所とか、何ヶ月目の妊婦さんにはどれくらい鞭打ちしていいかとか、みんな書いてあるそうよ? 過去に奴隷たちに試したデータを集めてマニュアル化してるんですって」

    「……最低」

    「まあまあ。それにね、ああいう火傷って放っといたら大変なことになるけど、ちゃんと治療すれば大丈夫らしいの。……痕は残るけどね」

    「…………」

    「この施設って医療体制は完璧らしいわ」

    「はぁ。奴隷たちに酷いことばっかして、それで医療は完璧とか言われても意味わかんないですけど……」

    「まぁね。酷いこといっぱいされても簡単に死ねないってことだもんね」

    「……最低」

    「まあまあ。っていうわけだから、み……じゃなかった、ペロのことは心配要らないわ。数日療養室で静養したら退院ですって」

    「よかった…… あの印、私が付けちゃったんだし、それでもしものことがあったらどうしようって心配で……!」

    「そうだったのね……」(あの真っ青な顔…… そういうことだったのね…… ほんと最低ね、あの男)

    「よかった」

    「大丈夫。安心して? ね?」

    「玲香さん、ありがとうございます」

    「あっ、そう言えば!」

    「?? なに?」

    「今朝言ってたじゃない? 変態の七海ちゃんをじっくり観察しようって」

    「!!」

    「ペロはできなかったでしょうから、ペロのぶんもちゃぁんと観察しないとね~」

    「なっ!」

    「結果は療養中のペロにもしっかり報告してあげるわね♪」

    「い、意地悪っ!!」

    「あははははははっ!」

    笑いつつも、玲香はホッとしていた。今朝、火傷を負ったペロを抱えて9号室を出る寸前に見た七海の表情は、本当に死人のように真っ青で、玲香は今日1日七海のことを心配していたのだ。だけど軽口に乗ってくるくらいには回復したようだ。思ったよりも強い子だ。否、強くなったんだ。自分を守るために。 ……光希を守るために。

    「七海ちゃん……」

    「玲香、さん?」

    玲香は七海の細い身体を背後からギュッと抱き締めた。ホントに…… なんて健気でいい子なんだろう。

    「今夜も頑張ろうね」

    「はい」

     

    30分後。七海は長さ20cmを超える巨根を肛門で咥え込み、背面騎乗位スタイルで必死に腰を振ってケツ穴奉仕をしていた。

    「んっ♥ あっ♥ くっ♥ んっ♥ ふっ♥ あぁっ♥」

    七海ちゃん、ほんとに変態になっちゃって…… 数分前まであの巨根を膣で咥え込んでいた玲香は、中出しされた精液を指で掻き出しながら、じっくりと七海を観察していた。

    あんなおっきいのを根元までずっぷり咥え込んで、あんなに激しくピストンするって結構大変なのに…… 七海ちゃん、痩せてて筋肉もあんまりないのにどこにあんな体力が…… すっごいなぁ。

    でも、そんなことより、あの目! あの表情よね! まだ16歳なのに、なんて妖艶なのかしら…… 儚げで、悲しげで、涙目で…… なのに快楽に酔って、吐息みたいな喘ぎ声出して、縋るような目で見つめてくる…… 女の私でもドキッとしちゃうくらいだもん。男からしたら堪らないわよね、きっと……。魔性の女ってヤツかしら。本人は自覚ないでしょうけど。もしかしたら、一番虜にされちゃってるのは飯森様……なのかもね…… 七海ちゃんには絶対言えないけど。

    でもホント可愛いなぁ、七海ちゃん。なんか私も襲いたくなっちゃう♥ このお客様はそんなに強く主従を求めない方だし、気持ちいいのが大好きな方だから…… よぉっし!

    「お客様? 2穴責めしませんか? 七海の締まりがさらに良くなると思うのですけれど……」

    「おお、それいいな。まんこは任せた」

    「はぁい♥」

    早速ペニスバンドを手にした玲香は、内側の張り型2つを自らの2穴に挿入すると、バンドを腰にしっかり固定してから、ディルドーを七海の膣に挿入して、バイブのスイッチを付けた。七海ちゃん、辛いこと忘れちゃうくらい気持ちよくしてあげるね。

    「んあああっ♥ れいかひゃん?」

    「いかがです? お客様」

    「ああ。なかなかいいぞ」

    「お客様のおちんぽ、立派過ぎるので、おまんこからでもよくわかります…… こんなのはどうでしょう」

    一旦ディルドーを抜いて、上向きに湾曲しているディルドーを下向きに付け替えてから再度挿入し、下側の奥にいる直腸内のペニスを膣側からバイブ付きで刺激し始めた。

    「うおおおおっ! これはいいっ!」

    「んあああああっ! それダメっ! ああっ!! らめええええっ!!」

    甘い小声を出していた七海が、急に声を荒らげ始める。

    「気持ちいいでしょ? 七海ちゃん…… ほら、もっとこすってあげる」

    「あひゃんっ♥ らめらってばっ♥ んああああああああっ!!!!」

    早くもイったようだ。膣壁と腸壁がキューッと締まる。

    「おおおおおおっ!! いいぞぉっ!! 七海っ!! もっとだ!! もっと締め付けながらもっと腰を振れ!!」

    「そんにゃああっ!! もうむりっ!! むいぃぃぃっ♥」

    「無理なもんか! それが奴隷の仕事だろ! ほら! もっと奉仕しろ!」

    「そうよ? あなたが気持ちよくなるだけじゃダメでしょ? お客様に気持ちよくなっていただいて、ついでにあなたも気持ちよくなる。優先順位を忘れちゃダメ。 ……ね?」

    「あぅっ♥ わかってましゅぅ♥ わかってりゅのぉっ♥」

    七海は、妊婦腹に負担がないよう、ベッドに仰向けに寝た客の胸に背中を付け、手足はベッドに付けてブリッジを崩したような体勢でいる。この状態で女の方からピストンするというのはかなり厳しいが、七海は手足を器用に使って身体を前後に揺らして奉仕を始めた。手足の筋肉を酷使して無理矢理動かすのではなく、玲香や客の動きを上手く利用し、それを増幅するような動きをしている。これなら筋肉の少ない七海でもできそうだし、身体の軽さが逆にプラスに働いていそうだ。

    玲香は膣穴を責めながら、七海の絶妙な動きに感動してしまった。こんなこと私には到底できない。飯森が教えられるはずもないし、七海が独自に編み出したのだろうか? それとも裏沢たち調教師が七海の身体に教え込ませたのだろうか。

    「あひゃあああああああっ♥ ひゅっ♥ んあああっ♥ イきゅぅっ♥ ふあああああっ♥」

    七海は頻繁に絶頂しているようだ。その度に膣と肛門が締まる。時々潮を吹いて大きく絶頂し、次の潮吹きとの間に小さな絶頂を繰り返す。そんな感じだ。その間も七海は動きを止めない。もう無意識にやっているとしか思えない。とろけそうな顔、切迫しつつも甘い喘ぎ声、絶頂中も続くピストン。その全てを観察している玲香も、真下で声を聞いている客も、もう堪らないといった表情だ。

    「ああああああああっ♥ おきゃくしゃまっ♥ らめぇっ♥ ああああああああああっ♥」

    七海に奉仕を任せていた客が、我慢できなくなったのか自ら動き始めた。すぐに絶頂する七海。そしてそのまま絶頂しっ放しになってしまう。

    「ああぁああぉああああぅわぁああおぁああぃえいあぅあぁああああああっ♥♥」

    同時に喘ぎ声も止まらなくなった。客のピストンのテンポに合わせて周期的に音量や音色が変わるものの、甲高い悲鳴のような喘ぎ声が絶え間なく続き、客をさらなる興奮へと駆り立てる。互いに大量に汗をかいて滑りやすくなってしまったため、七海の独特なピストンは止まっていたが、代わりに客のピストンがさらに速まる。それに合わせて玲香も高速で七海を責め立てる。

    「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

    七海はもうずっと絶頂したままだ。そうして3人が限界の限界の限界まで達した時、ついに客が射精を開始した。凄まじい量の精液が七海の大腸を逆流していく。19時になってから客は七海の口に1回、玲香の膣に1回、既に射精していたが、3回目にも関わらず今回が最も多かった。

    「はぁ…… はぁ…… はぁ……」

    玲香も、先程の膣射精時の絶頂よりも強い快感を得ていた。レズプレイでここまで深く絶頂するのは初めてだ。あまりの気持ちよさに、このまま七海の腹の上に倒れてしまいそうになるのをグッと堪える。

    「はひゅー ぜぇ… あひぅ♥ かひゅ あひゃー♥ ぜぇ…」

    客と玲香は味わった絶頂を足して2倍したよりも深い絶頂を味わい続けていた七海は、荒い息の合間に意味不明な声を出していたが、射精から数分経ってようやく落ち着いてくると、首を傾けて客の目を見ながら、小さな声で言うのだった。

    「おきゃくひゃまぁ…… にゃにゃみのごほうひぃ…… いかがでひたかぁ?」

    甘く切ない声が客と玲香の体内を駆け抜け、同時に脊髄にゾクゾクッと電気が走る。七海の肛門に入ったままの客のペニスが急速に硬さを取り戻していく。粘膜越しにそれが玲香にも伝わる。こんな声と表情で言われたら……っ!

    「もう1回でひゅかぁ……?」

    「ああ」

    再び始まるアナルセックス。膣にディルドーを入れたままの玲香は、客のピストンに合わせてゆっくり動きながら七海のことを考えていた。

    なんなの、この娘…… 3ヶ月前に一緒だった時はこんなことなかったのに…… すごすぎ…… 私も奴隷として奉仕スキルは磨いてきたつもりだけど、お客様がこんなふうになっちゃうの、見たことない…… しかも無意識のうちにやってるっぽいし…… 光希はいかにも変態って感じだけど、七海ちゃんは変態とは違う気がする…… やっぱ魔性の女? 男も女もみんな虜にする、みたいな。 ……いかんいかんっ! 七海ちゃんが必死に頑張ってるのに、こんなこと考えて…… 私ってば最低っ!!

    はぁぁ。七海ちゃん…… 可愛いけど可愛そう…… このお客様みたいなご主人様と巡り会えれば幸せだったのに…… あの男じゃなぁ…………

    男はその後も抜かずの3発で七海の肛門に射精を続け、最後は玲香のフェラ掃除でフィニッシュとなった。

    10分の休憩時間、玲香は、絶頂しすぎて腰が抜けかけている七海を抱きかかえてシャワー室へ連れていき、自分と七海2人分の汚れを急いで落としていく。

    「可愛かったよ、七海ちゃん」

    「えー?」

    「私もついつい調子に乗って責め過ぎちゃった。ごめんね」

    「気持ちよかったですよ、玲香さんのおちんぽ」

    「ふふっ♥ 次も頑張ってね」

    「玲香さんも頑張ってください」

    シャワーを終える頃には七海も自分で立てる程度には回復したので、調教室の扉までは手を繋いで一緒に歩いていき、扉の外で2人は別れた。まだふらついている七海の後ろ姿を見ながら、玲香は微かな声で独り言ちた。

    「あなたは変態なんかじゃないわ。頑張って。七海ちゃん……」

     

    2人目はアイマスクを着けたサディスティンの女だった。この人も確か3ヶ月前に指名された人だ。あれ以来何度か指名され、他のサディスティンにも度々指名されてきたため、七海はS女に責められることにも慣れ、屈辱を感じることはなくなった。

    同じ女だから妊娠8ヶ月目の七海に手加減してくれる、などということは無論なく、今日も七海を縛り上げて腹以外を鞭でメッタ打ちにした後、尿道に異物を挿れたり炭酸を注いだりして遊び、肥大化した黒乳首やクリトリスに針を刺しては鞭で飛ばし、歯茎や舌に蝋を垂らし、最後は下痢便を七海の顔にぶち撒けて帰って行った。

     

    3人目、いや3組目はなんと巨漢10人でのご指名だった。狭い部屋が男たちで埋まる。暖房を30℃に設定し、全員汗だくになる中、七海は妊娠まんことケツまんこと歯茎まんこと胸まんこと手まんこと足まんこと腋まんこで相手をさせられた。11Pは初めての経験だった。もう何が何だかわからない。暑くて汗が止まらない。男たちは、脱水を防ぐためと言って、自分たちは水を飲みながら七海の口に尿を注ぎ込んでいく。

    50分経ってプレイが終わった時、七海の身体は汗と愛液と精液とこぼれた尿でドロドロになっていた。

     

    VI:奴隷100日目 – 夜(2)

     

    4人目は、なんと再び堀田理事長だった。もちろん仁科母娘を連れている。昼間のプレイで七海をいたく気に入った彼が、明日の朝帰る前にどうしてももう一度母娘と七海のスカトロプレイを見たくて、かなりの金を積んで強引にねじ込んだらしい。流石はJSPFの幹部、やりたい放題である。

    部屋の中央には小さな檻が2つ並んで置いてあって、母娘が四つん這いの状態のまま1人ずつ入れられていた。檻は、立つことはおろか、四つん這いの状態でも頭を擦りそうなほどに小さく狭く、各所に小窓が付いていたり、部分的に材質が違ったりと、悪質な仕掛けが満載であろうことがひと目でわかる。さらに2つの檻の前方、ちょうど真ん中辺り、母娘からよく見える位置に蓋の付いたバケツが1つ置いてあった。

    堀田は七海の耳元に近寄ると、母娘に聞こえないよう小声で調教の計画を話した。あまりのおぞましさに身の毛がよだつ。

    「じゃあ始めるとしようか」

    「……はい」

    七海は短く答えると、バケツの蓋を開けた。中は糞便で満たされていた。施設じゅうの奴隷の糞便をかき集めてきたらしい。七海があの日まみれた糞の海は男女混合だったから、ちょっとだけマシな気もするが、所詮男も女も皆同じホモ・サピエンス、糞便の味や臭いに違いなどないことを、七海は身を以て知っている。早速悪臭が部屋に充満し、母娘はこれから行われる調教への恐怖でブルブルと震えていた。

    七海は堀田から犬用のエサ入れ2つと柄杓を受け取ると、バケツの中の糞便をエサ入れに山と盛り付け(茶碗に大盛り3杯分くらいだろうか)、檻の小窓を開けてエサ入れを床の上、母娘の口の真下辺りに置くと、小窓を再び閉めた。強烈な臭いが母娘を襲う。

    「陽葵、今日子。手を使わずにそれを全部食ったら今日の調教は終わりだ」

    「ウソっ!!?」

    「そんなっ!!」

    「嘘なものか。10分で食い切ればそのまま檻から出してやる。それ以降は10分おきに仕置きを加える。早く食った方がいいぞ? ……では計測スタート」

    「待ってっ!!」

    「ご主人様っ!!」

    「早く食え。あと45分しかないのだ。ストップウォッチは止めないし、一切妥協はしないからな」

    「イヤ! イヤ!! これ、誰のですか!? ご主人様のじゃないですよね、こんなにたくさん…… アタシいやですっ! ご主人様のと自分のとママの以外、食べたくない! 食べたくないですっ!! ご主人様のならアタシ、喜んで食べますから! こうやってエサ入れに入れたのでも、お尻の穴に直接口付けて食べてもいいですからっ!!」

    「最初のタイムリミットまであと9分だ」

    「ご主人様ぁっ!!!!」

    なんて酷いことを考えるんだろう。七海は心の中で思った。こんな悪魔みたいな人が、私が通っていた学園の理事長だったなんて。 ……でも。私は何をするんだろう。理事長から聞いた計画では、10分後と20分後には私の出番があるけど、それ以降は特にない。その出番だって、他の誰にでもできそうな内容だし。なんで私を指名したんだろう……?

    その時、意を決した今日子が糞山の中に口を突っ込んだ。息を止めてビー玉くらいの分量を口の中に含んだ。だが、あまりの不味さにすぐ吐き出してしまった。激しく咳き込む今日子。

    駄目だ。ご主人様のか自分のか陽葵のならなんとか耐えられたが、誰かわからない人の排泄物だというだけで嫌悪感が100倍以上に跳ね上がる。口に入った瞬間に舌が、歯が、脳が、身体中が拒絶する。無理。食べられない。一度試したが故に二度目をする気になれない。こんなの絶対無理! ……なら、ご主人様を説得するしかない!!

    「ご主人様、お願いします。どうか、これだけはご勘弁を……! 気持ち悪すぎて食べられません。噛めません。噛む前に吐き出してしまいます」

    「では噛まずに飲み込めば良かろう。 ……あと6分」

    「ご主人様ぁっ!!」

    呆気なく説得に失敗し、絶望の目差しの今日子。陽葵の方は、一口目を食べる勇気すら持てず、真っ青な顔でガタガタと震えたままだ。

    こんなのあんまりだよ……。見るに見かねた七海は、恐る恐る堀田に話し掛けた。

    「あ、あの…… ちょっといいですか?」

    「お、何だ?」

    「ちょっとアドバイスしたいんですけど……」

    「糞を食うコツか?」

    「……そんな感じです。ダメ……ですか?」

    「いいぞ」

    待ってましたと言わんばかりの顔だ。この人はこういう展開を狙っていたんだろうか……。

    「あの…… 陽葵さん、今日子さん」

    「「…………」」

    2人は返事をする余裕さえない。

    「うんちなんですけど、これって誰のでも味は一緒です。私のも、私のご主人様のも、私の姉のも。昼にちょっとだけ食べましたけど今日子さんのも同じ味でした。たぶん陽葵さんのも堀田様のも、この施設にいる男の人も女の人も子供も大人もお年寄りも、みんな同じ味だと思います。お肉をいっぱい食べた後だったり、下痢や便秘の時はちょっと変わりますけど。だから、そのうんちも自分のだと思っちゃえば…… その、ちょっとは食べやすくなるんじゃないかと……」

    「「…………」」

    返答はない。でも2人ともちょっとだけ落ち着いた顔になったような気がする。

    「それと、うんちってメチャメチャ臭いですけど、だからって息を止めたり、口で息してばかりいると、いつまでも臭いのに慣れてかないので、思い切って鼻で息して、臭いのに慣れちゃった方がラクかもしれません。私、今でもうんちの臭いって大っ嫌いですけど、なんかもう慣れちゃいました……」

    「「…………」」

    「すみません、変なことばかり言って……」

    「いや、流石は経験者だ。とても的確なコメントだったよ」

    「あ、ありがとうございます」

    そう言った時、陽葵が鼻で息をし始めた。あまりの臭さに咳き込むが、何度も咳き込みながら少しずつ糞便の山に近づいていく。そして目を瞑ると、糞塊の一部、少し盛り上がっている部分に歯を当て、意を決して噛み千切った。口の中に入ってくるトウモロコシの粒程度の大きさの糞便。あまりの苦さ・不味さに早くも吐き出しそうになるが、なんとか堪えて飲み込んだ。……言われてみれば、自分のと同じ味だ。昼間に食べた七海のとも同じだ。そっか、同じなんだ。これは私のうんち。私のうんちなんだ!!

    陽葵は、次第に噛み千切る量を増やしながら2口・3口・4口と少しずつ糞塊を削っていった。それを見ていた今日子も、同じやり方で少量の糞便を飲み込み、少しずつ削り取る量を増やしていった。

    だが、1万円分の1円玉を1枚1枚数えていくようなやり方では時間がいくらあっても足りない。2人がそれぞれ7口目を処理したところで10分が経過してしまった。糞山は全く減っていなかった。

     

    「10分だ。七海、頼む」

    「…………はい」

    七海は、心を鬼にして檻の天井部分にある蓋を開けると、バケツに残っている大量の糞便を素手で今日子の身体に塗りたくっていった。母娘にとって塗便は初めての経験だった。あまりに気持ち悪い感触、そして圧倒的な悪臭に、今日子は再び鼻で息ができなくなった。大きな声を出すと鼻で息をしてしまいそうなので、気持ち悪くて叫びたいのに、それすらできない。やがて、膝や肘など床に接している部分以外は茶色一色の糞人形となったところで、七海はバケツを持って陽葵の所へ移動した。

    「イヤ…… イヤ…… 七海やめて…… お願い…… 学校でのこと全部謝るから…… やめて……!」

    声が出ない。もっと大声で叫びたいのに、恐怖のあまり声が出ない。あんなふうになるの? 私も!? うんちまみれに!!? そんなのやだ!! 絶対やだぁっ!!!!

    時間がない。塗るのに最低でも1分半はかかる。次のタイムリミットが迫っている。食糞の時間を1秒でも多く稼ぐために、七海は小さく「ごめんなさいっ」と呟きながら糞塊を陽葵に塗り付けた。

    「いやあああああああああっ!! いやあああああああああああああああっ!!!!」

    絶叫し、激しく抵抗する陽葵。だが足枷が床に固定されているため天井からの脱出は叶わない。

    「あああああっ!! ああああああああああああっ!! あああああああああああっ!!!」

    狂ったように陽葵が叫んでいる間にも、脚、身体、腕と塗り進み、最後に顔面と髪を茶色一色に染め上げると、七海は天蓋を閉じた。

    「うああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

    陽葵の絶叫が止まらない。絶叫する前には、口だけでなく鼻で思いっきり息を吸わねばならず、容赦なく悪臭が襲う。臭い! 臭い! 臭い! もうどこもかしこも臭い! あの雨の日の教室の1億倍は臭いっ!! こんなのやだ! うんち食べるよりもっとやだ! やだああああああああああっ!!!!

    パニックになっている陽葵。今日子が臭いを我慢しつつ陽葵に話しかけているが、陽葵はまるで聞いていない。もう、こんなのって……!!

    七海は堀田に無断で再び天蓋を開けると、陽葵の糞まみれの頬を何度かビンタした。

    「陽葵さん、しっかりっ! 食べなきゃ終わんないよ! ううん、食べれば終わる! 身体もキレイに洗える! だからしっかり!! 陽葵さんっ!!!」

    「あぅぅ…… な、七海ぃぃ 七海ぃぃぃ」

    「頑張って? あなたならできるよ! 陽葵さんっ!」

    陽葵はなんとか落ち着きを取り戻した。そして時間のことを思い出す。何分経ったんだろう。ヤバい。早く食べなきゃ。その前にまずはこの臭いに慣れないと…… 鼻で息を……っ!!?

    「ゲホッ! ゲホッ! ゲェッ!」

    思わず吐きそうになる。さっきの何十倍も臭い。こんなん鼻で息するとか無理! 絶対無理! でも食べなきゃ! 時間が……!!

    焦った陽葵は、息を止めたまま糞塊に齧り付き、一気にピンポン玉くらいの大きさの塊を口の中に放り込んだ。だが、この大きさだとすぐには飲み込めない。苦い。苦すぎる。そして凄まじくマズい。噛むことも飲み込むこともできずに口の中で転がしているうちに酸素不足となったが、口の中はいっぱいだから鼻で息するしかない。

    「スーッ……!!? うぶぐぇええええええええっ!!!!」

    鼻で息をした瞬間、あまりの臭さに胃液が食道を一気に駆け上り、気づいた瞬間には嘔吐していた。これまで少しずつ食べてきた糞便と、消化途中の流動食の全てをエサ入れの中にぶち撒けてしまう。

    「ああ…… あぁぁ…………」

    陽葵は絶望的な気持ちでエサ入れを見つめた。最初から全部やり直し。しかもあのマズい流動食が半分消化された状態でソースのようにたっぷりとかかっている。もうダメ。こんなん無理。無理です、ご主人様、もう勘弁してください。神に祈る思いで顔を上げ、ご主人様の方を見る。だが堀田の声はあくまで冷たかった。

    「次のタイムリミットまで1分。リバースした分も全部食わなければ追加の仕置きだ」

    「はは…… ははは…………」

    もうダメ。アタシ、今日ここで死ぬかも。こんなん食べるくらいなら死んだほうがマシ……。そう思ってママの方を見ると、ママは凄まじい悪臭に耐えながら少しずつ糞を食べ続けていた。糞を塗りたくられているので表情はよくわからないが、恐らく泣きながら食べている。ママ…… ママ…… でもアタシもう無理…… こんなん無理だよぉ…… そう思ったところでタイムリミットとなった。

    七海は、堀田の命令どおりに、母娘ともに檻の格子の指定された場所を握らせ、上からビニールテープをグルグル巻きにして固定していった。その場所は檻の前面、6本ある格子の右から2判目と5番目の格子の真ん中からやや上側の辺りで、この辺りだけ金属が剥き出しで他と色が違っていた。

    「お前らの首輪とそのエサ入れには距離センサーが組み込まれていてな。両者の距離が10cmを超えたら檻に電流が流れる仕組みだ。これで食べやすくなったろう。感謝しろよ?」

    「「…………は!?」」

    「…………」

    この人ってホント最低。ご主人様より酷いかも。 ……今日の午前中、七海は醜い飯森に服従のキスをする際、せめて飯森がイケメンだったらと思った。だが。イケメンが歳を取った感じの整った顔立ちをしているこの男の残酷さは……もはや異常だ。これなら飯森の方がまだマシだ。酷すぎるよ、こんなの……!!

    「じゃあ始めるぞ」

     

    「「うぎゃああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」」

    母娘は堀田の方を見ようと身体を起こしていたため、堀田が起動スイッチを押した直後に手に強い電流が流れたのだ。

    「あぎゃあああああっ! いたいっ! とめてっ! どめでええええっ!!」

    「いっぎゃあああああああああっ! ぐがぎゃっ! いやあああああっ!!」

    「とっとと食え! エサ入れの中に頭を突っ込んで糞を貪り食うんだっ!!」

    陽葵と今日子はほぼ同時に糞山に墜落した。山の手前で寸止めする余裕などない。激痛から逃れたい。それしか頭になかった。だがそれでも電流は止まらない。息を止めて糞山のさらに下、床の辺りまで掘り進んでようやく電流は止まった。取り敢えずホッと息をついた瞬間、猛烈な臭気が鼻から脳天へと突き刺さる。これには流石の今日子も耐えられなかった。食べ進めていた糞便が全てエサ入れに戻り、消化中の流動食も全てリバースする。口も鼻も汚液に浸かって溺れてしまいそうだ。しばらくもがいていたが、我慢できなくなって顔を上げた瞬間、再び電流が今日子を貫く。こんなのどうしたらいいの!? 今日子は電流から逃れるために再び汚泥の中にダイブした。

    何これ…… 酷すぎる…… 私も最初の頃はうんち食べるの辛くて辛くて死にそうだったけど、こんな酷い目には遭ってない。 ……七海は抗議の意思を込めて堀田の顔を見た。と、気配に気づいたのか堀田も七海の方を向く。その顔はニヤニヤと笑っていて、何かを期待しているふうでもあった。……いったい何を期待しているんだろう?

    最初はアドバイスだった。次はパニックになりかけていた陽葵をビンタして正気に戻した。あまり役には立てなかったけど。今度は何をしたらいいんだろう。代わってあげればいいんだろうか? 七海なら多分電流を受けることなく時間内に糞便を完食できるだろう。 ……でもそれだと調教の主旨に反する気がする。

    理事長はたぶん2人がうんちを食べられるように調教したいんだよね? やり方は狂ってるけど。でも外からアドバイスしても、あんなんじゃ聞いてもらえない。せめてうんちの量を減らせたら…… 吐いちゃった流動食も無くせれば…………………… あ。

    「あの、堀田様」

    「何かね?」

    「せめてうんちの量を減らしてあげられないでしょうか。吐いちゃった流動食も……。あれじゃ食べる前に溺れちゃいます……」

    「それで?」

    「……私が。私が半分食べます。吐いちゃった流動食も。そしたらきっと食べやすくなります」

    「だがそれだと調教にならないのではないかね?」

    「半分は…… 半分は残るんだから大丈夫だと思います。どうかお願いします。このままだと2人とも死んじゃいます!」

    「死なないよ。電流は致死量より遥かに低いし、糞便を無毒化する薬も飲んでいる。君みたいにね」

    「でも、溺れちゃうっ!」

    「大丈夫だよ。ところで…… 君は何故2人を助けたいのかね?」

    「…………えっ?」

    「陽葵は素行不良の問題児だ。奴が関わっていた集団イジメでは女生徒が2人転校している。うち1人は自殺未遂寸前までいったらしい。主犯ではなく、取り巻きの1人だったらしいがね。だがはっきり言ってクズだ。犯罪者だ」

    「…………」(あなたの方がよっぽどクズの犯罪者だと思いますけど……)

    「君も色々と嫌がらせを受けたんだろう? 何故奴を庇う?」

    「それは…… うんちの臭いを撒き散らしたのは私なので……」

    「それは嫌がらせを受けた原因であって、奴を庇う理由ではないだろう?」

    「えっと…… あの2人は時間内に食べ切れない。私ならいけるかも。だから代わるんです」

    「ほう、なかなか合理的だね。可哀想とか自己犠牲とか罪滅ぼしとか、そういうのではないのか……」

    「…………」(よくわかんないけど、かわいそうだからやめてって言ったって聞かないじゃない…… あなたも、ご主人様も)

    「君の糞を臭いとなじった女が、糞の山の中で苦しんでるんだ。いい気味だと思わんかね?」

    「思いません」

    「何故?」

    「私が何もしてないのに陽葵さんが酷いことしてきたらイジメですけど、私も酷い臭いで苦しめたんだから、あれはイジメだとは思ってません。うんちは臭いんだから怒って当たり前です。うんちは臭くて不味くて…… 食べるのほんと辛いんです。でも、いつも食べてたらそのうち慣れちゃうんです。陽葵さんも今日子さんもそのうち慣れると思います。でも、ああいうやり方じゃなくって、少しずつ慣らしていった方がいいと思うんです。だから量を減らした方が……」

    「うーむ。例えばセックスの初体験というのは、しっかり前戯を行って、まんこもちんぽもたっぷり濡らしてからゆっくり挿入するのが理想だろう? だが君は飯森君にレイプされて処女を奪われたはずだ。そんな君も今ではすっかりセックスに慣れている。違うかね? 初めがどうだろうと関係ないと思わないか?」

    「そっ、そんなことないですっ!」

    「そうかな? 昼間のステージ、豚真似を躊躇するそいつらに対して、君は少しずつ豚真似に慣れさせるような配慮を何かしたかい? 最初っから全開で飛ばしていたように見えたが……」

    「はぅぅぅ……」

    「あっはっは! イジるのはこれくらいにしておこう。いやぁ、面白いねぇ君。感情論では動かない私に論理で対抗するとはね。質問にはキチンと答えて、筋もそれなりに通っているし、元クラスメイトへの配慮も素晴らしい。高校でも論理学の授業があるなら合格点だな。道徳は間違いなく満点だ」

    「…………」(論理とか知らないけど、あなたに道徳を評価してほしくないんですけど……)

    「……ところで30分経過したな」

     

    屈強な男が2人入ってくる。2人は檻の後ろ側の小窓を開けると、絶縁素材でできたコンドームを装着したペニスを母娘の糞まみれの膣に挿入し、いきなり全力でピストンを開始した。

    「「うあああああああ……ぐぎゃああああああああああああああああああっ!!!!」」

    全く濡れていない膣に突如巨根を突き刺されて、2人は悲鳴を上げながら後ろを見ようと顔を上げ、電流を食らって再び絶叫した。

    「や、やめさせてくださいっ! あんなんで食べるなんて絶対無理…… えっ?」

    他の男が部屋に入ってきて、2つの檻の正面、最初にバケツが置いてあった位置に、向かい合うように檻をもう1つ設置した。

    「な、なに……?」

    「私は優秀な生徒が好きでね。君に免じて先程の提案を受け入れよう。今から2人が食っている汚物を君が食べたまえ。量は半分でもいいし、もっと多くてもいいぞ? ただし時間は15分だ。バケツに残っている糞を全身に塗りたくって、エサ入れに汚物を好きな量入れて自分で檻に入るんだ。電流は流さない。妊娠中だからな。その代わりエサ入れと首輪をこのチェーンで繋げ。自分でな。まんこは私が突いてあげよう」

    「…………」(私の檻もチェーンも…… 最初から全部用意してたの?)

    「15分以内に君が全部食べ切れば調教は終了だ。3人ともシャワーを使うことを許可する。食べ切れなければ、君が食べた分は全て吐かせて、食べ切れなかった分と合わせ、陽葵と今日子のエサ入れに戻してこのまま朝まで放置する。君はカプセルベッドに戻って糞まみれで寝たまえ」

    「…………わかりました」(はぁぁぁ…… ホント最低)

    七海は心の中で溜息をつくと、早速バケツに向かった。何しろ時間がない。急がなきゃ。

    七海は、床に座るとバケツを持ち上げ、頭の上でひっくり返して汚物を全部身体にぶち撒け、急いで手で塗り込んでいく。臭い。吐きそうに臭い。最低最悪。七海は肘や膝も含めて全身糞色一色になると、さらにエサ入れを持って母娘の入った檻に近づき、天井を開けて汚物を手で掬い上げていく。男たちのピストンに合わせて母娘の身体も前後に揺れているのでやりづらい。七海のエサ入れは、母娘のものより一回り大きく、汚物がどんどん盛られていく。七海は残り時間を考えつつ、結局ほぼ全部の汚物を掻き集めた。

    残り11分。堀田からチェーンを受け取る。短い。10cmくらいしかない。七海は再び心の中で溜息を付くと、エサ入れを持ったまま自ら檻に入って四つん這いになり、目を瞑って茶碗6杯分の糞+流動食の山に顔をうずめ、チェーンで首輪とエサ入れを繋ぐと、早速汚物を食らい始めた。と同時に、堀田が七海の膣にペニスを挿入する。

    マズい、マズい、苦い、マズい、臭い、マズい、気持ちいい、臭い、マズい、マズい、マズい、最低。

    食糞には慣れたが、だからと言って臭いのも不味いのもそのままだ。いい匂い、美味しい味に感じるようになればいいのに。どうせ改造するなら、歯を抜いたり手足を切ったりとかじゃなくて、そういうのにしてよ。七海は身体を揺すられながら猛然と汚物を平らげていく。おまんこは確かに気持ちいいけど、今はそれどころじゃない。

    さっき玲香さんと3Pした時は、天にも昇る気持ちよさだったのに。この男もご主人様も、なんでセックスだけで満足しないんだろう。女の子をいたぶって苦しめて辱めて…… 何が楽しいんだろう。そんなことを考えながら、七海は汚物を飲み込んでく。ヘドロみたいになっている消化中の流動食は、胃液の酸味も加わって味も臭いもさらに強烈になっている。それが大量の糞便と合わさって、この世のものとも思えないような見た目と味と臭いだ。せっかくこのところ毎日糞便なしの流動食にありつけているのに、調教中はこんなんばっかり。 ……最低。

    プリン食べたいな…… 甘いもの…… お菓子…… 硬いもの…… クッキーとかビスケットとか…… 甘くなくてもいい…… お煎餅、ポテチ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーグ、おうどん、ラーメン、お鍋…… 体重計なんか無視してとにかく美味しいものを食べて食べて食べまくりたい…… お母さんの手料理をお腹いっぱい食べたい…… お母さん、お父さん…… おねえちゃん…………

    味と臭いを紛らわせるために色んなことを考える。考えながらさらに食べて食べて食べまくる。歯茎で汚物を押し潰し、数回噛んだらすぐに飲み込む。その繰り返し。……最低。

    タイムリミットの2分前、なんと堀田が射精する前に七海は食べ切った。茶碗6杯分以上なんて、白米だったとしても16歳の少女が食べ切るのは大変なのに、僅か9分での完食。これには流石の堀田も驚嘆した。

    「素晴らしいよ、七海! あとは好きなだけセックスを楽しんでくれ!」

    「…………ありがとうございます。げぷ」

    ゲップが臭い。身体の中も外も臭い。……最低。

    「ん… あっ… んふ! んっ! あっ♥ ああっ♥」

    時間内に食べ終わった安堵感からか、七海の身体からは力が抜け、それとともに忘れていたセックスの快楽が急速に高まっていく。吐息は色と熱を帯び、甲高い喘ぎ声へと変わっていく。今日最後のセックス。確かに、最初はレイプだったのにすっかり慣れちゃった。こんなうんちまみれでも気持ちいい。臭いけど気持ちいい! もっと突いて! メチャクチャに突いてぇっ!!

    堀田が七海の腟内で果てた。七海も同時に果てた。七海の敏感な身体は、汚物を完食後僅か1分で快楽の階段を駆け上り、絶頂へと到達したのだった。玲香との3Pの時のような深いものではないが、汚物を完食し、命令をクリアし、母娘を助けることができたという達成感も加わって、七海は檻の中でエサ入れに顔を突っ込み、荒い息を吐きながら、僅かに笑顔を見せていた。

    「いや、本当に素晴らしかった。そっちの2人は気を失っているが、感謝しているだろう。これからもよろしく頼むよ、七海」

    「はい。今回は指名してくださりありがとうございました」(やっぱこの人、最っ低……!)

     

    七海は、部屋の片隅にあるシャワー室で汚れを落とした。そして湯をがぶ飲みする。身体の内と外がようやく綺麗になる。胃袋の中は大量の排泄物でパンパンだが……

    シャワー室から出ると、目が覚めて檻から出された糞まみれの母娘が近寄ってきた。堀田はもう帰ったようだ。

    「七海さん、本当にありがとうございました」

    今日子が深々と頭を下げる。

    「本当にありがとう七海。それから…… ごめんなさい。知らなかったとは言え、あなたを傷つけるようなこと、いっぱいしちゃったし、いっぱい言っちゃった…… 本当に、本当にごめんなさいっ!」

    陽葵は今日子以上に深く頭を下げた。

    「ううん、うんちの臭いでイヤな思いをさせたのは私だしね。こっちこそごめんなさい」

    「そんなっ……!」

    「でもよかった……。なんとか終わって」

    「全部七海のおかげだよ」

    「うんち食べるの、慣れちゃっただけだよ……」

    「でもっ! アタシ死んじゃうかと思ったし! この恩は一生忘れないからね、アタシっ!」

    「そんな、大げさだよ」

    「ねえ、七海。よかったらさ、友達になってくんない?」

    「え?」

    「ここ怖くってさ…… 学園の調教室も怖かったけど、ここはなんつーか…… エタイが知れたいって感じ?」

    「……だよね」

    「ママだけだと心細いしさ、友達になってくれると嬉しいんだけど…… 酷いことたくさんしちゃっといてなんだけど…… ダメ……かな」

    「……いいよ、陽葵さん」

    「やったぁっ! ありがとうっ! アタシのことは陽葵でいいよ!」

    「あ、うん」

    「じゃあシャワー浴びてくるね! 今日はホントにありがと! 七海っ!!」

    そう言ってシャワー室へと駆けていく陽葵。

    「ありがとう。陽葵のお友達になってくれて」

    「あ、いえ。こちらこそ……」

    「学校で何があったか、私はあまりよく知らないんですけど、陽葵が酷いことをしてしまったみたいで、本当にごめんなさい」

    「それは本当に…… その、気にしてないので。大丈夫です」

    「ありがとう」

    「これからも陽葵をよろしくね?」

    「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」

    「はい。よろしくお願いします」(ほんと、とってもいい子…… 身体中メチャクチャにされてるのに……)

    「はい」

    「じゃあ私もシャワーを…… そろそろ限界だわ…… うっぷ」

    「2人入るには、その、狭いですけど…… 大丈夫ですか?」

    「大丈夫、大丈夫! じゃあ七海ちゃん、おやすみなさい」

    「おやすみなさい」

     

    ベッドの中、綺麗な身体、清潔なシーツ、無味無臭の口内。療養中のおねえちゃん、ご主人様との誓いのキス、新しくできたお友達。今日はすごく沢山のことが起きた。自分で考え、行動することの大切さも学んだ。 ……玲香さんは大丈夫って言ってたけど、おねえちゃんの火傷は大丈夫かな……。玲香さんとの3P気持ちよかったな…………。陽葵、明日も会えるかな………………。色々考えているうちに、七海は静かに眠りについた。

    夢を見た。私とおねえちゃんとお母さんとお父さん、そして陽葵と今日子おばさんと玲香さん。街のオシャレなカフェのテラス席に座って、みんなで楽しく会話しながら美味しいものを食べている。私の口には歯があって、おねえちゃんには手足があって、みんなオシャレな服を着て。……こんな幸せな夢を見たのはいつぶりだろう。8月のあの日以来初めてかもしれない。特に歯を失ってご主人様に逆らった後、1週間くらいは毎日悪夢にうなされていた。

    ずっと見ていたい。ずっと夢の中にいたい。朝なんて来なければいいのに。美味しそうなプリンが目の前にある。なんかすっごく高級そうなプリンだ。期待に胸膨らませながらスプーンで一口分掬って、口まで持っていって、口を大きく開けて…… いっただっきまー…………

    突如爆音ブザーが鳴り、七海は飛び起きた。夢の内容は……覚えていなかった。

     

  • ハードSM小説『奴隷姉妹』 第4章 – 叛逆

    📂投稿グループ📎タグ

    七海がJSPFに移って2ヶ月少し経った2月28日、昼の12時過ぎ。

    飯森は七海とペロを散々いたぶった後、会員専用のレストランで昼食を摂るべく、メス犬区画と一般区画を結ぶ暗い階段をゆっくりと登っていた。

    この2ヶ月間、飯森は施設にある様々な調教用具を使って、七海の調教を堪能してきた。ペロによる説得が功を奏し、七海は施設からの脱走を試みることもなく、日々の調教をどうにかこなしていた。膣・肛門・口を使った奉仕技術は長足の進歩を遂げたし、マゾの被虐快楽にも完全に目覚めて、鞭や蝋燭、針責めに三角木馬でも絶頂を繰り返すようになった。JSPFの会員たちにも七海は概ね好評のようで、ここまではほぼ順調と言って良いだろう。